マンション管理士とは|マンション管理を住民の味方としてサポート

地球温暖化の影響か、大型台風による被害が年々大きくなっています。昨年2019年には、台風19号による大雨で電源設備のある地下が浸水してマンション全体が長期間停電する被害がありました。この件をきっかけに、マンション管理士への相談が増えているそうです。

この記事では、マンション管理の強い味方となるマンション管理士の仕事内容とマンション管理士試験について紹介します。

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マンション管理士とは

日本でマンションといえば、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の集合住宅のことを指し、主に2階建ての木造、プレハブ造、軽量鉄骨造などの低層住宅のアパートとは区別されています。

マンション管理がどのような仕組みで行われているかご存知ですか。

マンション管理はマンションの所有者である区分所有者による管理組合で行われますが、その業務はほとんどのマンションで管理会社に委託されています。マンションの管理業務は、入り口など共用部の清掃、エレベーターなどの設備の保守点検や、管理員の窓口業務など日常的に行なう必要があるものから、管理組合の会計処理や大規模修繕の計画のような、専門的な知識を要するものまで多岐にわたるからです。

マンション管理の専門家としての国家資格であるマンション管理士は、管理会社が業務をきちんと行っているか、管理組合のメンバーであるマンション所有者の立場に立って監督や助言を行います。具体的には、管理規約や長期修繕計画の作成や大規模修繕工事の実施などに対して管理組合へアドバイスやコンサルティング、さらに区分所有者同士のトラブル、管理費滞納の解決のサポートもおこなっています。この資格は名称独占資格なので、資格取得者以外はマンション管理士と名乗ることはできません。

マンションの管理に関わる国家資格には、マンション管理士の他に管理業務主任者があります。管理業務主任者とは、管理会社が管理組合へ重要事項の説明などを行なう際に必要な国家資格者のことです。管理業務主任者は管理受託契約前の重要事項説明などの独占業務を持ち、管理会社には管理業務主任者の必置義務があります。

管理業務主任者についてはこちらで紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/3755/

マンション管理士と併せて取得をお勧めする資格

2017年に行われた公益財団法人マンション管理センターの「マンション管理士の業務についてのアンケート調査」によると、マンション管理士以外に取得している資格では「管理業務主任者」が85.2%、「宅地建物取引士」が77.8%となっています。この他の資格で多かったものはファイナンシャルプランナーや建築士、行政書士、建築施工管理技士でした。

管理業務主任者もマンション管理の国家資格なので、併せて取得するとより強く専門性をアピールすることができます。さらに管理業務主任者試験の合格者には、マンション管理士試験で出題免除があります。

管理業務主任者試験はマンション管理士試験と出題範囲の重なる部分が多いうえに、マンション管理士試験よりも合格率が高いので、管理業務主任者試験に合格してからマンション管理士試験を受験する方も多いです。合格に必要な勉強時間は、マンション管理士は500~600時間、管理業務主任者は200~300時間と言われています。マンション管理士になるなら、まず管理業務主任者試験に合格を目指す作戦も有効でしょう。

マンション管理士として活動するならば、上記の資格を取得すれば有利になるでしょう。特に宅地建物取引士は、マンション管理士と出題範囲が重なっている部分も多いです。

宅地建物取引士については、こちらをご覧ください。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/1247/

マンション管理士試験とは

日時・場所・受験料

マンション管理士試験は、年に1回、例年11月後半に実施されています。

令和2年度マンション管理士試験は、2020年11月29日に札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市の8か所で行われました。受験料は9,400円(非課税)です。

受験資格・試験内容

マンション管理士試験には受験資格はなく、年齢、学歴、実務経験などによる制限は一切ありません。

試験はマークシート形式で行われて、以下の内容が50問出題されます。

(1)マンションの管理に関する法令及び実務に関すること建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律、民法(取引、契約等マンション管理に関するもの)、不動産登記法、マンション標準管理規約、マンション標準管理委託契約書、マンションの管理に関するその他の法律(建築基準法、都市計画法、消防法、住宅の品質確保の促進等に関する法律等) 等
(2)管理組合の運営の円滑化に関すること管理組合の組織と運営(集会の運営等)、管理組合の業務と役割(役員、理事会の役割等)、管理組合の苦情対応と対策、管理組合の訴訟と判例、管理組合の会計 等
(3)マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関することマンションの構造・設備、長期修繕計画、建物・設備の診断、大規模修繕 等
(4)マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関することマンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理
(令和2年度マンション管理士試験 実施要領より)

管理業務主任者試験の合格者には、マンション管理適正化法に関する5問の出題免除があります。

合格点・合格率

合格点は毎年変動して、合格するためにはおよそ70~80%程度の得点が必要とされています。合格率は例年7~9%程度です。1問1点で50問出題されて、満点は50点です。

令和元年度は受験者数は12,021 名のうち合格者数 は991 名 で合格率は8.2 %、合格点は37点、一部免除者は32点でした。

マンション管理士試験の詳細は、公式サイトをご確認ください。過去の試験問題もダウンロードできます。

https://www.mankan.org/index.html

マンション管理士試験に合格するには

独学

マンション管理士試験には受験資格はなくてテキストや問題集も多数販売されているので、独学で合格を目指すことは可能です。

法律が改正されることもあるので、テキストは必ず最新版を用意しましょう。多くの合格者の方が使用しているテキストがこちらです。

「ですます調」の講義形式となっているため、非常に読みやすくなっています。

独学で合格を目指すには、実力の把握やペースメーカーとして模試を上手に利用することも大切です。マンション管理士試験対策の模試は多数行われています。

マンション管理士試験に合格したkmnpooh3さんが、模試の活用方法を紹介しています。

予備校によっては、答練にしても公開模試にしても、市販の「直前模試」にしても、前年の焼き回しをしているだけの場合が多く、高得点が取れるものの、井の中の蛙になりやすいため、他社の予備校の公開模試を1つは受けておいたほうが、より実践に近い(普段と違う仲間と受験するなど)、文字通り「模試」の経験が積めると本番で力が発揮出来ると思います。

https://ameblo.jp/kmnpooh3/entry-12620063270.html

スクール・講座

マンション管理士試験の合格をサポートしてくれる講座は、日建学院、ネクスタ、フォーサイト、ユーキャン、アガルートアカデミー、スタディングなどで実施されています。大半が管理業務主任者とセットで開講されているので、マンション管理士と管理業務主任者の2つの資格取得を目指すことが可能です。受講料は、管理業務主任者とのセットで6万円~8万円のものが多いです。

これらのスクールや講座は、ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)や、教育訓練給付制度の対象になっている場合があります。

ハロートレーニングは、就職に必要な職業スキルや知識を無料で学ぶことができる制度です(テキスト代など実費のみ自己負担)。詳細は、最寄りのハローワークへお問い合わせください。

対象になる学校がお近くにあるか、こちらで調べられます。通いたい地域を選んだら「詳しい検索条件を開く」をクリックして、フリーワードに「マンション管理士試験」と入れて検索してください。

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010

教育訓練給付制度とは、支払った費用の一部が国から支給されるお得な制度です(金額に上限あり)。教育訓練給付制度の概要や支給要件等は、こちらで紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/841/

まとめ

日本でマンションに住んでいる人は、国民のおよそ1割にあたる約1,551万人とされています(国土交通省)。

新築マンションは続々と登場している一方、マンションの老朽化も問題視されています。今後も多くの方がマンションに住み、マンション管理にも関心が高まるでしょう。

専門知識が必要なマンション管理の頼れる味方になるマンション管理士、あなたも目指してみませんか。

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