宅地建物取引士とは|不動産業界、金融業界でも活躍できる人気の資格

賃貸アパートやマンションの入居・マイホームの購入の際、契約時に重要事項の説明がありますね。その際に、契約内容を記載した書面に記名押印し、その書面について、口頭で説明を行う役割を果たすのが宅地建物取引士です。

不動産の取引を行う事務所においては、5人に1人の割合で宅建士を置くことが法律で義務付けられている重要な国家資格です。

ここでは私たちの住まいにまつわる宅地建物取引士資格の概要や試験概要、勉強法について紹介します。

宅地建物取引士とは

「宅建」という略称でも知られる「宅地建物取引士」。宅地建物取引業法に基づいて定められている国家資格で、宅地建物取引の際に、契約者が不当な損害を被ることがないよう公正かつ誠実に法に定めた事務を行います。

試験は1年に1度の開催ですが、毎年約20万人以上が受験する、人気の国家資格のひとつです。合格率は、毎年15%程度の難関資格。資格取得は簡単ではありませんが、取得すると、不動産業界でのキャリアアップや転職、独立開業などの道が開けます。

合格後は、「2年以上の実務経験」を持っているか、「登録実務講習の受講」を条件として、最初に受験地の都道府県で宅地建物取引士資格の登録手続きを行います。

その後に宅地建物取引士証の交付申請手続きを行います。合格後1年以上たってしまうと「法定講習」の受講が必要となってきますので、早めの手続きが必要です。

宅建資格の登録自体は1回登録すれば有効ですが、宅地建物取引士証の交付は有効期間が5年となっており、資格更新のためには法定講習を受ける必要があります。

資格を取得するメリットは?

宅地建物取引士の資格を取得すると、建築会社・金融機関・不動産管理会社などへの就職にも非常に有利です。

重要事項説明等だけでなく、建築会社では、物件を販売する際の知識、金融機関では不動産の担保評価の知識が融資のために必要です。また都市銀行ではグループ会社に不動産販売会社を保有しています。不動産の管理会社の分譲や管理を行っている部門でも宅建の資格は評価されるでしょう。

また、就業中の場合も有資格者は必ず必要なため、資格手当などがついて昇給も見込めますし、転職や独立・開業も可能です。事務系でかつ細かさが要求される業務であることや、就業条件も選べるため、女性向けの資格でもあります。

受験資格は?試験内容や日程を教えて

受験資格

宅地建物取引士の試験を受ける上で、年齢、性別、国籍などの制限はありません。20歳未満の未成年者でも、受験可能です。ちなみに、平成29年度試験の最年少合格者の年齢は、13歳です。

試験内容

試験の内容は、不動産に関する法律や、関連する知識になります。公式サイトには以下のように説明されています。

1.土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。

2.土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。

3.土地及び建物についての法令上の制限に関すること。

4.宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。

5.宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。

6.宅地及び建物の価格の評定に関すること。

7.宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。

https://www.retio.or.jp/exam/exam_detail.html

民法等(14問)・宅建業法(20問)・法令上の制限(8問)・その他関連知識(8問)で合計50問・4肢択一式のマークシート方式の試験です。

合格率

宅地建物取引士の試験の主催団体は、国土交通省。試験を運営する「一般財団法人 不動産適正取引推進機構」によると、令和元年度は、申込者数276,019人、合格者は37,481人。合格率は17.0%でした。

試験日程・会場、検定費用

宅地建物取引士の試験は、1年に1回、毎年10月の第3日曜日に、全国の会場で一斉に行われます。原則として住民票のある都道府県の会場で受験することになっています。
2020年は10月18日(日)13時〜15時(2時間)です(今年は新型コロナウイルスの関係で追加試験の情報もありますので、公式サイトを確認してください)

検定費用は、7,000円(消費税込み)です。

申し込み方法

インターネットと郵送で可能です。
インターネットによる申し込みは、2020年7月1日(9:30)〜7月16日(21:59)
郵送による申し込みは、2020年7月1日〜7月31日
詳細は、公式サイトでご確認ください。

公式サイトの受験要項はこちら

https://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html#topic2

どのように学習する?

2020年4月から、民法が120年ぶりに大改正されました。そのうちの債権法は、契約等に関する最も基本的なルールを定めた部分です。2020年の試験では、改正された点に重点をおいた学習が必要です。

試験が近づいてきたら、過去問を繰り返し演習しましょう。宅建試験は、過去問の内容を別の角度から作り直すことも多いため、成果につながりやすいといえます。問題集だけでなくアプリなどでスキマ時間を活かしましょう。

独学

合格者の体験談をみると、試験に合格するための勉強時間は、少ない人では100時間程度、多い人では350〜400時間程度。

200時間勉強すると仮定すると、毎日2時間の勉強を3カ月半くらい続ける計算になりますが、1日も休まずに勉強を続けるのは至難の技。週に1、2回の休みを入れながら、4〜6か月間勉強するというスケジュールになります。

試験日からさかのぼり、1週間単位で勉強のスケジュールをたて、コツコツと。強い意志の力が必要ですが、合格を勝ち取りましょう。

2019年、独学で一発合格したたちばなさんはこうおっしゃっています。

独学で勉強をするにあたり、大事と思ったことを
ブログにしようと思いますニコニコ鉛筆

それは……
合格したいと思う理由気持ち
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ポイントは、「合格したい」ではなく
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https://ameblo.jp/tatibana1999/entry-12584995536.html
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過去問や民法の問題集は、こちら

スクールや通信講座を利用する

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まとめ

不動産の取引は対面で行われ、特に売買においては動く金額も大きく、丁寧な説明が不可欠です。取得が易しい資格ではありませんが、将来性もあり、一生使える資格であることは間違いがありません。

コツコツ学習を続け、正確な知識をしっかり積み重ねることができれば、合格のチャンスはだれにでもあります。キャリアアップの手段のひとつとして、宅地建物取引士の資格を取得をめざしてみませんか。

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