社会福祉主事の任用資格とは?取得・対策方法も合わせて解説!

社会福祉主事

「社会福祉主事の任用資格が気になるけどいまいちわからない」「社会福祉主事になるためにはどんな方法があるのだろう」

そんな悩みを抱えている社会人や学生の方も多いのではないでしょうか。

社会福祉主事として働くには、社会福祉任用資格を取得しなければなりません。資格を取得する方法は主に5パターンですが、要件が細かく分かれているためしっかり確認する必要があります。

この記事では社会福祉主事の概要や社会福祉任用資格の取得方法この資格が役立つ場面について解説します。

社会福祉主事とは?任用資格や業務内容を解説

社会福祉主事

社会福祉主事として勤務するために必要な「社会福祉主事任用資格」や業務内容について解説します。

社会福祉主事は社会福祉主事任用資格を持った公務員

社会福祉主事とは都道府県や市町村が経営している福祉事務所に勤め、社会福祉の知識を駆使してサポートを行う職員のことです。主事とは公的機関や法人、団体で現場作業を担う一般職員を指します。

社会福祉主事になるには、「社会福祉主事任用資格」を取得して公務員試験に合格することが条件です。

任用資格とは特定の職業や役職に就くために必要な資格なので、持っているだけでは社会福祉主事だと公言できません。

公務員試験に受かったあと、福祉事務所に配属されることで社会福祉主事の肩書きをつけることができます。

福祉事務所などで「福祉六法」に関わる業務に携わる

社会福祉主事は主に福祉事務所に勤務し、社会生活を自力で送ることが困難な人の援助を行います。主にケースワーカー(現業員)スーパーバイザー(査察指導員)として活動します。

福祉事務所は全国に約1200ヵ所(令和3年4月1日現在)あり、支援が必要な人へのサポートや調整、実態調査などを担当している機関です。国や自治体による社会福祉サービスの第一線を担う相談機関といわれています。

福祉六法」とは日本国民の生存権を保障するために制定された、福祉に関する法律の総称です。例えば国民の最低限度の生活を保障する「生活保護法」や、満18歳未満の児童の生育環境を整備する「児童福祉法」などがあります。

社会福祉主事は上記の法律に関わる業務に携わります。具体的には高齢者や障がい者、生活困窮者などの自宅を訪問・面接して生活状況を把握し、必要な福祉制度を判断するなどです

ケースワーカー(現業員)としての業務

ケースワーカーは、病人や一人暮らしの高齢者など、さまざまな困難に遭って生活に困っている人々の相談に乗ります。

具体的には、生活保護申請書を受け付け、それぞれの家庭に適した生活保護費を支給するため、金額の検討や見直しを行うなどが業務内容です。そのため、家庭や入院先などを訪れてどんな生活を送っているか記録することも業務の一つです。

社会福祉の手当てや必要な援助プランを提供するため、福祉施設や病院、保健所などと密な連携をとることも求められます。

ケースワーカーは、生活面の問題を解決できるような情報提供も行うため、専門的な知識が必要です。

スーパーバイザー(査察指導員)としての業務

スーパーバイザーとはケースワーカーを指導・監督する立場の人です。

生活保護申請書の確認や、申請者の面接を行って受給資格があるかどうかを調査します。調査対象は個人や家族の生活状況、資産、収入、職業などです。

ケースワーカーの仕事は、支援を必要とする人によって多様な対応が求められます。そのため、判断に迷ったり対人関係に苦しんだりすることもあるでしょう。

スーパーバイザーが豊富な経験やノウハウをもとに指導することで、ケースワーカーがより柔軟に相談者の目線に立った支援を行えるようになります。

さらに生活保護手続きが遅滞なく進められるように管理したり、事務所で働く職員をまとめたりといった対応も欠かせません。

社会福祉主事任用資格の取得方法は5つ

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社会福祉主事任用資格の取得方法には、次の5つの方法があります。

大学などで指定科目を履修して卒業

大学や短期大学で福祉系について学べる科目を3科目以上履修し、卒業することで任用資格が与えられます。例えば社会福祉概論や公的扶助論、心理学、リハビリテーション論といった科目です。

指定科目は時代の変化にあわせて変更されています。そのため、卒業した年度に履修科目が指定科目に該当するか必ずチェックしてください。詳細は、厚生労働省の「社会福祉主事任用資格の取得方法」に掲載されています。保育士資格を取得するために学んだ科目が指定科目に当てはまることも多いといわれています。

なかには指定科目になっていなくても、条件を満たすと指定科目とみなされる科目もあります。念のため卒業した大学に確認すると安心です。

なお、原則として次のような対応は認められません。

  • 複数の大学で3科目を履修する
  • 科目履修制度で不足科目を履修する

ただし、状況によっては認可されるケースもあるので、こちらも確認しておくとよいでしょう。

また、社会福祉主事任用資格を得ても、国や自治体から証明書は受け取れません。資格があることを雇用先に証明したいときは、大学の成績証明書や卒業証書が有効です。一部の大学では独自に履修証明書などを発行している場合もあります。

所定の学校の通信教育課程を修了

スクーリング通信学習で資格取得できる通信教育は、社会福祉事務所で働いている人におすすめの方法です。

以下のいずれかを修了する必要があります。

  • 全国社会福祉協議会の中央福祉学院「社会福祉主事資格認定通信課程」
  • 日本社会事業大学「通信教育課程」

受講期間はどちらも1年間で、5日間の集合研修が含まれます。対象者は民間の社会福祉事業所や施設に勤務している人です。仕事を辞めると受講資格を失うので注意しましょう。

都道府県や市区町村の職員は「公務員課程」、民間の事業所の職員は「民間課程」を選択してください。

また、申し込みは公務員・民間それぞれ以下の方法で行うように定められています。

  • 公務員の場合:都道府県・政令指定都市・中核市社会福祉研修主管部(局)長が行う
  • 民間の場合:勤務先の事業所や団体の所属長が行う

個人で申し込むことはできないため気をつけましょう。

指定養成機関を修了する

社会福祉関連の学科がある養成機関(専門学校)でも資格取得が可能です。

養成機関は全国に点在しており、2021年1月時点で33校あります。養成機関は基本的に2~3年制で、資格を取得するためには、指定された22科目1500時間を修了して卒業しなければなりません。

また、養成機関は、昼間部夜間部、通信課程がある学校が多いのが特徴です。自分のライフスタイルを考慮して勉強できるのはメリットといえるでしょう。

くわしく知りたい場合は、オープンキャンパスに参加するのがおすすめです。

都道府県などが実施する講習会の受講

都道府県等が開催する社会福祉主事認定講習を受けることも、社会福祉主事の任用資格を手に入れる方法の一つです。取得するには、指定科目(19科目・279時間)を修める必要があります。

ただし、受講対象は下記の人に限られますので注意しましょう。

  • すでに公務員として社会福祉事業に従事している人
  • 民間の社会福祉施設に出向している公務員、一般事務組合職員

受講費用はテキストや授業料をすべて含めて70,200円かかります。

こちらも申し込むときは個人ではなく、受講希望者が勤務する施設や団体の所属長が行います。

※2021年12月時点の価格です。

社会福祉士または精神保健福祉士である

すでに社会福祉士または精神保健福祉士の国家試験に合格している人は、社会福祉主事の任用資格を得られます。

公務員試験に合格して福祉事務所や市役所に配属されることで、そのまま社会福祉主事として勤務することが可能です。

社会福祉主事任用資格の魅力と対策方法

社会福祉主事任用資格を取得することで次のようなメリットが得られます。くわしく見ていきましょう。

就職先の選択肢が広がる

就職先の選択肢が広がるため、ライフスタイルや希望に合わせた働き方ができるでしょう。

社会福祉主事任用資格があれば、福祉事務所障害福祉サービス事業所、在宅医療など多様な場所で活躍できます。特別養護老人ホームでは、事業所長も目指すことも可能です。

また、資格を持っていると、直接支援に求められる実務経験年数が10年から5年に短縮されます。早い段階で児童発達支援管理責任者サービス管理責任者として活躍しやすいのもメリットでしょう。

ケースワーカー以外にも、知的障害福祉司のように社会福祉主事任用資格を必要とする職種があります。

上記のように公的機関や民間企業問わず、社会福祉主事任用資格を持っている人材の需要は高いです。社会福祉主事を募集要件にする求人も増えています。環境や待遇などを比較し、自分に適した職場を考えて応募することが可能で、使い道の多い資格といえるでしょう。

また、有資格者として資格手当がつく場合もあります。キャリアアップや年収アップを考えている人にとっても、チャレンジして損はない資格といえるでしょう。

社会福祉主事から社会福祉士へのステップアップ対策になる

社会福祉主事として働くことで、社会福祉士の短期養成施設へ入学が認められます。社会福祉士は国家資格のため、社会的な評価も高く転職やキャリアアップの際も有利に働くでしょう。

社会福祉士の受験資格を得るルートの一つとして、以下のすべてを経験する必要があります。

  • 社会福祉主事養成機関で2年学ぶ
  • 実務経験を2年積む
  • 社会福祉士の短期養成施設で6ヵ月学ぶ

現場で実践的な業務を習得できるうえ、社会福祉士養成施設での修学が一般養成施設より約6ヵ月短くなるのがメリットです。

また、社会福祉主事任用資格の取得は、社会福祉士よりも取得のハードルが低くなっています。

上記を踏まえると、社会福祉主事任用資格の取得は、社会福祉主事から社会福祉士への効率的なステップアップに有効といえます。

社会福祉士について、こちらで紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/7545/

まとめ

社会福祉主事は都道府県や市町村の福祉事務所で、生活に困窮している相談者を支援する仕事です。子どもや身体に不自由のある人、高齢者などさまざまな人々の生活に関わるため、やりがいを感じやすい職種といえるでしょう。

社会福祉主事になるためには、社会福祉主事任用資格を取得する必要があります。取得する方法は、大学で指定科目を履修する、指定養成機関を修了するなど5つです。

現在従事している職業や立場によって利用できる取得方法が変わってくるため、しっかり確認してから臨むようにしましょう。

公的機関や民間企業を問わず、社会福祉主事任用資格を持っている人材の需要は高まっています。社会福祉士へのステップアップにも有効なので、ぜひ取得を検討してみてください。

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