リテールマーケティング(販売士)検定合格のための対策や注意点を解説!

IT産業の急速な発達やライフスタイルの変化により、ネット販売の台頭など流通業界や小売業界を取り巻く環境は大きく変化してきています。

多様化する消費者のニーズに対応し、喜ばれるサービスを提供する「販売員のプロ」がリテールマーケティング(販売士)です。

この記事では、リテールマーケティング(販売士)検定試験の概要や対策を解説します。2021年試験の変更点や注意点についても解説するので、参考にしてください。

リテールマーケティング(販売士)とは?

リテールマーケティング(販売士)は、日本商工会議所が実施する「リテールマーケティング(販売士)検定試験」に合格した人のことです。

2015年度より「販売士検定試験」から「リテールマーケティング検定試験」に呼称が変更されたので、ここでは「リテールマーケティング(販売士)」と表記します。なお、従来どおり正式名称は「販売士検定試験」、合格者の称号は「販売士」のままです。

参考:浜松商工会議所「販売士検定試験の呼称が「リテールマーケティング検定」に変わります」

「リテールマーケティング(販売士)検定」に合格した販売のスペシャリスト


店舗の販売員には、商品知識や販売・接客技術が必要です。そして、売り場のマネージャーには在庫管理や売り場づくりの知識が欠かせません。

リテールマーケティング(販売士)検定試験は、こうした知識や技術だけではなくマーケティングや経営管理まで幅広い知識を身につけることのできる、流通・小売り分野で唯一の公的資格です。資格に合格することで「販売のプロ」とみなされます。

接客業を対象にした試験に、サービス接遇検定があります。サービス接遇検定は、ホテルや航空、医療、金融などさまざまな業界のサービス・接客業務に関する知識が問われる試験です。

サービス接遇検定とは|「おもてなし」のスペシャリストに!
百貨店の衰退や新型コロナウイル感染症の影響で苦しい状況に立たされているサービス業界や接客業。しかし、私たちの生活の中で欠かすことのできない身近な仕事であることも間違いありません。そんなサービス・接客業における「おもてなし」力を測るのがサービ

リテールマーケティング(販売士)が活躍するのは?

リテールマーケティング(販売士)はスーパー、ホームセンター、専門店など小売業界全般でニーズがある人材です。

また、陳列や仕入、在庫管理などの商品知識、マーチャンダイジングの基礎知識も身につけることができるため、サービス業やメーカー、流通業界など幅広い業種で活躍しています。

リテールマーケティング(販売士)検定はどんな試験?

リテールマーケティング(販売士)検定は受験資格が設けられておらず、誰でも受験することができます。販売業務に携わる様々な業種で役に立つだけではなく、会社内で社員教育や管理職の昇進条件として活用されることもある資格です。

リテールマーケティング(販売士)検定は1級~3級まである

リテールマーケティング(販売士)検定は1級~3級があり、3級が一番取りやすくなっています。

2級・3級の合格率は50~70%とあまり変わらないものの、1級の合格率は20%前後と大幅に下がっており、2級・3級と1級には難易度の差が大きいことがうかがえるでしょう。

リテールマーケティング(販売士)検定3級
3級では、売り場の販売員として働くうえで必要となる接客や売り場づくりのノウハウ、流通や小売業界の基礎知識が身につくことを目指します。難度が低いため、接客・販売経験がある人にとっては比較的簡単に取得できるかもしれません。

参考:日本商工会議所「3級」

リテールマーケティング(販売士)検定2級
2級では、店舗や現場の管理者として必要な流通業界でのマーケティングや、マーチャンダイジングの高度な専門知識、現場を包括的に管理できる能力を目指します。

3級レベルの販売や流通の基礎知識に加え、マネジメント能力などの専門的な知識が必要になるので、資格取得のためには計画的に勉強する必要があります。

参考:日本商工会議所「2級」

リテールマーケティング(販売士)検定1級
1級は、経営者やコンサルタントとして経営に関する専門的な知識を身につけ、経営管理を適切に行なうことのできる人物を目指します。

経営戦略の立案やマーケティング分析による販売計画設計など、高度な知識を問われることが多いため、試験対策にはしっかりと時間をかける必要があるでしょう。

参考:日本商工会議所「1級」

リテールマーケティング(販売士)の試験時間・内容は?

リテールマーケティング(販売士)の試験は、1科目20問で5科目合計100問です。試験科目は「小売業の類型」「マーチャンダイジング」「マーケティング」「ストアオペレーション」「販売・経営管理」の5つが出されます。

2・3級はすべて択一式の問題ですが、1級は記述式問題が半分を占めます。そして、試験時間は1級が90分、2級が70分、3級が60分です。

販売士試験の合格基準点は2・3級と1級で異なり、2・3級は5科目の平均点が70点以上かつ、50点未満の科目が1つもないことが合格基準になります。それに対し、1級は各科目が70点以上でなければ合格できません。

また、1級の合格基準は2021年度から変更されたものです。検定試験についての情報は日本商工会議所のホームページから確認してください。

参考:日本商工会議所「リテールマーケティング(販売士)検定試験における「個人受験」について」

リテールマーケティング(販売士)検定合格のための対策

検定に合格するためには試験内容を正しく押さえ、計画的に勉強することが大切です。2021年度からは、受験の際には無理のない試験日を選び、計画的に学習を進めましょう。

リテールマーケティング(販売士)検定に合格するには

リテールマーケティング(販売士)検定は独学で取得可能な資格ですが、検定合格を目指すためには、適切な学習計画を立てて対策する必要があります。経験などによって個人差はありますが、合格に必要な勉強時間は、3級30時間程度2級60~70時間程度1級100時間以上といわれています。

日本商工会議所のリテールマーケティング(販売士)検定に関するページでは、学習方法として、販売士ハンドブックなどの教材や講座が紹介されています。

販売士 1級関連書籍 | 商工会議所の検定試験
1級ハンドブック(改訂版)≪2冊セット≫(株式会社カリアック)7,040円(税込)         1級試験問題の70%が本書から出題されます。小売業の類型、マ…
販売士 2級関連書籍 | 商工会議所の検定試験
2級ハンドブック《2冊セット》(株式会社カリアック)6,710円(税込)       2級試験問題の80%が本書から出題されます。小売業の類型、マーチャンダイジ…
販売士 3級関連書籍 | 商工会議所の検定試験
3級ハンドブック(2冊セット)(株式会社カリアック)5,500円(税込)       3級試験問題の90%が本書から出題されます。小売業の類型、マーチャ…

実際の試験問題の多くは販売士ハンドブックから出題されるため、このハンドブックを中心に学習を進めるとよいでしょう。

なお、2・3級は50点未満、1級は70点未満の科目が1つでもあると不合格になるので、すべての科目をバランス良く学習することも大切です。

ハンドブックで知識を身につけたら、過去問を利用して頻出分野や出題傾向を把握し、実践力を高めましょう。

多くの方におすすめされている参考書はこちらです。

テキスト学習以外にも、通信教育講座や講習会で対策を行なうのもおすすめです。指定された講座などに参加した場合は、一部の受験科目が免除されることもあるので、自分に合った学習スタイルで合格を目指してください。

2021年度以降のネット試験CBT方式のための対策

2021年度から、すべての級がCBT方式というインターネットでの試験に変更されました。

これまでは、年2回(1級は年1回)指定の会場でペーパー形式によって実施されていた試験が、全国300ヵ所のテストセンターで随時受験が可能になりました。

試験科目や内容は変わりませんが、試験時間は1級が200分から90分に、2級が150分から70分に、3級が100分から60分にと、大幅に短縮されました。

そのため、今後の受験者は時間配分の練習にも力を入れる必要があります。過去問対策だけでなく、新しい試験方式に対応した予想問題集での対策も取り入れるとよいでしょう。

CBT方式の受験の流れや試験概要については、以下から確認してください。

参考:日本商工会議所「リテールマーケティング(販売士)検定試験」

リテールマーケティング(販売士)検定についての注意点

ここでは、リテールマーケティング(販売士)検定試験を受ける際の注意点を紹介します。

科目免除制度がある

販売士検定は一定の条件を満たした場合、受験科目が免除されることがあります。ただし、科目免除された場合でも試験時間や受験料は変わらず、科目免除には有効期限があることも覚えておきましょう。

2級、3級「科目免除制度」
商工会議所が指定した通信教育機関による「販売士養成通信教育講座」や、商工会議所による「販売士養成講習会」を修了すると、「販売・経営管理」の科目が免除されます。

この科目免除は、受講終了日の翌年度末までが期限となっているので気を付けましょう。さらに、講座や講習会を修了するためには、スクーリングの修了や予備試験の合格が必要になります。

また、公益財団法人全国商業高等学校協会による「商業経済検定試験」の所定科目を合格すると、3級の「マーケティング」科目や「販売・経営管理」科目が検定試験受験日の翌年度末まで免除されます。

1級「科目合格制度」
試験が不合格だった場合でも、70点以上の科目については科目合格として、次回からしばらくの間は試験でその科目が免除されます。有効期限は、科目合格した受験日の翌年度末までです。

リテールマーケティング(販売士)資格は更新手続きが必要

時代の変化に対応し、販売員としての能力を維持するために、販売士は5年ごとに資格を更新する必要があります。

更新手続きには、日本商工会議所による「資格更新通信教育講座」または「資格更新講習会」のどちらかを受講・修了する必要があります。

更新手続きを行なわなかった場合、一定期間を過ぎると資格が失効してしまうので注意しましょう。

更新のために学習してテストを受験すると、最新の知識を入手することができます。実際に更新した方々も、更新によって知識を深めることができたと紹介しています。

まとめ

小売業や流通業で販売のプロとして活躍できるのが、リテールマーケティング(販売士)です。販売士の試験はすべての級で共通する5科目から出題がされますが、難易度は級によって大きく異なります。

なお、問題の多くが販売士ハンドブックから出題されるので、無理のない学習計画を立てたうえで対策を進めましょう。

2021年度からはインターネット試験になり試験時間も短縮しています。過去問だけだけではなく、予想問題集もバランス良く取り入れて、合格を目指しましょう。

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