衛生管理者の資格を取得するには?試験の内容や対策を解説!

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衛生管理者の資格を取得したいと考えているけれど、試験の内容をよく知らず、どのように対策をすれば良いかわからないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。

衛生管理者の資格2種類あり、有害業務有無によって区別されています。それぞれ出題範囲は異なりますが、試験合格のための勉強のポイントは同じです。

今回の記事では、衛生管理者の概要試験内容試験の対策について解説します。衛生管理者の資格取得を目指している方は、ぜひご覧ください。

衛生管理者になるには

衛生管理者とは、職場における労働者安全健康を守るために、職場の衛生全般に関して管理を行なう人のことで、その知識を認める資格です。

常時50人以上の労働者を使用している職場では、一定数以上の衛生管理者の選任が必要です。使用する労働者の人数が増加するにつれて、選任が必要な衛生管理者の人数も増加します。

このように、職場の人数によって選任が義務付けられている衛生管理者になるには、受験資格を得て、試験合格しなければなりません。

ここでは、衛生管理者の受験資格試験の内容について紹介します。

衛生管理者の受験資格

衛生管理者の資格には、第一種衛生管理者第二種衛生管理者の2種類があります。受験資格は共通しており、受験資格があればどちらを受験しても問題ありません。

衛生管理者の受験資格には、おもに以下のような条件があります。

  • 大学または高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上、労働衛生の実務経験がある者
  • 高等学校または中等教育学校を卒業した者で、その後3年以上、労働衛生の実務経験がある者
  • 10年以上、労働衛生の実務に従事した経験がある者 など

この他にも受験資格を得る条件があるため、詳しくは安全衛生技術試験協会の公式ホームページをご参照ください。

参考: 公益財団法人 安全衛生技術試験協会

衛生管理者の試験

衛生管理者の試験には、以下の種類があります。

  • 第一種衛生管理者
  • 第二種衛生管理者
  • 特例第一種衛生管理者

特例第一種衛生管理者の試験は、第二種衛生管理者の資格を有している方が、第一種衛生管理者の試験を受ける場合に行なわれる試験です。

これらの試験はマークシートに記入する筆記形式で行なわれ、出題形式は5つの選択肢から正解だと思う1つを選ぶ五肢択一となっています。

合格基準は、試験科目ごとの得点が配点の40%以上で、なおかつ、全科目の合計得点60%以上です。

試験は毎月1~5回程度、全国7か所の安全衛生技術センターで実施されています(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州)。合格・不合格の結果に関わらず、試験結果は郵送で通知されます。受験した安全衛生技術センターのウェブサイトや掲示板でも、合格発表が行われます。

衛生管理者の資格の種類

衛生管理者には、第一種衛生管理者第二種衛生管理者という2つの資格がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、それぞれの資格について紹介します。

第一種衛生管理者

第一種衛生管理者は、すべての業種の衛生管理を行なえる資格です。化学物質を使用する業種や、建設現場といった粉塵が舞うなかで作業を行なう業種など、身体に有害な影響を引き起こす可能性がある業種の衛生管理も含まれます。

適切に衛生管理を行なわなければ、従業員に有害な影響を与えてしまう可能性があるため、大きな責任がともなう資格です。

第二種衛生管理者

第二種衛生管理者は、第一種衛生管理者とは異なり、有害業務が含まれる業種では衛生管理を行なえません。

そのため、対象となるおもな業種は、金融業や小売業、情報通信業など、有害業務がともなわない業種となります。

第二種衛生管理者の試験では有害業務に関わる知識は問われないため、出題範囲や問題数は第一種衛生管理者の試験よりも少なめです。

衛生管理者の試験対策

衛生管理者の試験は、十分に対策をして臨むことが大切です。衛生管理者試験の合格率はそれほど高くなく、対策なしでは試験に不合格になってしまう可能性があります。

2020年度に行なわれた試験の統計によると、第一種衛生管理者の合格率は43.8%第二種衛生管理者の合格率は52.8%でした。

このように、受験者の約半数は不合格になる難易度の試験であるため、しっかりと対策を行なってから受験しましょう。ここでは、衛生管理者の試験における対策について紹介します。

試験日から逆算して勉強スケジュールを計画する

1つ目の対策は、試験日から逆算して勉強スケジュールを計画することです。

衛生管理者の試験は、年間を通して定期的に開催されています。受験者は自分が受験できる開催場所で、開催日程に合わせて受験しなければなりません。

そのため、まず受験者は自分がいつ試験を受けるのか試験日を決める必要があります。試験日が決まったら、試験当日までの勉強スケジュールを立てましょう。

衛生管理者の試験で出題される範囲は、労働衛生関係法令労働生理となっており、それほど広い範囲ではありません。

しかし、余裕があると思って無計画に勉強してしまうと、試験当日までに出題範囲すべてを十分に勉強できない可能性があります。

また、定期的に試験が開催されているからこそ、今回不合格でも次回受験すれば良いという気持ちが出てきてしまうかもしれません。

衛生管理者の試験に合格するためには、はじめに試験日を決め、スケジュールを立てることで、メリハリをつけて勉強することが重要です。

テキストや問題集を活用して勉強する

2つ目の対策は、テキスト問題集を活用して勉強することです。衛生管理者の試験に関するテキストや問題集は、各社から販売されています。

テキストや問題集は、試験でよく出題される問題や難問についてまとめられており、わかりやすい解説もついているので試験勉強に最適の教材です。

ただ、出版社ごとにテキストや問題集の内容が異なるため、選ぶときにどれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。

テキストや問題集を選ぶときには内容を確認し、自分がわかりやすいと思う教材を選びましょう。

過去の試験問題を解く

テキストや問題集で、ある程度の衛生管理者に関する知識が身についたら、3つ目の対策として、過去に出された試験問題を解いてみましょう。

知識として身についていても、実際に問題として出されたら適切に解答できない場合があります。そのため、試験の傾向をつかむために、過去に出された問題を実際に解いてみることがおすすめです。

さらに、過去の試験問題に取り組むときには、実際の試験時間である3時間(科目免除者は2時間15分)以内に解いてみましょう。本番と同様の時間を設定するのは、実際に本番の試験を受けたときに、問題が解き終わらないといったことがないように、ペース配分を確認するためです。

せっかく知識が身についていても、時間内に試験問題が解けなければ合格できません。面倒に感じるかもしれませんが、衛生管理者の試験を受ける前に、実際の試験時間を想定して過去の試験問題を解いておきましょう。

なお、過去の試験問題は、インターネット上無料公開されているものもあります。

一般社団法人 新潟県労働衛生医学協会のウェブサイトでは、過去の試験問題と解説が公開されています。

https://www.niwell.or.jp/education/labor/exam.html

制度や法律が改正されることがありますので、テキストや問題集を購入する際は最新のものであるか確認しましょう。

多くの方が役に立ったと紹介しているシリーズの最新版が、こちらです。

試験対策講座を受ける

4つ目の対策は、試験対策講座を受けることです。資格学校労務管理教育センターなどでは、衛生管理者を目指す方向けの試験対策講座が開催されています。

試験対策講座は有料であるケースが多いですが、試験の知識が深い講師から、試験対策についてわかりやすく教わることが可能です。

また、試験対策講座を受けることで、合格する確率を高められる可能性があります。

公益社団法人労務管理教育センターの報告(※)によると、2020年度に「第一種衛生管理者試験対策講座」を受講した方の合格率79.2%でした。

2020年度の第一種衛生管理者試験における全体の合格率が43.8%であることから、受講者の合格率の高さがわかります。

独学で勉強するのがあまり得意でない方や、少しでも合格する可能性を高めたいという方は、試験対策講座を受けてみるとよいでしょう。

参考:公益社団法人労務管理教育センター「衛生管理者試験対策講座受講のご案内」

まとめ

今回は、衛生管理者の資格の概要や、資格を取得するための試験対策について解説しました。衛生管理者は、職場の人数に応じて選任が義務付けられているものであり、資格を取得すれば働く人の安全と健康に貢献できます。

衛生管理者の資格取得を目指している方は、試験日から逆算して勉強のスケジュールを立て、市販のテキストや問題集に取り組んでみてください。

また、実際の試験時間を想定して過去の試験問題に取り組むことも効果的です。独学が苦手な方や合格の可能性を少しでもアップさせたい方は、試験対策講座を受けることも選択肢に入れるとよいでしょう。

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