社会人の学び直しはここからスタート!キャリアの棚卸しから講座選びまで|リカレント教育・リスキリングおすすめ情報

政府の「学び直し」支援策が次々と打ち出され、日本でもリカレント教育やリスキリングといった社会人の学びが広まりつつあります。

デジタル化やDX推進を背景に、リスキリングによって従業員のスキルアップを図る企業が増加。高校ではプログラミングを学ぶ情報科目が必修化され、若年層とのデジタル・デバイド(情報格差)が企業内で広がる可能性も指摘されています。

最近ではメディアで取り上げられることも多く、学び直しに関心をもたれている方も少なくないと思いますが、「何を学ぶべきか」「学んだことをどう自分のキャリアに生かすのか」が明確になっていないと、なかなか具体的な行動には移せないもの。また、数ある講座の中から自分の求めるものを探し出すのも簡単ではありません。

そこで今回は、これから身につけたい知識・スキルやキャリアの方向性を明確化する「キャリアの棚卸し」に役立つサイト、求める分野・レベルに応じて講座を探せるサイトなど、学び直しを始めるにあたって知っておきたい情報を目的別にわかりやすくご紹介します。

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「キャリアの棚卸し」からスタートするなら

これまでの職務経験を振り返り、身につけた知識・スキルを洗い出す「キャリアの棚卸し」をすることで、学ぶべきことが明らかになり、キャリアアップやキャリアチェンジなど今後の方向性も見えてくるはず。

ここでは、「キャリアの棚卸し」から就職・転職活動まで幅広く活用できる2つのサイトについて解説します。

職業情報提供サイト(日本版O-NET) job tag

「職業情報提供サイト(日本版O-NET))」[愛称:job tag(じょぶたぐ)]は、さまざまな職業の仕事内容や労働条件、賃金、求められるスキル・知識といった就職・転職活動に役立つ情報を、解説文や動画、数値データでわかりやすく紹介するWebサイト。

厚生労働省が運営しているだけに、情報の客観性や信頼性が高く、情報量も膨大なもの。さらに、利用者が自身のスキル・知識や仕事に対する興味・価値観を分析し、そこからキャリアの方向性を考えたり、自分に合った職業を選んだり、必要な学びを把握したりできるのも大きな魅力です。

なかでもキャリアの棚卸しをしたい方や、学び直しでキャリアアップ、キャリアチェンジを目指す方におすすめの機能は、「しごと能力プロフィール作成・キャリア分析」。「しごと能力プロフィール作成」では、これまでに経験した職業を選択すると、その職業に必要なスキルや知識等が数値で表示されます。自分がどのようなスキルや知識などを身につけてきたのかを把握することで、今後のキャリアの方向性を考えることができるでしょう。

また「キャリア分析」では、自分のしごと能力プロフィールと希望する職業のしごと能力とを比較して適合度をチェックしたり、足りないスキル・知識を明確にしたりすることができます。希望する職業の関連資格も表示されるので、何を学ぶべきかの判断にも役立ちます。

職歴や資格、キャリアプランを記録するジョブ・カードをオンライン上で作成・管理できるウェブサイト「マイジョブ・カード」(後述)とリンクしており、job tagのマイリストをマイジョブ・カードに保存することも可能。大学などの学び直し講座情報を提供するポータルサイト「マナパス」や、デジタルスキルを身につける講座を紹介する「マナビDX(デラックス)」(いずれも後述)へアクセスして講座検索をするなど、幅広く活用できます。

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/

取材記事【「job tag」とは|厚生労働省発!適職選びや学びに活かせる職業情報提供サイト】はこちら

https://college.coeteco.jp/blog/archives/14758/

マイジョブ・カード

「マイジョブ・カード」は、ジョブ・カードをオンライン上で作成・更新・保存できる厚生労働省のウェブサイトです。

ジョブ・カードとは、職務経歴や教育訓練・職業訓練の履歴、保有する免許・資格などの情報を記録する書類のこと。同省が様式を定め、生涯を通じたキャリア・プランニングや職業能力証明に使えるツールとして普及を進めています。

専門実践教育訓練・特定一般教育訓練、公共職業訓練、雇用型訓練求人といった公的制度の利用にあたっては、ジョブ・カードの作成が必須。キャリアの棚卸しや自己分析のツールとして折々に活用し、学び直しやスキルアップ、就職・転職活動に役立てることもできます。

これまでジョブ・カードの作成・保存は紙か電子媒体に限られていましたが、マイジョブ・カードではオンラインで完結でき、スマホにも対応して使い勝手が大きく向上しています。さらに、キャリア形成に役立つ自己診断ツールや情報の提供も行っており、自己診断ページから「job tag」の適職探索、民間就職支援サイトの診断ツールなどにアクセスし、併せて活用することも可能です。

https://www.job-card.mhlw.go.jp/

記事【「マイジョブ・カード」とは|スキルや職務の履歴をデジタル作成・保存できるウェブサイト】はこちら

https://college.coeteco.jp/blog/archives/13671/

大学などの学び直し講座情報を幅広くチェックするなら

民間事業者が提供する社会人向け講座は数あれど、大学などの教育機関が手がける講座には、高度な専門知識やスキルを体系的に身につけられるというメリットがあります。業種を超えた仲間と共に学び、交流を深めることができるのも大学ならではの魅力といえるでしょう。

ここでは、大学などの学び直し講座情報を一元的にチェックできる便利なサイトをご紹介します。

マナパス

「マナパス」は、社会人向け講座や学び直し支援制度に関する情報を発信する文部科学省のポータルサイト。

大学・高専・専門学校の社会人向けプログラムを中心とした約5,000(2023年10月時点)の講座情報を提供しており、実践的・専門的なプログラムを認定する「職業実践力育成プログラム(BP)」をはじめ、同省が手がけるリカレント教育推進施策に関連した講座も多数掲載されています。それらの中から、「地域」「学費」「分野」「資格」「オンライン講座の活用」「給付金や奨学金などの支援」「土日・平日夜間開講」「デジタル人材養成講座」など、自分の希望に沿った条件で講座を検索できます。

さらに、学び直しに関する機能やコンテンツも充実。「職業に活かせる技能や資格を取りたい」「通学せず自宅などで学びたい」といった目的に合わせたマナパスの使い方を提案する「目的別マナパス利用ガイド」では、おすすめプログラムや講座の検索方法から、「昇格・昇級」「転職・復職」といった受講後の効果までを把握し、自身の学びの参考にすることができます。

また、マナパスを利用して学び直しをした方の体験談をまとめた「在学生・修了生インタビュー」では、年代や受講目的などの要素から自分が目指すべき学びのロールモデルを見つけることができ、在学生・修了生が学んだ講座情報にアクセスすることも可能。学びたいことが具体的に決まっていない場合は、「地方創生」「女性の学び」「就職氷河期世代」「経済的支援」といったトピックに関連する講座を紹介する「特集ページ」を覗いてみると、何かヒントが得られるかもしれません。

このほか、前述の「job tag」や「マナビDX(デラックス)」(後述)など、関連サイトとの相互連携も行われています。例えば、マナパスの講座・課程詳細ページには就職を想定する職業・職種が掲載されており、そこからjob tagの職業詳細ページにアクセスすると、その講座で学んだことがどのような職業につながるのかをイメージすることができます。「job tag」と同じく、さまざまに活用できる頼れるサイトです。

https://manapass.jp/

取材記事【思い立ったら「マナパス」へ!|社会人の学びを応援する文部科学省のポータルサイト】はこちら

https://college.coeteco.jp/blog/archives/12033/

大学の生涯学習機関やオープンカレッジで学ぶなら

人生100年時代を迎え、多くの大学が社会人向けの教育機関を設けたり、オープンカレッジ(公開講座)を実施したりと、生涯学習に力を入れています。

ここでは、自らの知見や教育環境を生かして多彩な講座を展開している大学の生涯学習機関やオープンカレッジの中から、3つをピックアップしてご紹介します。

WASEDA NEO

「WASEDA NEO」は、古くから日本のリカレント教育を牽引してきた早稲田大学が展開する社会人教育拠点の1つ。主にビジネスパーソン向けの学びと交流の場として、最先端のビジネストピックを扱ったセミナーや、ビジネススキル習得を目的としたプログラムなどを提供しています。

プログラムは以下の4つのカテゴリーに大別されます。

・トレーニングプログラム・・・テクノロジー、経済、ビジネス、キャリア形成、アート&デザイン、リーダーシップといった多彩なジャンルにおいて、最新の知識やスキル、視座や価値観を学べる昼・夜開講のプログラム。

・パイオニアセミナー・・・各界でイノベーションを起こしてきたパイオニアの方々を講師に招いて行う月1回の特別講義。

・早稲田大学 日本橋 リカレントゼミナール・・・早稲田大学をはじめとする研究者、実業家を講師に迎え、ビジネス界の課題や理想を追究する、ゼミ形式の短期集中講座。

・履修証明プログラム・・・リーダーシップ、マーケティング、データサイエンス、キャリア形成の4分野から選択し、それぞれ数カ月(総計60時間以上)をかけて学ぶプログラム。

内容、受講期間ともに幅広いラインナップとなっているほか、東京・日本橋キャンパスでの対面形式だけでなくオンライン形式の講義もあり、仕事をしながらでも受講しやすい環境が整えられています。

https://wasedaneo.jp/

取材記事【リカレント教育の先駆者・歴史ある早稲田大学の社会人向けプログラム|WASEDA NEO】はこちら

https://college.coeteco.jp/blog/archives/15868

東京理科大学オープンカレッジ

東京理科大学オープンカレッジは、ビジネス講座から教養講座まで幅広く提供する社会人教育・リカレント教育拠点。

ビジネス講座では、マネジメント、ヒト、モノ・コト、カネ、情報の5領域をテーマに年間約400講座を開講し、同学ならではの最先端の知見と、互いに学び合う共創の場を提供しています。

いずれの領域でも、主に役員・管理職上級層を対象とした「Executive & Managementクラス」、若手管理職および管理職志望層を対象とした「Leader & Staffクラス」、その両方のクラスにまたがる「共通」の講座を用意。さらに、ビジネスパーソンとしての各種スキルを身につけ、知識・教養を体系的に理解することができる「スキル・ブラッシュアップ」講座も設けられており、自分に合ったものを選択できます。

オンライン(リアルタイム配信)形式の講座が中心で、対面形式の講座にもオンライン受講が可能なものが多くあり、遠方からの受講でも選択肢が広いのが魅力です。

https://web.my-class.jp/manabi-tus/asp-webapp/web/WTopPage.do

取材記事【社会人が有用なビジネスの種、実務的な知識・技術を学ぶ場!| 東京理科大学オープンカレッジ】はこちら

https://college.coeteco.jp/blog/archives/13968/

放送大学

放送大学は、年代や職業を問わず誰もが自由に学べる環境を整えた通信制大学。大学卒業を目指す全科履修生だけでなく、興味のある科目を選んで学ぶ選科履修生、科目履修生として入学することも可能です。

BSテレビ・ラジオ(原則としてインターネット配信も有り)で視聴できる約300科目の「放送授業」、全国の学習センターなどで土日を中心に実施する約3,000科目の「面接授業」、インターネットを介して学ぶ「オンライン授業」、Zoomを利用してリアルタイムで受講する「ライブWeb授業」と授業スタイルも実に多彩で、働きながらでも自分のペースで学習を進められます。

さらに、キャリアアップや生涯学習に役立つ社会人向けコンテンツとして、データサイエンスやAIに関する講座などをオンラインで受講できる「インターネット配信公開講座」、テレビ・ラジオで放送しているほとんどの授業科目について1番組または全15番組をインターネットで公開する「放送大学オープンコースウェア(OCW)」を用意。各学習センターでは誰でも受講できる公開講座・公開講演会も開講されています。

このほかに、教員や看護師、キャリアコンサルタントといった特定の分野を体系的に学んで資格取得やキャリアアップを目指せるプランもあるなど、学べる分野や内容、学びの方法は多岐にわたります。

https://www.ouj.ac.jp/

取材記事【学ぶスタイルに合わせた多彩な講座ラインナップ|放送大学訪問!】はこちら

https://college.coeteco.jp/blog/archives/9441/

デジタルに特化した学習コンテンツ・プログラムを探すなら

デジタル化・DXによる技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、「デジタルリテラシーを高めたい」「知識やスキルをアップデートしたい」という方は少なくないでしょう。

ここでは、そんなデジタルに特化した学習コンテンツ・プログラムを探せるサイトについてまとめました。デジタルスキルの基礎力を身につけたい方は「マナビDX(デラックス)を、より実践力を高めたい方は「マナビDX Quest(デラックス クエスト)」を活用するのがおすすめです。

マナビDX

「マナビDX(デラックス)」は、民間事業者や大学などのDXに関する学習コンテンツを掲載するポータルサイト。AIやデータサイエンスといったデジタル人材に求められる知識・スキルを学ぶことができる、経済産業省の審査基準を満たした約300(2023年3月時点)の講座が紹介されています。

講座は初心者向けの基礎的なもの(デジタルリテラシー講座)から、基礎スキルを身につけた人向けのより実践的なもの(デジタル実践講座)まで、幅広く用意されています。デジタル実践講座の中には、費用面での負担が軽減できる厚生労働省の助成対象コンテンツもあるので要チェックです。

各講座は、DX人材育成に必要な素養やスキルの指針となる経済産業省策定のデジタルスキル標準に紐付けられており、それを参考に自身が目指す役割やレベルに合った知識・スキルを学べるコンテンツを選ぶことができます。

https://manabi-dx.ipa.go.jp/

マナビDX Quest

「マナビDX Quest(デラックス クエスト)」は、経済産業省が提供するデジタル推進人材育成プログラム

企業データに基づく実践的なケーススタディ教育プログラムと、地域企業と協働したオンライン研修プログラムで構成され、DXを推進する変革の考え方やプロセスを実践的に学べることはもちろん、受講生同士で学び合い、交流を深めることができる点も好評を得ています。

ケーススタディ教育プログラムは、学生・社会人であれば誰でも応募が可能。1つの地域企業と協働したオンライン研修プログラムは、ケーススタディ教育プログラムを修了した人が対象で、チーム単位での参加が条件となっています。両プログラムともに受講料は無料で、募集は年1回。働きながらでも通えるように、平日夜や土日祝日の開講となっています。

https://dxq.manabi-dx.ipa.go.jp/

「マナビDX」「マナビDX Quest(デラックス クエスト)」についての取材記事【リスキリングでDXの担い手を目指そう!|誰もが学べる経済産業省のデジタル人材育成事業】はこちら

https://college.coeteco.jp/blog/archives/14726/

まとめ

「学ぶ意欲はあるけれど、何から始めればよいのかわからない」

そんな社会人の皆さんに向けて、学び直しの道しるべとなるような情報をまとめました。

学びの形は人それぞれ。この記事も参考に、自分の働き方や生き方に合った学びのスタイルを見つけ、よりいっそう人生を充実させてほしいと思います。

ご紹介した情報については、公式サイトはもちろん、本サイトの関連記事でも詳しく知ることができます。取材記事ならではの情報も満載ですので、ぜひご一読ください。

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