「オープンバッジ」で知識・スキルをアピールしよう!|社会人の学びを後押しするデジタル証明ツール

Business man and woman standing in front of skyscraper on fine day

「オープンバッジ」は、個人の知識やスキル、資格などの学習歴を証明するデジタルツール。

偽造・改ざんが難しく、電子履歴書やSNSで手軽に提示・共有して転職やキャリアアップの際の自己アピールに役立てられるなど、これまでの紙の証明書にはないメリットが多数!

採用で「学歴」より「学習歴」を重視する企業が現れ、リカレント教育やリスキリングといった社会人の学び直しも広がりをみせる中、オープンバッジは「学び」と「仕事」をつなぐツールとして注目を集め、大学や企業を中心に導入が広がりつつあります。

そんなオープンバッジの特長やメリット、活用方法などについてまとめました。

オープンバッジとは?

世界に通用する知識・スキルのデジタル証明

オープンバッジとは、個人の知識やスキル、資格などの学習歴を可視化するデジタル証明ツール。バッジのようにデザインされた画像データに、取得した資格・スキル名やその内容、発行者、受領者、有効期限などの情報が埋め込まれたもので、「デジタルバッジ」とも呼ばれます。

オープンバッジは資格主催団体や教育機関などが国際標準規格(IMS Global Learning Consortium)に基づき、オンライン上で発行します。バッジの受領者は、バッジを電子履歴書やSNSなどに貼り付けることで、自分のもつ資格や学習歴を簡単に共有、証明することが可能。企業などのバッジを提示された側も、その有効性を手間なく瞬時に確認することができます。中でもブロックチェーン技術(デジタル情報を安全かつ透明性高く記録・管理するための技術)を活用したバッジは偽造・改ざんのリスクが非常に低く、信頼性の高い証明書として認められています。

このほか、証明書の請求や再発行といった手間が省かれ、紛失や有効期限忘れなどのリスクが軽減されることも、これまでの紙の証明書にはない利点。

株式会社 LecoS が提供する「オープンバッジウォレット」と呼ばれる自分専用のアカウントを利用すれば、世界各国のさまざまな団体が発行したオープンバッジをまとめて保管することも可能です。

採用・人材管理の分野でもデジタル化が進む今日、オープンバッジは紙の証明書より利用しやすく、かつ安全性の高い価値あるツールとして注目を集めているのです。

大学や企業を中心に活用が広がる

学歴よりもスキルを重視するジョブ型雇用やスキルベース採用が主流の欧米では、リスキリングやリカレント教育によるスキルアップや知識のアップデートが盛んに行われています。

そのような学習歴や身につけたスキルを証明するものとして、オープンバッジは2013年頃から欧米の大学や資格認定団体、GoogleなどのグローバルIT企業を中心に普及し、公的機関での活用も進んでいます。

一方、日本でも近年は雇用においてスキル重視の動きがみられ、デジタル人材の育成や業務効率化による生産性の向上が求められる中、政府がリスキリングやリカレント教育の推進に力を入れています。こうしたことを背景に、オープンバッジ・ネットワークがオープンバッジの発行サービスを2020年にスタート。大学や資格・検定認定団体が導入を始め、企業や公的機関での利用も進みつつあります。

最近では、大学などの紙の卒業証書をデジタル化し、オープンバッジとして活用できるデジタル卒業証明書を発行するサービスも登場しています。

世界全体で発行されたオープンバッジの数は、2018年の約2,410万個から2020年には約4,330万個と、2年間で約1.8倍にも拡大。急速に普及が進んでおり、その後も増え続けています。

オープンバッジの種類

オープンバッジは証明する内容によって、主に以下のような種類に分類されます。

スキルバッジ・・・専門的な技術スキルの証明(社内資格など)

IBMや旭化成など、さまざまな企業が自社の人材育成プログラムや研修でスキルを取得した従業員にバッジを発行しています。

例えば、旭化成では全社員を対象としたDX教育の一環として、デジタルスキルを学ぶカリキュラムの修了者に、レベルに応じて5段階のオープンバッジを発行する制度を2021年6月より導入。バッジは社内外へのスキルの証明として活用されています。

知識バッジ・・・知識の証明(大学の社会人向け講座の修了、資格・検定など)

東北大学(導入事例はこちら)や放送大学など、2023年時点で約80の大学が学位より小さな単位での学修成果の証明として、学生や社会人にバッジを発行。早稲田大学を中心とした社会人向けプログラム「スマートエスイー」のDXコースなど、文部科学省の「職業実践力育成プログラム」(BP)の中にもバッジを発行している講座が出てきています。こうした流れを受け、社会人の学びを応援する文部科学省運営のポータルサイト「マナパス」では、大学などでの講座修了の証明として、マイページにオープンバッジを登録することができるようになっています。

このほか、GoogleやIBMのように提供する学習コンテンツの修了者にバッジを発行している企業もあります。

また、経済産業省などが参加する官民連携の会議体であるデジタルリテラシー協議会は、「ITパスポート試験」「DS検定 リテラシーレベル」「G検定」の3つの試験の合格数に応じて3種類のオープンバッジ「DX推進パスポート」を発行。今後は、このような資格関連のバッジ発行も広がることが予想されます。

社会的スキル・生活スキルバッジ・・・ソフトスキルの証明

リーダーシップ、マネジメント、健康といった幅広い分野におけるソフトスキルの獲得に対して、教育機関などがバッジを発行する。

参加バッジ・・・イベント参加の証明

ワークショップやボランティア、インターンシップなどへの参加に対して、開催団体がバッジを発行する。

オープンバッジのメリットと活用方法

受領者のメリット

オープンバッジを受領する側の大きなメリットは、身につけた知識・スキルや資格を目に見える形で残し、高い信頼性をもって証明できること。

受領したバッジは、前述のように電子履歴書やSNS、メールの署名欄などに貼り付けるほか、ウォレットのURLをQRコードにして名刺などの紙面に添付することも可能。社内でのキャリアアップや就職・転職活動はもちろん、副業においても自分のもつ知識・スキルや資格を手軽にアピールすることができます。

また、学習歴の見える化は今後の学習プランやキャリアプランの作成にも有効。学びの成果がバッジとして残ることによる達成感や充実感から、学習意欲が高まる効果も期待できます。

発行者・導入者のメリット

受領者と同じく、バッジを発行する側の企業にとっても、バッジの取得は従業員のモチベーション向上や評価に結びつきやすく、さらなる学びへの意欲を引き出すことにもつながります。

このほか、採用活動の際に提示されるバッジから求めるスキルをもつ人材を探したり、従業員のバッジの取得状況をチェックして、個々のスキルに適した人材配置や効率的な人材育成に役立てられるというメリットもあります。

また、大学や資格認定団体では、社会人向けプログラムの受講や資格取得を認定するバッジを、より多くの受検者や受講者を集めるツールとして活用できます。それにより、リカレント教育やリスキリング、生涯学習といった継続的な学びの推進につなげていくことも可能です。

まとめ

このように、オープンバッジは「学び」と「仕事」をつなぐツールとして、受領する側にも発行する側にもメリットが多いもの。

国がリカレント教育やリスキリングの推進に力を入れる中、オープンバッジの発行は今後ますます広がっていくと考えられます。企業の人材育成プログラムや大学の社会人向けプログラムのみならず、資格関連のバッジ発行も増えていくことでしょう。

今後の展開に注目し、オープンバッジを自身の学びやスキルを証明するツールとして有効活用していきたいものです。

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