DXの実現を急ぐ企業や産業界では、DXの推進を担う人材の育成が急務とされています。DXの知識や技術を身につけて、スキルアップ・キャリアアップしたい方や就職・転職を有利に進めたい方も多いでしょう。
リカレント教育やリスキリングといった「社会人の学び直し」に興味を持った方にぜひ知ってほしい施策が、文部科学省による「DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業」です。この記事では、同事業の3つのコースのうち、専門性の高いデジタル人材の輩出を目指す「コースⅡ.DX分野等リスキルプログラムの開発・実施」から首都圏の大学・大学院のプログラムを紹介します。
DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業とは
「DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業」は、文部科学省が社会人の学び直しを支援する施策で、大学など教育機関と、企業や業界団体など産業界が連携してリカレント教育やリスキリングのプログラムを提供しています。
同事業や受講料無料で受けられる首都圏の大学・専門学校のプログラムを紹介した記事は、こちらです。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/12924/
2022年6月に同事業で採択された57プログラムの中には、2021年度の「就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業」のプログラムを継続・発展させたものも。2022年度以降も同様の事業が実施されて、リカレント教育やリスキリングのプログラムが提供されるかもしれません。
文部科学省による社会人の学びを応援するポータルサイト「マナパス」の特設ページでは、これらの事業の最新情報が紹介されています。リカレント教育やリスキリングの情報収集をしたい方は、「マナパス」をチェックしてみてはいかがでしょうか。
経済産業省によるDX人材育成プログラム「マナビDX（デラックス）」も、リカレント教育やリスキリングを始めたい方にお勧めしたいウェブサイトです、デジタルスキルを学ぶことのできるさまざまな学習コンテンツが紹介されています。新たに学ぶ方も、実践的で専門性の高い知識やスキルを身につけたい方も、自分のレベルに合わせたデジタルスキルの学習が可能です。
コースⅡ.DX分野等リスキルプログラムの開発・実施
「DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業」は、3つのコースに分かれています。「Ⅱ.DX分野等リスキルプログラムの開発・実施」では、応用基礎的なDX分野の能力を育成して、デジタル人材としてリスキリングの推進やキャリアアップを目指すためのプログラムが開講されています。
この記事では同コースの中から、東京都立産業技術大学院大学、青山学院大学、早稲田大学の履修証明プログラムを紹介します。3校とも今回ご紹介するプログラムの以前から、さまざまなリスキリングプログラムの開講実績があります。
※掲載情報は、2022年10月19日時点のものです。
東京都立産業技術大学院大学「モノづくり分野の価値創造力育成のためのAIIT型リスキリングプログラム」
「社会人のあと一歩を叶える」と銘打った、モノづくり分野の価値創造力育成を目指すプログラムです。製造業・サービス産業・環境産業などの就業者向けですが、モノづくりに携わっていない方の受講も可能です。技能のデジタル計測・分析、eDocument 作成、3D 計測・モデリング、CAD-3D プリンタの実習や、PBL 演習、現場実習など多くの実習科目を通じて、DX 時代に相応しい価値創造力を獲得するためのスキルの修得を目指します。
| 受講方法 | 対面（東京）とオンライン |
| 開講日時 | 2022年11月20日～2023年2月25日(予定) |
| 申込期間 | 2022年9月20日～10月25日 |
| 受講時間数 | 118時間 |
| 受講料 | 選考手数料 9,800円 受講料 80,640円 |
| 履修条件 | ・大学卒業、または出願資格の事前審査を通過した方（詳細は公式サイトをご確認ください） ・出願時に定められたテーマによる1000字以内の小論文を提出 |
https://aiit.ac.jp/master_program/certification_program/reskilling/
青山学院大学「2022年度青山情報システムアーキテクト育成プログラム初級クラス（ADPISA-E）」
ADPISA* は、青山学院大学によるDX時代を牽引する人材である情報システム(IS)アーキテクトを輩出を目指した、社会人向けの履修証明プログラムです。今後の受講を検討している方は、Webサイトから情報提供を申し込むことができます。
※Aoyama Development Program for Information Systems Architect・・・ADPISA
「DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業」には、初級クラスのADPISA-Eと中級クラスのADPISA-Mが採択されました。どちらも受講生の三分の二以上を女性として、受講希望者が定員を超えたときは選考を実施します。
ADPISA-E（エントリーレベル）はITを体系的に学んだことがない社会人を対象とした、実務的なITと情報システムの基礎知識、即戦力になれる最新の知識・スキルが学べるプログラム内容です。演習を通してITの面白さを体験してから講義に入ることでやる気を醸成し、修了後も自律的かつ継続的に学べるようなスキルと、自分の人生を主体的に構築していく姿勢の習得を目指します。修了後に挑戦可能な資格には、ITパスポートや基本情報技術者などの国家資格、AWS認定、Oracle認定JavaプログラマやPython3エンジニア認定基礎などが挙げられています。
| 受講方法 | オンライン（一部講座は対面・東京） |
| 開講日時 | 2022年9月17日〜 2023年1月14日 |
| 申込期間 | 2022年8月1日～8月17日 |
| 受講時間数 | 128.5時間 |
| 受講料 | 50,000円 |
| 履修条件 | 高校卒業以上で就労経験のある方 |
https://adpisa.si.aoyama.ac.jp/adpisa-e/
青山学院大学 2022年度青山情報システムアーキテクト育成プログラム中級クラス（ADPISA-M）
ADPISA-M（中級者レベル）は、従来型のIT人材ともいえる「従来の仕事を情報技術に置き換える」ことを仕事にしている方向けのプログラムです。DX時代に必要な情報システムである「変わりゆくビジネスに新たな価値を創造するための人間を中心にしたシステム」の基礎を学び、現状の業務に活用することを目指します。プログラム内容は、情報システム分析、モデリング、アジャイル開発、プロジェクトマネジメント、セキュリティなどです。
| 受講方法 | 対面（東京）とオンライン |
| 開講日時 | 2022年10月22日～2023年3月4日 |
| 申込期間 | 2022年9月1日～9月17日 |
| 受講時間数 | 135時間 |
| 受講料 | 50,000円 |
| 履修条件 | 高校卒業以上でIT職で就労経験のある方 |
https://adpisa.si.aoyama.ac.jp/adpisa-m/
早稲田大学 スマートエスイーDXコース
スマートエスイーとは、早稲田大学によるAI・IoT・ビッグデータ技術分野のビジネススクールとしての社会人学び直しプログラムです。
DXコースでは、新たな価値創造を推進するフルスタックかつビジネス×マインド・技術を扱う人材の育成を目指します。内容は、ビジネス、アプリケーション、情報処理、通信・物理の4つの領域の講義と、PBLやゼミ形式によるDX計画立案などです。
| 受講方法 | オンライン（一部講座は対面・東京） |
| 開講日時 | 2022年10月8日～2023年3月4日 |
| 申込期間 | 2022年8月5日～ 2022年9月30日 （10月5日まで延長） |
| 受講時間数 | 90時間 |
| 受講料 | 495,000円 |
| 履修条件 | ・大学入学資格を有すること（必須） ・ビジネスの実務経験を有すること ・志望理由書と高等学校卒業以降の学歴および職歴書の提出 |
https://www.waseda.jp/inst/smartse/
まとめ
国は経済対策として成長分野に就業するための「人への投資」策の拡充を掲げています。人への投資の重点項目の一つが、リスキリングです。今後もリスキリングやリカレント教育など社会人の学び直しを、文部科学省をはじめ各省庁が連携して政策を進めていくことが見込まれます。
DX人材を目指してDXの知識やスキルを習得すれば、より確実にスキルアップやキャリアアップ、満足できる就職・転職を進められるでしょう。自分らしい働き方の実現を目指して、社会人の学び直しを後押しする施策に注目してみてはいかがでしょうか。
