図書館の司書採用試験に効果的な対策は?おすすめの勉強方法も紹介

本が好き、図書館の空間が好き……そんな理由から、図書館で司書として働きたいと思っている方は多いのではないでしょうか。

司書とは、図書館法で定められた国家資格。一般には図書館で働く職員の総称として用いられていますが、狭義には地方自治体などが設置する公共図書館の専門職員を指します。

図書館職員として働くために司書の資格は必須ではないものの、公共図書館の司書となるには、司書の資格を取得して地方自治体の司書採用試験に合格するか、公務員試験を突破する必要があります。

ここでは司書の資格を取得する方法や、司書採用試験の効果的な対策・勉強方法をご紹介。公共図書館以外の図書館で職員として働く方法についても調べてみました。

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図書館の司書とは?

図書館には、公共図書館(地方自治体が設置する公立図書館や民法法人が設置する私立図書館の総称)、大学図書館、学校図書館、国立国会図書館、専門図書館などがあります。

司書とは、このうち公共図書館に配置される職員を指します。しかし一般的には、そのほかの図書館で専門的な業務を担う職員にも司書の名称が用いられています。

図書館の司書・職員の主な仕事は、図書館に置く本や資料の選定、目録の作成、貸出対応、利用者の調べものに必要な資料を探すレファレンス対応など。公立図書館では本の読み聞かせイベントの開催や展示コーナーの設置、移動図書館車の運営、学校図書館では調べ学習への対応、大学図書館では研究用に情報を探すサービスなども大切な業務となります。

厚生労働省のJob tag―職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、司書の給料は月額20.8万円*。給与水準は決して高いとはいえないものの、やりがいを感じる職業として根強い人気があり、志望者は少なくありません。

*令和3年度のハローワークの無期フルタイムの賃金欄の中間地の平均(実数値、全国)

図書館の司書や職員になるには?

公立図書館・公立大学図書館

公立図書館や公立大学図書館の司書となるには、主に2つの方法があります。

公務員試験に合格する

地方公共団体の採用試験に合格して一般行政職として採用され、図書館への配属を目指す方法。

ただし、司書の資格を取得している人は図書館の関連部署に配属されやすい傾向にあるとはいえ、他の部署に配置される可能性もあり、すぐに司書として働けるわけではありません。

この場合、公務員試験対策は必須となります。苦手科目としてよく名前の挙がる数的処理の勉強方法とコツをこちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/6926/

地方自治体の採用試験を受ける

地方自治体の司書採用試験に合格し、初めから図書館に司書として採用される方法。

確実に司書を目指すことができる反面、競争率が高いという難点があります。採用試験という形で司書を募ること自体少なく、毎年募集がかかるものでもないため、チャンスそのものが少ないのが実情。試験対策に加えて、求人情報のこまめなチェックも求められます。

このほかに、地方自治体から図書館業務を受託している企業に就職して公立図書館の司書となるケースもあります。

学校図書館

公立の小学校・中学校・高校や特別支援学校などの学校図書館には、専門的職務を担う教員として「司書教諭」を置くこととされており、教員ではなく事務職員が学校図書館に勤務する場合は「学校司書」と呼ばれます。

司書教諭を目指すなら、教員免許状を取得するとともに、所定の機関で司書教諭講習を受講して司書教諭の資格を取得し、教員として学校に採用される必要があります。また、学校司書として働くには、各地方自治体の定める要件を満たしたうえで学校司書の募集に応募し、採用を目指します。

その他の図書館

国立大学の付属図書館の場合は全国7地区で実施される図書系の職員採用試験を、私立大学の附属図書館の場合は各校独自の採用試験をそれぞれ受験し、合格する必要があります。

また、国立国会図書館では人事院の行う公務員採用試験とは別に、独自の職員採用試験を実施しています。2021年度の採用状況は、総合職3名(倍率98.3倍)、一般職(大卒程度)13名(倍率54.0倍)と、かなりの難関となっています。

図書館の司書採用試験の概要

ここからは、司書を目指す方法として最も一般的な地方自治体の司書採用試験の概要について解説します。

受験には司書資格が必要

司書採用試験を受けるには司書資格が必要です。以下の3つのいずれかに該当すれば、司書資格を取得したとみなされます。

1)大学(短大を含む)又は高等専門学校卒業生が司書講習を修了し資格を得る。
2)大学(短大を含む)で司書資格取得に必要な科目を履修し卒業を待って資格を得る(→これには通信制・夜間・科目等履修を含みます)
3)3年以上司書補としての勤務経験者が司書講習を修了し資格を得る。

文部科学省「司書について」1.司書になるためには

高校を卒業した高卒の方や、高等学校卒業程度認定試験に合格した方でも、3) の方法で司書資格を取得することができます。司書講習は全国の大学で毎年7月~9月に開催されるもので、通信講座もあります。

司書資格は、所定の大学や専門学校を卒業する必要はないため、誰にでもチャンスがあるといえるでしょう。

出典:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)

地方自治体によって試験内容は異なる

司書採用試験の試験内容は、自治体によって異なります。受験前に自治体のホームページを見て、試験内容を確認しておきましょう。

司書採用試験は、一次試験二次試験まで行われます。一次試験では筆記試験、二次試験では集団討論面接などが行われることが一般的です。

例えば、東京都の採用試験の場合は、一次試験で筆記による教養試験と専門試験、二次試験で口述試験が行われます。一次試験で合格しなければ二次試験に進めないため、筆記試験は重点的に対策する必要があるでしょう。

採用人数は少ない

前述のように、図書館司書は一般企業と異なり、毎年新しい職員を募集するとは限りません。退職者や休職者などが発生したときに募集することが多いため、採用人数も1~5名程度の自治体がほとんどです。

2021年度に実施された主な自治体の司書採用試験の結果をみると、倍率は10〜30倍程度の自治体が多く、中には80倍を超えるところもあり、総じてハードルは高いといえるでしょう。

目指せ合格!図書館司書対策を行う3つのポイント

合格を目指すためには、ポイントを押さえた対策をとることが重要です。ここからは、司書採用試験の対策として、押さえておくべき3つのポイントを解説します。

自治体の採用試験内容をよく確認する

一次試験が書類審査、二次試験が面接だけの自治体なら面接練習だけ行えばよいですが、中には一次試験で教養試験・専門試験、作文などを行う自治体もあります。したがって、効果的な対策をするためには、受けたい自治体のホームページにアクセスして、過去の試験内容を調べることが大事です。

過去問を確認できる自治体もあるので、勉強を始める前にチェックしてみましょう。試験内容を確認したうえで、どのような対策を練るか考え、勉強の計画を立ててみてください。

筆記試験対策に重点を置く

まれに一次試験が書類審査のみの自治体もありますが、大抵の場合は筆記試験を行います。司書採用試験では、一次の筆記試験で落ちてしまうと二次試験には進めません。よって、基本的には筆記試験対策に重点を置くべきでしょう。

ただし、自治体によっては、教養試験や適性試験などが一定基準に満たなければ不合格となることもあります。このあたりも受験する自治体によって異なるので、確認したうえで筆記試験対策を行うことが大事です。

受ける自治体の図書館について調べたり見学したりする

司書採用試験対策の一環として、受験する自治体の図書館について詳しく調べておきましょう。

ホームページを見て過去のイベントなどについて知る、実際に説明会やイベントに参加して図書館の雰囲気をつかむなど、さまざまな方法が挙げられます。図書館の見学をすれば、インターネットだけではわからない多くの情報を感じ取ることができるでしょう。

事前に図書館について調べた内容は、書類作成面接試験などでぜひ活用してください。

図書館の司書対策におすすめの5つの勉強方法

ここからは、司書採用試験対策におすすめの勉強方法5つ解説します。

教養試験は一般知識分野から進める

筆記試験の一つである教養試験は、数的処理・文章理解・人文科学・自然科学・社会科学の5つの科目で構成されています。

数的処理文章理解は出題数が多い傾向にあるため、重点的に勉強することがおすすめです。また、これらの分野は暗記では対応できない問題が多く、本質的な部分を理解しながら勉強を進めましょう。

一方、社会科学・人文科学・自然科学は、暗記でもある程度対応可能です。

専門試験は専用の問題集を解く

専門試験対策では、専用の問題集を繰り返し解きましょう。図書館司書採用試験の対策でよく使われる問題集は『司書もん』です。

『司書もん』は、図書館司書採用試験の過去問をもとに、出題されやすい分野や問題をまとめて作られています。闇雲に勉強するより、ポイントが押さえてある問題集を活用するほうが効率的に対策できます。

※最新のもので学習できるように、購入する際には発行年などを確認してください。

専門試験の過去問を解きながら理解を深める

一部の自治体に限りますが、これまでの過去問公開している場合があります。受験を考えている自治体のホームページにアクセスし、過去問がないか確認してみてください。

ただし、中には過去問があったとしても、答えがない場合があります。そのときは自分で調べながら解答を考えましょう。自分で答えを調べると、より知識が身につきやすくなります。

過去問は司書もんとは違う切り口で出題されるため、さまざまな観点から理解度を確かめられることが特徴です。

小論文の基本を押さえ反復練習する

論文試験が行われる自治体の場合、小論文を書く練習も必要です。

小論文は、問いに対して的確に答えているか・文章としてマナーは整っているかなどの点が採点されます。また、受験する自治体の現状について、深く理解していないと答えを導けないこともあるため、事前によくリサーチすることも大事です。

論文の過去問を公開している自治体もあるので、そちらを確認しながら練習するのもよいでしょう。

その他、誤字脱字文のねじれなどがないか、確認する癖をつけてください。論文の内容が良くても誤字脱字があれば、減点されてしまいます。

面接試験の練習を繰り返す

面接試験では、志望動機自己PRなど一般的な内容を聞かれます。質問を想定したうえで、自治体はどのような人を司書にしたいのか、採用側の視点から考えてみてもよいでしょう。

面接試験は、経験を積めば積むほど上達します。家族や友人など身近な人に頼んで、できるだけ練習回数を増やすことが大事です。ハローワークでも面接練習ができるので、こちらも活用してみてください。

自分を偽ったり見栄を張ったりするのではなく、あくまでも自然体で受け答えすることを心がけましょう。

まとめ

図書館の司書採用試験は、自治体によって試験内容が異なります。まずは、試験内容を確認してから対策を練りましょう。

受験する自治体の試験内容を調べたうえで、この記事で紹介した試験対策や勉強方法を取り入れてみてください。

また、受験したい図書館のイベントや説明会にはできるだけ参加しましょう。図書館の雰囲気を感じられるだけでなく、インターネットでは知り得ない情報を確認できます。

司書採用試験は難関ではありますが、早めの対策とポイントを押さえた勉強で、合格を目指すことは可能です。ぜひ合格に向けて、コツコツ取り組んでみてください。

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