建築経理を学ぶメリットは?「建設業経理士」の勉強方法と試験対策を解説

経理の仕事は、業種に関わらず必要とされる重要なものです。業界によっては、特有のルールに基づく経理業務が必要になることもあり、さらなる専門性を求められるケースも少なくありません。

建築経理もその一つで、専門知識が必要であるからこそ需要が高く、学ぶメリットが大きい分野だといえるでしょう。

この記事では、建築経理を学ぶメリットについて紹介したうえで、特に専門的な知識を身につけられる「建設業経理士」の資格についても解説します。

さらに、建設業経理士に認定されるために必要な、資格試験の勉強方法試験対策についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

建築経理を学ぶメリット

建築経理の知識は、長く安定した仕事を得るために役立つ、価値のあるものです。ここでは、建築経理を学ぶメリットについて詳しく解説します。

就職対策として有効

建築経理は、建築業界特有の経理業務を行なうための専門知識で、建築会社を中心に高い需要があります。そのため、建築経理を学ぶことが、建築関連企業への就職対策として有効であることは間違いありません。

具体的には、建築経理に関する専門の資格「建設業経理検定」を取得しておくことで、就職活動でも優遇されやすくなるでしょう。なお、資格についての詳細は、次の項で解説します。

転職やスキルアップの手段になる

建築経理を学ぶことは、転職や社内でのスキルアップを目指す人の手段としても有効です。

例えば、一般的な事務の仕事をしている場合、専門性の高い建築経理を学ぶことで、現職よりも雇用条件の良い建築関連企業への転職が目指せます。

また、すでに建築関連の会社で働いているのであれば、資格を取得することで資格手当が付与され、転職までしなくても労働条件が良くなることもあるでしょう。

建築経理には専門性が求められるものの、ベースとなるのは一般的な簿記の知識です。簿記の基礎知識をある程度持っている人にとっては、比較的学びやすいといえます。

安定した需要がある

建築経理の知識を有する人材の需要は高く、今後も長期的に仕事を得やすいと予想されます。建築業界は、インフラなどに関わる重要な役割を担っているため、そもそも業界自体の安定性が高いことが大きな理由です。

また、建築会社は全国どこにでも存在するため、建築経理の仕事も場所を問わず需要があります。生活環境が変わっても仕事を探しやすいという点では、家族の転勤で引越しが多い人や、出産後も復帰しやすい職種を探している人にも、建築経理の仕事はおすすめです。

このように建築経理の知識は、一度身につけると一生涯活用できる、価値あるものだといえるでしょう。

建築経理の知識を示せる資格「建設業経理士」とは

建築経理の知識を学ぶのであれば、特に専門性の高い「建設業経理士」を目指すのが理想的です。この項では、建設業経理士を目指すべき理由や、資格試験について解説します。

「建設業経理士」とは

建設業経理士」とは、一般財団法人建設業振興基金が実施する試験「建設業経理検定」の、1級または2級の合格者のことです。建設業経理検定は1級~4級まであり、3級4級の合格者については「建設業経理事務士」と呼んで区別します。

建設業経理士を目指すべき理由は、企業からの需要が特に高いためです。

公共事業入札審査において、建設業経理士が在籍している人数が企業の評価に反映されることから、建築会社は一人でも多くの建設業経理士を採用したいと考えています。

建設業経理士は建築会社にとって、積極的に採用する価値のある貴重な人材だといえるでしょう。

参考: 一般財団法人建設業振興基金「建設業経理検定試験」

試験概要

建設業経理検定の試験概要は、以下のとおりです。

※2021年度に実施されるものを参考にしており、今後の実施回では変更になる可能性があります。

受験資格

受験資格は特に設けられておらず、初回から1級に挑戦することも可能です。

ただし、1級と他の級を同日受験することはできません。

試験実施回数

2021年度の場合は年2回(9月と3月)に実施されますが、3級4級年1回のみ(2021年度は3月のみ)行なわれます。

出題科目

1級
・ 建設業原価計算
・ 財務諸表
・ 財務分析

2級
・ 建設業の簿記
・ 原価計算
・ 会社会計

1級は3科目の試験を同日に受けることも、希望の科目数だけ受験することも可能です。最初の科目の合格通知書が交付されてから、5年以内に3科目すべて合格すると、1級を取得できます。

・受験料(税込)

1級
・ 1科目受験 8,120円
・ 2科目同時受験 1万1,420円
・ 3科目同時受験 1万4,720円

2級 7,120円

申し込み方法

一般財団法人建設業振興基金のホームページ上の専用フォーム、または郵送で申し込めます。

合格基準

1級2級どちらも、正答率70%合格基準とされています。

過去の合格率から見る難易度

建設業経理検定の、過去5回(2019年3月実施第25回~2021年9月実施第29回)の合格率は以下のとおりです。

  • 1級「財務諸表」:20.5%~27.8%
  • 1級「財務分析」:20.8%~37.1%
  • 1級「原価計算」:11.2%~25.6%
  • 2級:30.8%~62.5%

1級は全体的に約10%~約40%の合格率であり、しっかり学習しなければ簡単には受からない、難易度が高い試験といえるでしょう。

また、2級は実施回によって、合格率の最低値と最高値の差が大きく開いています。出題傾向に左右されやすいことがうかがえるため、最新の傾向に合わせた対策を行なうことが大事です。

「建設業経理検定」に合格するための勉強方法と対策

ここからは、建設業経理の合格を目指すための勉強方法や、試験対策について解説します。

勉強方法

建設業経理検定は、独学で合格を目指すことも可能です。ただし、人によっては継続が難しいこともあるため、必要に応じて講座の受講なども検討するとよいでしょう。

独学

独学に必要なテキストや問題集は市販されているほか、過去の検定で出題された試験問題は、一般財団法人建設業振興基金のホームページ内で公開されています。

一般財団法人建設業振興基金「過去の試験問題」

建設業経理事務士1級に合格したyarukimedesuさんが、ブログで勉強方法を紹介しています。

勉強方法は、基本的には過去問を解くことです。ただ、論述に関しては過去問を解くだけでは対応できません。そのため、テキストの重要ポイントをまとめる練習をしました。キーワードをいくつか入れて、指定された文字数で説明できるように、何度も書きました。

https://minna-no-blog.hatenablog.com/entry/2015/03/29/084145

多くの方が勉強しているテキストがこちらです。

独学は最低限の費用しかかからないというメリットがある一方で、自力で計画的な学習を続けるのが難しい人にとっては、非効率な勉強方法となる可能性もあります。

講座を受講する

独学に不安がある場合は、建設業経理検定の受験対策講座を受講するという選択肢もあります。費用はかかるものの、カリキュラムに沿って要点を効率的に学べるのが大きなメリットです。

学業や仕事と並行して試験勉強を進めやすいオンライン講座もあるため、自分に合いそうなものを探してみましょう。

試験対策

効率良く試験対策を進めるためには、簿記の知識の有無によって学習範囲を調整したり、出題傾向を把握したりすることが重要です。

簿記の知識によって対策は変わる

建設業経理検定の試験では、日商簿記の知識が大いに役立ちます。すでに日商簿記2級を取得している人であれば、簿記以外の分野を重点的に学習すると効率良く試験対策を進められるでしょう。

これまで簿記を学習したことがない場合は、先に簿記の基本を身につけると、建設業経理検定の勉強も進めやすくなります。

独学でも修得できて、ビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」ともいわれる、簿記3級について、こちらで紹介しています。

簿記3級を独学で合格するための勉強法と2021年試験の注意点を紹介!
経理の仕事や物販の売買で生じる、お金の流れの理解に役立つのが簿記の資格です。就職や転職に役立てるためにも、また経理の知識を身につけるためにも「まずは簿記3級から」と思っている人も多いのではないでしょうか。正しい方法で勉強すれば、独学でも簿記

出題傾向を把握する

試験の出題傾向の把握は、効率的に学習を進め、合格率を高めるために重要な対策です。

受験対策講座では、傾向に合わせた短期集中講座を開催することが少なくありません。

基礎知識を独学で身につけたうえで、出題傾向を把握するために集中講座のみを受講するという方法も有効でしょう。

まとめ

建築業は、生活に欠かせないインフラを支える重要な役割を担っており、業界自体の需要が安定しています。そのため、長く継続して働ける職場を求めている人にとって、建設業界は目指す価値のある業界だともいえるでしょう。

建築関連企業への就職や転職を目指すのであれば、建設業経理検定の1級もしくは2級に合格した証明である「建設業経理士」の取得がおすすめです。

所属している建設業経理士の人数が多い企業は、公共工事の入札で優遇されやすいため、資格保有者は特に高い需要があります。

安定した業界で役立つ資格を取得したいと考えている人は、挑戦する意義が十分にある資格だといえるでしょう。

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