アンガーマネジメントの基本から具体的なトレーニング法まで徹底解説

近年よく耳にするようになった「アンガーマネジメント」は、企業の研修などで取り入れられる機会も増えています。

しかし、「アンガーマネジメントという言葉を聞いたことはあるけれど、詳しいことは知らない」という方も少なくありません。

この記事では、アンガーマネジメントの概要をはじめ、アンガーマネジメントトレーニングの必要性やメリット、アンガーマネジメントトレーニングの方法などについて解説します。

アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントと聞くと、「怒らないこと」が目的のように思う方も多いかもしれません。

しかし、「怒りの管理方法」と直訳できるように、実際には「怒りの感情をコントロールすること」がアンガーマネジメントです。

元々はDV(家庭内暴力)や、軽犯罪者のための矯正プログラムなどとして活用されていたアンガーマネジメントですが、価値観が多様化するのにともない一般的にも注目されるようになりました。

職場や家庭などにおいて、ストレスがゼロという状態で過ごしている人は少ないでしょう。普段はあまり怒らないタイプだったとしても、何度注意しても部下の勤務態度が直らない・取引先から理不尽なクレームが来たなど、怒りを覚えるシーンはあるかと思います。

このようにアンガーマネジメントは、日々の生活のなかで役立つ感情のコントロール方法だといえます。

アンガーマネジメントトレーニングが必要な理由とメリット

ここからは、アンガーマネジメントトレーニングの必要性と、アンガーマネジメントを身につけることによって得られるメリットについて解説します。

アンガーマネジメントトレーニングが必要な理由

「怒り」は、突然吹き出す感情ではありません。その前には不安・つらい・悲しいなどのマイナス感情が隠れており、その感情の処理表現がうまくできなかったときに、「怒り」として表に出てくるのです。

しかし、怒りにまで到達した経緯は本人しかわからないため、周囲からすると「突然怒りだした」ように見えてしまいます。怒った本人も「なぜ、あの場面で怒ってしまったのか」「怒りを抑えられなかった自分はダメな人間だ」と自分を卑下してしまうかもしれません。

アンガーマネジメントトレーニングによって、衝動的な言動を抑えることができれば、このような場面で怒りを表に出してしまうことも少なくなります。怒りを上手にコントロールし、冷静に話し合うことができれば、適切な問題解決ができるようにもなるでしょう。

さまざまな場面で衝動的な言動を減らし、冷静に問題解決に向かうためにも、アンガーマネジメントトレーニングは必要だといえます。

アンガーマネジメントを身につけるメリット

アンガーマネジメントを身につけることにより、怒りの感情を上手にコントロールできれば、自分の考えを冷静に伝えることができ、円滑なコミュニケーションにつながります。

例えば、職場でのコミュニケーションが円滑になれば、ビジネスへのモチベーションも上がり、業務の生産性も上がるでしょう。

また、アンガーマネジメントを取り入れた円滑なコミュニケーションが取れるようになると、ストレスが軽減することも大きなメリットです。

より良い人間関係を築き、信頼関係を育てるうえでも、アンガーマネジメントを身につけることには多くのメリットがあるといえるでしょう。

アンガーマネジメントのトレーニング方法【基礎編】

チェックリスト・人の手元

アンガーマネジメントのトレーニングを始める前に、まずは自分が怒るポイントを知ることが大事です。自分が何に対して怒りを感じるのかを知ることで、自分を客観的に見ることにもつながります。

「日本アンガーマネジメント協会」が公表している「6つの怒りポイント」のなかで、自分がどのタイプに当てはまるのか考えてみてください。

1. 公明正大

曲がったことが許せないなど正義感が強いタイプです。マナー違反やルール違反に対して怒りを感じやすいという傾向があります。

2. 博学多才

物事に白黒をつけないと気が済まない完璧主義です。ハッキリしない物事や人に対してストレスを感じやすい傾向があります。

3. 威風堂々

プライドが高く、自分の持つ価値観や考え方を曲げないタイプです。自分の思いどおりにならないと不満を抱え、怒りが生じてしまう傾向にあります。

4. 天真爛漫

自分が思っていることや感情を、ストレートに伝えるタイプです。自由に行動したいという思いがあるため、他人によって行動が制限されることにストレスを感じる傾向が強いようです。

5. 外柔内剛

表面的には穏やかな印象を与える一方で、自分の意思や自分の決めたルールに重きを置くタイプです。自分の決めたルールに反することに出会うとストレスを感じる傾向にあります。

6. 用心堅固

用心深く慎重で、他人との距離を取って衝突を避けたいと思っているタイプです。プライベートな領域に他人が踏み込んで来ると、ストレスや怒りを感じる傾向があります。

ここまで紹介した6つのタイプのなかで、自分に該当するものは見つかったでしょうか。

自分の怒りポイントがわかったら、次に紹介するアンガーマネジメントのトレーニング方法【実践編】に進みましょう。

アンガーマネジメントのトレーニング方法【実践編】

自分が怒るポイントが把握できても、すぐに怒りをコントロールできるわけではありません。アンガーマネジメントのトレーニングを実際に行なう際は、「6秒ルール」を意識することが大事です。

ここからは、6秒ルールを中心に、アンガーマネジメントのトレーニング方法を見ていきましょう。

「6秒ルール」とは?

怒りが継続するピークは「6秒間」といわれています。怒りを感じてから6秒間は、感情的な言葉や態度が出やすいため、その間は行動を起こさずやり過ごすというのが「6秒ルール」です。

怒りが言葉や行動に出そうになっても、とにかく6秒間は行動を起こさず、気持ちを落ち着かせるようにしてみてください。

怒りが生じてからの6秒間をやり過ごすテクニック

「6秒ルールにしたがって静かにやり過ごせ」といわれても、どうすれば良いのかわからないという方も多いでしょう。

そこで、ここでは6秒ルールを実践するために役立つ、5つのテクニックを紹介します。

1. ストップシンキング

言葉のとおり「思考を止める」という方法です。怒りが生じてきたら、心のなかで「ストップ!」と自分に対して呼びかけましょう。そして、何もない真っ白な空間を思い描きます。

2. コーピングマントラ

怒りが生じた際に、「大丈夫」「たいしたことない」「明日には忘れているだろう」など、怒りが収まる魔法の言葉を心のなかで唱える方法です。

魔法の言葉には、自分の気持ちが落ち着く言葉を選びましょう。好きな食べ物やアイドルの名前、ペットの名前でも構いません。

3. スケールテクニック

怒りの度合いを、10段階の評価でどれくらいかを数値化する方法です。
この方法では自分の怒りの感情を客観的に見られるため、実は怒るほどのことではなかったと気付くこともできます。

4. グラウンディング

怒りが生じたことに気付いた際、まったく別のものに注目して意識をそらす方法です。
例えば、デスクの上にある定規やボールペンの、色や形状に思考を巡らせるのもグラウンディングといえます。

5. タイムアウト

ここまで紹介した4つの方法を試しても怒りが収まらないときは、時間や場所を変えて仕切り直すこと(タイムアウト)も効果的です。

15分ほど外に出る、いったん解散して後日あらためて席を設けるなど、状況に応じて時間を置けるような工夫をしましょう。

「○○すべき」という価値観を排除する

怒りが生まれやすい人は、「○○すべき」という理想や価値観へのこだわりが多く、強い傾向にあるといわれています。

しかし、「こうあるべき」「こうするべき」という価値観は、あくまでも個人的な理想やこだわりであり、自分の周囲にいる人に強要するものではありません。

「○○すべき」という単一的な考え方ではなく、「○○だったら許容できる」のように、受け入れられる範囲を少しずつ広げていくこともアンガーマネジメントです。柔軟な考え方を持つことが、アンガーマネジメントにおいては重要ともいえるでしょう。

アンガーマネージメントについて、もっと知りたい方にお勧めの書籍はこちらです。

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事で、世界で15 名しか選ばれていない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルにアジア人としてただ一人選ばれている安藤俊介さんが、人生のあらゆる場面におけるアンガーマネージメントを解説しています。

子育てにアンガーマネージメントを生かしたい、子どもにアンガーマネージメントを身につけてほしい方には、こちらがお勧めです。アンガーマネージメント研究会代表の本田恵子さんが、アンガーマネージメントの解説と、乳幼児から高校生までの具体的な事例を紹介しています。

まとめ

アンガーマネジメントは「怒らない」ことではなく、「怒りをコントロールする」ことです。
突発的に感じた怒りを客観視すれば、冷静な状態で怒りの感情と向き合えます。冷静になったうえで、それでも言葉にするべきことであれば、落ち着いて相手と話し合ってください。

怒りをコントロールするには、日々アンガーマネジメントのトレーニングをして、冷静になれるよう訓練することが大事です。

アンガーマネジメントを身につけるためにも、「6秒ルール」・「○○すべきという価値観をなくす」という2点を意識して過ごしてみてください。

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