簿記3級を独学で合格するための勉強法・試験の注意点を紹介!

経理の仕事や物販の売買で生じる、お金の流れの理解に役立つのが簿記の資格です。

就職転職に役立てるためにも、また経理の知識を身につけるためにも「まずは簿記3級から」と考える人も多いのではないでしょうか。

正しい方法で勉強すれば、独学でも簿記3級に合格することは可能です。

この記事では、スクールに通わずに独学で簿記3級を目指す人のために、資格取得の学習時間の目安やおすすめの勉強法を紹介します。2021年試験の変更点注意点についても解説するので、参考にしてください。

簿記3級は独学でも合格でできる?

簿記3級を目指している人にとって気になるのが、「簿記3級は難しい資格なのか」「独学で合格できるのか」ということでしょう。簿記3級はスクーリングで対策する人もいますが、独学で合格を目指すことも十分可能な資格です。

簿記3級の難易度はどのくらい?

簿記3級の難易度を知るために、合格点の目安合格率を見てみましょう。

簿記3級は7割以上の得点で合格

簿記3級は60分の試験で、得点率7割以上(100点満点中70点以上)が合格基準になります。「7割以上」と聞くと難しく感じる人もいるかもしれませんが、簿記3級の問題は基本的な知識を求められるものばかりです。

簿記3級の合格率は40~50%

簿記3級の合格率はおおよそ40~50%です。ただし合格率は、試験の回によって大きく変動することもあります

例えば、2021年度には試験形式が変更されたこともあり、同年6月実施の簿記3級(第158回)の合格率は28.9%でした。同年2月に実施された試験の合格率は、通常よりも高い67.2%だったので、6月の試験の合格率が大幅に下がったことになります。

簿記3級は独学でも合格可能

ビジネス関連の資格のなかでも認知度が高く、多くの企業や会社から評価されている簿記3級は、参考書・問題集に取り組むことで独学でも合格できる資格です。

ただし、独学を効率良く進めるには、テキスト選びスケジュール管理に注意する必要があるでしょう。

独学で簿記対策をするときの注意点

簿記3級は独学でも合格できる資格ですが、誰でも簡単に受かるわけではありません。独学で合格するためには、正しい勉強方法で計画的に学習を進める必要があります。

独学で勉強をする人のなかには、勘定科目丸暗記をしようとする人もいますが、おすすめはできません。勘定科目の役割を理解しなければ、仕訳を正確に行なうことができず、配点の高い仕訳問題で失点をしてしまうからです。

自分に合った参考書を選んだうえで、試験までの学習計画をきちんと立てて簿記3級合格を目指していきましょう。なお、おすすめの勉強方法はのちほど紹介します。

簿記3級合格のために必要な勉強時間はどれくらい?

一般的に、簿記3級を目指すための必要な勉強時間は、50~100時間程度といわれています。しかし、もともと学習者に簿記の知識や、経理関係の仕事経験があるかどうかによっても変わります。

大切なのは「100時間勉強したら合格する」というわけではなく、正しい方法で理解をしながら勉強を進めることです。

簿記3級は、短期合格を目指すなら2週間ほどでも対策はできますが、確実に合格を目指すのであれば3~5ヵ月を見ておくとよいでしょう。

短期間で合格を目指す場合は2週間で対策が可能

会計や財務の基本的な知識がある人は、最短2週間程度でも対策が可能です。

ただし、2週間で合格レベルまで到達するには、十分な学習時間の確保と適切な学習計画が必要になります。2週間で合格を目指す場合は、1日あたり4時間以上の学習時間を確保しましょう。

2週間で簿記3級を目指す場合の学習計画

簿記3級の対策を短期で行なう場合、適切な学習計画を立てることがとても大切です。

2週間で合格を目指す場合は、以下のように1週目はインプット、2週目にはアウトプットをするイメージを持って進めましょう。

  • 1週目:参考書を熟読し、内容を理解する
  • 2週目:過去問・予想問題で演習を行なう

参考書をしっかりと読み込んでから演習問題を解くことにより、覚えた内容の理解がより深まります。演習問題をある程度こなしたあとは、過去問・予想問題集にとりかかりましょう。過去問は2019年に出題範囲が変更になっているので、不要な範囲に時間を使わないように注意してください。

間違えた問題は解説や参考書で見直しをして、なぜ間違ったのか確認してください。時間をおいて同じ問題を解き直すことで、理解力が高まります。

簿記3級は3~5ヵ月あればしっかり勉強ができる

勉強時間を多く取れる人は2ヵ月前後でも合格を目指せますが、理解を深めて確実に合格を目指す場合は3~5ヵ月の学習計画を立てることをおすすめします。

簿記の知識がない人でも、3~5ヵ月しっかり勉強すれば、簿記3級合格の対策が可能です。簿記の試験には専門的な用語も多いため、理解するまでに時間がかかるかもしれません。

まずは、上記の例と同じように初めの1ヵ月でテキストを読み込み、簿記の内容を頭に入れましょう。

2ヵ月目以降は過去問や予想問題などで、実践的な問題を解きます。簿記の仕組み勘定科目などの理解が足りていないと感じる場合は、その都度参考書や、問題の解説などをしっかりと読み込むようにしてください。

なお、ここで説明した学習方法はあくまでも参考例なので、自分の理解度に合わせて進めましょう。

簿記3級のおすすめ勉強法

簿記3級は独学でも対策可能とお伝えしましたが、これはあくまでも「正しい勉強法で対策をする」ことが大前提です。

ここからは、独学で簿記3級を目指す人におすすめの勉強方法を紹介します。

簿記の参考書で内容を理解する

簿記3級の勉強をするうえで大切なのが、簿記の用語を丸暗記するのではなく、それぞれの言葉の意味本質を理解することです。参考書で勉強を進めるうえでは、以下のことを意識しましょう。

簿記の5大要素を覚える

簿記においてまず覚えておきたいのが、簿記の5大要素です。簿記の5大要素とは「資産」「負債」「純資産(資本)」「費用」「収益」を指します。

参考書で勘定科目を覚える際には、それぞれの科目が「5要素」のどの分類に入るのか、理解しながら覚えましょう。勘定科目の性質を理解できるようになると、仕訳問題も解きやすくなってきます。

電卓を使った問題演習も取り入れる

簿記3級では、決算書を作るための必要な知識が問われます。試算表精算表の作成には電卓での正確な計算が必要です。試験対策をする際には、電卓を使いながら、勘定科目ごとに借方貸方の金額の集計を正しく行なう練習をしましょう。

自分に合った参考書選びをする

独学で失敗しがちなのが、参考書選びに迷ってしまい「何冊も参考書を買ってしまう」ことです。簿記3級の対策用に参考書を何冊も持つ必要はないので、最新版の図やイラストが入っていて、理解しやすそうな参考書を一冊選ぶようにしましょう。

インプットだけではなく、アウトプット(問題演習)ができる参考書を選ぶと、手を動かしながら知識を頭に入れることができるのでおすすめです。

過去問と予想問題で合格を目指す

簿記3級の合格基準は70点です。満点を目指す必要はありませんが、合格基準に達するためには、過去問予想問題集で数多くの問題に触れることが大切といえます。

参考書で用語や貸借対照表の理解ができたら過去問で対策を

簿記に関する用語や、仕訳の仕組みがある程度わかるようになってきたら、過去問で練習をしていきます。2021年度から仕訳の問題数増加しているので、取引の流れ仕訳は確実に覚えるようにしまょう。また、2019年に出題範囲が変更になっていますので、最新版をおすすめします。

新傾向の問題に対応するためには予想問題集での対策も必須

2021年度から試験時間が従来の半分に短縮され、出題数にも変化がありました。

そのため、過去問を解いているだけでは新傾向の問題に対応できず、時間不足になる可能性もあります。

数多くの問題に触れるという点では、過去問での演習は重要です。しかし、新傾向の試験に対応するためには、予想問題集を使った対策にも力を入れるようにしましょう。

2021年から変更された日商簿記試験の注意点

2020年12月から「CBT方式」と呼ばれる、インターネットを用いた試験が新たに採用されました。CBTは「Computer Based Testing」の略称となり、全国にあるネット試験会場随時受験ができることが特徴です。

なお、従来の「統一試験方式」(ペーパー試験)も、年3回(6月・11月・2月)受けることができます。

ここからは、2021年から変更された日商簿記試験の注意点について、具体的に見ていきましょう。

簿記ネット試験(CBT方式)・統一試験(従来の方式)ともに試験時間が短くなった

まず、試験時間が従来の120分から60分に変更されました。過去問対策で勉強をしている人は、時間不足になることもあり得るので、本番を意識した問題演習も取り入れるようにしましょう。

問題数に関しては、従来は5問あった大問3問に減りましたが、第1問の仕訳問題は従来の5問から15問に増えました

また、仕訳問題の勘定科目は、従来は科目を受験者が書いていましたが、新形式からは選択式です。仕訳問題の得点は100点満点中45点なので、できるだけ多くの問題に触れ、点数を落とさないよう対策しておきましょう。

その他にも内容の変更点はいくつかあるので、詳しく知りたい人は日本商工会議所の「簿記検定試験出題区分表」をご確認ください。

新形式の試験用の対策が必要

2022年度の試験範囲自体は、これまでと大きく変わってはいません。しかし、試験時間が短くなり出題形式も変わったため、新形式に合わせた試験対策をすることが大切です。

基本的な用語の理解や、仕訳の練習が必要なのは従来と変わりませんが、時間を意識した解答を心がけるようにしましょう。

CBT受験の場合はネット試験の解答方法を理解しておくこと

CBT方式を利用した受験の場合、パソコンを使った解答方法や、ネット試験の流れを事前に把握しておく必要があります。従来の試験との違いを知ったうえで、ネット試験用の対策を立てていきましょう。

試験範囲・試験時間はネット試験も統一試験も同じ

簿記3級の試験範囲や試験時間は、CBT方式も統一試験も同じです。いずれも、日本商工会議所が作成した「簿記検定試験出題区分表」の内容に沿って出題されます。

解答方式は選択式・入力式

CBT受験の場合は、パソコンで受験をするため、マウス操作プルダウンの選択で解答をしていきます。例えば、仕訳問題は選択式(プルダウン)です。仕訳問題を解く際、各勘定科目の使用は借方・貸方のなかで1回ずつしか選択できないので、注意してください。

ネット試験用の対策をする

ネット試験では、入力ミスをすると不正解になってしまうので、マウスとテンキーでの操作は正確に行なう必要があります。例えば、金額の入力の場合は、文字や円マークを入力すると不正解とみなされるため、数字のみを入力する点などに注意しましょう。

試験開始前には、パソコンの画面に注意事項が出てくるので、しっかりと読んでから問題に取り組むようにしてください。

ちなみにCBT方式では、試験終了後に自動採点が行なわれるので、すぐに合否を知ることができる大きなメリットがあります。

まとめ

ビジネス関連の資格のなかでも登竜門ともいわれる「簿記3級」は、企業の経営活動を記録して、財政状況を把握するために役立つ資格です。以前は、年3回しか受けられませんでしたが、現在は全国の都道府県の会場で、インターネットを用いて随時受験ができるようになりました。

2021年からは、試験時間や問題数などに大幅な変更がありましたが、正しい勉強法と適切なスケジュール管理で対策をすれば、独学でも合格は十分可能です。

簿記は就職や転職に持っておくと有利なだけではなく、さまざまな場所で活用できる資格です。簿記3級の取得を考えている方は、独学で合格を目指してみてはいかがでしょうか。

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