近年、メンタルヘルスに関する資格への注目度が高まっていることをご存知でしょうか。
メンタルヘルスに関する資格は、国家資格・民間資格ともに存在します。
そのなかでも特におすすめなのが、学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能な「メンタルヘルス・マネジメント検定試験」です。
この記事では、メンタルヘルスに関する資格の特徴や代表例、メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験の概要などを中心に解説します。
メンタルヘルスに関する資格取得を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
メンタルヘルスの定義
そもそも「メンタルヘルス(mental health」」とは、直訳すると「心の健康」という意味を持つ言葉です。「精神保健」や「精神衛生」といった表現をすることもあるメンタルヘルスは、決してネガティブな言葉ではありません。
メンタルヘルスについて考える際は、うつ病や適応障害などの病名が付いた精神疾患だけでなく、ストレスや悩みなどの精神面に影響を与える要因も、取り上げる必要があります。
日々のストレスや悩みをうまく軽減・対処し、心を充実した状態に保てていることが良いメンタルヘルスの状態です。
メンタルヘルスに関する資格の特徴
メンタルヘルスに関する資格は、比較的挑戦しやすい民間試験が多く、さらに近年ではニーズも高まっています。メンタルヘルスに関する資格の特徴を、以下で確認しましょう。
挑戦しやすい民間資格が多い
メンタルヘルスに関する資格は、国家資格・民間資格ともに存在します。特に注目したいのが、チャレンジしやすい民間資格が多いという点です。
例えば、大学・大学院での特定科目の履修といった学歴制限や、年齢制限がない資格もあり、多くの場合は独学での資格取得も目指せます。
さまざまな企業から注目を集めている
近年では、心の健康の不調を訴え休職する従業員の数や、精神障害などによる労災補償請求の件数は増加傾向にあります。業界や職種に関係なく、貴重な人材の確保・定着のためにメンタルヘルス対策を講じることは企業の重要課題となっているのです。
そのような背景から、メンタルヘルス対策として、メンタルヘルスに関する資格の取得はニーズが高まっています。
メンタルヘルスに関する資格の代表例
メンタルヘルスに関する国家資格と、民間資格の代表例を紹介します。
国家資格
メンタルヘルスに関する国家資格の代表例には、公認心理師と社会福祉士が挙げられます。
公認心理師
2018年に誕生した心理の分野を専門とする唯一の国家資格で、心理的支援を必要とする人々へカウンセリングを行なうなど、適切なサポートを提供する仕事です。医療現場や教育現場、一般の会社などで活躍が見込まれます。
参考:厚生労働省 公認心理士
社会福祉士
基本的には、社会保険や労務関係の仕事を行なうソーシャルワーカーです。それに加え、さまざまな事情で日常生活を送ることが困難な人へのサポートを通じ、間接的にメンタルヘルスに関する業務も行なえます。
民間資格
メンタルヘルスに関する民間資格の代表例には、メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験や産業カウンセラー、ケアストレスカウンセラーなどがあります。
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験
働く人々の心の不調を未然に防ぐため、職場での役割に応じたメンタルヘルスケアを理解するための資格です。試験では、メンタルヘルスに関する基礎的な知識や、具体的な対処方法などが問われます。
産業カウンセラー
働く人々が抱える心の悩みを解決できるよう、対象者本人と組織をトータルでサポートする仕事です。資格試験を受験するためには、日本産業カウンセラー協会主催の講座を受講しなければなりません。
参考:JAICO(R)一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
ケアストレスカウンセラー
心の病である「メンタル疾患」への理解を深めることで、対処方法はもちろんメンタル疾患予防の啓発も行なえるようになります。18歳以上が受験できる資格です。
参考:一般財団法人 職業技能振興会 ケアストレスカウンセラー
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験とは?
メンタルヘルスに関する民間資格のなかで、特におすすめなのが「メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験」です。
同検定試験は、厚生労働省が策定した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づいて作られたもので、大阪商工会議所が実施しています。年2回の試験日に全国15都市で実施される公開試験の他に、団体特別試験も行われています。
学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能な点も大きな特徴です。
コースの種類と出題内容
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験には、3種類のコースがあります。
具体的には、一般社員が対象のⅢ種(セルフケアコース)、管理職が対象のⅡ種(ラインケアコース)、人事労務管理スタッフや経営幹部が対象のⅠ種(マスターコース)です。
それぞれのコースの到達目標と出題内容、公式テキストを紹介します。
<Ⅲ種>
【到達目標】
自分自身のストレスの状態に気付けるようになるとともに、必要な対処方法を身につける
【出題内容】
- メンタルヘルスケアの意義
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- セルフケアの重要性
- ストレスへの気付き方
- ストレスへの対処、軽減の方法
- 社内外資源の活用
【公式テキスト】
<Ⅱ種>
【到達目標】
部下の心の不調を予防・早期発見できるようになるとともに、必要なサポート方法を身につける
【出題内容】
- メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- 職場環境等の評価および改善の方法
- 個々の労働者への配慮
- 労働者からの相談への対応(話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
- 社内外資源との連携
- 心の健康問題を持つ復職者への支援の方法
【公式テキスト】
<Ⅰ種>
【到達目標】
自社の方針を踏まえたうえで、メンタルヘルスケアの計画立案・産業保健スタッフなどとの連携・従業員への教育研修が実施できる
【出題内容】
- 企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
- メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- 人事労務管理スタッフに求められる能力
- メンタルヘルスケアに関する方針と計画
- 産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
- 相談体制の確立
- 教育研修
- 職場環境等の改善
【公式テキスト】
合格率から見る難易度
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験の合格率は、Ⅲ種が8割程度、Ⅱ種が6割程度、Ⅰ種が2割程度となっています。
Ⅲ種→Ⅱ種→Ⅰ種と、コースが上がるにつれ難易度も上がっており、特にⅠ種の難易度は非常に高いといえます。公式テキストに対応した問題集で試験対策を行いましょう。多くの方が役に立ったと紹介している問題集が、こちらです。
合格を目指すには、過去問対策も大切です。過去問題集は最新のものを用意して、勉強を進めましょう。
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験資格の活用方法
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験資格を取得したあとは、その資格を積極的に活かせる道を探したいところです。以下では、メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験資格の活用方法を紹介します。
自分自身の心の健康を管理
Ⅲ種(セルフケアコース)では、自分自身のストレスの状態を把握し、心の不調に早く気付けるようになることを目標としています。
メンタルヘルスに関する基礎的な知識を得ることで、ストレスへの対処・軽減方法についての理解を深められるため、自分自身の心の健康をマネジメントしやすくなるでしょう。
従業員の心の不調を早期発見・対応
メンタルヘルス・マネジメントへの意識が高まり、部下や同僚のメンタルヘルス不調に早く気付けるようになります。早期発見により、業務や他の従業員への影響をできる限り抑えられるでしょう。
また、産業保健スタッフなどの専門家と連携についても学ぶため、必要なサポートをスムーズに提供できるようになります。例えば、メンタルヘルス不調から一度休職し復帰した従業員にも適切に対応することが可能です。
職場環境の改善
職場において、長時間労働やハラスメントなど、メンタルヘルス不調の原因となる労働環境を見直せるようになります。
このことは、従業員一人ひとりが、心身ともに健康な状態で働くことのできる「健康経営」の実現につながるでしょう。
結果として、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止できるようになるのはもちろんのこと、生産性の向上や企業としてのイメージアップなども期待できます。
メンタルヘルスの改善や、良好な状態でキープするには、相談を受けて悩みに寄り添い、相談者が悩みや課題を自ら解決できるようにサポートする心理カウンセラーも大きな役割を果たします。心理カウンセラーについては、こちらで紹介してます。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/7018/
まとめ
メンタルヘルスに関する資格は、公認心理師をはじめさまざまなものがあります。そのなかでもメンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験は、学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験できる資格です。
メンタルヘルス・マネジメント(R)検定試験に合格することで、自身や職場全体のメンタルヘルス管理にも役立ちます。
メンタルヘルスへの関心が高まっているなか、職場の環境改善にもつなげられるよう資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。