人間の心理面における問題に対して、臨床心理学をもとにアプローチする臨床心理士(R)。心の専門家として困っている人のサポートをしたいと、臨床心理士(R)を目指す方もいるのではないでしょうか。
臨床心理士(R)になるには、試験に合格して資格を取得しなければなりません。試験には一次試験と二次試験があり、それぞれ試験内容が異なるため、適した試験対策をとることが重要です。
この記事では、臨床心理士(R)の試験を受けるための条件や試験の内容、一次試験・二次試験それぞれの対策について解説します。臨床心理士(R)を目指している方は、ぜひご覧ください。
臨床心理士(R)になるには
臨床心理士(R)は、臨床心理学の知識や技術をもとに、心理面における問題を抱えた人にアプローチする専門職です。不安やストレスなどから、心が不安定になっている状態の解決に向けてサポートします。
臨床心理士(R)に求められる専門業務は、次の4つです。
- 臨床心理査定
- 臨床心理面接
- 臨床心理的地域援助
- 上記に関する調査・研究
臨床心理士(R)は、以上のような臨床心理学に基づいた技法を用いて、相談者の心の支援を行ないます。
多くの臨床心理士(R)も活躍している、人気がある心理職の一つの心理カウンセラーについて、こちらで紹介しています。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/7018/
臨床心理士(R)の受験資格
臨床心理士(R)の資格を得るには、「公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会」が主催する資格試験での合格が必要です。しかし、臨床心理士(R)の資格試験は誰でも受けられるわけではありません。
臨床心理士(R)の資格試験を受けるためには、おもに次の受験資格を得る必要があります。
- 指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している
- 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した
- 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、終了後の日本国内における心理臨床経験が2年以上ある
- 医師免許取得者かつ取得後、心理臨床経験が2年以上ある など
この受験資格を満たすには、通信制も含めた大学・大学院で心理学を学ぶことが原則必要ですから、独学で臨床心理士(R)を目指すことはできません。
臨床心理士(R)の試験
臨床心理士(R)の資格試験では、一次試験と二次試験が行なわれます。
一次試験
一次試験は、筆記試験です。臨床心理士(R)の基礎となる知識を問われる「多肢選択方式試験」と、出題された心理臨床に関するテーマについて論じる「論文記述試験」があります。
多肢選択方式試験は、必要な知識の暗記力よりも、臨床現場で活用できる知識が身についているか問われる出題内容です。基礎知識以外にも、臨床心理士(R)としての基本的な姿勢や態度に関する問題もあります。
論文記述試験は、指定されたテーマについて、1,001文字以上1,200文字以内で論述を記載する試験です。
なお、多肢選択方式試験は2時間30分、論文記述試験は1時間30分の試験時間で、同日に2つの試験が実施されます。
二次試験
二次試験は、2名の面接官と面接を行なう口述面接試験です。一次試験の多肢選択方式試験で、一定の合格ラインに達している人のみ二次試験が行なわれます。
二次試験は、臨床心理士(R)としての基礎知識を確認するだけではなく、臨床心理士(R)としての素質が問われる内容です。
実際に、臨床心理士(R)として業務を行なうモデルのような場面でもあるので、試験というよりも臨床現場といった心構えで臨むことが求められます。
臨床心理士(R)の一次試験対策
臨床心理士(R)の一次試験は筆記試験ですが、どのように対策をすれば良いのでしょうか。
ここでは、臨床心理士(R)の一次試験における対策について解説します。
試験対策の問題集を解く
臨床心理士(R)の試験対策としてやっておきたいことが、市販されている試験対策の問題集を使った演習です。
書店やインターネットサイトなどでは、さまざまな臨床心理士(R)の試験対策用のテキストや問題集が販売されています。
テキストや問題集を選ぶ際は、頻出問題や難問を掲載しているだけではなく、わかりやすい解説が載っているものにしましょう。
解説が充実していれば、試験の出題傾向をつかんだり、難問を理解したりする際にとても便利です。
テキストや問題集によって、出題されている内容や解説方法が異なるため、自分が理解しやすいテキストや問題集を利用してください。
多くの方が役に立ったと紹介しているテキストがこちらです。
過去に出題された問題を解く
一次試験を受ける前には、過去に出題された一次試験の問題を実際に解いてみましょう。過去問を解くことで、実際の試験で出題される問題の傾向をつかむことが可能です。
また、試験の内容に慣れておけば、本番で焦ってしまう可能性を減らせます。時間を測りながら過去問を解けば、より緊張感を持って試験対策ができるのでおすすめです。
過去問は数年ごとにまとめられて、販売されています。最新のものを入手しましょう。
試験対策講座を受ける
独学だけでは試験に不安が残る方は、臨床心理士(R)の試験対策講座を受けてみてください。一次試験が近くなると、大学や塾などで試験の合格率を上げるために、試験対策講座が開催されることがあります。
基本的に有料ですが、試験対策を熟知している講師の講座を受けられる点が大きなメリットです。
独学だけでは、自分が本当に理解できているのか、客観的な判断が難しいといえます。試験対策講座を活用して、理解度を確認してみるとよいでしょう。
また、試験対策講座は講師にわかりやすく解説してもらえるため、独学での勉強が苦手な方や、プロに解説してもらいたいという方にもおすすめです。
臨床心理士(R)の二次試験対策
臨床心理士(R)の二次試験は口述面接試験であるため、ただ知識を蓄えておけば良いというわけではありません。
問われた質問に対して、適切に回答できる力が求められるでしょう。ここでは、二次試験における対策について解説します。
質問内容を想定しておく
二次試験を受験する前に、試験で質問される内容をあらかじめ想定しておきましょう。
二次試験は口述面接試験であるため、面接官から質問された内容に回答する形で試験が進んでいきます。事前に質問内容を想定していなければ、その場ですべての答えを考えて、述べなければなりません。
質問を受けてから考えるとなると、時間がかかるうえ、不適切な回答となってしまう可能性があります。
そのため、二次試験を受ける前には、質問される内容を想定しておき、それに対する適切な回答をある程度考えておくことが重要です。大まかにでも想定しておけば、まったく同じ質問ではなくとも、類似した質問であれば焦らずに回答できるでしょう。テキストや動画で紹介されている対策や、ブログに記載された体験談などを参考にして、質問を予想して解答を準備してください。
出題内容とは関係ありませんが、二次試験会場の扉が重いことがあると受験生が紹介しています。入退室時にはリラックスしてドアを開け閉めしましょう。
模擬面接を行なう
二次試験の前には、模擬面接を行なって十分に練習しておきましょう。質問内容を想定していても、実際に回答するとなると緊張してうまく回答できない可能性があります。
頭では理解していても、うまく回答できなければ面接官に好印象を持ってもらうことができません。
二次試験は実際の臨床心理面接の現場を想定しているものであり、臨床心理士(R)になるうえで素質を確かめる重要な試験です。緊張や練習不足でうまく答えられないということのないように、事前に模擬面接を行なうことをおすすめします。
身だしなみを整える
二次試験を受ける際には、きちんと身だしなみを整えましょう。
臨床心理士(R)は対人の仕事であるため、不潔な印象を与える服装や状況に不適切な服装だと、相談者も安心して相談することができません。
そのため、実際の臨床現場を想定している二次試験では、身だしなみを整えて、清潔感を感じられる服装がよいでしょう。具体的には、スーツやシャツ、ブラウスなどの服装がおすすめです。
まとめ
今回は、臨床心理士(R)になるための一次試験・二次試験における対策について解説しました。
臨床心理士(R)は、心理面に問題を抱えるクライアントに寄り添って、臨床心理学に基づいたアプローチを行なう専門職です。
一次試験対策としては過去問や問題集を何度も解くこと、二次試験対策としては具体的な受け答えの場面を想定して準備しておくことが大事です。特に二次試験は、ただの面接ではなく臨床現場という心づもりでいましょう。
臨床心理士(R)を目指している方は、今回紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。