心理カウンセラーとして活躍したい!代表的な資格や取得ルートを解説

さまざまな悩みに寄り添う「心理カウンセラー」という職業には、問題解決を支援するための専門的な知識や技能が必要です。

専門性の高さを考慮した場合、資格の取得により能力を証明するのが有効といえるでしょう。しかし、資格取得には、受験資格を満たす必要があり、その内容は試験によって異なります。

この記事では、心理カウンセラーの業務適性、おすすめの資格などについて解説します。

心理カウンセラーの仕事について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

心理カウンセラーとはどのような職業?

心理カウンセラーという職業について、どのような仕事なのかをご存じでしょうか。心理カウンセラーが担う役割や、働いている場所について具体的に解説するので、心理カウンセラーになりたいと考えている場合は参考にしてください。

心理カウンセラーは「悩みに寄り添う専門家」

心理カウンセラーは、相談者から心の内を聞き、抱えている悩みに寄り添うことで、相談者本人が解決に向けて動けるようにサポートする仕事です。

専門性のある職業のため、「資格を取得しなければ働けないのでは」と考える方もいるでしょう。

しかし、心理カウンセラーという名称の国家資格などは設けられておらず、たとえ資格を持っていなかったとしても、心理カウンセラーとして働くことは可能です。

現段階では、各団体が認定している民間資格や、心理カウンセリングを行なっている人の総称などに心理カウンセラーという名称を使用している場合があります。

心理カウンセラーが活躍している場所

心理カウンセラーはあらゆる問題解決に貢献する職業であり、多方面から期待を寄せられます。

例えば、子どもから高齢者まで幅広い世代が対象の「福祉分野」、保護者や教師への働きかけにも対応する「教育分野」、職場全般の悩みについて支援する「産業分野」です。給与は勤務先・勤務形態によって異なりますが、病院や企業に勤務すると年収300~400万円程度といわれています。

各分野で抱える問題は異なるため、それぞれの分野に対し、専門性を兼ね備えた心理カウンセラーが不可欠といえるでしょう。

心理カウンセラーのニーズは高まっている

現代社会では、人間関係仕事に悩みを抱えている人の割合は多く、カウンセリングが必要とされる場所は増えていると考えられます。

抱える悩みの種類や大きさは人それぞれ異なり、場合によっては精神状況が不安定になってしまう可能性も否定できません。

このような事態を防ぐため、いつでもカウンセリングを受けられる相談場所を設置する企業や学校が増えています。

相談場所の増加にともない、心理カウンセラーの需要も増えるため、求人は安定し続けて将来性のある職業と考えられるでしょう。

心理カウンセラーに向いている人とは?業務で求められる4つの要素

相談者の悩み一つひとつに寄り添う心理カウンセラーは、問題解決に貢献する重要な役割を担い、相談者一人ひとりに適した対応が求められます。

求められる適正について解説しますので、カウンセリングを行なう場面をイメージしながら理解を深めましょう。

冷静な判断力を保てる

心理カウンセリングを行なう場合、感情移入しないように注意する必要があります。相談者と自身の感情を混同してしまい、冷静な判断力を失う可能性があるからです。

そのため、相談者と向き合う際は、心理的な距離を一定に保ち、適切な判断でカウンセリングを行なわなければなりません。

また、心理カウンセリングを行なうにあたり、問題の解決に支障をきたさないためにも、常に客観的な判断で対応する必要があります。

過度に受け入れようとせず、相談者が抱える悩みを冷静に受け止めることが重要といえるでしょう。

相談者と向き合う際に受容や共感を持てる

カウンセリングは、まず相談者の悩みを聞き出すことから始まります。しかし、初対面の相手に対し、なかなか悩みを打ち明けられない相談者もいるかもしれません。

また、相談者のなかには、自身の悩みを整理できていないケースも見受けられます。このような場合は、無理に聞き出そうとせず、受容の姿勢で相談相手を尊重することが重要です。

適度に相づちを打つなど、共感を伝えることで信頼を築けば相手が自然に相談したくなり、悩みが聞き出せるでしょう。

どのような悩みにも向き合える忍耐力

相談者のなかには、重篤な悩みを抱えている相談者もいます。そのため、心理カウンセラーは、相談者が自身の言葉で話すのを待ち、問題の解消に向けサポートしなければなりません。

前述したように、悩みを整理できていない相談者もいるため、何に悩んでいるのかに気付くまで待ち続ける場合も想定されます。

心理カウンセラーは、そのような場合でも意見を押し付けるなどせず、解消すべき問題に気付くまで忍耐強く待つことも、サポートの一つであると理解しておくべきでしょう。

業務上の連携を行なうコミュニケーション能力

カウンセリングを行なう環境は、相談者とのマンツーマンが基本です。しかし、相談内容によっては専門外の場合もあるため、行政や企業といった多方面にわたる連携が必要になる可能性があります。

問題を解決するには、相談者が抱えている悩みを適切に伝えなければなりません。そのため、スムーズな連携を可能にするコミュニケーション能力が必要といえるでしょう。

心理カウンセラーになるには?資格の必要性や取得ルート

心理カウンセラーに資格を取得する義務はありませんが、資格を取得するとメリットが多いです。

資格の必要性や、資格の取得ルートについて具体的に解説しますので、資格の取得を検討している際はぜひ参考にしてください。

資格取得で知識の証明や信頼につながる

心理カウンセラーは、行動療法精神分析などを行ない、問題解消に向けて尽力します。そのため、心理療法に関する専門知識は不可欠です。

資格の取得は、専門知識を身につけられるだけでなく、知識の証明が可能になり、相談者に頼される要素になります。

知識やスキルが曖昧な状態では、さまざまな悩みに対応するのは困難です。また、資格取得を雇用条件に設定している企業も多いことから、資格は取得しておくべきでしょう。

大学や大学院への通学で受験資格を得る

心理カウンセラーに必要な資格は、大学大学院への通学により取得が可能です。大学などに通学することで、心理学に関連する科目を体系的に学べます。

また、大学などでは、心理カウンセラーにとって有利と考えられる資格の取得も可能です。

しかし、学習期間が長いことや通学する必要があること、学費が高くなる可能性があることを理解しておかなければなりません。

すでに社会人として働いている方や、家事育児と両立する必要がある方にとってはスケジュールの調整が難しいかもしれません。通信制大学への入学も選択肢に入れることをおすすめします。放送大学でも心理学は人気が高く、多くの方が学んでいます。放送大学で目指すことができる資格には、認定心理士、臨床心理士、公認心理師があります(臨床心理士と公認心理師の受験資格には、実務経験も必要)。

通信教育の講座を受講する

大学以外にも、民間主催の団体や協会および通信教育の座により、資格を取得する方法が挙げられます。

大学と比較すると、学ぶ期間や学習費用を抑えた資格取得が可能なことから、心理カウンセラーを目指すハードルは低いと考えられるでしょう。また、社会人や家事育児との両立を考えている人でも、スケジュールを調整しやすいのが特徴です。

しかし、通信講座で取得できる資格の種類は限られているため、検討している資格があればどのような方法で取得できるのかを事前に調べておく必要があります。

心理カウンセラーは資格取得後も学び続ける必要がある

心理カウンセラーは、さまざまな相談者の悩みに対し、常に適切な支援を行なわなければなりません。

そのためには、心理カウンセリングの現場で経験を積み、知識のアップデートやスキルのブラッシュアップを継続的に行なうことが求められます。

自身の知識やスキルをアップデートするには、他のカウンセラーが行なっているカウンセリングの研究や、自身のカウンセリングに対する指導を受けるのが効果的です。

心理カウンセラーの代表的な資格を紹介!取得までのプロセスも解説

資格取得の重要性について解説しましたが、心理カウンセラーとして活躍するにあたり、どのような資格があるのかをご存じでしょうか。

心理カウンセラーに関連のある資格の紹介とともに、資格取得の難易度についても触れますので、資格を取得する際の参考にしてください。

公認心理師

公認心理師は、心理学においては唯一国家資格であり、心理学全般に幅広く対応できる資格です。国家資格であることから、公認心理師法に定められたあらゆる業務を担っており、幅広い対応を行なう専門家として活動できるメリットがあります。

公認心理師の資格を取得するためには、国家試験に設けられた以下2つのうちいずれかの受験資格を満たしたうえで、試験に合格しなければなりません。

  • 大学で必要科目を履修し卒業したのち、特定の施設で2年以上にわたり実務経験を積む
  • 大学と大学院において必要科目を修了する

また、上記2つと同等以上の知識やスキルを持っている場合も、受験資格として認められます。しかし、大学で専門的に学んでいなければ、長期的な学習が必要になることに留意しなければならないでしょう。

公認心理師は、2018年に新設された比較的新しい資格のため、他の資格と比較するとまだ情報は少ないです。高度な専門知識を要する国家資格であり、大学での履修といった受験資格も設けられていることから、資格取得の難易度はやや高めと考えられます。

参考:厚生労働省 公認心理士

臨床心理士(R)

臨床心理士(R)とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の民間資格です。内閣府認可する資格であることから、専門性や信頼性の高い資格といえるでしょう。

臨床心理士(R)の資格があれば、面接査定心理査定技法など、臨床心理士(R)の専門行為に必要な知識の証明が可能です。

臨床心理士(R)の資格を取得するには、日本臨床心理士資格認定協会の試験に合格する必要があります。

協会の試験に設けられた受験資格は、以下のいずれかです。

  • 協会が指定する大学院の修了および所定の条件を満たしていること
  • 臨床心理士養成関連の専門職大学院を修了していること

なお、医師免許を取得している方で、免許を取得したのち、2年以上の心理臨床経験がある方も受験資格として認められます。

試験方法は、筆記による多肢選択論述記述試験、口述面接試験があるため、十分な対策が必要です。

また、受験資格における大学院が指定されているため、あらゆる要素を踏まえた場合、難易度は高めといえるでしょう。

臨床心理士の試験の内容と対策について、こちらで紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/7086/

参考:公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会

産業カウンセラー(R)

産業カウンセラー(R)は、メンタルヘルス対策支援キャリア形成支援環境改善支援などに対応する資格で、一般社団法人日本産業カウンセラー協会により認定されます。

企業団体など組織を対象とした研修や相談、個人への相談に対する精神的サポートがおもな業務内容です。

産業カウンセラー(R)の受験資格は次のとおりです。

  • 試験実施協会による養成講座の修了していること
  • あるいは大学院などで指定の選考を修了および指定科目を修了していること

2020年度実施の産業カウンセラー(R)の試験では、学科試験合格率67.5%実技試験合格率72.4%、学科と実技の総合合格者数は、2,926名中、1,869名でした。

養成講座の受講で受験資格を得られる点においては、公認心理師や臨床心理士(R)よりも難易度は低く感じられるかもしれません。

しかし、総合合格者の割合は63.9%であり、大学や専門講座で多くの知識を学んだ人たちでも、3割以上が不合格になっていることを認識しておく必要があるでしょう。

参考:JAICO(R)一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

メンタル心理カウンセラー(R)

メンタル心理カウンセラー(正式名称、JADP認定メンタル心理カウンセラー(R)資格)は、一般社団法人日本能力開発推進協会(JADP)による民間資格です。

福祉施設や医療現場など、あらゆる業界に必要とされる知識やスキルを証明します。

メンタル心理カウンセラー(R)の受験は、一般社団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定する講座を受講し、受験資格を取得しなければなりません。

在宅受験が可能なことから、テキストを閲覧しながら試験に挑戦できるため、無理に丸暗記するよりも、知識定着を意識した学習方法を行なうとよいでしょう。

メンタル心理カウンセラー(R)の資格を取得する人の傾向として、より専門性の高い知識を証明できる「上級心理カウンセラー」も同時に取得しようとする人が多いようです。

認定講座の受講によって受験資格を得られることや、在宅受験が可能であることを踏まえると、初めて心理学を学ぶ人でも比較的取得しやすい難易度と考えられます。

参考:一般社団法人日本能力開発推進協会 JADP認定メンタル心理カウンセラー(R)

メンタルケアカウンセラー(R)

メンタルケアカウンセラー(R)は、3つの団体(一般財団法人生涯学習開発財団、メンタルケア学術学会、一般財団法人ヘルスケア産業推進財団)による民間資格です。

入門的な資格ではありますが、メンタルケアに必要な心理学やカウンセリング技術の証明につながるため、心理カウンセラーとして活躍する際に役立つ資格といえるでしょう。

メンタルケアカウンセラー(R)の資格を取得するには、まずメンタルケア学術学会が指定する講座を受講し、受験資格を取得します。

メンタルケアカウンセラー(R)に試験という位置付けのものはなく、添削課題の提出や修了認定テスト(レポートの提出)で合格できれば資格を取得できる仕組みです。

在宅で挑戦できることから、難易度は低めと考えられます。しかし、心理カウンセリングを行なう現場では、さまざまな悩みに対応しなければなりません。

実践に支障をきたさないよう、確実な知識の定着を意識して資格取得を目指しましょう。

まとめ

心理カウンセラーとして活躍するには、専門的な知識や技能が必要であり、資格の取得で知識やスキルの証明が可能であることを理解していただけたでしょうか。

取得する資格の種類によっては、受験資格や活躍するフィールドに違いが見受けられます。そのため、どのような問題解決に貢献していくのかについて考えたうえで、取得する資格を検討することが重要です。

心理カウンセラーは、将来性が期待される職業のため、活躍する場面が今後増えることが想定されます。同時に、あらゆる問題解決のスキルが求められるということに理解を深め、多くの人を支援できる心理カウンセラーを目指しましょう。

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