介護福祉士実務者研修とは | 国家資格・介護福祉士への登竜門

経済連携協定(EPA)に基づき、日本の介護施設で就労と研修をおこないながら国家試験に合格した外国人介護福祉士が年々増えています。

介護職の人手不足を解消しようと、待遇の改善と将来性を高めることで介護職員を安定的に確保しようという取り組みも進んでいます。

介護職員の収入を増やして長く働き続けられるように、ベテランの介護職員の処遇を改善したり職能制度・賃金体系などの条件を満たしたりした介護サービス事業所に交付金が支給されています。さらに、将来像を示すことで介護職で働くことのモチベーションを上げようと、2013年には国家資格である介護福祉士とその上級資格の認定介護福祉士へのキャリアパスが整備されました。

この記事では介護職のキャリアパスのひとつである、介護福祉士実務者研修の概要と資格、取り方などについて紹介します。

介護福祉士実務者研修とは

介護福祉士実務者研修とは、さまざまな利用者の希望に合わせた介護サービスをおこなえるように、また制度改正や新たな課題が発生した際に対応できるように、実務経験だけでは修得できない介護の知識や技術、医療ケアの実技を学ぶものです。

その名の通り、介護福祉士国家試験の実務経験ルートでの受験資格になります。介護福祉士実務者研修を修了して、介護職でおよそ3年の実務経験があれば、介護福祉士国家試験を受けることができます。そのため、介護職員として働きながら介護福祉士国家試験の受験を目指して受講している方が多いです。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/1861/

修了すれば、収入も上がる?

介護福祉士実務者研修のメリットは、介護福祉士国家試験の受験資格になるだけではありません。修了していれば、資格手当がつくなど給与が高くなることが調査結果から分かります。

平均給与額

  • 介護福祉士実務者研修・ 288,060円                       
  • 保有資格なし・261,600円       
  • 介護職員初任者研修・285,610円       
  • 介護福祉士・313,920円               

(厚生労働省 平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果より)

介護未経験でも、受講できる?

介護福祉士実務者研修には受講資格はありませんので、介護職未経験の方でも受講することができます。

同じく介護福祉士へのキャリアパスの一つである介護職員初任者研修も受講資格はありませんので、誰でも受けることができます。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/219/

介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修のどちらを受けるべきかは、ご自身の働き方や学び方の希望に合わせて選びましょう。

介護福祉士を目指して介護の仕事を始めるなら、受験資格にもなる介護福祉士実務者研修から始めてもよいでしょう。

介護福祉士実務者研修を受ければ、訪問介護事業所に配置が義務付けられているサービス提供責任者になることができます。サービス提供責任者とはサ責とも呼ばれ、ケアプランに基づいて訪問介護計画書を作り、訪問介護サービスがスムーズに行われるように調整するお仕事なので、介護職のキャリアアップにもつながります。

介護の基本から学びたい方には、介護職員初任者研修がお勧めです。介護職員初任者研修の後に介護福祉士実務者研修を受けると、重複した科目130時間が免除されます。介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修をセットで受講できるスクールや講座もあります。

介護福祉士実務者研修を受けるには

修了時期をチェック!

介護福祉士国家試験の受講資格のために介護福祉士実務者研修を受ける際には、修了(見込み)の時期が大切です。

例年1月下旬に実施される介護福祉士国家試験は、受験申し込み締め切りが8月~9月、介護福祉士実務者研修の修了見込みは3月31日までとコロナ対策のため長めに設定されています。今後の日程については、注意が必要です。

ご自身が受ける年の介護福祉士国家試験の試験概要で、受験資格を満たすにはいつまでに修了(見込み)すればいいのか確認して、受講スケジュールを立てましょう。

介護福祉士実務者研修の受講期間は、およそ6カ月です。修了見込み証明書の発行時期を、受講前に確認しましょう。受講手続きの完了後すぐに発行されることもあります。

【介護福祉士国家試験 公式サイト】

介護福祉士国家試験、介護福祉士国家試験、精神保健福祉士国家試験:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
介護福祉士国家試験、介護福祉士国家試験、精神保健福祉士国家試験、資格登録、その他社会福祉事業についてのご案内など。

内容

カリキュラムは450時間で、内容は以下の通りです。

<研修内容>

・社会福祉制度(介護保険等)
・認知症の理解
・医療の知識
・障害の理解
・介護技術
・介護過程
・たんの吸引、経管栄養 等

厚生労働省・介護福祉士養成施設等における「医療的ケアの教育及び実務者研修関係」 3.参考より

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf

介護職員初任者研修や、過去に行われていた訪問介護員養成研修(ホームヘルパー)1〜3級、介護職員基礎研修を受けていると一部科目が免除されます。

全てのカリキュラムを終えた後に修了試験は義務付けられていませんが、スクールや講座によってレポートを提出やテストが実施されています。

通信講座で自宅での受講も可能ですが、スクーリングも必修ですので、通学することも含めてスクールや講座を選びましょう。

介護のお仕事もしながら介護福祉士目指して受講中のたんたんさんです。学生時代と違って、授業を受けるのも久しぶりで新鮮に感じているようですね。

介護福祉士国家試験の合格を目指して頑張ってくださいね。

費用

ユーキャン、日建学院、たのまな、大原、三幸福祉カレッジなどで、通学、通信添削、Web講座などさまざまなスクールや講座が開設されています。

受講料は、15〜20万円前後です。介護職員初任者研修などを受けていると一部科目が免除されるため、受講料を抑えることができます。

介護福祉士国家試験の受験も計画しているなら、効率的に受験勉強を進めるために介護福祉士実務者研修と介護福祉士受験対策がセットになったものがお勧めです。

ニチイ、ベネッセなどの老人ホームや訪問介護事業所を運営している講座では、その事業所に就職するなどの条件を満たすと、受講料が無料になったり割り引きされたりすることがあります。また、修了時には就職活動のサポートをしてくれるスクールや通信講座もあります。

教育訓練給付制度、ハロートレーニング、求職者支援制度など、受講料や生活費の支援をしてくれる国の制度を利用できる場合もあります。概要や支給要件等は、こちらでご紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/792/
https://college.coeteco.jp/blog/archives/84/
https://college.coeteco.jp/blog/archives/779/

まとめ

少子高齢化が進む日本では、介護の需要は高まるばかりです。介護福祉士実務者研修によって介護の専門的な知識と技術を身につければ、介護の現場で頼りにされることでしょう。

介護福祉士実務者研修で受験資格を得て介護福祉士になれば、介護に関する相談へのアドバイスや介護職員の指導や教育も求められる介護のプロフェッショナルとなることができます。

介護福祉士実務者研修を修了して、介護のプロフェッショナルを目指してみませんか。

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