介護福祉士とは|信頼される介護のプロフェッショナルの資格

昨年2019年秋に行われた介護報酬改定では、介護職員等特定処遇改善加算が創設されて「勤続10年以上の介護福祉士の給与が8万円あがる?!」と大きな話題になりました。

超少子高齢化が進む日本では、介護業界は人手不足が大きな問題であり、介護福祉士への期待は高まる一方です。

この記事では介護福祉士の仕事内容や、試験概要、勉強方法について紹介します。

介護福祉士とは

仕事内容

介護福祉士は、1987年に「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づいて誕生した国家資格です。

高齢者や障がい者の食事・排泄・入浴の介助など生活動作を支援する身体介護や、日常生活の家事を行う生活援助を通して、利用者が自分らしく生活できることを目指します。利用者やその家族からの介護に関する相談へのアドバイスや、介護職員の指導や教育も行います。

主な職場は、老人ホーム、デイサービス、訪問介護事業所など高齢者の介護のための施設ですが、障がいのある子どものための放課後等デイサービスや、病院でも活躍しています。

介護福祉士の資格をとるメリットとは

介護職員の中で介護福祉士が占める割合が多いと、介護保険のサービス提供体制強化加算の対象になります。そのために介護福祉士を積極的に採用する介護施設が多くあります。このような、介護の現場で活躍する介護福祉士を増やそうという政策にも後押しされているので、資格があれば就職・転職にも有利になります。

国家資格である介護福祉士は更新の義務などはなく、日本全国どこでも高いニーズがありますので、離職していても再び働き始めやすいのも利点です。

また、介護福祉士は介護職員のキャリアパスの到達点の一つと位置付けられています。

無資格でも介護職員として働くことはできますが、身体介護を行うためには介護職員初任者研修が必要です。さらに実務者研修を経て、介護に関する唯一の国家資格である介護福祉士になれば、利用者やその家族、介護に携わるスタッフから介護のプロフェッショナルとして信頼されます。

他の介護職員に比べて平均給与額も高いのも特長です。

平均給与額

  • 介護福祉士・313,920円     
  • 実務者研修・ 288,060円                       
  • 介護職員初任者研修・285,610円       
  • 保有資格なし・261,600円                 

(厚生労働省 平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果より)

介護福祉士の上位資格にあたる認定介護福祉士が誕生したことも、、介護福祉士への期待がますます高まっている証拠といえるでしょう(認定介護福祉士は、5年以上の実務経験と、600時間の研修を経てなることができる民間資格です)。

介護福祉士になるには

介護福祉士になるためには、介護福祉士国家試験に合格して登録を行わなくてはなりません。介護福祉士国家試験には受験資格があります。

受験資格

  1. 実務経験ルート
  2. 養成施設ルート
  3. 福祉系高校ルート
  4. 経済連携協定(EPA)ルート 

1. 実務経験ルート

従業期間1,095日かつ従事日数540日という、およそ3年の実務経験があって、実務者研修か、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了していれば、受験することができます。実技試験は免除されます。

2. 養成施設ルート

養成施設を修了すると受験資格を得ることができます。実技試験は免除されます。

平成28年度以前に修了された方は、卒業と同時に介護福祉士の資格を取得できました。また、令和8年度末までに卒業する方は、卒業後の5年間は介護福祉士になることができます。その間に合格するか、5年間介護等の業務に従事すれば、そのまま介護福祉士の登録を継続することができます。

3. 福祉系高校ルート

入学・卒業年度とカリキュラムにより、実技試験の免除の有無が異なります。

  • 平成21年度以降に入学し、新カリキュラムを修了し、卒業
  • 平成21年度以降に入学し、特例高校のカリキュラムを修了し、卒業
  • 平成20年度以前に入学し、旧カリキュラムを修了し、卒業

4. 経済連携協定(EPA)ルート 

経済連携協定に基づいて、インドネシア人、フィリピン人、ベトナム人の方々が日本の介護施設で就労と研修をおこない、受験資格を得ます。

介護福祉士国家試験の公式サイトで、受験資格を確認できます。

http://www.sssc.or.jp/kaigo/q_a.shtml

試験日

試験は筆記と実技に分かれて、年に1回行われます。

令和2年度の第33回は、筆記試験が2021年1月31日(日)に全国34か所で、実技試験が同年3月7日(日)に東京と大阪で行われます。

申し込みは、受験申込書及び必要な書類を郵送しておこないます。受験手数料は15,300円です。

試験内容・合格基準・合格率

筆記試験

合格するには問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を得点しなくてはなりません。さらに試験科目11科目群の全てから得点することが必要です。

問題構成は、人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケアの4つの領域と総合問題です。1問1点の125点満点で、マークシート形式で行われています。

過去の試験問題と正答などが公開されています。

http://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/index.html

実技試験

課題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を得点しなくてはなりません。

合格率は約60~70%で推移しています。2020年に実施された第32回介護福祉士国家試験では、受験者数が84,032人、合格者数が 58,745人で、合格率は69.9 %でした。

介護福祉士国家試験の詳細は、公式サイトでご確認ください。

http://www.sssc.or.jp/kaigo/index.html

介護福祉士国家試験に合格するためには

介護福祉士国家試験に合格した方は、独学や、スクール、通信講座などで勉強されています。

独学

働きながら、忙しい時間の合間をぬって勉強して合格された方も多くいます。

仕事と家事の合間に勉強されて介護福祉士国家試験に合格された奥様の学習法を、「さるオヤジ」さんが紹介しています。

嫁さん曰く、

3年の実務経験があれば、特に勉強しなくても日頃の勤務と経験で何とか半分近くは得点できる、日頃の勤務で目にする事が無い言葉や語句を重点的に学習した

そうです。

https://www.saru-oyaji.xyz/entry/2016/05/08/184803

理解していないことや覚えていないことを重点的に勉強すれば、効率的に試験対策が進められますね。

また、働きながら受験勉強していると、数多くの問題集や参考書をやりきるのも難しいですね。介護福祉士の「ハレくん」さんが、直前期の問題集の使いかたを紹介しています。

多くの合格者が使用したり、勧めたりしている問題集がこちらです。

スクール、講座

大原、三幸福祉カレッジ、ユーキャンなどで、さまざまなスクールや講座が開設されています。通学、通信添削、Web講座などいろいろなスタイルがあり、費用は5万円~20万円程度です。

介護福祉士国家試験の合格をサポートしてくれるスクールや講座は、教育訓練給付制度の対象になっている場合があります。教育訓練給付制度とは、支払った費用の一部が国から支給されるお得な制度です(金額に上限あり)。是非ご活用ください。

教育訓練給付制度の概要や支給要件等は、こちらでご紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/792/

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まとめ

超少子高齢化が進んでいく中で、介護の需要はますます高まっています。介護の現場で働く介護福祉士を増やそうとする動きは、さらに拡大することが予想されます。

介護のプロフェッショナルとして認められている介護福祉士になれば、就職や転職も有利に進めることができて、一生活躍することが可能です。

介護を受ける利用者が自分らしく過ごせるように助ける介護福祉士の仕事は、やりがいがあって、社会に貢献できる仕事でもあります。利用者やその家族、介護に携わるスタッフから信頼される介護福祉士の資格の取得を目指してみませんか。

ケアマネジャーの資格についてはご存知ですか?

https://college.coeteco.jp/blog/archives/1553/

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