職業訓練受講給付金とは?もらえる条件と取れる資格・スキルを確認しよう!

雇用保険の被保険者でも加入期間が足りず失業給付を受け取れない方や、そもそも雇用保険に加入していない方などが対象の、給付金を受けながら職業訓練を受講できる「職業訓練受講給付金」をご存じですか?
厳しい条件を満たす必要がありますが、職業訓練を無料で受けられる上に月額10万円を受け取れる制度です。生活費の補助を受けながら新しい資格の取得やスキルを身につけられる、夢のような環境を手に入れられます。
この記事では、職業訓練受講給付金の概要、対象者、受給方法などを紹介していきます。

なお、一般的に「失業保険」「失業手当」「失業給付」などと呼ばれている給付金の正式名称は「雇用保険の基本手当」です。

ハロートレーニング(職業訓練)についてはこちら!

https://college.coeteco.jp/blog/archives/84/

雇用保険の被保険者向けの教育訓練給付制度についてはこちら!

https://college.coeteco.jp/blog/archives/792/

職業訓練給付金とは

どんな制度?

職業訓練受講給付金は雇用保険を受給できない方の早期就職を実現するため、国が就職の支援を行う求職者支援制度の一部です。

求職者支援制度とは、再就職や転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金をもらいながら、無料の職業訓練を受講でき、就職のためのアドバイスも受けられる制度です。制度は3つの内容の総称であり、そのうちの1つが給付金。
条件を満たせば職業訓練中の生活支援のために月10万円もの手当が貰えます。生活費や就職活動費の心配をせずに職業訓練に取り組むことが可能に。
対象の職業訓練自体はテキスト代以外は無料で、Word・Excelや医療事務、ITエンジニア、介護、経理などの技術を身につけられる講座が開講されています。
ハローワークでは就職相談、履歴書作成・面接のアドバイスなど、就職に関する手厚いサポートを受けられます。

職業訓練で身につけられる知識やスキル

求職者支援制度の対象である職業訓練では、下記のような知識やスキルを身につけることが可能です。

  • 基礎:ビジネスマナー、Word、Excel、PowerPointなど
  • IT:プログラミング、コーディングスキル、アプリケーション開発技術
  • 営業・販売・事務:簿記、登録販売者、宅地建物取引者
  • 医療事務:医療・介護事務、調剤事務
  • 介護福祉:介護職員初任者研修、介護職員実務者研修
  • デザイン:Illustrator、Photoshop、建築デザイン、空間デザイン、塗装

選んだ訓練によって身につけられる知識やスキルは様々です。訓練によって学べる内容は少しずつ違うので、訓練内容をよく確認しながら選択しましょう。
職業訓練の検索はハローワークのインターネットサービスでできます。

職業訓練について詳しく知りたい方はこちらの記事で解説しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/84/

給付金の支給額

職業訓練受講給付金は以下の3つで構成されています。

  • 職業訓練受講手当:月額10万円
  • 通所手当:上限42,500円
  • 寄宿手当:月額10,700円(該当者のみ)

職業訓練受講手当は条件を満たした人のみ支給されます。
通所手当は、最安値かつ最短の経路の運賃または料金の額を受給可能。また、職業訓練受講手当の対象外の人であっても、条件を満たせば通所手当のみ受給可能です。条件については後ほど説明します。
寄宿手当は、訓練を受けるにあたってハローワークが必要性を認めた方のみ支給されます。

制度を利用している全員が3つの手当全てをもらえるわけではないので、注意しましょう。

給付金の支給期間

職業訓練の開始から終了までの期間分、給付金が支給されます。職業訓練は2~6ヵ月程度です。
訓練期間が終了すると給付金の支給も終了してしまうため、できることなら訓練期間中に就職を決めたいですね。
なお、一度、給付金の支給を受けている場合は、最初の訓練開始日から6年経過してないと受給できません。

職業訓練受講給付金の対象者と条件

給付金を受給するためには、特定求職者であることかつ、給付金の支給要件を満たす必要があります

特定求職者とは

特定求職者は制度の支援対象者のことです。
厚生労働省のサイトでは、特定求職者とは以下の全ての要件を満たす人であると説明されています。

  • ハローワークに求職の申込みをしていること
  • 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
  • 労働の意思と能力があること
  • 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
引用:求職者支援制度のご案内

具体的には、失業給付の受給期間中に再就職できないまま期間が終了した方や雇用保険の加入期間が足りず失業給付が受給できない方、そもそも雇用保険に加入していない方、自営業を廃業した方、就職が決まらないまま学校を卒業した方などが当てはまります。
なお、現在働いている方で労働時間が20時間以上の方や、短期・短時間就労のみを希望する方は原則として特定求職者には当てはまりません。

給付金の支給要件

給付金を受給するには厚生労働省のサイトで以下の要件を満たす必要があると説明されています。

  • 本人収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月30万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
  • 訓練実施日全てに出席する
    (やむを得ない理由により欠席し、証明できる場合(育児・介護を行う者や求職者支援訓練の基礎コースを受講する者については証明ができない場合を含める)であっても、8割以上出席する。)
  • 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
  • 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
  • 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
引用:求職者支援制度のご案内

なお「本人収入が月8万円以下かつ世帯全体の収入が月30万円以下」の要件を満たさない場合であっても「本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下」でその他の要件を全て満たす場合は、通所手当のみ受給することが可能です。

公費が投入される事業なので、出席率はかなり重視されます
やむを得ない理由なく訓練を欠席・遅刻・欠課・早退したり、ハローワークの就職支援を拒否したりすると、給付金を一部、または全額受給することができなくなります。さらに、これらの行為を何回も繰り返すと、給付金の返還が命じられることもあります。
たとえ、やむを得ない理由による欠席であっても、1ヵ月ごとに8割以上の出席率がなければ、給付金を受給することはできません

2023年4月から支給要件が緩和されていますが、かなり厳しい条件なので熱心に訓練や求職活動に取り組むことが大前提!
給付金を受給して職業訓練を受ける場合は最後まで続ける必要があるので「選択した訓練コースが本当に自分の希望する就職先の分野であるかどうか」を事前にじっくり考えましょう。

職業訓練受講給付金と失業保険の違い

ハローワークで給付金と聞くと「雇用保険の基本手当」いわゆる失業給付・失業保険・失業手当が有名ですが「職業訓練受講給付金」と何が違うのかよくわからない方もいると思います。

簡単に違いを説明すると、職業訓練受講給付金は失業給付をもらえない人が職業訓練を受けている間もらえる給付金。訓練中の生活支援が目的です。
一方、失業給付は離職してから再就職するまでの間にもらえる給付金です。再就職するまでの生活支援が目的です。失業給付の場合、職業訓練を受講しているかどうかは問われません。

なお、職業訓練受講給付金は失業給付を受給できない人を対象としているため、失業給付と同時に受給することはできません

職業訓練受講給付金を受給するまでの流れ

  1. ハローワークで求職者支援制度の説明を受ける
  2. 訓練コースを選び、必要書類を受け取る
  3. ハローワークで受講申し込みと給付金の事前審査を申請する
  4. 受講申込書を訓練実施機関に提出する
  5. 訓練実施機関による選考を受ける。面接・筆記試験等を受験
  6. 合格後、ハローワークにて就職支援計画を作成する
  7. 訓練受講中~修了後3ヶ月は月1回の指定日にハローワークに行き、職業相談と給付金の申請を行う

給付金の手続きは、原則として1回行われる「事前審査」と、月ごとに行う「支給申請」に分かれます
制度の性質上、ハローワークに何度も足を運ぶ必要があります。特に月に1度、あらかじめ指定された日(指定来所日)に行う職業相談は、病気や面接等のやむを得ない理由以外で欠席すると、給付金の受給に関わるため、気をつけましょう。

職業相談後に行われる給付金の申請では以下の内容が確認されます。

  • 支給申請書は訓練実施施設により証明(出欠の受講証明)されているか
  • 出席要件を満たしているか
  • 事前審査で確認した支給要件について、支給を受けようとする支給単位期間においても引き続き満たしているか

参考:求職者支援制度・訓練受講のしおり

場合によっては、世帯・収入・資産などに関する確認資料が必要となるので、事前審査に通過したらかといって破棄しないように注意しましょう。

まとめ

職業訓練を受講しながら、生活のために働くことは不可能ではありません。しかし、できることならお金のことは考えずに訓練校での勉強や就職活動に集中したいところ。
職業訓練受講給付金は支給条件が厳しいですが、生活費の補助を一部とはいえ得ることができるため、勉強に集中し、希望する就職先への切符を獲得する大きな助けとなるでしょう。新しいスキルを身につけてより良い条件で就職したいと希望する場合は、まず自分が職業訓練受講給付金の支給要件に該当するかどうか確認してはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました