
新たな資格やスキルを取得して就職するために職業訓練を受けたいけれど、訓練に通っている間の生活が不安……。
そんな時、職業訓練を受講している間、国が経済支援を行ってくれる、職業訓練受講給付金という制度があります。
この記事では、職業訓練受講給付金の概要、対象者、受給方法等を紹介していきます。
ハロートレーニング(職業訓練)についてはこちらから!

雇用保険の被保険者向けの教育訓練給付制度についてはこちらから!

職業訓練給付金とは
どんな制度?
職業訓練受講給付金とは、雇用保険を受給できない方の早期就職を実現するため、国が支援を行う求職者支援制度に基づく制度です。厚生労働省のサイトでは制度の趣旨について詳しく説明されています。
・求職者支援制度は、再就職、転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度です
・訓練開始前から、訓練期間中、訓練終了後まで、ハローワークが求職活動をサポートします
・離職して雇用保険を受給できない方、収入が一定額以下の在職者の方などが、給付金を受給しながら訓練を受講できます
・給付金の支給要件を満たさない場合であっても、無料の職業訓練を受講できます
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
職業訓練を受講することが前提ですが、失業手当を受け取れない状態で就職を目指す時に大変助かる制度です。
2023年3月末までの特例措置として、転職せずに働きながらスキルアップを目指す方も訓練を受講できるようになっています。
支給額は?
支給金は以下の3つで構成されています。
・職業訓練受講手当 月額10万円
・通所手当 上限額あり
・寄宿手当 月額10,700円
通所手当は、最安値かつ最短の経路の運賃または料金の額が支給されます。寄宿手当は、訓練を受けるにあたってハローワークが寄宿の必要性を認めた方に支給されます。
職業訓練自体はテキスト代以外無料ですが、生活や就職活動には何かとお金が掛かるもの。月10万円も手当が貰えるのはかなり嬉しいですね。
支給期間は?
職業訓練の開始から終了までの期間給付金が支給されます。職業訓練は2ヶ月~6ヶ月程度なので、その期間の分だけ支給されます。
訓練期間が終了すると給付金の支給も終了してしまうため、できることなら訓練期間中に就職を決めたいですね。
また、一度給付金の支給を受けている場合は、最初の訓練開始日から6年経過してないと給付金は支給されません。
どんな人が対象なの?
給付金を受給するためには、特定求職者であることかつ支給要件を満たす必要があります。
特定求職者とは
厚生労働省のサイトでは、特定求職者とは以下の全ての要件を満たす必要があると説明されています。
・ハローワークに求職の申込みをしていること
・雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
・労働の意思と能力があること
・職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
具体的には、失業手当の受給期間中に再就職できないまま期間が終了した方や雇用保険の加入期間が足りず失業手当が受給できない方、そもそも雇用保険に加入していない方、自営業を廃業した方、就職が決まらないまま学校を卒業した方などが当てはまります。
また、現在働いている方で週所定労働時間が20時間以上の方や、短期・短時間就労のみを希望する方は特定求職者には当てはまらないので、注意が必要です。
支給要件
こちらも厚生労働省のサイトで以下の要件全てを満たす必要があると説明されています。
・本人収入が月8万円以下
シフト制で働く方などは月12万円以下 (※)・世帯全体の収入が月40万円以下(※)
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・訓練の8割以上に出席する(※)
(病気や仕事など以外の理由で訓練を欠席した場合、給付金は日割りで支給します)・世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
・過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
※ 令和5年3月末までの特例措置
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
公費が投入される事業なので、出席率はかなり重視されます。2023年3月末までの特例措置により、一時的に要件は緩和されていますが、熱心に訓練や求職活動に取り組むことが大前提!
やむを得ない理由なく訓練を欠席したり、ハローワークの就職支援を拒否したりすると、給付金を一部、または全額受給することができなくなります。さらに、これらの行為を何回も繰り返すと、給付金の返還が命じられることもあります。また、やむを得ない理由による欠席であっても、支給を受けようとする支給単位期間ごとに8割以上の出席率がなければ、給付金を受給することはできません。
訓練を最後まで続ける必要がありますので、給付金を受給して職業訓練を受ける場合は、選択した訓練コースが本当に自分の希望する就職先の分野であるかどうか事前にじっくり考える必要があるでしょう。
受給の流れ
①ハローワークで求職者支援制度の説明を受ける
②訓練コースを選び、必要書類を受け取る
③ハローワークで受講申し込みと給付金の事前審査を申請する
④受講申込書を訓練実施機関に提出する
⑤訓練実施機関による選考を受ける
⑥合格後、ハローワークにて就職支援計画を作成する
⑦訓練受講中~修了後3ヶ月は月1回の指定日にハローワークに行き、職業相談と給付金の申請を行う
制度の性質上、ハローワークに何度も足を運ぶ必要があります。特に月に1度の職業相談は病気や面接等のやむを得ない理由以外で欠席すると、給付金の受給に関わるため、気をつけましょう。

まとめ
職業訓練を受講しながら、生活のために働くことは不可能ではありません。しかし、できることならお金のことは考えずに訓練校での勉強や就職活動に集中したいところ。
職業訓練受講給付金は支給条件がやや厳しいですが、生活の助けを少し得ることができるため、勉強に集中し、希望する就職先への切符を獲得する大きな助けとなるでしょう。
職業訓練の受講を検討する際は、まず自分が給付金の支給要件に該当するかどうか調べてみてはいかがでしょうか。