介護・福祉のスキルアップに!|無試験で取得できる介護系資格「ガイドヘルパー」

高齢者のよりいっそうの増加が見込まれる2025年問題を目前に、介護・福祉系サービスの需要が高まる中、資格取得をお考えの方も多いのではないでしょうか。

ガイドヘルパー無試験で比較的簡単に取得できる介護系の資格で、これから介護の仕事を始めたい方や現在介護系の仕事をしている方のスキルアップにおすすめです。

今回は、ガイドヘルパーとはどのような仕事なのか、どのように取得するかなど詳しくまとめてみました。

ガイドヘルパーとは

ガイドヘルパーとは、1人で移動できない障害がある方をサポートする資格です。2003年に正式名称として「移動介護従業者」と呼ばれるようになりましたが、2006年に外出介護サービスが市町村の地域生活支援事業へと移行された後は「移動介護従事者」「移動支援従事者」と呼ばれることもあります。

移動介護従業者には3種類あり、

・視覚障害→同行援護従業者
・知的・精神障害→行動援護従業者
・全身性障害→全身性障害者ガイドヘルパー(全身障害者移動介護従業者)

このように、利用される方がどのような障害を持っているかによって名称や研修内容、仕事内容が異なります。通院や散歩、旅行など外出時の介助をおこなって自立支援とQOL(生活の質:Quality of Life)の維持や向上を目指します。

上記の中で、2021年3月までは知的・精神障害の方の移動に関しては介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)以上の資格があればガイドヘルパーの資格がなくても移動の介助が可能でしたが、2021年4月以降は行動援護従事者研修の受講が必須となっています。

視覚障害、全身性障害の方の移動の介助も研修を受講してガイドヘルパーを取得する必要がありますが、介護系資格があると科目が免除になる場合もあります。

ガイドヘルパーの仕事内容

同行援護従業者

同行援護従業者は視覚障害の方の外出サポートをおこないます。ガイドヘルパーの中では同行援護従業者の需要が一番多いと言われています。

視覚障害により著しく単独での歩行や移動が困難な方のために、

・外出先での動作の補助や必要な情報の提供
・必要に応じて代読や筆談
・トイレや食事の介助

などをおこないます。

行動援護従業者

行動援護従業者は知的・精神障害の方の外出サポートをおこないます。そういった方の通院や外出時の問題や危険を回避して安全に移動できるよう支援します。

例えば

・初めて行く場所でパニックになって問題行動を起こしてしまわないよう行くまでの道順や行動を説明する
・利用者さん一人ひとりの問題行動が起きるパターンを理解して回避できるよう工夫する
・突発的な危険行動や急に動かなくなるなどの極端な行動が見られる場合は冷静に対処し安全を確保する
・外出中の食事の介助や排泄のサポート(排泄確認ができない場合)

などをおこないます。

中でも、生活する上で高い頻度で著しく不適応な行動が見られ、特別な配慮が必要な「強度行動障害」の方のサポートには「強度行動障害支援者」という資格があります。

全身性障害者ガイドヘルパー(移動介護従業者)

全身性障害者ガイドヘルパーは病気や事故などで全身性の麻痺や機能障害がある方の外出のサポートをおこないます。

主に、

・車椅子で安全に移動するための介助
・段差や階段などの情報を伝え、歩行時の介助
・食事や排泄の介助
・その他代筆や代読など外出先で必要となる生活上の介助

などをおこないます。

ガイドヘルパーの資格取得方法とは

研修にかかる時間

ガイドヘルパーの資格は、各都道府県または市町村が実施する研修か、介護や福祉系のスクールなどでおこなわれている研修を必要時間受講すれば取得できます。

地域によりカリキュラムや時間が異なったり、前述のように他の介護系資格の有資格者は科目免除されたりする場合もありますが、研修にかかる時間は

・同行援護従業者養成研修:一般課程12時間、応用課程8時間
・行動援護従業者養成研修(または強度行動障害支援者養成研修):24時間
・全身性障害者ガイドヘルパー養成研修:講義12時間、演習5時間

概ね上記の時間の研修を受講します。

同行援護従業者養成研修については一般課程と応用課程とありますが、同行援護従業者として働くだけなら一般課程を修了すれば可能です。サービス提供責任者になるなら一般課程終了後に応用課程を受講する必要(他の介護系資格や実務経験があっても必須)があります。

研修実施先

都道府県や市町村が実施する場合は、指定事業者(介護施設やスクールなど)が研修をおこなうことが多いようです。都道府県や市町村のホームページ社会福祉協議会のホームページなどで募集しているのでチェックしてみましょう。

また、同行援護従業者養成研修は「視覚障害者福祉協会」などでも研修を開催していることがあるので、お住まいの地域の視覚障害者福祉協会ホームページを確認してみてください。

都道府県や市町村の指定事業者がおこなう研修は年度で研修時期や受講できる定員が決められており、申し込み期間が過ぎたり定員が埋まってしまったりすると研修を受けることができません。

ただ指定事業者以外の介護系スクールでも研修はおこなわれていますし、同行援護従業者養成研修と行動援護従業者養成研修はオンライン講座を開講しているスクールもあるため、そういったスクールを検索してみるのも良いでしょう。

介護系有資格者の資格要件

同行援護従業者

同行援護従業者養成研修を受講すれば取得できます。

介護系の資格がある、相応の研修を修了している方は、実務経験があれば同行援護従業者養成研修一般課程を受講しなくても資格が取得できます。(※ただしサービス責任者の場合は、応用課程の研修は必須)

・介護福祉士
・介護職員初任者研修課程修了者
・訪問介護員養成研修1・2・3 級課程修了者

などの資格があり且つ「視覚障害を有する身体障害者等の福祉に関する事業(直接処遇職員に限る)に、1年かつ180日以上従事した経験を有する者」、もしくは「国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者またはこれに準ずる者」は同行援護従業者として働くことができます。

介護系の資格をお持ちの方は当てはまるかどうか都道府県の資格申請窓口でチェックしてみてください。

行動援護従業者

行動援護従業者は、研修のほかに実務経験が求められます。行動援護従業者として働くには、

・行動援護従業者養成研修または強度行動障害支援者養成研修のいずれかを修了
・知的障害者(児)・精神障害者の直接支援業務に1年かつ180日以上の従事経験

上記の要件を両方満たす必要があります。

全身性障害者ガイドヘルパー

全身性障害者ガイドヘルパー養成研修を受講すれば取得できます。

・介護福祉士
・介護職員初任者研修課程修了者
・実務者研修修了者

上記のような介護系資格の有資格者は免除になる科目があるので、研修先の機関のカリキュラムをご確認ください。

資格取得にかかる費用は?

都道府県や市町村の指定事業者やスクールがおこなう研修を調べたところ、

・同行援護従業者養成研修:一般課程と応用課程でそれぞれ20,000円〜40,000円台
・行動援護従業者養成研修:20,000円〜40,000円台
・全身性障害者ガイドヘルパー養成講座:20,000円〜40,000円台

費用は概ね上記のような価格でした。

先ほどの項でも述べましたが、介護系資格の有資格者は科目と受講費用の免除が適応される場合があるので資格をお持ちの方は問い合わせてみると良いでしょう。

また、介護系スクールの場合、授業を欠席した場合の振替受講が無料(そのスクールの別コースで振替)や独自の割引、就職時の相談を受け付けているところもあるので、サポート内容もしっかり確認しておくことをおすすめします。

取得するとどんなメリットがあるの?

ガイドヘルパーの資格を取得すると

・担当できる業務が増え仕事の幅が広がる
・就職や転職に有利
・外出を通して1人ひとりに合わせた支援ができ、やりがいを感じられる

このようなメリットがあります。

2021年4月から行動援護従業者も研修の受講が必須になったため、施設などでは外出のサポートをするには必ずガイドヘルパーの資格が必要です。

施設内での仕事だけでなく外出における業務も担当できるようになりスキルアップがはかれますし、資格があれば就職や転職の際のアピールポイントにもなります。

また外出中は一対一でサポートすることが多く、しっかりと利用者の方と向き合いその方に合わせたきめ細かい支援をおこなうため、外出することで喜ぶ姿を間近で見ることもできますしやりがいも感じられるでしょう。

ガイドヘルパーの給料(時給)は?

ガイドヘルパーは、時給1,000円〜1,400円ほどで求人を出しているところが多いようです。お住まいの地域や介護系の他資格の有無などで変わると思いますので、お住まいの地域で検索してみてください。

まとめ

ガイドヘルパーは、障害のある方が安心して外出するために欠かせない仕事であり、今後高齢化が進むにつれて外出時の介助の需要は高まることが予測されます。

ただ、種類によって学ぶ内容や仕事内容、求人の状況なども異なるため、しっかり調べてご自身が今後どのように働いていきたいかを考えると良いでしょう。

今回の記事が参考になれば幸いです。

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