年金アドバイザーとは?試験内容と対策方法を解説

年金アドバイザーは、ますます高齢化が進む日本において、将来性のある資格といえます。銀行や信用金庫など、金融関係の方が多く受験する民間資格ですが、年金の知識を深めたい一般の方も受験することがあるようです。

そのため、年金アドバイザーの資格に関して、どのような試験が行なわれているのか、取得するとどのような仕事に生かせるのか、気になる方もいることでしょう。

この記事では、年金アドバイザーの資格情報を紹介します。併せて、年間で多くの人が受験するといわれる、年金アドバイザー3級を中心に試験対策を解説するので、取得を検討している方はぜひご覧ください。

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年金アドバイザー試験とは?

はじめに、年金アドバイザーの仕事内容や受験資格、設定されている級を解説します。

年金アドバイザーとは?

年金アドバイザーとは、銀行業務検定協会が実施している民間の資格です。年金や公的保険に関する相談、研修・指導を行なうための専門的知識のレベルを認定してもらえます。

試験の合格率は2021年までの直近5回の平均で、およそ38%となっています。

受験資格と資格の活かし方

年金アドバイザーには、特に受験資格はありません。しかし、受験者の7~8割が金融機関勤務者となっており、もともと銀行や信用金庫などに勤務する、渉外業務や窓口業務の担当者を対象に考えられた検定試験です。資格を取得すれば、老後の備えを追加したい顧客などの相談業務に役立ちます。

金融機関勤務者の他にも、一般企業において、高齢の社員に対する年金相談に活かしたい総務担当の会社員や、年金の知識をつけたい一般の方も受験しているといわれています。さらに、社会保険労務士試験を目指す方が受験勉強の一環として受験することや、社会保険労務士が専門性を高めるために取得することもあります。

あらぴょんさんのように、年金アドバイザーの合格で自信をつけて社労士試験に挑戦する方は多くいます。

社会保険労務士については、こちらで紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/1309/

2級・3級・4級がある

年金アドバイザーには2級、3級、4級が設定されており、2級が最上位で、1級はありません。資格試験は、2級・4級が年に1回(3月)3級は年に2回(3月・10月)実施されます。

4級は年金に関する初歩的な知識を問われ、2級は専門的・実践的な知識が必要で難度も高くなっています。3級は基礎知識と実践的な応用力を試される内容で人気が高く、1回あたり数千人~1万人が受験するそうです。

年金アドバイザーの試験内容

ここからは、年金アドバイザー試験の具体的な情報を紹介します。

なお、2022年10月実施分から3級の試験時間と受験料が変更される予定です。2022年4月以降に受験される場合は、最新情報を確認してください。

※以降で紹介するものは、すべて2021年12月時点の価格です。法令・制度の改正などもあるので、テキストは最新のものを購入しましょう。

4級の試験内容

年金アドバイザー4級の概要は以下のとおりです。

出題形式三答択一式:50問各2点
科目1.年金の基礎:30問
2.老齢給付:10問 
3.障害・遺族給付:6問 
4.セールス・その他:4問
合格基準得点率60%以上(試験委員会にて決定)
試験時間90分
受験料3,300円(税込)

引用:経済法令研究会「年金アドバイザー4級」

3級の試験内容

年金アドバイザー3級の概要は以下のとおりです。

出題形式五答択一式:30問各2点 
事例付五答択一式:10事例20問各2点
合計50問
科目基本知識:五答択一式 30問
技能・応用:事例付五答択一式 10事例20問
1.わが国の社会保険制度とその仕組み
2.年金制度とその仕組み
3.年金給付の種類と支給要件
4.企業年金・個人年金の仕組みと要点
5.請求手続と年金受給者の手続
6.その他
合格基準得点率60%以上(試験委員会にて決定)
試験時間150分(2022年10月の試験より120分に変更予定)
受験料4,400円(税込)※2022年10月の試験より5,500円(税込)に変更予定

引用:経済法令研究会「年金アドバイザー3級」

2級の試験内容

年金アドバイザー2級の概要は以下のとおりです。

出題形式記述式:10題各10点
科目1.社会保険制度の概要
2.年金制度の仕組み
3.年金給付と支給要件
4.企業年金・個人年金の仕組み
5.年金請求手続と年金受給者の手続
6.その他
合格基準得点率60%以上(試験委員会にて決定)
試験時間180分
受験料6,600円(税込)

引用:経済法令研究会「年金アドバイザー2級」

年金アドバイザーの試験方式

年金アドバイザーの試験には、従来方式とCBT方式という2種類の受験方式があります。級によっては受験方式を選択できるため、それぞれどういった方式なのかを確認しておきましょう。

従来方式とCBT方式

従来方式とは「全国一斉公開試験」という名称で、決められた試験日に、希望した試験会場に出向いて受験する方式です。解答はマークシートを使用して行ないます。従来方式は試験日が決められているため変えられず、会場も申込後は変更できません。

一方のCBT方式とは、コンピューターを使った試験方式です。画面上に解答を入力して進めます。

CBT方式とは?対応する級は?

CBTは「Computer Based Testing」のそれぞれの頭文字を取った略称で、コンピューターに入力して試験を行なう方式です。

ただし、オンラインで自宅などから受験できるのではなく、テストセンターと呼ばれる指定の試験会場に出向いて受験します。

年金アドバイザーの試験では、3級・4級がCBT方式に対応しています。

CBT方式は指定の期間内であれば、自分の都合の良い日に受験することが可能です。さらに、試験日を一度設定しても数日前までなら試験日の変更もできるため、学習の進み具合を見て、試験日をずらすこともできます。

テストセンター(試験会場)も多数用意されているので、受験者の利便性や公平性は大きく向上していると考えられるでしょう。

年金アドバイザーの試験会場

年金アドバイザーの試験の実施会場は、全国に多数用意されます。

従来方式の全国一斉公開試験では、都道府県ごとに複数の試験会場が指定されるので、申込時に都合の良い会場を選択しましょう。例えば、東京地区では「東京23区」「武蔵野」「町田相模原」に会場があります。

全国一斉公開試験の会場は、試験を実施している経済法令研究会ホームページより確認してください。

参考: 経済法令研究会「受験地一覧」

一方のCBT方式は、テストセンターやパソコン教室などを会場としています。国内には合計300以上のテストセンターがあり、47都道府県のすべてに会場があります。

なお、CBT方式の試験会場は、以下のページよりご確認ください。

参考:株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ「全国CBTテストセンター」

年金アドバイザー3級の対策方法

最後に、年金アドバイザー試験で受験者が最も多い、3級の試験対策について紹介します。

年金アドバイザー試験は過去問に類似した出題が多い

年金アドバイザーの3級は、出題範囲が絞り込まれており、出題の95%は過去に出されたものと類似しているといわれています。したがって、対策は参考書を熱心に読み込むよりも、過去問に集中して取り組むのが効果的でしょう。

例えば「老齢給付」「老齢基礎年金の受給資格期間」「老齢基礎年金の年金額」といったテーマは、過去に4年連続して出題されています。過去問集などで出題年がわかる場合は「連続して出題されているか」という視点で問題をチェックし、頻出テーマを洗い出すようにしましょう。

また、年金アドバイザーの試験では、過去に出された問題は内容も答えもほぼ変わらない形で出されるのが特徴です。したがって、過去問をやりこむことが合格につながると考えられます。

過去問に取り組む際には、進め方にもポイントがあります。銀行業務検定協会より出されている問題集には、過去4回分の試験問題が掲載されていますが、1回分ずつ確認するよりも、テーマごとにさかのぼって進めるほうが効率的でしょう。

基本知識問題に注力する

過去問に集中して取り組むのが年金アドバイザー3級対策の鉄則ですが、その際に気になるのは、正答率の低い難問の存在です。点数を上げるためには難しい問題も潰しておかなければ、と考えてしまうことでしょう。

しかし、全体の割合から考えると正答率の低い問題の数は多くありません。例えば、2021年3月の試験では、【問-12】老齢基礎年金の合算対象期間の問題などを含む、計6問が正答率30%以下の難問です。50問中6問しかないため、正答率の低い問題にとらわれ過ぎないのがコツといえるでしょう。

なお、年金アドバイザーの正答率30%以下の問題は、銀行業務検定協会の機関誌「事務局報」で公開されているので、一度目を通しておくと良いかもしれません。

参考:銀行業務検定協会 機関誌「No.329 事務局報」

年金アドバイザー3級の試験対策として大切なのは、50問中に30問ほど入っている基本知識問題で8割~9割が取れるようにすることです。

例えば「被保険者資格の取得→保険料の支払い→受給権の発生→裁定請求」という、年金を受け取る際の基本の流れをしっかり理解しつつ、直近3回分くらいの過去問を解きながら、頭にたたきこみましょう。

「厚生年金」や「基礎年金」の仕組みも基本の内容なので、混同しないよう、まずは全体の仕組みを把握することをも大切です。

難しい科目や技能・応用問題は、5割取れることを目指して過去問に取り組んでください。

また、テーマのなかには、基本知識問題と技能・応用問題の両方で出されるものもあります。例えば、「障害給付」「遺族給付」「老齢給付」「併合調整」などです。

これらのテーマのなかに苦手なものがあるなら、理解できる状態にしておくことをおすすめします。

まとめ

年金アドバイザーの資格は、顧客からの年金相談に対応できる、金融関係に勤務している人を対象とした資格です。しかし、特に受験要件はないことから、年金の知識を高めたい一般の人など、多くの方が毎年挑戦しています。

受験方式はCBT方式が並行して実施されることから、受験しやすい環境が整っているといえるでしょう。

人気の高い年金アドバイザー3級の受験対策としては、過去問演習がおすすめです。複数年の過去問を用意し、同じテーマをさかのぼりながら学習すると、理解しやすいでしょう。

年金の相談業務を行なうために専門知識が欲しい方や、将来のために年金に詳しくなりたい方などは、年金アドバイザーの資格を取得してみてはいかがでしょうか。

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