中型、大型、特殊、牽引(けんいん)免許など、用途に合わせた自動車免許を取得すれば、業務の幅が広がります。
ただし、自動車免許には種類が多いため、目的とする免許が一体どれなのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自動車免許の区分や種類を解説します。併せて、中型、大型、特殊、牽引免許の取得方法や費用目安についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
自動車免許の種類には3つの区分がある!
まずは自動車免許の区分と種類について見ていきましょう。
自動車免許の区分
自動車免許には3つの区分があります。まず1つ目の区分である「第一種運転免許」は、自動車や自動二輪車を運転する際に必要な免許です。
2つ目の「第二種運転免許」は、乗合バスやタクシーなど、営利目的で客を運送する際に必要な免許です。代行タクシーなどを運転する場合も、この「第二種運転免許」が必要となります。
そして3つ目の「仮運転免許」は、「第一種運転免許」の取得を目指している教習生に対して、仮に交付される免許です。はじめに「仮運転免許」を取得してから「第一種運転免許」を取得するのが、一般的なルートといえるでしょう。
この記事では、「第一種運転免許」について紹介します。
第一種運転免許の種類
「第一種運転免許」は、普通免許や中型免許、大型免許、原付免許、牽引免許など大きく分けて10種類あります。
免許に応じて、運転できる自転車の種類は異なります。例えば、原付免許では原動機付自転車しか運転できませんが、普通免許では、普通自動車や小型特殊自動車、原動機付自転車の運転も可能です。
また、履歴書の資格欄に取得した免許を記入する際は、原則として「普通自動車第一種運転免許」のように正式名称を記載しなければなりません。ただし、中型免許や大型免許は「中型自動車運転免許」「大型自動車運転免許」と第一種を省略して書くこともあります。
履歴書に免許名とともに取得した正確な年月日も記載します。なお、履歴書内で統一された年号であれば、西暦と和暦のどちらでも問題なく使えます。詳しい試験の内容などについては、警視庁のホームページをご覧ください。
中型・大型自動車免許の取得方法&費用とは?
ここからは、トラックなどの運転に欠かせない中型・大型免許の取得方法、費用目安を見てみましょう。
※2021年12月時点の費用目安です。
中型免許の取得方法
中型免許は2007年に新設された免許で、教習所や運転免許センター、合宿免許で取得できます。また、取得するためには20歳以上であること、普通免許もしくは大型特殊免許を取得後2年以上経過していることなど、条件が定められています。
中型免許を取得することで、以下の条件に該当する自動車の運転が可能です。
・車両総重量:7.5t以上11t未満
・最大積載量:4.5t以上6.5t未満
・乗車定員:11人以上29人以下
なお、中型免許に近い免許として、8t限定中型免許や準中型免許があります。
中型免許が新設される前に普通免許を取得した人は、普通免許でも車両重量が8t未満の車を運転でき、「中型車は中型車(8t)に限る」と記載されています。自動車教習所や運転免許試験場で限定解除審査に合格すると、この制限を解除することができます。
中型免許の費用目安
中型免許を取るにあたって、教習所や合宿免許の費用は施設によって異なりますが、目安は以下です。
教習所
普通免許を所持で20万円程度
準中型免許を所持で15万円程度
合宿免許
普通免許を所持で21万円程度
準中型免許を所持で17万円程度
上記からわかるとおり、所持する免許の種類に応じて金額は異なります。また、運転免許センターで一発試験の場合は地域によって変動すると考えられますが、東京は3万650円(手数料8,650円+講習料2万2,000円)で受験可能です。
「一発試験」とよばれている、教習所などで学習せず、運転免許センターや運転試験場で直接受験して免許を取得する方法もあります。費用が抑えられるメリットはありますが、再試験の場合は、手数料に含まれる受験料と試験車使用料がその都度かかります。
大型免許の取得方法
大型免許に関しても、教習所や運転免許センター、免許合宿などで取得可能です。取得条件には、21歳以上であること、中型、準中型、普通、大型特殊免許のいずれかの自動車免許を取得後3年以上経過などの項目が設けられています。
大型免許の取得者は、以下の条件に当てはまる大型自動車が運転できます。
・車両総重量:11t以上
・最大積載量:6.5t以上
・乗車定員:30人以上
大型免許を取得すれば、準中型車や中型車の運転もできるようになるため、用途に応じて免許取得の候補に入れるとよいでしょう。
大型免許の費用目安
大型免許を取得する費用は施設によって変わりますが、目安は以下です。
教習所
普通免許を所持で40万円程度
中型免許を所持で24万円程度
合宿免許
普通免許を所持で35万円程度
中型免許を所持で20万円程度
大型免許の取得に関しては、教習所よりも合宿免許のほうが費用を抑えることができるでしょう。また、大型免許も運転免許センターで一発試験が可能です。こちらも、地域によって変動すると考えられますが、東京なら3万650円(手数料8,650円+講習料2万2,000円)の費用が必要です。
特殊自動車免許の取得方法&費用とは?
続いて、特殊免許の種類や取得方法、費用目安をチェックしましょう。
※2021年12月時点の費用目安です。
特殊免許の種類
特殊免許には、大型特殊免許と小型特殊免許の2種類があります。それぞれの免許で運転できる特殊車両の特徴を見てみましょう。
大型特殊免許を取得することで、以下の条件に該当する特殊車両が運転できます。
・全長:12m以下
・全高:3.8m以下
・全幅:2.5m以下
大型特殊免許があれば、クレーン車やブルドーザーを公道で走行運転できます。ただし、あくまで公道での走行に限った免許であるため、これらを操作して現場作業を行なう場合は、作業用の免許や講習が別に必要です。
一方、小型特殊免許を取得すれば、以下の特殊車両が運転できます。
・全長:4.7m以下
・全高:2.0以下(ヘッドガード部分のみ2.8m以下も許容)
・全幅:1.7m以下
・最高時速:15km/h以下
小型特殊免許では、農耕用トラクターなどが運転できます。なお、先ほど述べたように普通免許を所持していれば、小型特殊自動車の運転は可能です。
荷物の積み下ろしや運搬を行うフォークリフトで公道を走るには、特殊免許が必要です。フォークリフトの詳細はこちらで紹介しています。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/7402/
特殊免許の取得方法
小型特殊免許は、運転免許センターまたは運転免許試験場などで取得することが可能です。実技試験はなく、学科試験と適性検査に合格後、乗り方に関する講習を受講すれば免許証が交付されます。
それに対し、大型特殊免許は教習所や運転免許センター、合宿免許で取得可能です。普通免許所持者であれば、教習所の学科試験は免除され、技能試験のみ受けられます。
また、取得時の年齢制限として小型特殊免許は16歳以上、大型特殊免許は18歳以上と規定されています。
特殊免許の費用目安
小型特殊免許を運転免許試センターで取得する際の費用は、地域によって変わる可能性がありますが、東京なら3,550円(受験料1,500円+免許証交付料2,050円)がかかります。
一方、大型特殊免許は教習所や合宿免許で取得するため、施設によって費用は異なりますが、目安は以下です。
教習所
10~13万円程度(普通免許あり)
合宿免許
8~13万円程度
なお、東京の運転免許センターで一発試験を受ける場合は、6,100円がかかります(地域によって変動の可能性あり)。
参考:警視庁「大型特殊免許試験(直接試験場で受験される方)」
牽引自動車免許の取得方法&費用とは?
牽引免許の種類や取得方法、費用目安について見てみましょう。
※2021年12月時点の費用目安です。
牽引免許の種類
牽引免許はおもに2種類あります。公道を運転する際に必要となる第一種免許に位置付けられる牽引免許は、他車の牽引や運転席と荷台がセットの車の運転も可能です。
一方、第二種免許の区分となる牽引免許は、営利目的の旅客運送が可能ですが、一般的な需要はあまり高くありません。そのため、次の項目では第一種免許に区分される牽引免許を対象に紹介します。
また、免許なしで牽引できるケースもあります。750kg以下の車両を牽引する場合、もしくは故障車をロープなどで牽引する場合は免許なしでも牽引できます。キャンピングトレーラーやバス釣りをするためのエンジン船であるバスボートにも牽引免許が必要なタイプと不要なタイプがあります。
牽引免許の取得方法
牽引免許は、教習所や合宿免許、運転免許センターで取得できます。取得条件には、18歳以上という年齢制限や、赤・青・黄の色彩識別能力を有していることなどの項目が設けられています。
その他の条件として、二種免許、大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許、大型特殊免許のうち、いずれかの免許を取得していなければなりません。
牽引免許の費用目安
牽引免許を取得する費用は、それぞれの施設によって異なりますが以下が目安となるでしょう。
教習所
普通免許を所持で15万円程度
中型免許を所持で10万円程度
合宿免許
普通免許または8t限定中型免許を所持で13万円程度
牽引免許においても、一発試験を受けることは可能です。地域によって金額の変動が考えられますが、東京の運転免許センターなら6,100円の費用が必要です。
まとめ
自動車免許の種類、および各免許の取得方法や費用目安について、紹介しました。
自動車免許は3つの区分に分けられ、そのうち「第一種運転免許」は大きく10種類に分けられます。
中型・大型・大型特殊・牽引免許は、教習所や運転免許センター、合宿免許で取得できますが、免許取得にかかる費用は、教習所よりも合宿免許のほうが安い傾向にあると考えられるでしょう。
自動車免許を取得することで、現在の業務の幅が広がったり、就職や転職で有利になったりと多くのメリットがあります。これから免許取得を検討しているという方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。