要約力とは|話を端的・明確に伝えるビジネススキルをトレーニングしよう

相手に説明してもうまく伝わらない。話がまとまらない。「結局何が言いたいの?」と言われてしまう。そんな人は、「要約力」が不足しているのかもしれません。

要約力が身に付いていないと、ものごとを明確、かつ簡潔に伝えることができず、日常のコミュニケーションはもとより、特にビジネスにおいては不利になる可能性があります。上司への説明、顧客との商談、ビジネス書類の作成も要約力ひとつで大きく結果が変わってきます。

そこで今回は、要約のコツやトレーニング方法、学習方法をご紹介。要約力を鍛えて、ビジネス成功への道を開きましょう。

ビジネスに重要な「要約力」のメリット

要約力とは、情報の中から重要な「本質」の部分だけをすばやく掴み、簡潔にまとめる力のこと。AIの発達により要約力が軽視されがちですが、AIに指示を出す人間が物事の本質を理解していなければ結果は出ません。また、実際の営業や試験の場面でAIを使えるわけではないので、AIに頼らない要約力を身につけることは大事です。

要約力のメリットには下記のようなものがあります。

  • 印象が良くなる:即座に要点をつかみ頭の中でまとめて、求められていることを的確に返答できれば「頭の回転が早い」などの好印象を持たれやすくなります。
  • 仕事のミスが減る:相手との認識のズレが減るので、認識違いや勘違いによる差し戻しが起きにくくなります。
  • 会話がスムーズになる:相手にとって重要なことだけを適切に伝えることができるため、自分の考えや意見も明確に伝えられ、会話がスムーズになります。

特にビジネスシーンでは、この要約力が重要となることが多々あります。

要約力がないとどうなる?

要約力にはメリットがある一方で、要約力がないとどんなデメリットがあるのでしょうか?

コミュニケーションが上手くいかない

要約力がないと話が長くなるため、相手は情報過多に陥り、混乱してしまいます。また、話の本題がわかりにくくなるので「伝えたいことが伝わらない」「話の意図を誤解される」という事態を招きやすく、相手とのコミュニケーションが難しくなります。

印象が悪くなる

要約力が身に付いていないと相手の話を理解するにも時間がかかり「頭の回転が遅い」「話が伝わらない」と思われてしまうこともあり得ます。要約力ひとつでその人の印象が大きく変わってくるのです。

どうすればうまく要約できる? 要約のコツ

うまく要約できるようになるには、まずコツをつかむことが重要。相手に説明するうえで効率的に要約するコツ・ポイントを紹介します。

話の着地点をはっきりさせる

相手に説明する際は、自分の頭の中で話の着地点を明確にしておくことが大切。「結局何を伝えたいのか」という結論がはっきりしていないと「本質」部分が見えにくくなります。自分が着地点を理解していないと内容がブレやすく、ムダに長々と話してしまい、まとまりのない印象を与えてしまいます。

曖昧な表現をしない

「多分○○です」「○○だと思うのですが」といった曖昧な表現は使わないようにしましょう。内容がぼやけ、結局何を伝えたいのかわからなくなってしまいます。不確かなことを伝える際は、「これはまだ不確定なのですが」など前置きすると、要点と区別しやすくなります

ひとつの文章は短くする

ものごとを伝える際の文章は、一文一文が短いほうが伝わりやすいです。「○○になったのは△△が理由ですが、××にすると△△になることがないため、○○の問題は解消されます。」といったような文章は一文に入っている要素が多く、相手も理解に時間がかかります。「〇〇になった理由は△△です。××にすれば△△にはなりません。そのため、○○の問題は解消されます。」といったように、文を短く区切るだけでも要点を掴みやすくなります。

5W1Hを意識する

文章を短くまとめる際に意識したいのが、5W1H(いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのように)。一文一文を短くまとめるときは、この5W1Hを意識するとまとめやすくなります。要約力がなく説明下手といわれる人の中にはこの5W1Hができておらず、主語がない説明をしてしまうケースが多くあります。主語がないと、聞き手はそもそも何の話をされているのかすらわかりません。

要約力は独学で鍛えられる?自分でできるトレーニング法

仕事の効率化に役立つ要約力。要約力はどのようなトレーニングで高められるのでしょうか。自分でできる学習方法、トレーニング方法を紹介します。

メモを取る習慣をつける

メモを取ることは要約を行うことと同じです。
聞いたり、見たりしたことをメモする際、一言一句そのまま書き留める人は少ないでしょう。情報の整理を行い、優先順位をつけながら、重要な部分はどこかを考え、抜き出し、メモを取っています。
そのため、メモを取る習慣を身につけるだけで要約力や集中力も鍛える機会が増えるのです。
なお、自分が見返しやすいように整理できれば、メモは手書きでもパソコンでも問題ありません。

書籍を使った要約トレーニング

要約力を鍛えるのに効果的なのが要約文の作成。まずは読んだ書籍の内容を要約して短い文章にまとめてみましょう。本に限らず、新聞や雑誌、インターネットサイトの記事でも構いません。この要約文作成をさまざまな記事や本で実践していくことで、5W1Hの抜き出し方や、簡潔にわかりやすく伝える方法が身に付いていきます。
また、5W1Hを意識して文章を読むことは読解力向上にも有効です。読解力は、プレゼン資料などビジネス資料を読む際には必須。要約力とともに高めたいビジネススキルのひとつです。

アプリやツールを使って要約を学ぶ

上記で書籍の要約について触れましたが、実際に「本の要約アプリ」というものが提供されています。アプリでは、プロが作成した書籍の要約文が閲覧可能。また、日本語の文章を要約してくれる要約ツールというものもあります。このようなアプリやツールで要約文を見ることも参考になるでしょう。

要約を自分の言葉で話してみる

要約を文章にするだけでなく、言葉で誰かに伝えてみるのもよいトレーニングになります。誰かに話すには、その場で文章をまとめなければなりません。このトレーニングを繰り返すことで、おのずと、頭の中ですばやく要点をまとめる力がついていきます。臨機応変に強くなり、ビジネスにも役立つでしょう。

コピーライターとして活躍するオヤマダタイスケさんがおすすめするのは、映画やドラマの要約(あらすじ)を誰かに話して伝える方法。相手の反応から、自分の要約力レベルを掴むこともできますね。自分の好きな映画やドラマであればモチベーションも高まり、楽しくトレーニングできるのではないでしょうか。

実際の要約の手順

では、実際の要約のやり方について簡単に説明していきます。もちろん、先ほど解説した要約のコツを意識してください。
最初は時間がかかりますが紙に書き出し、慣れてきたら頭の中で行うとよいです。文章をメモするだけでなく、付箋や図形を使うと視覚的に整理されてわかりやすくなります。繰り返し鍛えると即座に要約できるようになるでしょう。

ステップ1:内容を把握する

まずは要約したい情報の全体を把握します。文章であれば文章を読み込み、自分の意見や感想であれば書き出して、どんな情報を伝えたいのかを確認しましょう。このとき要約することは意識せず、思った通りに進めることが大切です。

ステップ2:情報の整理をする

次に把握した情報の整理をし、優先順位をつけましょう。相手に絶対に伝えたいことは優先順位が高く、伝わらなくても問題ない情報は優先順位が低くなります。順位がつけにくいと感じる場合は目的を意識し、伝える相手の考え方を想像して、順位をつけるのがおすすめです。

ステップ3:文章を整える

最後に相手に伝えるために情報を文章にし、整えます。優先順位が高いものから組み込んでいきましょう。優先順位が低い情報は相手に伝えるのに不要なものなので文章や言葉にしません。過不足なく伝えることを意識するのがポイントです。

要約力アップに役立つ書籍

要約力の独学に役立つ本も多数販売されています。文筆家やスピーチライターといった文章のプロたちが教える要約のコツ、学習方法で効率的に要約力を身に付けましょう。

SNSやネットニュースで話題になったのが【9割捨てて10倍伝わる「要約力」(著者:山口 拓朗】。1.情報収集、2.情報整理、3.情報伝達の3ステップで要約のコツを解説しています。ポイントを押さえわかりやすく解説されていると評判。口コミでも話題になった書籍です。

こちらはまさに忙しいビジネスパーソン向け。あの大手広告代理店・博報堂のスピーチライターが執筆した、短期間で要約力を身に付けるための書籍です。5日間で「思いを言葉にする力」を学べる構成になっており、効率的に要約のコツを学ぶことができます。

要約力アップのための講座やセミナー

資格取得講座のように、ビジネススキルを取得するための講座も注目を集める昨今。要約力アップの講座や研修、セミナーも開催されています。

オンライン研修を扱っているインソースでは、要約力強化研修を開催しています。受講時間は3時間、費用は税込15,800円。オンラインで手軽に受講でき、受講生の満足度も96%と高評価のようです。実践レベルの要約力を効率的に高めたい人は、こういったビジネスパーソンを対象とした講座や研修に参加してみてもよいでしょう。

こちらは、オンラインの生放送授業を行うschoo(スクー)の要約力オンライン講座を受講した「ネコ」さんの感想。相手にものごとを伝えるうえでの、「情報収集」「情報整理」の重要さを学んだとのこと。要約力が高まれば、おのずと情報管理能力も高まりそうですよね。

※schooの要約力講座は不定期開催

まとめ

要約力は、話す側と聞く側の両方に役立つスキル。要約力を高めることができれば、コミュニケーションスキルが格段にアップします。要点を得たスマートな話し方は知的な印象も与えます。有能なビジネスパーソンを目指して、今日からでも要約力トレーニングを始めてみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました