義肢装具士試験に有効な対策は?試験内容や受験資格取得ルートも紹介

義肢装具士試験

義肢装具士は事故や病気などで、脚や腕といった体の一部に障害がある方に向けて、一人ひとりに合った義手義足を作り出し、患者の生活を便利に、そして豊かにする技術を提供する職業です。

義肢装具士はやりがいのある職業といえますが、そもそも義肢装具士になるためには、どのようなフローが必要なのでしょうか。

ここでは、義肢装具士になるための試験の内容受験資格受験資格を得る手順、試験対策などを紹介します。義肢装具士を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

義肢装具士試験は誰でも受けられる?試験内容は?

義肢装具士試験

義肢装具士は国家資格で、英語表記であるProsthetist and Orthotistを略して「PO(ピーオー)」とも呼ばれています。

2021年に実施された第34回義肢装具士国家試験までの合格者は5,887名*です。ニーズに対して義肢装具士の人数が足りておらず、求人が多く将来性のある職種といわれています。職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると平均年収は426.4万円です。需要が大きい職種ですので今後の上昇を期待しましょう。

*2021年4月1日現在、公益財団法人テクノエイド協会より

義肢装具士になるためには国家試験である義肢装具士試験を受ける必要があります。義肢装具士の試験を受けるための受験資格と、試験の概要を紹介します。

義肢装具士試験を受けるには条件がある!

義肢装具士国家試験を受けるには、受験資格を満たしていなければいけません。
受験資格としては、国内の場合と外国の場合が挙げられます。

国内の場合、大学や専門学校といった義肢装具士養成校3年以上学ぶ、もしくは大学・高等専門学校指定の科目を修める必要があります。

また、厚生労働省の義肢装具の技能検定に合格後、養成校で必要な知識・技術を修めることでも受験資格を得られます。

一方で外国の場合、外国における義肢装具士養成学校に相当する学校を卒業する、あるいは免許を所持し、厚生労働大臣の認定を受けなければ受験資格を得られません。

参考:厚生労働省「義肢装具士国家試験の施行」

義肢装具士試験の概要

ここからは、義肢装具士国家試験の試験概要を紹介します。

試験科目

試験科目は以下の6科目です。科目数としては少なく感じられるかもしれませんが、1科目の範囲がそれぞれ広く、医療系の知識と材料や工学的な知識が求められるため、十分な試験対策が必須となります。

  • 臨床医学大要(臨床神経学、整形外科学、理学療法・作業療法、リハビリテーション医学、臨床心理学及び関係法規を含む)
  • 義肢装具工学(図学・製図学、システム工学、機構学、制御工学、リハビリテーション工学)
  • 義肢装具材料学(義肢装具材料力学を含む)
  • 義肢装具採型・採寸学
  • 義肢装具生体力学
  • 義肢装具適合学

試験地

試験地は東京都のみです。義肢装具士国家試験を受験するために遠方から上京する際は、移動手段や宿泊場所の確保、試験会場までのアクセスなどを事前に確認しておきましょう。

試験日

年に1回実施されています。2022年の試験は2月25日(金)実施予定です。

合格率

2021年の試験では、受験者227人中、合格者165人となっており、合格率72.7%でした。また、過去5年間の合格率はすべて70%以上となっており、合格率は高いといえます。

ただし、合格率が高いからといって、難易度が低いわけではないので注意しましょう。

参考:厚生労働省「第34回義肢装具士国家試験の施行」

義肢装具士になるルートは4つある

先ほど述べたとおり、義肢装具士になるには、まず国家試験の受験資格を得なければなりません。受験資格を得るためには、大きく国内で3つ、外国で1つの合計4つのルートがあります。

ここからは、義肢装具士国家試験の受験資格を得られる4つのルートを解説します。

義肢装具士の養成校(専門学校や大学)へ進む

高校卒業後、専門学校や大学といった義肢装具士養成所で3年以上、義肢装具士に必要な知識や技術を学び習得することで、義肢装具士国家試験の受験資格を得られます。

2021年12月現在、大学としては私立4校、国立の養成所が1校、私立の養成所が5校あり、この10校を合わせた1学年の定員は313名と少なめです。

大学や高等専門学校で指定科目を修めてから養成校へ進む

大学や高等専門学校、あるいは厚生労働大臣が定める学校、養成所で1年(高等専門学校は4年)以上義肢装具士に必要な知識や技能を修得し、指定科目を修めます。

そのうえで、養成所で2年以上義肢装具士として知識・技能を修得することでも義肢装具士国家試験の受験資格を得られます。

ただし、2021年12月現在、この条件に該当する大学や養成所はありません。また、養成施設のある都道府県は、北海道をはじめとする8都道県です。

義肢装具の技能検定に合格してから養成施設へ進む

厚生労働省の義肢装具の技能検定に合格し、さらに指定の養成施設で1年以上、義肢装具士に必要な知識と技能を修得することでも、義肢装具士国家試験の受験資格を得られます。

ただし、こちらも2021年12月現在では、該当する大学や養成所はありません。

外国の相当する学校を卒業または免許を所持し、厚生労働大臣の認定を受ける

先ほど触れたたとおり、義肢装具士国家試験の受験資格は、国内だけでなく海外で学んだ方でも受験資格を得られるケースもあります。

外国における条件としては、外国の義肢装具士学校養成所を卒業している、または義肢装具士に相当する免許所持者です。

加えて、日本語能力も認定基準に含まれており、日本の中学校や高等学校を卒業していない方の場合、日本語能力試験N1の認定を受けていることが条件となります。

上記の条件を満たしていれば受験資格を得られます。このケースにおいて、外国の義肢装具士免許を取得している必要はありません。

義肢装具士試験に有効な対策4選

義肢装具士試験

ここからは、義肢装具士国家試験の対策として有効な学習方法を紹介します。養成校の少なさなどから受験者数も少ない義肢装具士国家試験は、あまり有効な勉強方法が見つからないと思われるので、ぜひ参考にしてください

「まとめノート」の作成

「まとめノート」とは、過去問題を中心に、分野別で問題をノートにまとめたものです。義肢装具士国家試験は、試験科目それぞれに深い理解が必要なため、試験対策として有効な方法の一つといえるでしょう。

「まとめノート」は過去問題を中心として作成するため、オリジナルの解説をつけて参考書としての機能も果たすほか、試験の出題傾向をつかむためにも役立ちます。

解説をつける際には、問題の解き方などを自分なりに解説し、テキストと照らし合わせてノートに書き込むことで、理解度が深まるでしょう。

過去問題を解く

どの試験にもいえることですが、過去問題を解くことは非常に有効な試験対策です。

過去問題は、まずひととおり解いてみましょう。間違った問題は、解説を読んで間違ったポイントの洗い出しをしつつ、関連する症例やキーワードなどを挙げることで、類似問題にも対応できるようになります。

過去問題は3年分くらい用意し、すべてを一度解いてみることで出される問題の傾向がつかめ、試験の形式に慣れるといったメリットもあります。

教員による「集中講義」などに参加する

大学も含めた義肢装具士養成校では、試験前に「集中講義」や「対策講義」などが開かれることが多いため、こうした対策講義などには必ず参加しておきましょう。

普段の授業とは違い、集中講義や対策講義では試験合格率を上げるため、試験対策として問題を解くコツや頻出問題、傾向などをしっかり押さえた内容になっています。そのため、非常に効率良く試験対策ができるのです。

集中講義などは、試験のコツを効率良く学べるほか、苦手分野つぶしにも役立ちます。独学で過去問題を解いた際につまずいた問題や苦手分野があるなら、教員に解説やポイントを聞いて苦手をつぶしておくとよいでしょう。

オンライン講座でプロの講師にポイントを聞く

試験合格者やプロの教員がオンライン講座を開講しているケースもあるので、こうした講座が開かれていれば、ぜひ受けてみましょう。

試験対策に割ける時間は限られているため、特に苦手な問題や分野を中心に、スポット的なアドバイスをもらうのにオンライン講座は有効です。

オンライン講座を開いている講師は、たいていの場合、試験に合格した経験を持つ人です。そうした義肢装具士試験に特化した講師から、試験問題を解く順番や、1科目にかける時間など、具体的なアドバイスをもらうのもおすすめです。

まとめ

義肢装具士国家試験を受けるには、受験資格を得る必要があります。国内の場合は、大学や専門学校など指定の養成校に入学して必要な期間を学び、義肢装具士に必要な知識・技術を身につけることで、受験資格を得られます。

義肢装具士国家試験は試験科目が6科目と少なく見えますが、それぞれの科目で深い知識を要求されるため、修得するのは決して容易ではありません。

また、合格率も過去5年間は70%を超えており、非常に高い水準を保っていますが、合格率が高いからといって試験が簡単なわけではないことに注意しましょう。

試験対策として、まとめノートづくりや過去問題の周回、集中講義の受講などが挙げられます。あらゆる対策を行ない、試験合格に向けて準備を進めてください。

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