歯科技工士の仕事とは?魅力や向いている人の特徴、必要な資格を解説!

歯科技工士は、専門技術を活かして人の役に立てる、やりがいのある仕事です。また、長期的な需要が安定して見込めるという点でも魅力があります。

歯科技工士の仕事に興味をもっても、詳しい業務内容や働き方のイメージがもてないという人も少なくないでしょう。

この記事では、歯科技工士の仕事の魅力や働き方向いている人の特徴などを詳しく解説します。歯科技工士になるための学校選びや国家試験についても取り上げるので、ぜひ参考にしてください。

歯科技工士とはどのような仕事?


歯科技工士は、歯科技工物の製作や修理を行なう医療技術の専門職です。
歯科技工物とは、歯科治療で必要とされるさまざまな種類の制作物の総称であり、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 虫歯を除去した箇所を修復する部分的な詰めもの
  • 残せる歯の面積が少ない場合に全体を覆う被せもの
  • 失った歯の代わりに噛み合わせを助ける入れ歯
  • 矯正治療で歯の移動を助けたり、治療後の歯の位置を固定したりする装置
  • 歯ぎしり防止などの目的で装着するマウスピース

上記のような歯科技工物は、虫歯や事故などによって失われた歯の機能を取り戻したり、健康を維持したりするために欠かせない重要な役割を果たすものです。さらには、一人ひとり異なる歯の形や大きさに合わせる必要があるため、製作には高い技術力が求められます。これらの業務を行うことができるのは、歯科医師と歯科技工士だけです。歯科技工士になるには、歯科医師と同様に国家試験に合格して国家資格の取得が求められます。

歯科技工士の年収の全国平均は、令和2年賃金構造基本統計調査によると、390.2万円です。

歯科技工士として働く魅力とは

歯科技工士は、人の役に立てる喜びを感じられるだけでなく、需要が安定し、働き方の自由度も高い魅力ある仕事です。

健康を支える重要な仕事

日頃トラブルを抱えていないと実感しにくいものですが、口腔内の状態を健やかに保つことは、生活の質を上げるために非常に大切なポイントです。

例えば、虫歯が痛くて満足に食事ができないとストレスを感じたり、体調を崩したりすることもあるでしょう。また、噛み合わせのズレが全身の不調につながることもわかっています。

歯科技工士は、製作した歯科技工物を通じて多くの人の健康を支える重要な役割を果たしているのです。

資格を活かして長く働ける

年齢や性別を問わず長く働けることも、歯科技工士の大きな魅力の一つです。体力を多く使う仕事ではないため、年を重ねるほど不利になるということがありません。むしろ経験を積んで磨かれた技術力が、大きな武器になるでしょう。

また、性別によるアドバンテージもないため、女性が手に職をつけるための選択肢としてもおすすめです。専門技術の国家資格を保有していることで、結婚や出産後の復職がしやすいというメリットも見逃せません。

さらに、高齢化社会において、今後の需要も期待できる安定した職業でもあります。

働き方を選べる

歯科技工士は、働き方を選びやすい職業でもあります。
例えば、同じく歯科医療に携わる国家資格保有者である歯科衛生士と比較しても、以下のような違いがあります。

・独立開業も可能
歯科衛生士は、歯科医師の行なう診療の補助や、治療にともなう予防処置などを行なう仕事です。業務の性質上、歯科衛生士が独立開業することは難しいでしょう。

一方で歯科技工士は、担当する業務を現場から切り離して独立することも可能です。

・海外でも働きやすい
海外で歯科衛生士として働くためには、国ごとの資格取得を求められるケースが多い一方で、歯科技工士の業務について資格制度が存在しない国も珍しくありません。歯科技工士の具体的な就職先や働き方については、次の項で詳しく解説します。

歯科衛生士国家試験の詳細はこちらで紹介しています。

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歯科技工士の多様な働き方

医療機関は全国どこにでも存在するため、医療従事者は地域を限定することなく仕事を得やすいという特徴があります。もちろん歯科医療に携わる歯科技工士も例外ではありません。この項では、歯科技工士のさまざまな働き方について解説します。

歯科技工所に就職する

歯科技巧所は、外部の歯科医院から受注した歯科技工物を制作する施設です。歯科技工士の就職先として、メジャーな選択肢といえるでしょう。

製作がおもな業務となるため、多くの経験を積み、腕を磨くことができます。
技工物の種類を限定している技巧所も少なくないため、得意な分野の専門性を高めることも可能です。

院内技工室で働く

個人開業の歯科医院および総合病院の歯科などで、歯科医師の指示に従って専属の歯科技工士として従事する働き方です。

技巧所との大きな違いは、患者さんの口腔内を観たり、自分が製作した技工物を装着した感想を直接聞いたりする機会があることです。

個人歯科では、院内で扱う技工物のほとんどを担当するため、幅広い技工物を製作する経験を積むことができます。一方で総合病院では、個人歯科では対処しきれない特殊な症例を扱うこともあり、歯科技工士にもより高い技術が求められます。

関連企業に就職する

歯科技工士の知識や技術を活かして、歯科器材や材料を扱うメーカーなどの関連企業で、商品の開発や研究に携わるという働き方もあります。場合によっては、商品を普及するための営業活動で医院を回ったり、展示会などに参加したりする機会もあるでしょう。

歯科技工所を経営する

歯科技工士は、個人で独立開業を目指せる職種でもあります。資格を取得後、一定年数の勤務経験と実績を積み、技工所を開設する歯科技工士も珍しくありません。

自身が経営者となれば、得意な分野を専門的に扱うことも可能です。特にインプラントや歯列矯正などの自費診療に関わる技工物を受注できれば、特に多くの収入が見込めるでしょう。

ただし、歯科技工士としての技術力だけでなく、仕事を得るための営業力や経営管理能力など、事業者として幅広い能力が求められます。

海外で働く

日本の歯科技工技術は世界的にも高い評価を得ているため、海外でも需要があります。

例えば、現場を支える技術者としてだけでなく、歯科技術が発展途上の国では、技術を伝える教育者としても重宝されるでしょう。また、同業者に向けての講演会などで収入を得ることも可能です。

さらに、日本人の移住者が多いシンガポールなどの国では、日本の国家資格を取得した歯科技工士の存在は喜ばれるでしょう。

こんな人が歯科技工士に向いている!

歯科技工士の仕事に興味をもっても、自分にできるかどうか不安だという方もいるでしょう。この項では、歯科技工士の仕事に向いている人の特徴について解説します。

手先が器用で細かい作業が好き

歯科技工士が製作する技工物は、口腔内に入る小さなものばかりです。製作工程の多くは手作業のため、手先の器用さは重要です。

また、器用さだけでなく、繊細な作業を苦痛に感じない人が向いているといえるでしょう。一部の作業でデジタル化が進んでいるものの、最終的な調整や修理など、手作業なしでは進められない業務は少なくありません。

集中力がある

集中力も、歯科技工士にとって必要な資質です。技工物の製作は、長時間座りっぱなしで行なわれるケースも珍しくありません。特に、技工物の製作がおもな業務となる歯科技巧所では、一日中手元の作業に集中する必要があるでしょう。

また、納品スケジュールが押している際には、集中力を保ちつつ作業効率を上げることも求められます。飽きずに長時間の作業を続けるための集中力が必要です。

向上心や探求心がある

歯科技工の技術や使用する材料は進化を繰り返しているため、歯科技工士も常に勉強を続ける必要があります。特に自費診療に対応する歯科医院では、開発されたばかりの新しい素材を使用する機会も少なくありません。

歯科技工士には、自身の技術を磨き続ける向上心や、時代の進化を研究し取り入れる探求心が必要です。

歯科技工士になるためのステップ

歯科技工士として働くためには、国家資格の取得が必要です。また、国家試験を受けるためには、厚生労働省が指定する学校または養成所などを卒業することが条件となっています。

この項では、歯科技工士になるために必要な学校選びや、国家試験の概要について解説します。

厚生労働省指定の養成所等を卒業する

国家資格の受験要件を満たす指定校は、以下のように2年制から4年制まであります。

  • 専門学校(2年制・3年制)
  • 専門学校の夜間課程(3年制)
  • 2年制短期大学
  • 4年制大学

2年制の専門学校は学校数の多さからも、歯科技工士を目指す人の一般的な進学先です。仕事に就くまでの最短ルートでもあるため、短期間で専門知識と技術を身に付け、早く歯科技工士として働き始めたいという人にも選ばれています。専門学校には3年制もあり、じっくり時間をかけて、より深い知識や技術を身に付けたいと考える人が進学します。

将来的に歯科技工士以外の道へ進む可能性もある場合は、歯科技工以外の分野についても同時に学べる大学や、短大へ進学するという選択肢も視野に入れるとよいでしょう。

仕事と両立しながら学びたい、少しでも学費を抑えたいという事情がある場合には、専門学校の夜間課程を選択可能です。夜間課程では、3年制で歯科技工技術を学びます。

国家試験に合格する

卒業を控えた最終学年になると国家試験を受験し、合格すると卒業後に歯科技工士として働き始めることができます。

・試験概要
歯科技工士国家試験の概要は以下のとおりです。
※ 2021年度に行なわれる試験を参考にしたものであり、内容は今後変更になる可能性があります。

実施回数と期日年に1回(2月)令和3年度の実施日は令和4年2月20日(日曜日)
試験科目学説試験:「歯科理工学」「歯の解剖学」「顎口腔機能学」「有床義歯技工学」「歯冠修復技工学」「矯正歯科技工学」「小児歯科技工学」「関係法規」実地試験:歯科技工技術を問われる実技試験
受験資格文部科学大臣の指定した歯科技工士学校および歯科技工士養成所を卒業した者(卒業見込みも含む)都道府県知事の指定した歯科技工士養成所を卒業した者(卒業見込みも含む)歯科医師国家試験または歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者外国の歯科技工士学校若しくは歯科技工士養成所を卒業し、または外国で歯科技工士の免許を受けた者で、厚生労働大臣が上記の者と同等以上の知識および技能を有すると認めたもの
受験料3万円 ※2021年12月時点の価格です

参考:厚生労働省「歯科技工士国家試験の施行」

・合格率
歯科技工士国家試験の過去5回の合格率は、以下のとおり非常に高い数字です。

  • 2020年度:95.8%
  • 2019年度:95.0%
  • 2018年度:95.1%
  • 2017年度:94.7%
  • 2016年度:97.5%

学校の授業で学んだことをしっかり身に付けたり、過去問題を解いたりするなどの一般的な勉強方法で、ほぼ心配なく合格できるでしょう。

過去問は書籍の他にも、アプリで解くこともできます。

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まとめ

技工物の製作によって歯科医療を支える歯科技工士は、健康を維持するうえで欠かせない重要な役割を担っています。

また、国家資格を活かして、さまざまな働き方から自分に合ったものを選ぶことも可能です。

就職先は歯科技工所が一般的ですが、個人の歯科医院や総合病院、歯科関連企業など、選択肢は少なくありません。さらには、独立して技巧所を開業したり、日本の高い技術が求められる海外に活躍の場を移したりすることも可能です。

今後も高い需要が期待できる医療技術の専門職ですが、国家試験の合格率は非常に高く、しっかりと学べば、ほとんどの人が叶えることができる職業だと考えられるでしょう。

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