パパ・ママ育休プラスとは|夫婦二人での子育てを応援する育休制度

近年、社会的な問題の一つとして男性の育児休業の取得率の低さが挙げられています。そこで厚生労働省が2010年に改正育児休業法の一つとして施行したのが「パパ・ママ育休プラス」という子育てと仕事の両立を支援する制度です。

この制度を適用することで育児休業の対象となる期間が2か月程度延長されるため、父親の育児参加率アップや母親の産後の負担軽減といったさまざまなメリットが注目されています。今回の記事ではパパ・ママ育休プラスの制度の概要や申請条件、利用するメリットなどを詳しく解説していきます。

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パパ・ママ育休プラスとは

パパ・ママ育休プラスとは

通常、育児休業期間は「子どもが1歳に達するまでの1年間」と定められていますが、パパ・ママ育休プラスを適用することで設定期間が2か月間延長され「子どもが1歳2か月に達するまで」の間、育児休業を取得できるようになります。

父母が取得できる育休期間の上限はそれぞれ1年間ずつで、特に母親の取得上限は「産前・産後休暇と育児休業を合わせて1年間」です。つまりパパ・ママ育休プラスを適用することで、子どもが1歳2か月に達するまでの期間に両親の育休期間を上限まで振り分けられるのです。育休取得のタイミングによっては夫婦揃って育児をしたり、入れ替わりで育休を取得したりすることが可能です。

パパ・ママ育休プラスの申請条件

前提として「パパ・ママ育休プラス」は父親の育児休業取得を促す制度であるため、両親ともに育児休業を取得する家庭にのみ適用される特例です。さらに以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • パパ・ママ育休プラス利用者の配偶者が、子が1歳に達するまでに育児休業を取得している
  • パパ・ママ育休プラス利用者の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日よりも前である
  • パパ・ママ育休プラス利用者の育児休業開始予定日が、配偶者の育児休業の初日以降である

たとえば以下の例ではパパ・ママ育休プラスを適用することができません。

  • パパ・ママ育休プラス利用者の育休開始日が、配偶者の育休取得日よりも前の場合
  • どちらかが専業主婦(夫)である場合

パパ・ママ育休プラス利用者の育児休業開始日は、配偶者の育児休業の初日以降でなくてはならないため、前者は条件に当てはまりません。子どもが1歳2か月になるまで育休を延長できるのは後から育休を開始した方の親です。また、父母共に育休を取得することが条件の一つなので後者の例も申請できません。通常の育児休業制度のみであれば、配偶者が専業主婦(夫)の場合でも利用できます。

パパママ育休プラスを取得するメリット

両親揃って子育てができる

育休の期間を重ねて取得することで産後育児や家事の方法を夫婦間で共有するきっかけになります。散歩先での遊びや離乳食の調理、夜泣きの対応など育児に集中できる期間だからこそ夫婦一緒に経験できることもあります。職場復帰後の父親の育児参加率を高めるきっかけにもなるでしょう。

母親の産後のサポートができる

父親が育休を取得することで産後の母親の生活をサポートすることができます。産後は睡眠不足体力不足で精神的に不安定な状態になり、母親自身のケアが疎かになってしまう時期です。父親が育休を取ることで母親がリフレッシュする時間を設けることができます。

仕事復帰に注力できる

母親の職場復帰時に父親が育休を取得することで、産後の母親が仕事に注力する環境を整えることができます。パパ・ママ育休プラスと共に注目されているパパ休暇は「子どもの誕生後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、2回目の育児休業を取得できる」というもので、母親の職場復帰時に父親が2回目の育休を取るのもいいでしょう。

夫婦で育児休業給付金を受け取ることができる

両親共に育休を取ることでそれぞれ休業分の育児休業給付金を受け取ることができます。給付金額は通常の額と変わらず、180日間は月給の67%、181日目以降は月給の50%です。さらに育休中は社会保険料が免除されるので休業前に比べて8割程度の手取りが支給されるといわれています。

めいめいさんは出産や入院をきっかけに給付金や手当金などについて知る必要性を実感しているとのこと。パパママ育休プラスは特に大切な制度だと感じているようです。

育休取得経験のあるマロリーさんは、日本の育児休業制度を世界トップクラスの保証だと感じているそうで、父親の育休取得を推進したいと考えているんだとか。

各家庭で育休への理解が深まるだけでなく、企業内で社員のワークライフバランスを見直したり育休取得を積極的に促したりすることで制度が十分に活かされるでしょう。

パパ・ママ育休プラス利用の具体例

両親の育休期間を重複させる

母親が職場復帰をする前に父親が育休を開始することで夫婦の育休期間を重複させることができます。

例)母親は子どもが1歳になるまで育休を取得し、父親は子どもが1歳になる3か月前から1歳2か月まで育休を取得する

上記の例では母親が職場復帰をする前3か月間は育休期間が重複します。夫婦揃って育休を取得している間は産後の子育てを協力できる点や育児や家事の引継ぎができるといったメリットが挙げられます。

母親の育休明けに父親が育休を開始する

母親と入れ替わりで父親が育休を取得する例もあります。

例)母親は子どもが1歳になるまで育休を取得し、父親は子どもが1歳から1歳2か月になるまで育休を取得する

上記の場合、母親が職場復帰をした後2か月間は主に父親が育児担当になり、母親が職場復帰をしている間に家族に預けられる安心感があります。デメリットは父親の育休取得期間(最大一年間)を最大限に活かせないという点です。

パパ休暇を併用する

パパ・ママ育休プラスとパパ休暇を併用すると、父親が2回に分けて育休を取得することができます。

例)父親が「子どもの生後8週間内」と「1歳から1歳2か月になるまでの間」の2回に分けて育休を取得する

こちらの方法では、父親の育児休暇期間をより多く利用できたり母親の産後や職場復帰をサポートできたりするといったメリットがあります。

パパ・ママ育休プラスの申請方法

パパ・ママ育休プラスの申請時には、育児休業取得に必要な書類に加えて追加書類が必要です。書類は支給対象期間までに会社がハローワークに提出するため早めに用意しておきましょう。追加書類は以下の2点です。

  • 支給対象者の配偶者であることを証明する書類(世帯全員分の記載がある住民票の写しなど)
  • 配偶者の育児休業取得が確認できる書類(配偶者の雇用保険被保険者番号がわかる場合は省略可)

あらかじめ夫婦間で育休取得のタイミングを決めておくことが大切です。育児・介護休業法では育休開始日の1か月前までに職場へ申し出るよう定められていますが、父親の職場で男性の育休取得の前例が無い場合は、早めに上司への相談を済ませておく必要があるでしょう。

まとめ

パパ・ママ育休プラスを適用することで夫婦で子育てに注力したり、両親の心身のケアに時間を費やすことができたりといったメリットがあります。それぞれの家庭に合った育休取得パターンを考えておくことで仕事や育児、家事の両立を無理なく実現し、希望のライフスタイルを叶えることに繋がるでしょう。また、生活の不安を軽減するために利用可能な制度や給付金について夫婦で調べておくことも大切です。

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