リフレーミングとは|ものごとの見方を変えて、人間関係を良好にしよう

近年では生産性アップのためにメンタルヘルスケアを取り入れる企業も多いですが、メンタルサポートの一つとして注目を集めているのがリフレーミングというフレームワークです。リフレーミングは心理学を利用して自己コントロールを行う技術の一つですが、最近ではセラピーやカウンセリングはもちろん世界中のビジネスシーンやスポーツ、友人関係や家庭で取り入れる人も多いようです。

今回はリフレーミングの種類や生活に取り入れるメリット、習得する方法や関連する資格などについて詳しく解説します。

リフレーミングとは

リフレーミングとは「物事を捉える際の枠組み(フレーム)を変えることで、別の視点を持つ」という心理学用語です。この考え方を日常生活に取り入れて多角的な視点で物事を捉える力を身に着けることによって日々の不満や不安感を軽減することができるといわれています。リフレーミングのスキルはトレーニングで身に着けられるためメンタルヘルスケアを重視する企業からも注目されています。

リフレーミングはNLP(Neuro Linguistic Programing)というコミュニケーション心理学の概念で、この心理学は1970年はじめに数学者リチャード・バンドラーと言語学の助教授ジョン・グリンダーが開発したものです。彼らは人の思考パターンは変えることができると考え、リフレーミングを習得することでどのような出来事も自分にとってプラスに変換することが可能と提唱しています。

たとえば同じ出来事に対して悲観的に考える人もいれば楽観的な人もいますが、リフレーミングを活用すると自分の感じ方を意図的にコントロールすることができます。ビジネスやスポーツはもちろん、友達との人間関係や子育てなどさまざまな場面で有効なフレームワークといえるでしょう。

リフレーミングの種類

リフレーミングは内容によって「状況のリフレーミング」「内容のリフレーミング」の2種類に分類することができます。出来事に合わせて有効なリフレーミングを活用することが大切です。

状況のリフレーミング

状況のリフレーミングは「置かれている状況を改めて捉え直して、自分にとってプラスの状況に転換する」というものです。たとえば職場で別の部署に異動した途端に本来の能力を発揮することができたという事例があります。状況を変えることで長所を活かし成果をあげている方は状況のリフレーミングを活用できているといえます。

内容のリフレーミング

内容のリフレーミングは「出来事の意味を見直すことで価値を見出す」というものです。たとえばとても労力の要る業務に対して「これを乗り越えれば自分のスキルに自信がつくだろう」「今後の糧になるはずなので頑張ろう」と、前向きに捉えて取り組んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。不満を感じる出来事にもプラスの意義を見出すことで、人として成長することができるでしょう。

リフレーミングの方法

リフレーミングは定期的なトレーニングを行うことで技術を習得することが可能です。たとえば「言葉を別の表現に言い換える」「物事の将来的な価値を想像する」「問題を解体して具体的な要因を明らかにする」といった思考を習慣づけることで行き詰った状況を打開したり新たな視点をもつことができるようになります。技術を独学で身に着けることができるというのも特徴の一つでしょう。

また、リフレーミングノートを実践する方法もあります。ノートの左側に自分の欠点やコンプレックス、他人への不満や苦手な部分などを書き出し、ノートの右側には先ほど書き出したマイナス要素を別の言葉に置き換えて書き出します。自分や他人の短所を俯瞰して分析することで短所と表裏一体の長所を見つけることができるでしょう。ゲーム感覚でポジティブな言い換えを学ぶことができるリフレーミングカードも販売されており、職場の研修や子どもと遊ぶ時間に取り入れることで自分の良い面を知ることができます。

リフレーミングを行うメリット

自分に自信がつく

コンプレックスを長所として見直したり苦手な出来事や失敗した経験を前向きに捉えたりすることで、自分に自信がついてモチベーションがアップします。たとえばつい短所として捉えがちな性格は以下のように言い換えることができます。

  • 優柔不断→慎重、思慮深い
  • 飽きっぽい→好奇心が旺盛、切り替えが早い
  • 頑固→こだわりがある、芯が強い

このように自分が欠点だと思っている性格をリフレーミングすることで自分の武器を見つけることができ、自己肯定感を上げることができます。

やる気を引き出す

苦手分野への挑戦を前向きに捉えたり失敗をプラスに考えたりすることでチャレンジ精神がアップします。

たとえば仕事でモチベーションを維持しにくい業務を担当した際も、自分が置かれている状況をリフレーミングすることで「自身のスキルアップのため」「自分は頼られている」などとプラスに解釈することもできます。リフレーミングを習得して自己コントロールすることで意図的に自分のやる気を引き出し、よりよい成果を生み出すことに繋がるでしょう。

人間関係を良くする

リフレーミングを行うことで他人の言動や思考の捉え方が柔軟になり、人間関係の対応力が上がる効果があります。仕事やプライベートで人間関係の悩みはつきものですが、相手の立場に立って考えたり自分と違う意見を受け止めようとしたりすることで自分の心が楽になることもあります。

相手との価値観の違いをネガティブに捉えることなく、自身の視野を広げるきっかけとして見直すことができれば新たな関係性を築くこともできるでしょう。

リフレーミングが活用できる場面

職場

職場で新しい業務を担当した際やプレゼンで批判を受けたときなど、モチベーションを維持しにくい場面ではリフレーミングで180度違った視点をもつことで前向きに取り組むことができます。

さらに経営者が担う人材育成においてはフレームワークを取り入れるのが効果的とされており、特にリフレーミングを活用することで優秀なリーダー育成や組織の活性化が期待できます。人事評価の指標に利用したり研修を実施したりといった活用例のほかに、社員のメンタルを可視化できるツールを導入した事例もあるようです。

家庭

相手への理解や共感を大切にするリフレーミングを家族間で意識することで、異なる価値観を持っていてもお互いを受容しながら生活できます。特に子育てでイライラしてしまうことが多いという方は子どもの気質性格不満に感じる言動の捉え方をポジティブに変換することで、子どもの姿に寄り添うことができるようになるでしょう。

子育て支援を行うまりこさんはTwitterで以下のように発信しています。

リフレーミングを行うことで、怖がりな子ども達の様子に対して想像力の豊かさや危険察知能力の高さを見出すことができたそうです。

また心理カウンセラーを務めるのりさんは、子どもの短所の捉え方を変えることで長所や子どもの可能性を発見することができると感じているようです。

子育てにリフレーミングを取り入れることで、親の不安感やイライラといった負担も軽減されるでしょう。

関連資格

NLP資格の運営団体はいくつかあり、それぞれで認定証を発行しています。以下では、関連資格の一例をご紹介します。

NLPプラクティショナー

NLPプラクティショナーはNLPの前提や自己コントロール、コーチング・カウンセリングの知識などNLPの基礎知識を評価する資格で日本NLP協会が主催しています。資格取得には認定トレーナーの講座を会場かオンラインで受講する必要があり、コミュニケーションやセルフマネジメント、セラピーなどさまざまなスキルを学ぶことができます。

受講費や開催詳細はトレーナーによって異なりますが基本的には10回前後のスクリーングを行い、費用は300,000円~400,000円以内です。さらに上位資格であるNLPマスタープラクティショナーやNLPトレーナーを目指す方はNLPプラクティショナーの取得が必須です。

https://www.nlpjapan.org/seminar/nlp-pra.html

LC(ライフチェンジ)プラクティショナー

一般財団法人NLPミレニアムジャパンが認定する資格で、「ヒューマンアカデミーたのまな」で実施されているNLPファンダメンタル通信コースを受講することで取得できます。本場アメリカのNLP資格ではありませんが、費用を抑えてNLPに関連する資格を取りたい方や自分のペースで学習を進めたい方に需要のある資格です。

日本で唯一のNLPマスタートレーナー白石由利奈氏による受講プログラムで、ワークブックでは日常生活やビジネスで活用できる実践的な知識を取り扱っているのが特徴です。講座期間目安は約3ヶ月間で、受講費用は162,000円です。

https://www.tanomana.com/psychology/about/nlpfundamental.shtml?code=041039

コミュニケーション心理学1級

内閣総理大臣認証NPOコミュニケーション能力開発機構認定の資格講座で、人間関係や自己実現に役立つ心理学や性格の改善方法、家族とのコミュニケーションなど実践的な内容を学ぶことができます。

北海道や東北地方、関東、中部、近畿の各会場で開催される講座か、Zoomを利用したオンライン講座を受講することが可能で、受講料は22,000円です。

https://www.communication.or.jp/co-psychology/

まとめ

リフレーミングは単純に前向きに捉えるだけではなく柔軟な思考が大切で、人間関係においては相手の立場に立って理解したり共感したりするアプローチを重要視しています。メンタルを好調な状態に整えることで、仕事や家庭に適応したり自分自身の成長に繋げたりといったメリットを実感できるでしょう。生活のなかで困難に感じる場面がある方は、一度冷静になって180度違った見方を意識してみることで打開策が見つかるかもしれません。

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