コーチングとは|資格取得や実践的なトレーニングがスキルアップのカギ

テクノロジーの急速な進化、新型コロナウイルスの流行……先の見えない時代を生きる私たちには、自ら考え、判断し、行動する力が求められています。

そうした中、注目を集めているのが、主体性を引き出すコミュニケーションスキルであるコーチング。最近では、ラグビー元日本代表・五郎丸歩選手の有名なルーティンポーズを一緒に考え、2015年ワールドカップでの日本の躍進を支えたメンタルコーチ・荒木香織さんが大きな話題を呼びました。

コーチングはスポーツにおける指導から派生し、ビジネスを中心に人材育成や能力開発の手法として発展を遂げ、今日では多くの企業が導入しています。

子育てや人間関係の改善、自己実現などにも役立つことから、コーチングを学ぶ人も増えています。

後編となる今回は、コーチングの代表的な資格と取得方法、独学やスクール・通信講座を利用しての学習方法をご紹介します。

前編はこちら↓

https://college.coeteco.jp/blog/archives/3987/

代表的な3つのコーチング資格

国家資格はなく、すべて企業などの団体が認定する民間資格です。

ここでは本格的にコーチングの技能を学べる代表的な3つの資格について解説しますが、このほかにも、教育指導や子育てに役立つ「日本青少年育成協会認定教育コーチ」、スポーツ選手の育成に特化した「日本スポーツ協会公認スポーツ指導者」、メンタル面の向上をサポートする「ヘルス・コーチジャパン認定メンタルコーチ資格」、医療従事者を対象とした「日本コーチ協会認定メディカルコーチ」など、専門とする分野や対象によって多くの種類があります。

「どのような分野で、誰を対象にコーチングの技術を活かしたいのか」を明確にしたうえで、学習期間や費用なども考慮し、自分に合った資格を選びましょう。

資格や実施団体によっては、対面のほかにオンラインや通信教育での受講が可能なものもあるので、確認のうえ検討することをおすすめします。

国際コーチング連盟(ICF)認定資格

国際コーチング連盟(ICF)が認定する、グローバルに通用するプロコーチ資格。国内では国際コーチ連盟日本支部(ICFジャパン)が運営しています。

難易度に応じて、アソシエイト認定コーチ(ACC)、プロフェッショナル認定コーチ(PCC)、マスター認定コーチ(MCC)の3つの資格があり、MCCが最上位資格となっています。

いずれもICFの認定団体が提供する教育プログラムを修了するか、それと同等の教育プログラムを受講したことを証明し、クライアントとのコーチングの実践経験など一定の条件を満たすと、資格取得の申請(申請料はICF本部会員100USドル〜、非会員300USドル〜)ができます。申請をクリアし、ICFが実施するウェブテストに合格(一度合格すると再受験は不要)すると資格取得となります。

最も難易度の低いACCでも、資格取得のためには60時間以上の教育プログラムの受講に加え、100時間以上(うち有料でのコーチング75時間以上)のコーチング経験などが求められます。また、認定団体によって異なりますが、受講料も60〜160万円ほど必要になります。

取得は簡単ではないものの、国際基準を満たしたコーチであるという証明になるため、国内外を問わずコーチングの仕事をするうえで大きな武器となることでしょう。

https://icfjapan.com/

生涯学習開発財団認定資格

文部科学省の外郭団体である生涯学習開発財団が発行する、国内では最もスタンダードなビジネスコーチング資格初心者向け「認定コーチ」、中級者向け「認定プロフェッショナルコーチ」、上級者向け「認定マスターコーチ」の3種類が設けられています。

認定機関の教育プログラムを受講し、クライアントとのコーチングの実践経験などの条件を満たしたうえで試験に合格すると、認定コーチの資格を取得できます。その後、上位資格への挑戦が可能となります(受験料は全資格共通10,000円)。

学習期間は約1年〜1年半、受講料は100〜150万円ほどかかりますが、認定機関の教育プログラムは国際コーチング連盟(ICF)にも認められているため、一定の条件を満たすと同団体のプロコーチ資格の取得申請資格も得られます。

ビジネスでの人材育成に役立てたい人はもちろん、将来的に国際資格の取得を考えている人にも有効な資格といえるでしょう。

https://coachacademia.com/certification/gcc/

日本コーチ連盟(JCF)認定資格

日本コーチ連盟(JCF)が認定する、ビジネスや育児などで活用できるコーチ資格。レベルに応じて「認定コーチング・ファシリテータ」「認定コーチ」「認定認定プロフェッショナル・コーチ」の3つの資格があります。

JCF認定コーチ養成プログラムの基礎コースと応用コースを修了するか、JCFが認める団体の教育プログラムを受講し、筆記と実技の試験に合格すると、認定コーチング・ファシリテータ の資格を取得できます。こうして前提となる資格を取得した後、一定の条件を満たすと上位資格への挑戦が可能となります(受験料は25,300円〜)。

基礎コースと応用コースの学習期間は約3カ月、受講料は25万円ほどとなっており、他の2つの資格に比べると難易度は低めです。基礎から着実にステップアップしたい初心者にもトライしやすい資格といえるでしょう。

https://www.coachfederation.jp/

学習方法

独学

コーチングの基礎的な知識やスキルは、独学で学ぶことが可能です。

コーチングに関する書籍は数多く出版されており、無料のコーチング動画や動画セミナーなども多数あります。それらを活用してコーチングの基本的な考え方や手法、実践例などを学ぶとよいでしょう。

ただし、コーチングは基本的に相手との対話を通して行うもの。セルフコーチングや子育てなどプライベートで活用するのが目的であれば独学でも一定の効果は得られますが、しっかりとスキルを身につけて仕事に活かすためには、学んだ知識や手法を実践する場が必要です。

プロコーチによる実践的なトレーニングや、コーチ役・クライアント役を交代して練習し合う相互コーチングを受けることが望ましいですが、初心者がいきなりスクールに通うのはハードルが高いもの。受講料が数万円程度の短期の通信講座やオンライン講座のなかには、実践的なトレーニングを受けられるものもあるので、上手に活用してスキルアップを目指しましょう。

また、自らクライアントとなってプロコーチのコーチングを受けてみるのも、学びを深めるのに効果的です。

スクール・通信講座

資格取得を目指す人や、本格的にコーチングを身につけたい人は、資格認定団体が認める教育プログラムを提供するスクールや通信講座で学ぶのが一般的です。

前述のように、スクールで学ぶにはまとまった費用と学習期間が必要ですが、通信講座であれば比較的短期間で費用を抑えて資格取得を目指すことも可能です。

例えば、たのまなの認定コーチ養成講座の学習期間は約6カ月で費用は6万円ほど、キャリカレのチャイルドコーチングアドバイザーの学習期間は約3カ月で費用は4万円ほどとなっています。

目指す資格やコーチングを活用したい分野・目的をよく考え、無理なく学べるスクールや通信講座を選びましょう。

まとめ

コーチングに興味はあっても、「本当に効果があるの?」「身につけるのが難しそう」と一歩踏み出せない方も少なくないかもしれません。

資格認定団体やスクール、通信講座のなかには、対面やオンラインで無料の説明会や体験講座、セミナーを実施しているところも多数あります。

まずはお試しで参加し、コーチングとはどのようなものなのかを体感することから始めてみてはいかがでしょうか。

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