FP(ファイナンシャル・プランナー)の資格にはFP技能士、AFP、CFP®の3種類があります。FP技能士はメジャーな資格なので、知っている方も多いでしょう。しかし、AFPとCFP®についてはあまり知られておらず、FPを目指す際に初めて耳にした人も多いのではないでしょうか?
AFPやCFP®資格を取得し認定者になると、権威性を高めると同時に、FP間の人脈を広げられるのです。また、CFP®認定者に限り日本FP協会の「CFP®認定者検索システム」に登録されるので、新規顧客の獲得が期待できます。
この記事では最新知識を持っていると証明できるAFPとFPの上級資格といわれているCFP®について紹介するとともに、CFP®資格審査試験について、AFP・CFP®を目指しているFP2級取得者が紹介します。
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AFPとは?
AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)は日本FP協会が認定する民間資格です。国家検定の2級FP技能検定と同じくらいのレベルとして位置づけられていますが、AFPを取得することで常にFPに関する最新の知識とスキルがあることを証明できます。要件を満たし登録手続きを行うと「AFP認定者」として活動可能です。
ただし、2年ごとに更新しなければなりません。
AFP認定者への道
AFP資格を取得し、登録手続きを行うまでにはいくつかのルートがあります。
どのルートをたどってもOKですが、共通しているAFP資格認定のための要件を満たさなければAFP認定者にはなれません。
AFP資格認定の要件
AFP資格認定の要件は、
- 2級FP技能検定合格
- AFP認定研修の修了
の2つです。
2級FP技能検定合格
2級FP技能検定に合格することが要件の1つです。AFP資格には独自の試験がありません。これはFP2級の試験とAFP資格審査試験を兼ねているためです。
検定はNPO法人 日本FP協会と一般社団法人 金融財政事情研究会(通称:きんざい)の2つの機関で行われていますが、どちらで取得した2級でも問題ありません。
2級FP技能検定取得までの勉強方法はこちらの記事で紹介しています。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/15647/
AFP認定研修の修了
もう1つの認定要件であるAFP認定研修は下記のような講座です。
ファイナンシャル・プランニングに必要な倫理・コンプライアンスとライフプランや金融、保険など6つの専門分野にわたる知識を体系的に学習できるように構成された日本FP協会認定の研修講座です。
引用:NPO法人 日本FP協会「AFP認定研修について」
4つのコースに分かれていますが、AFP資格認定要件に必要なのは「基本課程」もしくは「技能士課程」です。
- 基本課程:一般向けの講座。3級FP技能検定に合格していない場合でも基本課程を修了すればFP2級の受験資格が与えられます。
- 技能士課程:1級・2級のFP技能検定に合格している人向けの講座。
どちらの課程も最短1ヵ月程度で修了可能ですが、原則、受講開始から1年以内に修了しなければなりません。AFP認定研修の費用は開講している認定教育機関によって違います。基本課程は2万円台~、技能士課程は約1万円~受講可能です。
AFP認定要件の2つをクリアした後、AFP認定登録手続きを行うと、晴れてAFP認定者になれます。ただし、AFP資格認定申請時に義務教育を修了、または同等以上の学力があるとみなされなければなりません。
CFP®とは?
CFP®(サーティファイド ファイナンシャル プランナー®)は日本FP協会が認定する民間資格です。1級FP技能検定と同じくらいのレベル、もしくはそれ以上とされる上級資格であり、世界25か国・地域(2023年2月現在)で認められた、共通水準のファイナンシャル・プランニングを提供できる証明になります。
ただし、AFP資格と同じく2年ごとに更新をしなければなりません。
CFP®資格認定の要件
CFP®資格認定を受けるためには下記の3つの要件を全て満たす必要があります。
- CFP®資格審査試験に合格すること
- CFP®エントリー研修の受講・修了すること
- 通算で3年以上の実務経験があること
これらを満たし、CFP®資格の登録申請を行うと晴れてCFP®資格認定がなされ、CFP®認定者になれます。
CFP®資格審査試験
CFP®資格審査試験は6月と11月の年2回です。
受験資格は「AFP認定者」もしくは「日本FP協会が認定する大学院で所定の課程の単位を取得した人」のみです。
試験課目は、
- 金融資産運用設計
- 不動産運用設計
- ライフプランニング・リタイアメントプランニング
- リスクと保険
- タックスプランニング
- 相続・事業承継設計
の6つの分野で、2日間に分けて試験が行われます。
試験時間は各課目2時間(120分)。出題形式は四肢択一式、各課目の出題数は各50問、配点は1問2点の均一配点(100点満点)です。
合格ラインは「6割以上」や「7割以上」と決まっている絶対評価でなく、他の受験者との点数比較により合格ラインが設定される相対評価なので、試験回・各課目ごとに異なります。近年の合格ラインは50問中27〜33問(100点満点中54〜66点)です。
なお、CFP®資格取得のためには、6課目すべてに合格しなければなりませんが、1課目ずつの受験および合格が認められています。課目合格歴はAFP認定者として資格を保持していれば期限なく有効です。
しかし、AFP資格更新ができず資格を失った場合やFP協会を退会した場合、課目合格歴は失効となりますので注意してください。
CFP®エントリー研修
CFP®エントリー研修は年2回、CFP®資格審査試験合格発表後に開催されます。受講期間中に日本FP協会のMyページから受講可能です。
ただし、CFP®エントリー研修は、
- CFP®資格審査試験全6課目合格者であること
- 受講時点でAFP認定者であること、または日本FP協会が定める大学院で所定の課程を修了していること
の2点を満たしていないと受講できません。
AFP認定者の資格が失効していないかを確認しておきましょう。
通算3年以上の実務経験
CFP®資格審査試験全6課目合格日前の10年~CFP®資格認定日までに「通算で3年以上」の実務経験が必要です。
「実務経験」はFPの相談業務だけを指すわけではありません。FPが持つべき知識分野に当てはまる業務をしていた場合、実務経験に含まれる可能性が高いです。たとえば、会計事務所での税務相談やセミナー企画・運営、生命保険会社での保険契約の提案・販売、銀行での融資に係る審査・財務状況分析なども実務経験に含まれます。詳しくは日本FP協会が公表している「CFP®資格認定における実務経験具体例」を確認してみましょう。
実務経験が不足している、該当する実務がまったくない、という場合でも「みなし実務経験」をすればOK。みなし実務経験とは、実務経験にみなされるその他の経験のことです。
経験する内容によって実務とみなされる年数が異なります。もし、みなし実務経験を行う場合には、実務経験がどれくらい足りていないのか計算した上で申し込みましょう。
CFP®資格審査試験の難易度
CFP®資格審査試験の合格率は各課目とも30~40%で推移しています。
近年の過去3回の課目別合格率と合格ラインは下記の通りです。
実施回 | 課目名 | 合格率 | 合格ライン |
2023年度第1回 | 金融資産運用設計 | 30.7% | 27問以上 |
不動産運用設計 | 35.8% | 31問以上 | |
ライフプランニング・リタイアメントプランニング | 35.6% | 27問以上 | |
リスクと保険 | 31.8% | 27問以上 | |
タックスプランニング | 39.0% | 31問以上 | |
相続・事業承継設計 | 31.4% | 27問以上 | |
全6課目一括合格 | 11.2% | – | |
2022年度第2回 | 金融資産運用設計 | 31.4% | 26問以上 |
不動産運用設計 | 38.5% | 32問以上 | |
ライフプランニング・リタイアメントプランニング | 36.8% | 26問以上 | |
リスクと保険 | 36.2% | 29問以上 | |
タックスプランニング | 36.7% | 33問以上 | |
相続・事業承継設計 | 38.4% | 29問以上 | |
全6課目一括合格 | 4.5% | – | |
2022年度第1回 | 金融資産運用設計 | 34.3% | 28問以上 |
不動産運用設計 | 37.1% | 29問以上 | |
ライフプランニング・リタイアメントプランニング | 35.9% | 29問以上 | |
リスクと保険 | 34.8% | 29問以上 | |
タックスプランニング | 36.0% | 33問以上 | |
相続・事業承継設計 | 39.8% | 31問以上 | |
全6課目一括合格 | 7.5% | – |
全6課目一括で受験する人は各回150名~300名ほどで、一発合格率は5~10%程度です。かなり難易度が高い試験に見えますが、試験は課目別に受験することが可能。そのため、ほとんどの人が数課目ごと、複数回に分けて受験をし、6課目完全合格を目指しているのです。
無理に一発合格を目指そうとするのではなく、1課目ずつ着実に合格を目指していくのが完全合格への近道と言えるでしょう。
CFP®資格審査試験の勉強法
独学
「なるべくお金をかけたくない」「自分のペースで進めたい」と考えている人には独学で対策を行うのがおすすめです。
まずは、いつまでに6課目全てに合格したいのかを考えましょう。試験は年2回しか行われません。1年後であれば3課目ずつ、2年後であれば2課目ずつで予備1回、3年後なら1課目ずつ合格しなければならず、勉強スケジュールも目標に合わせて変わります。
AFP認定からしばらく間が空いてしまっている場合には、改めて勉強し直すことも考えなければならないので、余裕のある目標設定を行ってください。
複数の課目を1度に受験する場合、組み合わせも大事です。関連のある課目を組み合わせることで内容が理解しやすく勉強がはかどります。また「1回の試験で会場に何度も行きたくない」ということから日程を考慮して組み合わせを考えるのも手です。さらに、得意科目はまとめて、不得意科目1課目ずつ確実に合格を目指すという人もいます。自分自身の勉強のスタイルや置かれている状況を考慮した上で戦略を練りましょう。
CFP®も他の資格試験と同様に、過去問を繰り返し解き、分析することが大切です。パターン化されている問題もあるので、得点源にできるようにしっかりと対策をしましょう。
通信・通学講座
「1人では挫折する」「わからない部分を解決しながら進めたい」という人には、通信講座や通学講座がおすすめです。
現在、CFP®資格審査試験の対策を扱っている通信・通学講座は数多くあり、TAC、大原、LECなどが挙げられます。通信・通学の両方のコースを揃えているところもあります。費用は何課目受講するかによってかわり、6課目一括で受講すると1課目ずつより合計金額が安くなる傾向があります。日本FP協会の公式サイトから対策講座を検索できます。
また、通信講座では受講料の20%(最大10万円)がハローワークから支給される「教育訓練給付金制度」が適用されるものがあります。どの講座が対象かは、全国のハローワークで確認できるのに加えて、通信講座の公式HPに記載されていることもあります。気になる講座があれば、制度の対象か確認してみるとよいでしょう。
まとめ
AFPとCFP®はFPの仕事をメインにしている人向けの資格。そのため「もっと深く知識をつけたい」「最新情報を活かして相談者のサポートをしたい」などの考えがある人におすすめです。
まずは、3級FP技能検定合格やAFP認定研修修了をし、2級FP技能検定の受検資格を得ましょう。そして、2級に合格し、AFP認定者を目指します。上位資格であるCFP®資格の審査試験は1課目ずつ受けられるので、地道に勉強していけば合格可能です。
AFPやCFP®を取得し、相談者の信頼を得ることで、さらなる活躍ができるでしょう。