
介護事務の仕事をご存知ですか。
介護の担い手である介護職員や、ケアプラン(介護サービス計画)を作成するケアマネージャーに比べると、介護事務は知る人ぞ知る仕事かもしれません。
介護事務は利用者と直接やりとりする機会こそ少ないですが、介護保険サービスには不可欠なお仕事です。
この記事では、介護事務の仕事内容や魅力、資格試験、取り方などについて紹介します。
介護事務とは
介護事務の主な業務内容は、介護報酬請求業務です。
介護報酬請求業務とは、レセプトとも呼ばれる介護給付費明細書を作成し、介護保険サービスの費用を請求することです。介護保険サービスを提供した事業者は、その費用の請求を1割は利用者へ、残りの9割は国民健康保険団体連合会へ行います(※請求の割合は、利用者の収入により変わります)。介護報酬請求業務は介護保険サービスをおこなう事業所の経営に直結するため、とても重要な仕事です。
介護報酬請求業務は、介護保険制度に関する専門知識はもちろんのこと、ほぼ全ての作業を専用のソフトを用いてパソコンで行いますので、若干のPCスキルも必要です。
介護事務は、ほかの業務も担当することが多く、ケアマネージャー(介護支援専門員)のサポート業務や、経費や給料計算等の経理関係、受付・会計業務や電話応対、介護に関する手続きなど、さまざまな事務作業を行っています。また、介護事務をこなしつつ、介護職員としても活躍する場合もあります。
介護事務の資格とは
介護事務にはさまざまな資格がありますが、資格がないとできない仕事ではありません。
しかし、介護事務の資格があれば、介護保険や介護に関しての知識と能力があることを証明することができます。特に未経験から介護事務の仕事を始めたい方は、就職活動が有利になるでしょう。
学習期間・費用・難易度
介護事務の資格取得の対策講座は、試験主催団体のものや、通信講座、通学型のスクールなどいろいろなものがあります。合格までにかかる期間は約1.5か月~6か月、費用は4万円~7万円程度のものが多いです。
勉強が必要な範囲は比較的狭いため、難易度も高くないとされています。受験形式が在宅だったり、教材・資料の持ち込みと閲覧が可能な場合や、認定講座を修了すれば取得できる資格もあり、どの資格もしっかり勉強すれば短期間で取得が可能です。
介護事務を選ぶ理由
介護事務の資格試験のメリットは、短期間で取得しやすいこと以外にも、以下のようなものがあります。
- 介護保険サービスの需要が高く、介護報酬請求業務の仕事は日本全国で求められている。
- 夜勤や休日出勤が少ない。
- 働き方を選びやすい。
キャリアアップにもおすすめ
別のお仕事をされている方のキャリアアップのためにも、介護事務の資格はお勧めです。
すでに介護業界で働いている方が、介護保険の知識を深めて、仕事の幅を広げるために介護事務の資格を取得しています。また医療機関でも介護保険サービスをおこなうことがあるので、スキルの向上を目指すために医療事務の仕事をしている方が、介護事務を勉強することもあります。
介護事務、医療事務と同様に、調剤薬局事務は、医療・福祉系の三大事務職と呼ばれており、女性の人気が高いお仕事です。
調剤薬局事務についてはこちらで紹介しています。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/181/

介護事務の資格試験について
独学で挑戦できるもの
ケア クラーク®、介護事務管理士®、介護報酬請求事務技能検定試験は、受験資格がなく、独学で勉強をして受験できます。試験主催団体や通信講座やスクールが実施している対策講座を利用すれば、より効率的な勉強が可能になるでしょう。
介護保険制度は、たびたび見直しや改正が行われています。最新のテキストで学習しましょう。分かりやすいと評判の高いものは、こちらです。
ケア クラーク®
http://www.jme.or.jp/exam/cc/index.html
ケア クラーク®とは、介護保険請求業務に加えて、介護事務職に必要なコミュニケーションや社会福祉、介護技術などの知識と技能があることを証明する資格です。
試験は年に3回、在宅受験で実施されています。介護事務知識を問う学科と、介護報酬請求事務とレセプト作成による実技が出題されます。
ケア クラーク®の資格については、ニチイや、アール医療福祉専門学校、東北保健医療専門学校などで学ぶことができます。
介護事務管理士®
https://www.ginou.co.jp/qualifications/kaigo-jimu.html
介護事務管理士®では、介護保険請求業務の他に、ケアマネジャーの業務サポートも業務となっています。2000年に日本で初めて登場した、介護事務者の資格試験です。
試験は年に5回実施されています。介護に関する法規と介護請求業務に関する学科、レセプト作成の実技が出題されます。合格率は50%程度です。
試験を主催する技能認定振興協会(JSMA)と業務提携しているソラストが、介護事務講座や試験問題集の販売を実施しています。ユーキャンの介護事務講座も、介護事務管理士®に対応しています。
多くの資格に挑戦していて、介護事務管理士にも合格した「らいね」さんが、勉強内容を教えてくれています。
介護事務管理士
https://twitter.com/pqr_018/status/1296041714533031936
勉強期間:約3ヶ月
総勉強時間:32時間06分
教材:ユーキャンを利用
アプリ:学びオンラインを一通り
ノート:0冊、ルーズリーフ2枚ほど
結果:合格🌸
ソラストやユーキャンの講座は、教育訓練給付制度の対象です。教育訓練給付制度とは、支払った費用の一部が国から支給されるお得な制度です(金額に上限あり)。要件にあてはまる方は、是非ご活用ください。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/792/
介護報酬請求事務技能検定試験
http://www.japanmc.jp/kaigohoshu.html
介護報酬請求事務技能検定試験に合格すると、介護報酬請求に必要な知識と技能レベルがあることを証明できます。
試験は年に6回実施されています。出題内容は、学科と、レセプト作成の実技です。
試験を主催する日本医療事務協会が行う対策講座なら、通学コースは3日間(18時間)、通信コースなら最短1か月で学ぶことができます。
指定校・講座での学習が必修なもの
介護事務士
http://iryou-shikaku.jp/course/course.php
たのまなの介護保険請求事務講座を修了すると、介護事務士の資格を取得できます。
介護保険制度やレセプト作成の手順だけではなく、実際の事業所で使われているものをベースに教育用に開発されたソフトを用いて学ぶので、即戦力となれることが期待できます。
介護保険事務管理士®
http://www.jh-mgt.org/kaigohokenjimu.html
介護保険事務管理士®は、介護保険請求業務に加えて、介護施設経営や介護施設の利用者に対するサービス向上について施設者に対して適切なアドバイスも行います。
介護保険事務管理士®になるには、短大や専門学校などの教育指定校で介護保険制度や介護報酬の算定と請求方法ついて学び、資格認定試験を合格する必要があります。

まとめ
日本の超少子高齢化を語る際に、「2025年問題」がよく取り上げられます。
2025年には、”団塊の世代”と呼ばれる第一次ベビーブーム(1947年~1949年)の時に生まれた方々が後期高齢者(75歳)の年齢となります。この時、日本人の4人に1人が75歳以上となり、その人数は約2,200万人と予測され、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念されています。
介護保険サービスの需要はますます高まり、介護保険サービスを裏から支える介護事務の役割も大きくなるでしょう。
介護事務は、介護報酬を管理するという重責があり、日本全国で需要がある仕事です。働き方を選びやすく、きちんと対策を立てて準備すれば、短期間でも取得することが可能なことも利点です。
介護保険サービスの縁の下の力持ちともいえる、介護事務を目指してみませんか。