動物看護の資格とは|愛するペットと健やかに暮らせる社会をサポート

日本では医療技術の進歩に伴い人間の長寿化も進んでいますが、それはペットでも同じです。動物病院の普及、動物に対しての医療の充実に伴い、ペットも長寿化しています。

またペット事情も少しずつ変化しており、2017年に犬の飼育数をネコが上回り、現在では空前のネコブームが続いています。ペットは家族の一員として、身近な友人として、生活の中で私たちを癒してくれる存在ですね。

そんな愛すべきペットの健康管理に役立つのが、動物看護の資格です。これまで動物看護の資格として一般的なものとされてきた民間資格の認定動物看護師に代わり、新たな国家資格「愛玩動物看護師」が誕生したことで、より注目が高まっています。

動物看護の民間資格と国家資格について、取得方法や学び方、仕事内容などをまとめました。

愛玩動物看護師については、こちらの記事もどうぞ↓

https://college.coeteco.jp/blog/archives/7338/

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動物看護の資格とは

動物看護の資格とは、動物病院などで動物の診療や治療にあたる獣医師のサポート業務を行うために、専門的な知識・技術を有していることを証明するものです。

とはいえ、動物の看護にあたるスタッフに資格は必須ではなく、資格の種類も、これまでは動物看護師統一認定機構運営の認定動物看護師をはじめとする民間資格に限られていました。しかし、近年は動物医療の高度化・多様化が進み、それに対応するために動物看護師の担う業務範囲の拡大が求められるようになってきました。

これを受け、2019年6月に愛玩動物看護師法が成立。2022年5月1日からの施行に伴い、愛玩動物看護師という国家資格が新設され、動物看護師の業務の幅は大きく広がることになりました。

2022年11月からは、この国家資格を取得しない限り、愛玩動物看護師という名称はもちろん、それに似た動物看護師(動物看護士)といった名称も用いることはできなくなっています。

なお、名称の似た職業に動物介護士(ペット介護士)がありますが、これは病気やケガ、老化によって介護が必要となったペットのケアを担う仕事で、動物看護師とは役割が大きく異なります。

具体的な仕事内容

動物看護の仕事は、獣医師のサポートや動物のケア、受付や診察の予約管理、施設内の清掃、入院しているペットの世話、飼い主とのコミュニケーションなど、多岐に渡ります。

国家資格を取得すると、これらの業務に加えて、従来の動物看護師ではできなかった診療の補助業務(投薬・採血、マイクロチップ装着などの医療行為)も獣医師の指示のもとで行うことが認められます。

こうした診療の補助業務は、獣医師以外では愛玩動物看護師の資格保持者のみが行うことのできる独占業務。愛玩動物看護師の資格を取得しなくても、診療補助以外の業務には携わることができますが、前述のように愛玩動物看護師や、それに似た名称を用いることはできません。

なお、愛玩動物看護師の業務の対象は犬や猫などの愛玩動物となっているものの、そのほかの動物についても診療補助以外の業務であれば行うことが可能です。

資格取得のメリット

従来の動物看護師の仕事は看護業務と病院運営業務が中心であったため、給与や待遇面で恵まれているとはいえませんでした。平均年収は概ね280〜340万円ほどで、勤務先によっては産前産後休暇や育児休暇の制度が整っていないケースも少なくなかったようです。

しかし、国家資格の新設で業務範囲が広がることによって、その職業的価値が向上し、給与や待遇面の改善につながることが期待されています。

また、就職先には動物病院のほか、ペットショップやペットホテルなどがあり、採用に資格を必要としない場合もあります。現場で覚えることの多い仕事であるため、資格の有無に関わらず就職後も勉強が必要となりますが、一定の知識や技術を身につけた資格保持者は歓迎される傾向にあります。特に今後は、国家資格保持者の需要の増加が見込まれています。

主な民間資格

代表的な民間資格として知られた認定動物看護師は、国家資格の創設に伴い、2022年3月の認定試験をもって終了しました。ここでは、それ以外の主な民間資格をご紹介します。いずれも通信講座で取得が可能です。

実技が身につきにくいなどの理由から、通信講座の資格取得には意味がないという声も聞かれますが、自分のペースで土台となる知識を身につけられるのは大きなメリットといえるでしょう。

※以下の内容はすべて2022年12月時点の情報に基づくものです。

ペットケアアドバイザー・上級ペットケアアドバイザー(JADP認定)

日本能力開発推進協会(JADP)が認定する資格。

  • ペットケアアドバイザー:犬・猫の特徴や健康管理、応急処置、食事療法、しつけなどについての専門的な知識を備えていることを証明するもの。
  • 上級ペットケアアドバイザー:動物病院で働くために必要な動物看護の基本知識、健康管理法、診察・検査・処置補助の仕方、病気別の対応などの専門知識・技術を有することを証明するもの。

資格のキャリカレの以下の通信講座で取得できます。

ペットケアアドバイザー資格に加えてJADP認定のペットセラピスト資格も習得できる「ペットケアアドバイザー&セラピストW資格取得講座」(受講料:Web割引価格で税込34,100円、学習期間の目安:3ヶ月)

https://www.c-c-j.com/course/pet/pet/

上級ペットケアアドバイザー資格を取得できる「上級ペットケアアドバイザー資格取得講座」(受講料:Web割引価格で税込39,600円、学習期間の目安:3ヶ月)

https://www.c-c-j.com/course/pet/pet_adv/

ペットケアアドバイザー、ペットセラピスト、上級ペットケアアドバイザーの3資格が取得できる「ペットケアアドバイザー資格総合講座」(受講料:Web割引価格で税込48,100円、学習期間の目安:6ヶ月)

https://www.c-c-j.com/course/pet/pet_syn/

いずれの講座も、受講後にテキストを見ながら在宅試験を受けて合格すると資格が得られます(受験料はすべて税込5,600円)。不合格の場合は再受験が可能です。

動物健康管理士(JPLA認定)

日本ペット技能検定協会(JPLA)が認定する資格(旧・小動物看護士)。

  • 動物健康管理士:ペットの健康管理や疾病予防についての専門知識を有することを証明するもの。

ヒューマンアカデミーたのまなの「動物看護介護講座」で取得が可能です。動物健康管理士のほか、動物介護士、ドッグシッター、セラピードッグトレーナー、ペットロスケアアドバイザーの5つの資格が取得できます。受講料は講義eラーニング付(テキストの内容を動画解説するコース)で税込86,900円、講義eラーニングなしで同80,300円となっており、学習期間の目安は4ヶ月です。

既定の講座を全て終了することで資格が得られるので難易度は高くありません(ライセンス交付料:各資格14,000円)。講座受講後は、求人情報の案内や就職の相談サポートが受けられます。

https://www.tanomana.com/lpo/pet_kaigo/

動物医療検査士(JCSA認定)

日本キャリア教育技能検定協会(JCSA)が認定する資格。

  • 動物医療検査士:動物の健康管理に関する知識・スキルを有することを証明するもの。4つの等級があり、難易度が易しい順にマスターライセンス、インストラクターライセンスA級・B級・C級となります。

日本ケンネルカレッジの「動物医療検査士養成専門講座」(受講料:税込99,000円、学習期間の目安:5ヶ月)で取得が可能です。解剖学や生理学のほか、受付、問診 、カルテの作成、投薬、検査、手術などについて学び、修了するとマスターライセンスの資格認定証を取得できます。

その後、実技スクーリングを受けることでインストラクターライセンスA級・B級・C級の取得も可能です。

https://j-kc.co.jp/course/veterinary/

国家資格「愛玩動物看護師」

犬、猫などの愛玩動物の健康管理や治療をサポートするための専門的な知識や高い技術力を有していることを証明する資格。愛玩動物看護師になるためには、愛玩動物看護師国家試験に合格し、登録を行うことが必要です。国家試験の概要を以下にまとめました。

受験資格

国家試験の受験資格は、愛玩動物看護師法の施行(2022年5月1日)以降に愛玩動物看護師を養成する大学や指定を受けた養成所(専門学校など)で3年以上学び、必要な知識・技術を習得することによって得られます。

ただし、法律施行後から5年間は、現職の方や、法律施行時点で大学・養成所で学んでいる方などのための経過措置が適用されます。

これにより、現在もしくは過去に動物看護業務に従事した経験が累積で5年以上ある方は、2027年4月末までにオンライン形式の愛玩動物看護師指定講習会(30時間程度)に参加した後、予備試験に合格することで受験資格を取得できます。

また、法律施行時点で大学・養成所において必要な技能・知識を学んでおり、2022年5月1日以降に修得を終える方や、2022年5月1日以前に大学・養成所で必要な技能・知識の修得を終えた方については、愛玩動物看護師指定講習会(26時間程度)への参加のみで受験資格を得ることが可能です。

なお、いずれの場合も認定動物看護師の資格保持者は愛玩動物看護師指定講習会の一部が免除されます。

国家試験の受験資格や経過措置などについては、農林水産省の愛玩動物看護師法に関するQ&Aに詳しい説明があります。また、個々の受験資格区分については国家試験・予備試験の指定試験機関である動物看護師統一認定機構の愛玩動物看護師国家試験関連情報でチェックできます。事前に確認しておきましょう。

試験日程・受験手数料

第1回国家試験は2023年2月に実施され、以後、毎年1回以上行われることになっています。

予備試験は2027年4月末までの間、毎年1回以上の実施が予定されています。第1回予備試験は2022年11月に、北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、福岡の7都道府県13試験会場で実施されました。

受験手数料は国家試験27,200円、予備試験14,000円です。

試験科目・試験方式・合格基準

大学や養成所で学ぶのは、基礎動物学、基礎動物看護学、臨床動物看護学、愛護・適正飼養学、実習の5科目群に区分される31科目。国家試験と予備試験の出題範囲は、これらの科目から実習を除いた4科目群に区分される24科目とされています。

いずれもマークシート方式で、国家試験は200〜240問、予備試験は100〜120問が目安。

合格基準は、国家試験は必須問題で正答率 70%以上、一般問題・実地問題で正答率 60%以上。予備試験は必須問題・実地問題で正答率 60%以上とされています。

詳細や最新情報は以下よりご確認ください。

https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/doubutsu_kango/

https://www.ccrvn.jp/index.html

難易度

国家試験の難易度は現時点ではわかりませんが、2022年まで実施されていた動物看護師統一認定試験(認定動物看護師の資格認定のための試験)と同等か、それ以上の難易度が予想されます。

一方、予備試験の難易度は国家試験よりも低いと考えられ、第1回の合格率も99.5%と、かなり高くなっています。SNSにも、予備試験に合格したという喜びの声や、国家試験に向けた意気込みがたくさん投稿されていました!

学習方法

動物の治療や健康管理をサポートする動物看護師には、相応の専門知識が求められます。より専門的で幅広い業務に携わるためには、資格の取得を目指し、大学や専門学校、通信講座などで動物看護の知識や技術をしっかりと身につけることが望ましいでしょう。

国家試験対策には、市販の対策本や問題集のほか、オンライン模擬試験が受けられる愛玩動物看護師国家試験対策スクールas国家試験対策塾などのWebスクールを利用するのも有効です。

とはいえ、資格取得にはそれなりの費用と時間が必要です。資格不問の現場で働きながら独学で知識を得て、技術を磨きたいという方は、以下のような書籍を活用するとよいでしょう。

動物看護の仕事のやりがい

動物看護は、意思疎通が難しいペットの命と向き合う覚悟のいる仕事ですね。実際に動物看護に携わっている方は、どのようなところにやりがいを感じでいるのでしょう。

みつさんは、動物が心を開いてくれた瞬間にやりがいを感じるそうです。

毎日動物と触れ合えることはもちろん、動物が心を開き元気になっていくところを目の当たりにできるところは、やりがいに繋がることでしょう。

まとめ

動物看護の資格取得を検討される方は、動物が好きで動物に関わりたい、ペットの健康を心から願う人でしょう。

動物病院だけでなく、ペットショップやペットホテル、しつけ教室、ドッグカフェや猫カフェなど、動物と触れ合う仕事はたくさんあります。「国家資格の取得は難しい……」という方も、民間資格を取得することで仕事の可能性が広がるかもしれません。

今回の記事を参考に、動物看護に関する基礎知識を学ぶことを検討してみてください。

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