愛玩動物看護師になるには?国家資格として生まれ変わった内容を解説

動物看護を行なう際に必要な資格として「愛玩動物看護師」という国家資格が新設され、これまでよりも幅広い業務を行なうことが可能になりました。

資格取得を今後目指している方はもちろん、動物看護師として現在勤務していて業務の幅を広げたいという方は、受験資格を得て国家試験を受ける必要があります。

この記事では、これまで動物看護の資格として一般的なものとされてきた認定動物看護師との違いや、国家試験に必要な受験資格について解説します。愛玩動物看護師を目指す際の参考にしてください。

参考:農林水産省「愛玩動物看護師」

新設された愛玩動物看護師とは

愛玩動物看護師の資格が新設された背景には、どのような事情があるのでしょうか。新設された目的や、その背景について解説するので、動物看護に対する考え方の変化について理解を深めましょう。

獣医療の多様化により国家資格化

動物看護において、これまでは必須の資格が設けられておらず、必要な知識や技能の水準を担保するための「認定動物看護師」を取得するのが一般的とされていました。

認定動物看護師では行える業務に限りがある一方、近年の動物看護では、多様化する獣医療に対応する体制や、高度化する医療への知識・技能が必要とされるようになってきたのです。

このような状況を打開し、適切な業務を行なえる人材の確保のために新設されたのが「愛玩動物看護師」です。

2019年6月21日に「愛玩動物看護師法」が成立し、2022年5月1日に施行され、第1回の国家試験は2023年の2月末~3月に実施される予定となっています。

なお、愛玩動物に規定されていない動物については、適切な飼養支援や看護など、診療の補助以外にあたる業務を行なうことは可能です。

参考:一般財団法人動物看護師統一認定機構

参考:農林水産省「愛玩動物看護師」

国家資格化された背景にあるのは「動物業界の成長」

愛玩動物看護師の資格が新設された背景には、近年のペットブームがあると考えられます。

犬や猫など、愛玩動物の種類や飼育頭数が増えたことにより、獣医療の現場で必要とされる知識や技術の幅が広がりました。

幅広い知識と技術を持つ動物看護師が必要であるにもかかわらず、そういった人材に関して法律による定めが設けられていなかったのです。

そのため、今後の愛玩動物看護における環境の整備や、技能水準を担保するために「愛玩動物看護師法」が制定されました。

愛玩動物看護師が国家資格になったことで何が変わるの?

愛玩動物看護師は、認定動物看護師とは専門性の高さが異なるものの、何が行なえるようになるのかは具体的にわからないという方もいることでしょう。

どのような資格なのかを具体的に解説するので、資格取得を検討する際の参考にしてください。

獣医師の指示の下に行なえる業務が増える

愛玩動物看護師は名称独占資格のため、資格を持っていない人が愛玩動物看護師を名乗ったり、紛らわしい名称を使用したりした場合は、罰則対象となります。

また、愛玩動物看護師は業務独占資格でもあります。そのため、この資格を取得すると、これまで獣医師のみに許されていた診療行為の一部を、診療補助として獣医師の指示の下で行なうことが可能です。

資格を持っていない人は診療補助を行なうことができませんが、診療補助に該当しない業務であれば行なえます。

業務拡大により想定される需要の高まり

2022年6月1日より、ペットショップや繁殖業者(ブリーダーなど)が販売する猫や犬に対し、マイクロチップの装着が義務付けられることになりました。

なお、ペットショップや繁殖業者以外から、猫・犬を譲り受けた一般の飼い主は装着努力義務とされています(2021年12月時点)

マイクロチップを装着すると、災害や事故などで迷子になった際の捜索、または虐待および遺棄の防止に役立ちます。

愛玩動物看護師の資格を取得していれば、マイクロチップの装着業務が可能です。この他には、保護動物に対する譲渡前のワクチン投与ケガ・病気の処置などのケアも行なえます。

このように獣医療の現場では、これまで以上にやるべきことが増えるため、重宝されると考えられるでしょう。

参考:環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A」

幅広い活躍が期待される愛玩動物看護師の仕事内容

愛玩動物看護師の業務は多岐にわたり、動物のケア以外でも重要な役割を担っています。ここでは、どのような業務に携わっているのかを解説するので、動物病院などへの就職を検討している方はこちらを参考にしてください。

本格的なサポートを行なう「補助的業務」

資格取得者が行なえる業務は、診療の補助や薬の管理、診断をともなわない検査などです。診察時には、安全に診察を行なえるように動物を押さえてサポートしたり、血液検査や脈拍の測定などを行なったりして、動物への適切な診療を担保します。

獣医師の指示の下で実施できる業務には、カテーテルを使用する採尿投薬(経口)、採血などが挙げられます。

その他、獣医師が処方したを飼い主に説明したり、保管している薬を管理したりすることも重要な役割といえるでしょう。また、入院中の動物がいる場合の世話など、看護の必要な動物への対応も行ないます。

コミュニケーション力を活かせる「事務的業務」

愛玩動物看護師の仕事内容は、診療に直接関係するものだけではありません。例えば、電話対応や会計などの窓口業務を行なったり、飼い主とコミュニケーションを取ったりします。

事務的業務全般を行なう理由は、獣医師が診療に集中できる環境を整えるためです。これにより、適切な診療を可能にしているため、結果的には診療へも貢献しているといえるでしょう。

また、飼い主への適切な飼育アドバイスなどを行ない、飼い主が安心して来院できる環境を整える役割も果たしています。

その他あらゆる対応が求められる「管理や支援」

患者や飼い主が安心して受診できるよう、病院内を清潔に保つことも重要な仕事です。さらに、消耗品を抜かりなくチェックして補充するなど、診療に支障をきたさないようにする必要もあります。

また、病院だけでなく、地方自治体や高齢者施設などと連携し、幅広い支援活動も行ないます。高齢者施設に出向いてセラピー活動に参加するほか、飼育困難者への飼育支援、動物のライフステージに合わせた食事相談など、活動領域は非常に広いといえるでしょう。

愛玩動物看護師国家資格を取得したい!試験までの流れを解説

ここでは、愛玩動物看護師の国家試験における受験資格や、今後の経過措置などについて解説します。これから目指す方も、現職の方も確認しておきましょう。

愛玩動物看護師国家試験の受験資格

愛玩動物看護師国家試験の受験資格は以下のとおりです。

  • 大学で農林水産省や環境大臣が指定する科目を修めて卒業した人
  • 農林水産省令や環境省令で定めた基準に適合していると都道府県知事が指定した、愛玩動物看護師養成所(専門学校など)で3年以上必要な知識や技能を修得した人
  • 外国の学校などを卒業、もしくは外国で愛玩動物看護師に相当する免許を取得し、上記の人と同等以上の技能・知識を持っていると、農林水産大臣や環境大臣から認められた人

参考:農林水産省「愛玩動物看護師法に関するQ&A」

通信講座では資格を取得することはできません。なお、これらの受験資格は2022年5月1日の愛玩動物看護師法施行日以降に入学した学生が対象であることに留意しましょう。

愛玩動物看護師国家試験に向けて、多くの方がこちらの本で準備を進めています。

現在学校で学んでいる人や2022年4月に入学予定の人

法律施行後から5年間は、経過措置が定められています。これにより、以下に該当する人は、2027年4月末までに30時間ほどの講習会を受けることで、受験資格の取得が可能です。

  • 「動物看護師統一認定試験」の受験資格を保有している人
  • 必要な技能・知識の修得を終え、2022年5月1日以前に大学を卒業する人
  • 必要な技能・知識の修得を終え、2022年5月1日以降に大学を卒業する人
  • 愛玩動物看護師の業務に必要な技能・知識を修得できる養成所で、2022年5月1日以前に修得を終える人
  • 愛玩動物看護師の業務に必要な技能・知識を修得できる養成所で、法律の施行時点では習得中であるが、2022年5月1日以降に修得を終える人

上記に該当する人は、本試験前に行なわれる予備試験を受ける必要がありません。さらに、動物看護師統一認定試験に合格している場合は、講習会の一部が免除されます。

動物看護業務に5年以上従事している人

こちらも経過措置として、以下に該当する人は、講習会を受けて予備試験に合格すると受験資格を得られます。

  • 5年以上の実務経験がある人
  • 愛玩動物の看護に関する技能や知識を提供する教育機関で、必要な技能・知識の指導を行なっている教員
  • 国家公務員や地方公務員として、獣医療法・獣医師法もしくは動物愛護管理法の施行事務に携わっている人
  • 前項の条件には該当しないものの、動物看護に関する技能・知識を修得できる教育機関へ2022年5月1日以前に入学し、必要な期間を就学している人

参考:農林水産省「愛玩動物看護師法に関するQ&A」

なお、5年以上の実務経験とは、連続の年数ではなくトータルの年数です。また、過去の実務経験でも良いため、現職である必要はありません。

まとめ

愛玩動物看護師として国家資格化されたことにより、動物看護師が担える業務は増え、より活躍が期待される職業となりました。これまで扱えなかったマイクロチップの装着なども可能となり、今後の動物看護に大きく貢献するでしょう。

愛玩動物看護師には診療とは直接関係のない業務もありますが、それらも適切な診療を行なうための環境づくりとして非常に重要な要素です。

獣医師の診療を支えるだけでなく、飼い主が安心して動物病院を利用できるよう、きめ細やかな対応を実現する愛玩動物看護師を目指しましょう。

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