「お金に強くなりたい」「老後を安心して暮らせるように、資金計画を自分で立てるには」等を考えると、一度は耳にするであろうFP3級という資格。FP(ファイナンシャル・プランナー)を目指す人だけが取得する資格と思いきや、家計の見直しをしたい人や投資に興味のある人など幅広い年代の方が受検しています。FP3級では基礎的なお金の知識を得られるので、学んでおいて損はありません。
そんなFP3級資格の概要やおすすめの勉強法について、子育てをしながらFP3級と2級に合格した経験者が解説します。
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FP3級の試験概要
FP3級(3級FP技能検定)はFP技能検定の中でも入門レベルであり「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」であれば誰でも受検可能です。実務経験の有無は問われません。学科試験と実技試験に分かれており、両方に合格するとFP3級の資格を取得できます。
検定はNPO法人 日本FP協会と一般社団法人 金融財政事情研究会(通称:きんざい)の2つの機関で行われています。どちらの試験に合格しても資格の価値は変わりませんが、実施機関によって実技試験の内容が異なるので注意してください。
学科と実技のどちらか一方のみ合格、もう一方は不合格になった場合、合格した学科試験・実技試験の試験日の翌々年度末までに行われる試験であれば「試験免除制度」の適用を受けられます。ただし、実技試験の合格は合格時に選択した科目に限られるので、申し込む際は申し込む科目・機関を間違えないように気をつけましょう。
また、学科試験がペーパー試験、実技試験がCBT試験で合格といった場合でも完全合格として認められるので安心してください。
項目 | 内容 |
試験実施機関 | ・一般社団法人 金融財政事情研究会 ・NPO法人 日本FP協会 |
受検資格 | FP業務に従事している者または従事しようとしている者 |
試験日程 | CBT試験:休止期間を除く通年 |
出題形式 | 学科:多肢選択式 実技:多肢選択式 |
問題数 | <学科> 60問 <実技(1つを選択)> 個人資産相談業務:5題 生保顧客資産相談業務:5題 資産設計提案業務:20問 |
試験時間 | 学科:90分 実技:60分 |
合格ライン | <学科> 60点満点中36点以上 <実技(1つを選択)> 個人資産相談業務:50点満点中30点以上 生保顧客資産相談業務:50点満点中30点以上 資産設計提案業務:100点満点中60点以上 |
試験内容
学科試験はきんざいと日本FP協会のどちらを選んでも全く同じ内容です。
以下の6科目から出題されます。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
日本FP協会ときんざいの両方でCBT形式での試験が導入されています。従来のペーパー試験の解答用紙がパソコンの画面になっただけで、出題範囲・出題形式は同じなので安心してください。
実技試験は試験実施機関によって出題内容が異なります。
きんざいでは「個人資産相談業務」もしくは「生保顧客資産相談業務」、日本FP協会では「資産設計提案業務」が出題されます。きんざいでは申し込み時にどちらの科目にするか選択しなければならないので、事前によく考えておきましょう。申し込みはそれぞれの公式サイトを経由して、CBTソリューションズのページで申し込んでください。
ちなみに、きんざいの実技の問題は実務で扱っていれば比較的解きやすい問題です。一方、日本FP協会の問題は実務経験がない人や経験が浅い人でも身近な内容となっています。私は実務経験が全くなかったので日本FP協会から申し込み「資産設計提案業務」を受検しました。難易度はそこまで変わらないと言われていますが、どうしても迷ってしまうのであれば過去問を見て決めるのが一番です。
難易度と合格率
3級は入門レベルなので難易度は比較的低めです。合格基準が6割以上かつマークシート形式なので合格しやすく、実際に合格率も日本FP協会の受検者は約70~80%程度と高水準です。
学科試験はきんざいでも日本FP協会でも全く同じ内容です。にもかかわらず、直近1年の学科の合格率はきんざいでは37%~56%、日本FP協会では74~88%と、かなりの差があります。これはきんざいの受検者には、会社の団体申し込みで受検させられている人が多くいるためです。何も対策せずに試験当日を迎えている人たちや、会場にすら来ない人たちもいるので、日本FP協会と比較するときんざいの合格率が低いのだと考えられます。
受験者層
残念ながら、きんざいや日本FP協会では受検者のデータを公表してません。
私が神奈川県の会場で実際に受検した印象では、20~30代が8割、40~50代が2割くらいです。20~30代は就活の準備や仕事で使うため、家計管理をするために受検しているようでした。40~50代は今まで貯めたお金をどう運用するのかを学ぶためでしょう。
試験会場はピリついた雰囲気ではなく、適度にリラックスした感じだったので、そこまで緊張しなくても良いと思います。
FP3級を取得するメリット
お金に関する知識が身につく
FP3級では基本的なお金に関する知識が問われます。社会保障、保険の仕組み、株、債券、所得税、住宅ローン、相続・贈与についてなど、挙げたらキリがないほど生活に役立つ知識が得られます。お金の知識があるだけでお金が貯めやすくなるでしょう。
日本では金融教育はほとんどなく、自主的に勉強しなければお金に関する知識を身につけられません。FP3級は義務教育で教えてほしいと思うくらいの内容なので、常識として知っておいて損はありません。
FP2級の受検資格が得られる
FP2級の試験を受検するには受検資格を得なければなりません。実務未経験者がFP2級を受けるのであれば、FP3級の取得もしくはAFP認定研修の修了が必要です。
時間やお金に余裕があり、将来AFPやCFP®を目指す場合、AFP認定研修を修了するのが良いと思います。しかし、自分のペースで進めたい人やFP2級の取得が目標である人はFP3級に合格し、FP2級の受検資格を得るのが良いでしょう。
ちなみに、私はできるだけ早くFP2級を取得したかったので、FP3級を取得してFP2級の受検資格を得ました。
FP2級の勉強方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/15647/
FP3級の独学での勉強方法と流れ
テキストを熟読する
最新版のテキストを購入し、2回熟読しましょう。1回目は数字や計算式の多さに圧倒されると同時に、何が何だかわからず戸惑うと思います。しかし、2回目は日常の体験と繋がる感覚があるはずです。「新NISA」「年末調整と確定申告の違い」など生活している上で自然と耳にする言葉とテキストで得た知識が合わさると、より深く理解ができます。
もちろん、聞きなれない言葉も多く出てくるので、そこは時間をかけて暗記していきましょう。言葉の意味も大事ですが、数字や計算式を中心に覚えておくと過去問を解くときに少し楽に解けます。
おすすめのテキストはこちらです。口コミ評判も高く、私も使用して合格できました。
過去問を解く
テキストを読んだ後は、ひたすら過去問を解いていきましょう。間違った問題には印を付けておくと後で見直しがしやすくなります。
FP3級は過去問と似たような問題が出題されることが多く、傾向を掴みやすいです。特に実技試験はほぼ毎回同じような計算問題が出題されます。
過去問の数をこなしていくのが合格への近道になることは間違いないのですが、あまりさかのぼりすぎるのはNGです。法令改正によって問題の答えが変わってしまうので、過去問は4年分(12回分)程度にしておくのがおすすめです。
過去問は日本FP協会と 金融財政事情研究会のそれぞれで公開されています。しかし、模範解答に解説が付いていないのに加えて、法令改正にも対応していないので、公式サイトは使わない方が良いと思います。
代わりに、私は「過去問道場」というサイトで過去問を解いていました。解説が細かく、法令改正に対応しているので、たとえ古い問題でも改題して出題してくれます。
間違えた問題だけを解く
過去問をある程度解き終えたら、間違った問題だけを解くようにしましょう。解き直すことで、自分の苦手分野を克服でき、合格に近づけます。また、どうしても間違えてしまう分野はノートにまとめておくと、試験直前まで確認できるので便利です。
学科の解き直しでポイントなのが、答えの正誤だけでなく「選択肢のどこが合っていて、どこが間違っているかも理解できているか」をチェックすることです。たとえ答えが合っていても、選択肢のどの部分が間違っているのかがわからないと、類似問題が出題された際に誤答してしまう可能性があります。私は理解できるまで何度も解き直し、苦手分野ととことん向き合いました。
実技試験では毎回同じような計算問題が出題されるので、頻出問題は確実に正解できるように対策しておきましょう。
時間を計って本番同様に過去問を解く
FP3級の試験は学科が120分、実技が60分です。時間内で解き終わるかの確認をするために、本番同様に時間を計って解いてみましょう。時間を計っていると緊張するのでケアレスミスをするかもしれません。見直しもきっちり行うようにしてください。
なお、実技は途中退出できませんが、学科は試験開始後60分経過時から試験終了10分前までであれば途中退出ができます。学科試験では退出許可のアナウンスをされると8割の人が退室します。かなり驚くかもしれませんが、焦らず、解き終わってなければ最後まで集中して解きましょう。
まとめ
FP3級はお金の知識を身につけたい初心者にとって最適な資格だと思います。税金の仕組み、金融商品、保険、不動産、相続・贈与などについて基本から学ぶことができます。
人生100年時代といわれる現代では、資金計画を立て、若いうちから準備しておかないと、老後に苦労することになるかもしれません。FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談することももちろん大事ですが、自分でも知識を身につけ、自分の意思で取捨選択をすると後悔が少なくなり、納得して人生を歩めます。お金の知識をつけておいて損はないので、将来について自分で考えてみたい方はまずはFP3級の取得を目指してみてください。