ケアマネジャーの資格とは?|介護サービスの司令塔

ケアマネジャーは、自宅でも施設でも適切な介護サービスが受けられるように、ケアプラン(介護サービス計画)を作成して、関係各所との調整を行う仕事です。いわば、介護サービスの司令塔のような存在です。

昨今、「2025年問題」が注目を集めています。これは、第一次ベビーブームの時には生まれた団塊の世代の全員が、2025年に後期高齢者にあたる75歳になり、社会保障費の負担がさらに大きくなることを指しています。介護サービスも、2025年問題の影響を受けると考えられます。

ますます多くの方が利用することになる介護サービスの一翼を担うケアマネジャーについて、紹介します。

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ケアマネジャーとは

ケアマネジャーは、2000年4月に始まった介護保険制度とともに誕生しました。

介護保険法に基づいた公的資格であるケアマネジャーの正式名称は、介護支援専門員といいます。その仕事内容は、以下のようなものです。

  • 利用者や家族と面接して、実情と希望に合ったケアプランを作成
  • ケアプランに基づいた介護サービスを利用できるように、市町村・サービス事業者・施設などへの手配と調整
  • ケアプランが適切に運用されているか、状況の把握と確認

ケアマネジャーは利用者本位のケアプランを作成・運用するために、公正・中立な立場を守ることが求められています。

ケアマネジャーの職場は、利用者の住む場所が自宅か介護施設かによって異なります。

自宅で介護サービスを受けるためのケアプランを作成するのが、居宅介護支援事業所です。ここで働くケアマネジャーは「居宅ケアマネ」と呼ばれています。

一方、介護施設の入居者ためにケアプランを作成するケアマネジャーは「施設ケアマネ」と呼ばれています。

この他にも、独立開業して活躍するケアマネジャーもいます。

ケアマネジャーは介護の現場で介護サービスを行うことは少ないので、他の介護職員とは仕事スタイルに違いがあります(ケアマネジャーと介護職員を兼務する場合もあります)

  • デスクワークが多く、体力の負担が少ない
  • 夜勤がなく、土日祝日が休みのことが多い
  • 特に居宅ケアマネは、仕事時間を自分で調整しやすい

これらの点をメリットと考え、ケアマネジャーを目指す方も多くいます。また後述する受験資格に実務経験が必要なこともあり、介護職員や医療従事者が次のステップにケアマネジャーを選ぶことも多いです。

さらにケアマネジャーは一般的な介護職員に比べて、平均的な月収が高いのも魅力です。

平均月収 (平成30年度介護労働実態調査より)

  • 介護職員 202,145円
  • ケアマネジャー 237,214円

ケアマネジャーになるには・介護支援専門員実務研修受講試験とは

ケアマネジャーは各都道府県が管理する公的資格です。

資格を取得するには、まず介護支援専門員実務研修受講試験に合格して、各都道府県による介護支援専門員実務研修を修了した後に、登録を行います。登録が完了すると、ケアマネジャーの業務を行うことができます。

試験日

試験は各都道府県により実施されます。試験日は全国統一で、毎年10月の日曜日に行われています。願書は都道府県や試験実施団体、市町村、社会福祉協議会などで配布されます。

2020年の第23回の試験は、10月11日(日)に予定されています。

受験資格

受験者は、①②のいずれかを満たしていることが必要です。

①以下の国家資格を取得後、5年以上かつ900日以上の実務経験があること。

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士

②生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として5年以上かつ900日以上の実務経験があること。

2018年から受験資格が変更になりましたので、注意してください。

以前は介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)の資格所有者にも受験資格が認められており、一定の実務経験で受験ができ、免除科目もありましたが、現在はどれもありません。

試験内容

問題数は60問で、介護支援分野から25問、保健医療福祉サービス分野から35問出題されます。試験時間は120分です。問題は全国統一で、マークシートで解答します。

2019年度・第22回の合格率は、19.5%でした。

合格したら

合格後に、試験の名の通り「介護支援専門員実務研修」を受講します。この研修は15日間・87時間の講義・演習と、3日間の実務研修で行われます。

研修受講後に各都道府県に登録申請をして、介護支援専門員証が交付されたら、晴れてケアマネジャーとして活動することができます。

介護支援専門員実務研修受講試験に合格するには

受験勉強で気をつけるべきこと

試験は年に1回しか行われませんので、受験資格を満たしているか確認しながら、計画的に準備をしましょう。

試験は5つの選択肢から複数の正答を選択する五肢複択方式です。選択肢の中から正解を2つか3つ選ぶ形式に、戸惑う方も多いようです。

看護師、精神保健福祉士でもあり、介護支援専門員実務研修受講試験に1回で合格されたまなかたさんも、悩まれたそうです。

正解を3つ選ぶって……すごく難しい!?
精神保健福祉士の勉強をしているとき、
過去問解いていたら
択2の問題で
1つしか正解できない問題が多くて
結構苦労したんだけど……
択3って
ホントにちゃんと理解して
ちゃんとわかって解かないと
正解しない気がする~

https://ameblo.jp/carrot0102/entry-12439051157.html

また介護保険制度は複雑で、多くの方が暗記に苦労しています。

介護保険制度を理解する時に、参考書で数字や制度の名前を
形式的に覚えるより「なんでこうなってるのか?」を覚えてからその近辺の
固有名詞なりを覚えた方法がベストだと思いました。
例えば、住所地特例の対象施設についてはよく出題されますが、
対象施設にならない施設はどんな施設かというと、グルホ、地密型介護老人福祉施設
入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護です。
何か感じませんか?
全部29人以下の施設ばかりなんですよ!
つまり人数が少ないからわざわざ保険者を住所地にしなくても差し支えないだろう!
という制度を作った人の考えが読み取れます。
そう考えると選択肢の中から、
定員の少ない施設だけを選べばいい!
ということになりませんか? 

http://stratocaster55.hatenablog.com/entry/2017/10/11/013901

同じく一発合格された、社会福祉士のぞぽぞぽぞっぽんさんがおっしゃるように、ただ丸暗記するのではなく体系的に理解するようにしましょう。また、法律や制度の改正にも注意しましょう。

独学

市販の参考書や問題集を活用して、独学で合格された方も多くいらっしゃいます。

無料で利用できるサイト、WEB授業動画、アプリなど独学の方を助けてくれるサービスもあります。ケアマネージャーは実務経験が必要なこともあり、多くの方が働きながら受験勉強をしています。忙しい中でスキマ時間を活用できる便利なサービスを是非探してみてください。

受験勉強を始めようとして最初に取り組む教材には、こちらがお勧めです。多くの合格者の方から役に立ったと紹介されています。毎年改訂されていますので、試験年度に合ったもので学習して下さい。

スクール、通信講座

合格をサポートしてくれるスクールや通信講座は、ユーキャン、大原、三幸福祉カレッジなど多数あります。通学、添削、映像授業、WEB講座やオンライン講座などさまざまなスタイルの中から自分に合ったものを選びましょう。費用も5万円~20万円程度とそれぞれ異なります。

ケアマネジャーのスクールや通信講座は教育訓練給付制度の対象になっている場合があります。教育訓練給付制度とは、支払った費用の一部が支給される制度です(金額に上限あり)。オトクな制度を是非活用してください。

教育訓練給付制度の概要や支給要件等は、こちらでご紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/792/

まとめ

60歳以上の方の9割以上が現在住んでいる地域に住み続けたいと答えるなど、多くの方が住み慣れた家・土地で老後を過ごしたいと望んでいます(令和元年版高齢社会白書より)。

また介護施設においても、QOL(生活の質)が問われるようになっています。自宅や施設で入居者がより快適に暮らすためには、ケアマネジャーの役割は欠かせません。

実務経験というハードルはありますが、超高齢化社会でますます需要の高まるケアマネジャーの資格取得を目指してみませんか。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/219/

介護職員初任者研修は最初にとるべき介護の資格↑

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