インターネットが普及して、SNSを通して誰もが世界中に情報を発信できるようになりました。集客や問い合わせを増やすために、仕事でSNSを駆使している方も多いでしょう。
テレビや新聞などメディアの取材を受けて紹介されれば、あなたの仕事の情報を自分で発信するよりも多くの人に届けることができます。「取材されるなんて、記者発表会ができる大企業だけの話だ」と諦めないでください。ちょっとの工夫と努力で、取材を受けてメディアに紹介されることは可能です。
この記事では、
- 会社や社長のことを、たくさんの人に知ってほしい
- 私の開催する講座・イベントの集客を図りたい
- 社運をかけた新商品・新サービスだから、今までにない方法で宣伝したい
など考えている方のために、あなたの仕事がメディアに取材されて紹介されるメリットと、誰でも簡単に今すぐできる取材誘致の方法を、広報・PR担当だった私の経験をもとに紹介します。
メディアに紹介されるメリット
メディアの取材を受けて紹介されることには、以下のメリットが挙げられます。
広く知れ渡って、認知度が上がる
新聞の発行部数の減少や若者のテレビ離れが話題になっていますが、今もメディアは大きな影響力を持っています。メディアに紹介されれば、もともと知っていた人や関係者、あなたのSNSをフォローしている人以外の多くの人々に、あなたの仕事について伝えることができます。
第三者が発信するので、信頼度が高い
誰でも情報発信できるからこそ、情報の発信元が重要です。メディアのような第三者からの発信を、受け手は客観的な評価だと認識します。そのため、自分で言う・SNSで発信するよりもメディアに紹介されると信頼度が高くなり、「すごい」「目新しい」「画期的」と思われやすくなります。
紹介された記事や映像を直接見なくても、「〇〇新聞に紹介された」「■■テレビに取材された」と知るだけで、あなたの仕事に対する信頼度は高くなるでしょう。
第三者による情報発信で信頼度が高くなる裏返しとして、こちらでコントロールできないことは理解してください。紹介内容やその時期、そもそも紹介の有無もメディアが決めます。また、放映日・掲載日が決まっていても、突発的なニュースが起こると変更されることがあります。
広告とは違って、料金は発生しない
取材を呼んで紹介されるために、料金は発生しません。取材されて紹介されるように、メディアに情報を載せる方法に広告があります。広告を出稿するには、スペースを購入して広告を制作する費用が必要ですが、取材には費用はかかりません。
広告の中には、記事や番組の形式でつくられるペイドパブリシティがあることをご存知ですか。こんな風に紹介して欲しいと思ったら、その記事は実は広告だったということもありますので注意しましょう。
他にも、紹介された記事を見たメディアから新たに取材を申し込まれる好循環になる、顧客にコンタクトする際の糸口やきっかけになるなどのメリットがあります。
メディアに紹介されるために、取材を誘致する方法
取材されて紹介されるようにはたらきかけることは、広報・PRにあてはまります。大企業なら専任の広報・PR担当がいて、メディアに取材されるように積極的に活動しています。取材を誘致したいときには、広報・PRの専門家であるPR会社やPRコンサルタントに依頼する方法も有効です。広報・PRの資格・検定試験や専門雑誌もあり、大学や専門学校で広報PRを専門的に学ぶこともできます。
仕事として広報PRを本格的に行う準備には、長期間が必要です。しかし、少しの工夫と努力で、あなたの仕事をメディアが取材して紹介するようにはたらきかけることはできます。誰でも簡単に始められる方法を紹介しましょう。
ターゲットは地域メディア
取材されるように働きかけるターゲットは、地域メディアにします。地域メディアなら、あなたの仕事が地域のものであるというだけで、取材の対象になりやすいからです。
地域のメディアとは、以下のものを指します。
- 県紙、ブロック紙と呼ばれる地域の新聞や、大手新聞社の支局
- 地域のテレビ局・ラジオ局
- 地域情報の雑誌
- ケーブルテレビ局
- フリーペーパー
- 地域情報を発信するウェブサイト
地域メディアのウェブサイトに紹介されれば、地域内だけでなく、全国の人が読むことも可能です。地域メディアのウェブサイトからYahoo! Newsなどに転載されることもあります。また、ウェブサイトを見て、地域外のメディアから新たな取材が入ることも期待できます。
【方法その1】情報募集に応募する
メディアが紹介する情報を募集していることは、よくあります。イベント欄で紹介するイベント情報や、地域で活躍する人や企業、商品やサービスを紹介するコーナーで募集していたら、是非申し込みましょう。
新商品や新サービスの情報を募集している一例を、紹介します。地域メディアではありませんが、テレビ東京やBSテレ東などで放送中の経済情報番組「WBS・ワールドビジネスサテライト」の「トレンドたまご」です。新製品・新サービスの「卵たち」を体験レポートする、長年続く人気コーナーです。
https://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/form/
こんなスタイルで、地域メディアが情報を募集していたら応募しましょう。もちろん、「トレンドたまご」にも応募してみてください。
新製品・サービス情報だけでなく、会社の業務内容や社員の人柄をメディアの紹介を通して地域の人々が知ることは、売り上げや集客につながるだけではありません。地域に広く知られることで思わぬコラボレーションが生まれたり、原材料や資金調達がしやすくなったりするなど、あなたの仕事を後押しすることになるでしょう。また、講師の人柄や思いが紹介されることは、講座の受講者の集客にも効果が期待できます。
紹介して欲しいコーナーや番組があれば、番組・紙面内やウェブサイトで出演者を募集しているか確認してください。
募集していなかったとしても、諦めずにメディアに問い合わせることをおすすめします。ウェブサイトにお問い合わせフォームがなかったら、会社の代表電話番号にかけて、担当者につないでもらいましょう。直接連絡して相談すれば、募集していなくても取材を検討してくれる場合があります。
私もこの方法で、インタビュー番組の出演を実現させた経験があります。代表番号に電話して用件を伝えたときに相手に怪訝そうに応対されると心が折れそうになりますが、担当者に情報提供できるまで踏ん張って話し続けています。
【方法その2】ニュースとして紹介されるように、プレスリリースをメディアに届ける
ニュースとは何か?
新たな取り組みやイベント、新製品など、あなたの仕事で重大な局面を迎えたら、ニュースとしてメディアに紹介してもらいませんか。
メディアがあなたのビジネスをニュースと判断するためには、何が必要でしょうか。地域メディアがニュースとして紹介する場合に一番多いケースは「地域の役に立つ」ものです。ニュースの価値判断について、学校などで新聞を教材として活用する活動を展開しているNIEで挙げている6項目も参考になります。
- 新しさ
- 人間性
- 社会性
- 地域性
- 記録性
- 国際性
https://nie.jp/newspaper/news/index.html
紹介して欲しいことについて、この6項目にあてはまる部分を強調してメディアに伝えましょう。
実際にメディアが紹介したニュースの例を紹介します。世紀の大発見でなくても、あなたの仕事もニュースになる素材になる可能性はあります。
- SNSによる妊活支援サービスが、市町村からの委託を受注
- 薬局が薬剤師や登録販売者のアバター(分身)を映し出して接客するシステムを導入
- 赤字の地元鉄道を助けるための、古本寄付を募集
- Iターンして、鍼灸院を開業
- 駆除した外来種をレストランの新メニューとして提供
- 地元出身のクリエイターを育てようと講座を開講
- わが子の不登校に悩んだ経験を活かそうと、フリースクールを開校
- 会社の空きスペースで家族の介護する人々を支援するためのコミュニティカフェを開店
- 社員が百名山を全頂制覇
- スマートフォンを活用した地域密着型の謎解きゲームが開始1か月で参加者〇〇人突破
- インド在住の技術者とオンラインで組んで、アプリを開発
メディアに伝える専用書式・プレスリリースで情報発信しよう
メディアに情報提供を行う際に使用するものが、プレスリリースです。プレスリリースとは、企業や組織がメディア向けに発表する文書のことで、多忙なメディア関係者が一目で内容を把握できるように文書の構成が決まっています。
プレスリリースの構成や作成する際の注意点とともに、初めての人でも書きやすいテンプレートが紹介されています。
https://prtimes.jp/magazine/pressrelease-format/
「プレスリリースを書くなんて考えたこともないし、難しそう」
「専門的に学んだこともないし、作成できる自信がない」
と躊躇するかもしれません。しかし、メディアに分かりやすく伝えるための工夫は、仕事での顧客への気づかいと共通点が多いです。
あなたが普段「どうすればお客様に伝わるか」と考えていることを応用して、「どうすればメディアに伝わるか」と工夫してください。実際のテレビ番組や新聞記事をヒントにして、メディアの視点で読者・視聴者にどのように伝えるか考えると、分かりやすいプレスリリースが書けるでしょう。
プレスリリースをメディアに届ける方法
あなたの仕事の情報をプレスリリースにまとめたら、メディアにどのように届ければよいでしょうか。
取材して欲しいメディアへ、プレスリリースを送る
取材して欲しい・紹介して欲しいと思うメディアのウェブサイトをチェックしましょう。取材依頼をするフォームやメールアドレスが見つかったら、プレスリリースを送ります。代表の電話番号しか分からなかったら、「取材を検討して欲しいのでプレスリリースを担当者に送りたい」と問い合わせれば、送り先を教えてくれます。
取材に出かける直前や原稿の締め切りなどタイミングが悪い時に記者に連絡してしまうと、ぶっきらぼうに対応されることはよくありますので、驚かないでください。マナーは守って、要点を絞って手短に話すことをおすすめします。
新聞社はウェブサイトの地域面や会社概要の支局一覧に連絡先が掲載されていることが多いです。実際の紙面にも連絡先が記載されていますので、多くの地域メディアを一度に閲覧できる図書館なら一気に確認することができます。
地域の記者クラブに配布する
地域メディアに一度に情報提供する方法に、記者クラブへの資料配布があります。
記者クラブは都道府県・市町村の役所に設置されています。知事や市町村長の記者会見に出席して、取材したり質問したりしている人たちの多くが、記者クラブに所属する記者です。
記者クラブは主に地方公共団体を取材していますが、地域ニュース全般が取材対象になります。まずは資料配布ができるか、記者クラブへ問い合わせましょう。あなたの会社の所在地でなくても、新たにイベントを開催する場所など仕事を展開する地域の記者クラブへの資料配布も可能です。
記者クラブの連絡先は公開されていないことが多いです。役所の代表番号に電話して、「記者クラブへの資料配布について相談したい」と伝えてください。記者クラブにつないでもらったら、資料配布について相談しましょう。遠方の場合は、直接持ち込んで配布しなくても、郵送で対応してもらえることがあります。
記者クラブに電話すると受付事務を担当する方につながることが多いですが、記者が電話に出ることがあります。受付事務、記者どちらの方も愛想がよいことはあまりありませんが、ここでも心折れずに頑張ってください。あなたの仕事の情報は記者も取材したい、広く知られれば地域の役に立つと自信を持って伝えることが大切です。
【方法その3】SNSの更新に力を入れる
メディアが取材源を探すときにも、SNSは活用されています。メディアに興味を持たれるように、SNSの更新を積極的に行いましょう。
メディアのためといっても、普段のSNSの更新の工夫と大きな違いはありません。
- 取材して欲しい・紹介されたいメディアのSNSをフォローする
- メディアが取材したいと思うような、魅力的な写真や動画を公開する
フォロワーを増やすための工夫と同様に、上記のようなことを心がけてください。
まとめ
SNSを使えば誰でも世界中に発信できるようになりましたが、だからこそ誰が発信しているのか、発信元の信用性が重要です。メディアが取材して紹介すれば、あなたの仕事をより多くの人が知られるでしょう。第三者からの紹介だと自分で発信したよりもあなたの仕事の情報が斬新に思われ、信頼度も高くなることが期待できます。その上、費用はかかりません。
メディアに紹介されるためには少しの工夫と努力が必要です(時には、初めての番号に電話する度胸も)。取材を呼ぶことができたら、紹介記事や放映を見て次の取材が入るなど、想像を超える反響も期待できます。普段の顧客への気づかいを応用すれば、イベントや新しい取り組みを取材したくなるようにメディアへ伝えることは難しくないでしょう。
情報がメディアに紹介されて認知度も信頼度も向上することを目指して、取材誘致のために情報提供してみませんか。