乳幼児の子育て中のお出かけは準備も大変、外出中も気苦労が絶えません。この期間は家に閉じこもりがちになることが多いため、乳幼児とママを対象にしたイベントや教室が各地で開催されています。参加者の募集にはSNSなどインターネットが活用され、新型コロナウィルス感染症に対する心配も大きいので、オンラインでの開催も増えてきました。
今回は、元気な小学生兄弟を育てながら、手形アートのイベントや講座を対面・オンラインで開催中のママ講師に、活動内容やきっかけ、開催のコツや苦労を聞きました。
きっかけと活動内容
手形アートを始めたきっかけ
コエテコカレッジ編集部(以下、編集部) 講師のお仕事を始めたきっかけを教えてください。
ママ講師 きっかけは、親子サークルに参加していたら楽しくて、イベントスタッフとしてお手伝いをするようになったことです。お誕生会でお祝いしたり、季節ごとにイベントを企画したりするうちに、「もっとやりたい、広げたい」と思いました。手形アートの講師資格を取得して、自宅で教室を開催しますとInstagramで告知したことが、スタートでした。
編集部 どうして、もっとやりたくなったのですか。
ママ講師 スタッフとしてイベントを主催する側になったら、参加者の時よりもっと楽しかったんです。
子どもが乳幼児の頃は、私は子どもとの時間が中心、というよりほとんどでした。楽しく幸せだなと感じていましたが、だんだんと子どもと一緒に参加できるコミュニティが欲しいというか、子どもと一緒に出かけたくなりました。出産して子どもを育てる中で、同じぐらいの月齢の子どもを育てるママと話してみたいな、同志や仲間が欲しいなと思ったんです。だから、親子サークルに参加しました。
イベントの参加者からスタッフに立場は変わっても、参加者のママと話すと嬉しかったです。さらに、参加者の皆さんの楽しそうな姿や、参加者同士で自然に話が弾む様子を見ることは、大きな喜びになりました。参加者と一緒にスタッフの私もリフレッシュできたと実感しました。
ママたちが楽しめて、おしゃべりもできて、リフレッシュできる場をもっとつくりたいと思い、今も活動しています。
手形アート制作教室と講師養成講座の二本立てで活動中
編集部 どんな活動をしていますか。
ママ講師 親子で手形アートをつくる手形アート制作教室と、その講師を養成する講座の講師として活動しています。私は講師資格と、講師養成講座を開催できる資格の2つを持っています。
講師養成講座に参加する方の目的は、人によって異なります。私のように講師として手形アート制作教室を開催したい人もいますし、教室を開催せずに手形アートのモチーフを活用したい・スキルを学びたい方もいます。自分の子どもと楽しみたいママはもちろん、幼稚園の先生や保育士、小児病棟の看護師など仕事で子どもと接する方も講師養成講座に参加しています。
新型コロナウィルス感染症が流行する前は、対面での開催だけでした。現在も手形制作教室は対面だけですが、講師養成講座は参加する方のご希望でオンライン・対面どちらでも開催しています。
参加者募集方法と、参加受け付けの苦労とは
編集部 開催までの準備をお聞きします。対面とオンラインで違いがあったら、教えてください。
まずは告知からお願いします。
ママ講師 告知は対面・オンラインどちらも同じように行います。
私の教室・講座に参加してくれる方は20~30代の女性が中心です。この方たちが情報収集につかうのは主にInstagramです。そのため、告知のメインはInstagramで、気持ちを文章でしっかりと伝えたい時はブログです。告知もお申し込みも、全てインターネットを通して行っています。
Instagramの投稿ではキャプション・文章部分はタップする前には数文字しか表記されません。いかにタップしてもらえるか、1枚目の写真が大切です。
いわゆる「映え写真」をつかうのはもちろん、何を伝えたい写真なのか一目で分かるようにします。私の投稿は大きく分けると製作作品紹介、募集告知、開催報告にあてはまりますが、どの内容かパっと見てすぐ分かるように写真だけでなく、写真に入れる文字にも工夫が必要です。
募集告知なら、時間、場所などの情報とともに、どんな作品がつくれるのか作品例もできるだけ多く紹介します。
編集部 参加受け付けは、どのように行いますか。
ママ講師 参加者受付は対面もオンラインも共通で、申し込みフォームからが原則です。
Instagramのダイレクトメッセージでも、受付もお問い合わせも可能にしています。でも、ダイレクトメッセージは難しいんですよね。
気軽に問い合わせしてくれるのはありがたいですが、たまに困ることがあります。例えば、「空いてますか?」と聞かれて「空いてますよ」と答えたら音信不通になって、席を空けておくべきか否か判断に迷うような場合です。ほかにも、「申し込みます」と連絡は来たけど名乗ってくれないので、参加者名簿にどう書こうかな、本当に来てくれるのかなと悩むこともあります。
ほとんどの方は、きちんとやり取りができて問題ないのですが、ダイレクトメッセージでは聞く内容があらかじめ決まっていないので苦労もありますね。
オンライン講座には、遠距離だからこそのメリットも
オンライン講座開催の準備
編集部 オンライン講座のために、どんなものを使いますか。
ママ講師 オンライン講座はzoomで行って、パソコンとヘッドセットを使用しています。作品や手元を映すために便利かなとWebカメラも用意していますが、今のところは必要を感じたことはありません。パソコンのカメラで十分対応できています。
バーチャル背景機能や背景ぼかし機能を使ったことはありません。手形アートを手に持つと、うまく映らないことが多いからです。だから、パソコンの置くスペースは壁の広い場所を選びました。
オンライン講座なら、全国各地から参加できる
編集部 オンライン講座ならではの良さを教えてください。
ママ講師 全国各地から受講してもらえることだと思います。私が講師になるために資格取得講座を受講したときもそうだったのですが、距離や移動時間、交通費を考えずに自分で好きな講座や先生を選べるのはありがたかったです。
編集部 全国はもちろん、海外に住むママも参加してくれるかもしれませんね。手形アートならではの、日本の季節のお祝いも楽しめますし。
ママ講師 そうなったら、いいですね。
遠距離だから、競合せずに仲間になれる
ママ講師 オンライン講座には、他にもメリットがありました。
近隣で開催されている講師養成講座を受講して講師になると、対面で手形制作教室を開催した場合に競合してしまうジレンマがありました。でも、オンライン講座で遠距離に住む講師を選べば、商圏が被らない、ライバルにならないので、お互いに遠慮する必要がなくなります。講師養成講座を開催する側も受講する側も、遠距離なら競合する気遣いをしなくてよいので、やりやすいですね。
コロナ禍は残念なことですが、せっかくオンライン講座の開催や参加へのハードルが低くなったので、講師養成講座を積極的にオンラインで開催したいと思っています。
私自身も、講師養成講座を開催できる資格をオンライン講座で取得しました。同じ講座に参加した同期メンバーは、活動場所が全国各地に散らばっているので、競合しません。同じ手形アートを教える講師仲間として悩みを相談しやすく、参加者を取り合うジレンマもありません。
編集部 オンラインならではのつながり・コミュニティも楽しそうですね。
ママ講師 いつでもどこでもつながれる、気になることを聞いたら誰かがすぐに答えてくれるのは、ありがたいです。このようなオンラインならではの良さも活用したいですね。
開催後の報告記事と参加者へのメッセージへの工夫
編集部 コロナ禍での対面開催では、どんなことに気をつけていますか。
ママ講師 参加者を通常の半数程度にした、小人数での開催です。手洗いや手指消毒、マスク着用の徹底、会場内や道具の消毒には細心の注意を払います。
開催報告は対面・オンラインともにInstagramやブログに投稿しますが、対面の場合は感染症予防の徹底した対策が伝わるように書きます。子連れで出かけることをためらうママに安心してもらえたらと思います。
編集部 開催後も、配慮や工夫が必要なんですね。
ママ講師 もちろんです。私は参加してくれたママには必ず個別でメールやメッセージを送ります。可能な場合には、オフショットの写真もつけますよ。お誕生会ならお祝いの言葉をつけて、リピーターなら「前回参加してくれたときより、びっくりするほど大きくなりましたね」など、参加者それぞれにメッセージを考えます。
メッセージの最後には、次回のご案内や募集中のイベントの告知をつけます。次回の参加者を増やしたい気持ちもありますが、子どもの手形は、成長とともに大きくなってどんどん変化しますから、今の姿をしっかりと形に残して欲しいんです。手形教室を始めたきっかけでもあります。
編集部 先生の起業理念ともいえますね。
対面もオンラインも、どちらも今後も広げたい
講師業のメリットと、家事・子育てとの両立のコツ
編集部 会社員やパートタイマーのように雇われるスタイルではなく、講師業を選んだ理由はなんですか。
ママ講師 自分で働き方を決められることが、メリットだと思います。
私は子どもが幼稚園や小学校から帰宅するときには「おかえりなさい」と出迎えたいんです。夏休みや行事、習い事やスポーツなど子どもたちの予定にも柔軟に対応したいです。入学・入園など新生活が始まったときは、子どものペースに合わせたいし。
夫が国内外ともに出張が多くて普段も帰宅時間が遅い、いわゆるワンオペだからかもしれません。
編集部 ワンオペですか。それは大変ですね。講師業と家事・子育ての両立のコツがあれば教えてください。
ママ講師 何事もその場で処理する、片付けることをこころがけています。トラブルでも問い合わせでも、後回しにせずにすぐ手をつけたほうが、結局手間がかからないと思います。講師仲間やママ友には、仕事が早い意味で「早っ!!」と目を丸くしながら言われることもありますよ。
夜は子どもと一緒に寝て、その分朝は早く起きるようにしています。幼稚園のお弁当を作るときに、夕食の準備もやってしまいます。小学生になった今でも、早起きと夕食の準備は変わらず行っています。冬は寒いし暗いので、早起きがつらいのが難点です。
リフレッシュと達成感を提供して、新しい世界を広げられたら
編集部 今後やりたいこと、夢などを教えてください。
ママ講師 まずはコロナ前のように、対面で教室やイベントを思い通りに開催したいです。
現在は、短時間・少人数入れ替え制で、昔のようにおしゃべりを楽しんだり、リフレッシュしたりする時間の提供が難しい状況です。
私の場合は手形アートですから、作品を完成させる達成感をママたちに味わってほしいと願って開催してきました。ママが参加して帰宅するときに「やったね!」と感じてリフレッシュできるような手形アート制作教室を目指しています。そのために、対面でママが集まって、楽しかったねと思える時間を提供したいです。これこそが講師になったきっかけでもあり、原点回帰でもありますね。
とはいえ、オンラインもどんどん活用していこうと考えています。先日、私の講座メニューに講師向けのスキルアップ講座を追加しました。こちらはオンラインでも満足できる内容が設定できるので、全国各地に届けたいです。
私は手形アートを通して全国各地の講師仲間と出会い、新しい人間関係を築くことができました。大人になってから新しい世界に踏み出す機会って、なかなかありませんよね。自分の世界を広げることができたのはとても嬉しいことです。私自身ももっと世界を広げて行きたいし、新しい世界へ一歩を踏み出したいママの背中を押してあげたいなと考えています。
まとめ
大人になってから気になることを新たに学んだり学び直したり、資格を取得したりすることもインターネットを利用すれば挑戦しやすくなりました。さらにSNSを活用すれば、自らが講師となって教室を開くハードルを下げることもできるでしょう。
対面ならではのメリットもありますが、オンライン講座の開催にも多くのメリットがあります。あなたもオンライン講座の開催にチャレンジして、新しい世界に一歩を踏み出してみませんか。