QC検定とは|幅広い業界で役立つ品質管理の検定

QC検定とはあまり聞きなれない名前かもしれませんが、私たちが普段触れているさまざまなサービスや商品の品質に関わる検定です。QC検定を活かせる職種は幅広く、QC検定を推奨する企業も数多くあります。今回は、そんなQC検定の概要や検定試験の詳細、難易度、学習方法を解説します。

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QC検定とは

QC検定は2005年に設けられた比較的新しい検定で、日本規格協会グループが主催しています。QC検定の「QC」は「Quality(質) Control」の略。日本で言うところの品質管理を意味します。

品質管理というと製造業や生産業に特化した検定と思うかもしれませんが、「どうすればお客様が求めている商品やサービスを提供できるか」「いかにコストを抑え質のよいものを造るか」といった、マーケティングやサービス提供、商品企画の面でも品質管理の知識は重要です。

そして、この品質管理に関する知識、意識、改善能力を評価する検定がQC検定です。

QC検定は就職・転職に有利?

QC検定はあくまで民間検定であり、「QC検定合格で就職・転職が有利になる!」とは言い難いところです。ただ、品質管理は仕事上多くの面で重要視されており、ほとんどの企業が広い意味での品質管理を行っています。検定で身に付けた知識を活かせる職業・職種は多分にあるでしょう。知識を活かして品質管理体制を整えたり問題点を改善したりすることで、昇給・昇格につながる可能性もあります。

また、日本規格協会グループのホームページには、QC検定に団体参加した企業の一覧が記載されており、その数は2,000社以上。誰もが知る大手企業も多数あります。掲載された企業への就職・転職には、QC検定がひとつの評価材料となるかもしれません。

https://webdesk.jsa.or.jp/common/W10K0500/index/qc/qc_entrydata1_4/

QC検定試験の概要

QC検定には4級~1級まで設けられており、数が小さいほど上位級になります。それぞれの試験内容や難易度を以下で解説します。

受験資格

QC検定試験は年齢、経験、国籍問わず誰でも受験でき、また、どの級からでも受験可能です。また、2級と1級、4級と3級といったように連続する級であれば併願で受験することもできます。

試験日程・試験会場

試験は年に2回、3月中旬9月上旬に行われます。受験申し込み期間はそれぞれ6月と12~翌1月で、個人での申し込みはインターネットから受け付けています。

試験が行われる開催地はホームページで確認できますが、具体的な会場は非公開となっており、受験票にて通知されます。受験票が届く前の試験会場についての個別質問は受け付けていないとのことなので年頭に置いておきましょう。

https://webdesk.jsa.or.jp/common/W10K0500/index/qc/

試験内容

試験はマークシート方式。4級~2級は一次試験のみですが、1級のみ一次試験と二次試験があり、二次試験は論述方式です。ちなみに、1級で一次試験のみ合格した場合は「準一級」と認定されます。

以下、各級での試験内容を紹介します。

<4級>

4級は社会人として最低限身に付けておきたい品質管理の知識が問われます。受験者には学生も少なくなく、高校生や中学生の受験者も。また、就職を前に社会人として品質管理の知識をつけようと受験するケースもあるようです。ホームページでは、就活でその知識や意識をアピールし内定につながったという例も紹介されています。

項目:

・品質管理の実績(品質管理/管理/改善/工程(プロセス)/検査/標準・標準化)

・品質管理の手法(事実に基づく判断/データの活用と見方)

・企業活動の基本

<3級>

3級は4級よりも踏み込んだ実践レベル。品質管理の基本的な活動を、支援を受けながらできるレベルになります。実践レベルになると社や部署をあげてのQC検定合格を目指す企業もあり、社内の意識向上や課題改善に役立てているようです。

項目:

・品質管理の実績(QC的ものの見方・考え方/品質の概念/管理の方法/品質保証)

・品質管理の手法(データの取り方・まとめ方/QC七つ道具/新QC七つ道具/統計的方法の基礎/管理図/工程能力指数/相関分析)

<2級>

品質管理に関する活動を自立してできるレベルが2級です。品質管理の業務に関わっている人がキャリアアップを目指し受験するケースも多く、仕事に直結することで知識の活用を実感できているとの声も多数。長く品質管理に関わっている人の中には、自身の能力の再確認を兼ねてQC検定を受ける人もいるようです。

項目:

・品質管理の実績(QC的ものの見方・考え方/品質の概念/管理の方法/品質保証/品質経営の要素)

・品質管理の手法(データの取り方とまとめ方/新QC七つ道具/統計的方法の基礎/計量値データに基づく検定と推定/計数値データに基づく検定と推定/管理図/抜取検査/実験計画法/相関分析/単回帰分析/信頼性工学)

<1級>

1級は品質管理活動の指導者が最低限取得しておくべき知識レベル。知識の活用法も身に着くので、現場の品質管理指導に活かすことができます。品質管理活動のリーダー的立ち位置である人にはぜひ合格してほしい試験です。

■一次試験

項目:

・品質管理の実績(QC的ものの見方・考え方/品質の概念/管理の方法/品質保証/品質経営の要素/倫理・社会的責任/品質管理周辺の実践活動)

・品質管理の手法(データの取り方とまとめ方/新QC七つ道具/統計的方法の基礎/計量値データに基づく検定と推定/計数値データに基づく検定と推定/管理図/工程能力指数/抜取検査/実験計画法/ノンパラメトリック法/感性品質と官能評価手法/相関分析/単回帰分析/重回帰分析/多変量解析法/信頼性工学/ロバストパラメータ設計)

■二次試験

品質管理の実績、品質管理の手法からの4つのテーマから1つを選択して論述方式で回答

試験の難易度・合格率

QC検定試験の合格率は級により大きな差が見られます。4級では85%程度、3級が40~50%程度、2級が25%程度、1級になると4~7%程度にまで合格率が下がります。

4級~3級は難易度が高くなく、実務経験がない学生や初学者でも合格は難しくないでしょう。2級からは統計など数学的な要素も加わり、やや難易度が上がります。1級は例年合格率が1桁で推移しておりかなりの難関。受験資格上は誰でも受験することができますが、初学者がいきなり1級から受験するのは少々無謀かもしれません。

QC検定に合格するには

できる限り短期間で合格するためにも、自分に合った学習法で、効率的に勉強しましょう。学習法は、大きく「独学」か「講座を利用した学習」に分けられます。

独学

入門レベルといわれている4級~3級は独学での合格も難しくありません。特に4級は日本規格協会のホームページでテキストが公開されており、このテキストで学習するだけでも合格を目指すことが可能です。

3級~1級の場合は、市販のテキストや問題集での学習が基本となるでしょう。3級は30~50時間が独学での目安学習時間とされていますが、2級、1級は、100時間以上は確保したほうがよいといわれています。市販のテキストを活用しつつ、セミナーに参加して知識を増やすのもよいかもしれません。セミナーは、日本規格協会や日本科学技術連盟が開催しています。

また、独学で合格された人たちの多くは過去問を重視しているようです。こちらのテキストは2017年以降の試験の過去問と解説が掲載されており、出題傾向の把握に最適。現在最新版がAmazonで販売されています。

独学でQC検定3級、2級に合格したedta2naさんも上記の過去問シリーズを愛用していたそう。各年度を1週したことで出題パターンが掴めたとのこと。edta2naさんはほかにも使用した参考書や実際に試験を受けての感想などをブログに綴っていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

https://ameblo.jp/edta2na/entry-12269268270.html

通信・通学講座・学校

より効率的に勉強したい人は、専門講師の授業や添削が受けられる通信・通学講座を利用するのもおすすめ。日本規格協会でも3級レベル、2級レベルに対応した通信講座を扱っています。そのほか、日本科学技術連盟JTEX(日本技能教育開発センター)JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)でも通信講座を設けています。いずれも1万円台~3万円台と、一般的な資格講座に比べ安価となっているので、検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

かつて、食品偽装や異物混入、不良品の続出などからリコール問題が大きくクローズアップされたことがありました。企業の信頼・業績に影響する品質管理は、今や多くの企業の課題となっています。社会人生活の中で、QC検定で得た知識を活かせるシーンは至るところにあるでしょう。社会人としてのステップアップにもなるQC検定受験をぜひ検討してみてください。

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