労働安全衛生法により、業種に関わらず常時50人以上の従業員が働く事業場では、衛生管理者を1人以上置くことが義務付けられています。
しかし、残念ながら、資格の取得者が不足しているため、設置義務を果たせていない会社もあるのです。
衛生管理者とは、社員の健康管理やオフィスの環境管理、職場の労働環境の改善等が主な仕事。
現在の職場で総務・労務などのスペシャリストとしてキャリアアップを考えている方、転職を考えている方にも、ぜひ在職中に取得しておくことをオススメする資格です。
<前編>衛生管理者とは・受験資格など↓
https://college.coeteco.jp/blog/archives/350/
試験概要
衛生管理者には、厚生労働大臣が指定する試験機関(公益財団法人 安全衛生技術試験協会)が行う衛生管理者試験(第一種・第二種)に合格し、その後、免許を受けた者などを充てることとなっています。
合格後に、都道府県労働局及び各労働基準監督署にある免許申請書に必要事項等を記入し、免許試験合格通知書と必要書類を添付のうえ、東京労働局長に免許申請をすることで、はじめて免許証が交付されます。
試験内容
試験科目は第一種衛生管理者と第二種衛生管理者ともに、以下の3つの範囲から出題されます。
- 関係法令(労働基準法、労働安全衛生法)
- 労働衛生
- 労働生理
各範囲の出題数は以下のように、少し異なります。
<第一種> (合計44問)
- 関係法令 17問
- 労働衛生 17問
- 労働生理 10問
<第二種> (合計30問)
- 関係法令 10問
- 労働衛生 10問
- 労働生理 10問
合格率・難易度など
安全衛生技術試験協会の2021年度統計によると、
〇第一種衛生管理者試験 受験者数は68,210人で、合格者数は29,113人、合格率は42.7%です。
〇第二種衛生管理者試験の受験者数は36,057人で、合格者数は17,922人、合格率は49.7%です。
合格基準は、両試験ともに正答率が各科目で40%以上、全体で60%以上とされています。
試験日と会場
試験は全国7ヶ所の安全衛生技術センターで毎月1~4回行われています。試験日は各地域により開催回数がかなり異なります。また、出張試験が年に1~2回、各都道府県に試験会場を設置して行われています。
第一種衛生管理者・第二種衛生管理者免許試験日(公式サイト)
https://www.exam.or.jp/exmn/H_nittei502.htm
出張試験の日程(公式サイト)
https://www.exam.or.jp/exmn/H_syucho.htm
申込方法・受験料など
申込方法等の詳細は、各センターで作成している「免許試験案内」や安全衛生技術試験協会本部のWebサイトで、その時点での正確な情報をご確認ください。
受験料は6,800円です(2022年5月現在)
学習方法は?
講習会に参加
民間の企業や各地の公的機関で講習会等が開催されています。
2日~3日の講習でテキスト代も含め、民間の講習会では2万5千円~3万5千円、公的機関では1万5千円~2万5千円程度と比較的安い受講料で受けられます。
講座を受けた後は、自分で学習ということになりますが、実際に講師にいろいろと教えてもらえるのは不安が解消されますね。
企業による講習会は合格保証がついているものもあるので、コストはかかりますが、より安心です。
公的機関による講習会の例
公益社団法人労務管理教育センター(東京)
https://www.roukan.or.jp/eiseikanri-schu.html
公益社団法人 千葉県労働基準協会連合会
https://chibaroukiren.com/course/seminar/
公益社団法人 神奈川労務安全衛生協会
https://www.roaneikyo.or.jp/reserve/detail.php?tid=63
独学の場合
参考書や問題集を次から次へとやるのではなく、購入した参考書や問題集を徹底的に学習しましょう。
過去の問題は公式サイトをはじめ、多くのサイトにありますので、スキマ時間に学習することもできます。
https://www.exam.or.jp/exmn/LCkohyo.htm
通信教育など
講習会への参加や独学では資格を取る自信がない、会社からの要請で絶対に取得する必要がある等の場合は、コストはかかりますが、通信教育が安心です。
費用の20%までが補助される教育訓練給付金を利用できる場合がありますので、それも確認しましょう。
SAT、ユーキャン、ウエルネット、一般財団法人 安全衛生普及センター等で通信やWebの講座も設定されています。
合格体験記
カカメンさんの「2週間で第1種衛生管理者に合格した時の話」
す、素晴らしい……。
ネットでの合格体験記などを見ると、通常は2ヶ月~3ヶ月ほど、40時間~60時間などが一般的なようです。
わしの勉強方法は、過去問を解く→答え合わせ→間違ったところをノート書き…というサイクルを毎日続けることです。
http://kakamen.jp/?p=46
まとめ
将来、単純な事務系の作業がITに置き換えられていく方向性は変わりません。
衛生管理者は比較的難易度も低く、需要も多いので総務・管理系の業務についている方にはスキルアップに最適の資格だと思われます。
インフルエンザや新型コロナウイルスなどの疾病の集団での発生や、地震などの天災への備えとしても、これからますます重要度が増していく資格でもあります。
また取得には、事業者証明書が不可欠ですので、転職を考えている方もぜひ在職中に取得しておくことをおすすめします。