子どもが好きな人や、子育てを終えた主婦から人気がある職業がベビーシッターです。
ベビーシッターは資格がなくても働けますが、正しい知識を身につけて保護者から信頼されるためには、資格を持っておいたほうがよいでしょう。
ベビーシッターに関連する資格には、国家資格と民間の資格がありますが、民間の資格は通信講座で取得できるものもあります。
この記事では、ベビーシッターを目指す人におすすめの資格の紹介や、ベビーシッターとして働く場合に持っておきたいスキルの解説をします。
ベビーシッターになるために資格は必要?資格を持つメリットは?
ベビーシッターは、保護者の代わりとして、0~12歳くらいの子どもたちの世話や保育をする仕事です。
資格がなくてもベビーシッターにはなれる
ベビーシッターになるために必要な資格は特になく、専門知識や資格がなくてもベビーシッターとして働くことは可能です。
しかし、資格を取得しておくと、就職・転職の際に優遇されたり、保護者からの信頼を得やすくなったりと、多くの場面でメリットを感じられるでしょう。
ベビーシッターの資格を取っておくメリット
ベビーシッターの資格を持っていると、企業内の保育所や託児所、児童のためのどさまざまな施設で働くことができます。女性の社会進出などからベビーシッターの需要は高まり続けているので、今後も求人は多いと期待できます。
また、仕事をするなかでもベビーシッターの資格が役立つ場面が数多くあります。具体的なメリットについて、見ていきましょう。
子どもとの関わり方の正しい知識を得ることができる
資格を取ることで、年齢ごとの子供の心理や特徴について知ることができます。問題行動がある子どもに対しても感情的にならず、適切に対応できるようになるでしょう。
障害や病気のある子どもにも適切な対応ができる
少しの変化で熱を出す・体調が悪化するなど、子どもには子どもならではの体調の変化があります。また、障害がある子どもに対しても、保育の正しい知識を持っていれば慌てずに冷静に対応できるでしょう。
保護者から信頼してもらいやすくなる
資格は、保育に関する知識が豊富である証明です。保育のプロとして知識がある有資格者のベビーシッターは、保護者との信頼関係も築きやすくなります。その結果、料金や時給、月給が上がり、収入の増加も見込まれます。
ベビーシッターを目指す人におすすめの国家資格
ベビーシッターに関連する資格には、国家資格と民間資格があります。まずは、国家資格である保育士資格と幼稚園教諭免許資格から見ていきましょう。
保育士資格
保育園や託児所などの児童福祉施設で、保護者に代わって子どもの世話をするのが保育士です。具体的には、0歳~5歳頃までの子どもに対し、食事や排せつ、睡眠などの基本的な世話をし、子どもの年齢や発達に合わせた成長をサポートします。
保育士として働くには、国家資格である「保育士資格」の取得が必要です。
保育士資格の取り方
保育士資格は、厚生労働大臣の指定する専門学校・短大・4年制大学で必要な単位を履修し卒業すれば、無試験で取得が可能です。
指定外の学校を卒業した場合でも、受験資格を満たして「保育士試験」に合格することで、資格を取得することができます。
保育士の仕事内容や保育士試験の詳細は、こちらで紹介しています。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/2460/
幼稚園教諭免許
幼稚園教諭は、幼稚園で子どもに適切な指導や教育を行なう、国家資格です。全国の幼稚園では文部科学省が定めた「幼稚園教育要綱」をベースにした、独自のカリキュラムが作られています。幼稚園教諭は、そのカリキュラムに沿って子供たちの教育や世話を行ないます。
幼稚園教諭免許を取得したのち、各幼稚園の採用試験に合格して初めて、幼稚園教諭として働けるようになります。
幼稚園教諭免許の取り方
幼稚園教諭免許は、幼稚園教諭養成過程のある専門学校・短大・4年制大学で必要科目を履修すれば、卒業と同時に取得できます。
免許状には「専修」「一種」「二種」の3種類があり、卒業する学校によって取得できる種類が異なります。
いずれの免許でも幼稚園教諭として働くことはできますが、免許の種類によって給与や待遇面で差があることは覚えておきましょう。
なお、幼稚園教諭免許を含め教員免許には、10年ごとに更新する制度がありますが、2022年度に廃止される方向で調整が進められています。
ベビーシッターを目指す人におすすめの民間資格
民間のベビーシッター資格は、国家資格に比べて取得しやすいことが特徴です。ここでは、ベビーシッターを目指す人におすすめの民間資格を3つ紹介します。
認定ベビーシッター資格
認定ベビーシッター資格は、公益社団法人全国保育サービス協会(ACSA)による認定資格です。ベビーシッターとして必要とされる、専門的な知識や技術を持ち実務の経験をしたあと、認定試験に合格することで与えられます。
認定ベビーシッター資格の取り方
認定ベビーシッター資格の試験は、満18歳以上であることに加え、下記2つのうちどちらかの要件を満たす必要があります。
- 協会が実施する「養成研修」「現任研修」の2つの研修を受講し、修了証を持っている
- 居宅訪問型保育基礎研修を受講し、すべての科目の修了証を持っている
認定ベビーシッター資格の試験内容
試験は選択式(40問)と記述式(1問)で出題され、試験時間は90分です。内容は、協会主催の研修で習った範囲から出題されます。
ベビーシッター資格
ベビーシッター資格は、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)による認定資格です。
資格取得に必要な学習も受験も在宅でできるため、まとまった時間の取れない人でも無理なく取得できます。
ベビーシッター資格の取り方
協会が指定した認定教育機関などが実施する教育訓練において、必要とされるカリキュラム(4ヵ月)を修了後、在宅受験に合格すると資格取得ができます。
ベビーシッター資格の試験内容
ベビーシッター資格試験は、教育機関で学んだ内容から出題されます。
合格基準は、すべての問題の合計点数の70%以上です。テキストを見ながら受験ができるため、丸暗記の必要はありません。
ベビーシッター技能認定
ベビーシッター技能認定は、一般財団法人日本医療教育財団による認定資格です。
受験資格もなく、試験は持ち込み可能なので取得しやすい資格といえるでしょう。
ベビーシッター技能認定の取り方
ベビーシッター技能認定は、承認を受けた教育機関で財団が定めたカリキュラムを修了したあと、試験に合格することで認定されます。
ベビーシッター技能認定の試験内容
修了試験は択一式で、「ベビーシッターに係わる基礎知識」のなかから出題されます。試験時間は60分以内、問題数は合計25問以上です。
合格するには90%以上の得点率が必要ですが、資料の持ち込みが認められているので安心して受験できます。
ベビーシッターの資格は独学で取れる?
テキストなどを購入して、独学でベビーシッターの資格を取りたい人もいるかもしれませんが、ベビーシッターの資格は完全な独学では取得できません。
ベビーシッターの資格は独学では取得できない
民間のベビーシッター関連の資格を取るためには、以下2つのうちどちらかの方法で取るのが一般的です。
- 協会が実施する研修を受け、実務経験を積んだうえで認定試験を受ける
- 通信教育でベビーシッター講座を修了したあと、受験をする
資格によって、取得方法や受験要件が異なるので、気になる資格を見つけたら取得方法をきちんと調べるようにしましょう。
ベビーシッター資格のためには通信講座がおすすめ
ベビーシッター資格を取る方法には、スクールに通学する方法と通信講座を受ける方法があります。通学型のスクールの場合は、費用の負担が比較的大きく通学時間もかかる一方、通信講座は3~5万円程度で受講できるものがほとんどです。
通信講座では、オリジナル教材で保育の知識を身につけ、不明点は保育経験のあるプロの講師に質問することもできるので、自分のペースで効率良く試験対策ができます。
ベビーシッターの通信講座を選ぶ時に気を付けたいポイント
ベビーシッターの通信講座はいくつかありますが、申し込みをする際には以下の点に注意しましょう。
- 自分が取りたい資格を取れる講座なのか
- 学習期間・費用はどれくらいなのか
- 学習スタイルは自分に合っているか(テキスト内容・映像・e-ラーニング)
- 学習サポートは充実しているか
自分に合った学習スタイルで、サポートの充実した通信講座を選ぶことが大切です。
ベビーシッターに求められるスキル・適性は?
「子どもが好きだから」という理由でベビーシッターを目指す人は多いかもしれませんが、他人の子どもの命を預かる大切な仕事であることを忘れてはなりません。
保護者と子どもに信頼されるベビーシッターには、強い責任感と倫理観、またベビーシッターとしてのプロ意識が必要とされます。ここからは、ベビーシッターに求められる具体的なスキルや、適性について見ていきましょう。
子どもにとって安全な環境を整える
ベビーシッターが一番気を付けなければならないのは、子どもの安全を確保することです。誤飲しそうなものや刃物類に手が届かないようにする、転倒しそうな場所を避けるなど、安全な環境を整えましょう。
倫理観を持って働く
保護者の自宅で子どもの世話をするベビーシッターは、家の備品を勝手に使う、冷蔵庫のものを飲食するといった、モラルに反する行動は慎まなければなりません。
子どもや家族の個人情報をむやみに詮索することはもちろん、プライバシーを他言することも許されないため、倫理観を持って働くことが大切です。
観察眼を持つ
小さな子どもは、少しの変化でも体調を壊すことがあります。そのため、ベビーシッターにはわずかな変化にも気付ける観察眼を持つことが求められます。
子ども自身の変化だけではなく、子どもの周囲の環境について危険予測もできるようにしたいところです。
コミュニケーションをきちんと取る
ベビーシッターは、保護者・利用者に依頼されて子どもの世話をします。そのため、依頼者の要望やニーズに応えることが、最も大切なポイントです。
家庭によって育児の方針は異なるので、自分の判断で行動するのではなく、依頼者が求めているサービスを提供できるように努めましょう。
アレルギーや既往症、注意すべきことなどは前もって確認したり、不明点はすぐに聞いたりすることも重要です。
子どもに愛情を持って接することができる
ベビーシッターには、保育の知識を持ったうえで、愛情を持って子どもにきちんと向き合える人が求められます。楽しく子どもと遊ぶだけではなく、時には叱らなければならない場面も出てくるかもしれません。
愛情を持って接することで、子どもだけではなく、保護者からも信頼を得られるようになるでしょう。
まとめ
ベビーシッターは資格がなくても働くことのできる仕事ですが、資格を持つことで知識と実力を兼ね備えることができるようになります。
保育に関する資格には、大学や短大での専門科目が必要なものから、在宅で通信講座を受講して取得できるものまであります。
自分に合った資格を選んで、ベビーシッターになるための知識を身につけてはいかがでしょうか。