数的処理は、公務員試験のなかでも苦手とされやすい科目です。どのように勉強を進めればよいかわからない方も少なくないでしょう。
数的処理は、公務員試験では避けられない特に重要な科目ですが、理解しながら反復学習をすれば、実際の試験で得点を十分に取ることができます。
この記事では、後述する数的処理における4分野のうち、最初に抑えておくべき「判断推理」「数的推理」を中心に、具体的な勉強のポイント、試験本番に向けての対策などを解説します。公務員試験を目指しているものの、数的処理の勉強で悩んでいるという方はぜひ参考にしてください。
公務員試験で数的処理の対策が重要な理由
数的処理は公務員試験のなかでも重要度が高く、個別の試験対策が必要とされる科目です。ここでは、数的処理が重要とされる理由について解説します。
職種を問わず出題される
数的処理が重要といわれる大きな理由は、公務員を目指す人であれば必ず受験する科目だからだといえるでしょう。
公務員といっても、デスクワーク中心の仕事、電気や土木など専門分野に特化した技術系専門職、警察官や自衛官などの公安系と、その職種はさまざまです。試験内容も職種によって異なりますが、数的処理はすべての職種で必須とされる「教養試験」の科目にあたります。
職種に関わらず、公務員試験を受験する人であれば、数的処理の受験は避けて通れません。公務員試験を目指す人はもれなく、数的処理の試験対策を行う必要があるのです。
出題率が高い
さらに数的処理は、その出題率の高さからも重要度がわかる科目です。
全体で40〜50問ある教養試験のうち、数的処理の出題率は30~40%と高い割合を示しています。したがって、数的処理の対策をしっかりと行うことは、公務員試験の合否に関わる重要なポイントといえるでしょう。
また、数的処理は公務員試験の主要5科目の一つとされおり、そのなかでも職種を問わず教養試験で受ける、ただ一つの科目です。数的処理以外の主要科目である憲法・民法・行政法・経済原論は専門試験のため、職種によっては出題されません。
公務員を目指すすべての人が受験する教養試験のなかでも、このように出題率が高いことから、数的処理には個別の対策が必要だといえます。
数的処理を苦手に感じるのはなぜ?
数的処理は公務員試験において重要な科目である一方、苦手意識を持つ人は少なくないようです。数的処理は、民間企業の採用試験でつかわれているSPIと重なる部分も多いです。数的処理のほうが難易度が高いとされていることも、難しいと思われる原因の一つでしょう。
ここでは、数的処理を苦手と感じてしまう理由について解説します。
学校では習わない新たな科目
難しく感じてしまう理由として、数的処理は、公務員試験を受けるまで触れる機会のなかった新たな科目だということが挙げられます。
数的処理という科目の名前から、数学を連想する方も少なくないでしょう。しかし、数的処理では、一部の問題を除いて、学校で習ってきた数学とは異なる考え方が求められるケースがほとんどです。そのため、数学の不得意さは数的処理に影響しないとされています。逆に数学が得意な人でも、数的処理の試験対策を行なわないまま合格点を取るのは難しいでしょう。
数学の得意不得意に関わらず、新たな科目として数的処理特有の考え方を身につけることが、試験を突破するための重要な対策となります。数的処理で求められるのは、数字やデータを用いた推理力や判断力などの処理能力、また読解力や論理力です。
暗記だけでは乗り切れない
学科試験で高得点を取れてきた人のなかには、暗記が得意という人もいるでしょう。
しかし、数的処理の問題は暗記力だけでは解けません。解法パターンをある程度暗記し、それを応用して考える力が必要となるため、暗記が得意でもなかなか得点できないのが数的処理の難しい部分といえます。
数的処理に必要な応用力を身につけるためには、応用問題を繰り返し解くことが効果的な対策です。公務員試験が迫ってから短期間で暗記しようとしても、対応できる科目ではないため、計画的に試験対策を進める必要があります。
勉強時間が足りていない
数的処理の苦手意識が拭えない人のなかには、実は勉強時間が足りていないだけというケースもあります。
ひととおり過去問題を解いてみたものの、正解率が低くやる気が出ない、苦手意識だけが残ってしまったという人もいるのではないでしょうか。数的処理を解く力は、繰り返し学習する過程で身につくものです。苦手意識があっても根気よく勉強を続けましょう。
苦手克服の対策は?数的処理の勉強方法5つのポイント
前項から述べているとおり、数的処理を得意科目とするためには反復学習が大切です。
ここでは、公務員試験に合格するために必要な数的処理の勉強の進め方について、具体的な5つのポイントを挙げて解説します。
「判断推理」から勉強を始める
数的処理を解く力は短期間で身につくものではないため、他の科目よりも早い時期から、少しずつでも勉強を進めることをおすすめします。苦手意識があればなおさら、あと回しにせず今すぐにでも勉強を始めましょう。
数的処理は「判断推理」「数的推理」「資料解釈」「空間把握」の4つの分野で構成されますが、そのなかで、まずは判断推理の勉強に取りかかるのがおすすめです。
判断推理で身につく論理力および読解力は、他の数的処理の分野でも活用できるため、早期に学んでおくとよいでしょう。論理力は面接試験で、読解力は記述式の試験などでも活かせるため、公務員試験を受けるうえでは必ず役立つものだといえます。
毎日必ず問題を解く
数的処理を得意にするためには、毎日問題に触れることが大切です。
「他の勉強をして時間が余ったら」「週末にまとめて勉強しよう」などと後回しにすると、いつまでも勉強を始められません。
「毎日の試験勉強は数的処理から始める」「忙しくても、毎日1問は数的処理の問題を解く」など、自分が続けやすいルールを決めて習慣化するとよいでしょう。毎日、問題に触れるうちに、スポーツのように身体が覚えるイメージで少しずつ理解が深まるはずです。
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出題と解法のパターンを知る
数的処理は出題形式に対する解き方のパターンが決まっているため、問題の解き方を自分の頭で考える必要はありません。
限られた試験時間のなかで効率的に問題を解くためには、出題形式に対する解法パターンを覚えるようにしましょう。
試験勉強を開始して間もなくは、問題がほとんど解けないかもしれません。解き方がまったく浮かばないときは、次の問題に移るのではなく、必ず解答にも目を通してください。出題に対する解法をセットで記憶するように、意識するのがポイントです。
ちなみに、記憶といっても丸暗記という意味ではありません。次に類似問題が出題された際に、適切な解法を思い出せるようにする、ということです。問題数を積み重ねるうちに、問題を見るだけで、どの解法パターンを使用すれば良いかわかるコツがつかめるでしょう。
問題と解法のパターンを記憶するためには、時間をかけて毎日少しずつでも問題を解くように心がけてください。
同じ問題を何度も反復する
出題と解法のパターンを覚えたら、とにかく何度も繰り返し問題を解きましょう。問題を見て解法を判断して正解を導き出すコツをつかむための練習が必要です。最終的には、試験本番と同様に、覚えたパターンを応用問題で再現できるレベルを目指します。
応用力を身につけるために重要となるのは、解く問題の種類の多さではなく、同じ問題を何度も繰り返し解くことです。問題集も何冊も購入する必要はありません。まずは、基本となる過去問題集を徹底的に反復してください。公務員試験対策のアプリを活用するのもよいでしょう。繰り返し問題を解くことで、自然とスピードアップにもつながります。
解答にかかる時間を意識する
出題と解答のパターンを覚え、応用問題も自分で解けるようになってからは、答えを導き出すまでにかかる時間を意識することが大事です。
例えば、同じ問題集を繰り返し解く際に、2回目と3回目でどのくらいスピードアップしたかを計測します。または、時間を決めてどこまで解けるかを記録するなど、普段の学習から時間を意識した試験対策を行ってください。
模擬試験の受験は、時間配分の感覚をつかむために有効な対策です。時間を意識した学習は集中力を養う意味でも効果的なため、積極的に受験してください。
公務員試験を合格するために!数的処理の試験本番対策
公務員試験の本番では、解答できそうな問題を適切に取捨選択し、効率的に解いていく必要があります。
前提として、数的処理の問題を全問正解するのは現実的ではない、ということを念頭に置いておきましょう。
試験問題の中には、ほとんどの受験生が正解できないような難問も含まれています。すぐに解き方が思い浮かばない、または時間がかかりそうだと感じる問題は手をつけずに飛ばし、自分が解けそうな問題で確実に得点を重ねることが重要です。自分にとって解けそうな問題か捨てるべき問題か見極める判断力は、試験までの反復学習で養われています。類似問題を解いた経験がなければ、限られた試験時間のなかで正解を導き出すのは難しいでしょう。
当然のことながら、公務員試験に合格するためには、数的処理を含めた教養試験の合計が合格点に達している必要があります。
まとめ
数的処理は、公務員試験において、職種を問わず出題される教養試験に含まれる科目です。出題される問題数の割合が高いことからも、重要な科目であるといえるでしょう。
数的処理を苦手に感じる人も少なくないようですが、出題と解法のパターンを覚えて反復学習すれば、数学が苦手な人でも得意科目にできる可能性が大いにあります。
公務員試験に合格するためには、解答する問題を適切に判断できる力が必要です。日頃から何度も繰り返し問題を解くことが、特に有効な試験対策となるでしょう。