危険物取扱者は消防法で定められた燃焼性の高い危険物を管理するために必要な国家資格です。危険物を一定数量以上貯蔵・取り扱いする施設には危険物取扱者を置くことが義務付けられています。
危険物取扱者の試験は消防試験研究センターの中央試験センター(東京)や道府県支部が実施しており、居住地・勤務地にかかわらず、希望する都道府県で受験可能!
危険物取扱者の資格は人気があり、中でも人気なのは「乙4」と呼ばれる、危険物取扱者乙種4類です。実はこの資格、取得しやすいにも関わらず、取得すると様々な業種で即戦力として活躍が期待できるお得な資格なんです!
この記事では危険物取扱者、特に危険物乙4の概要を紹介していきます。
<後編>試験概要・学習法についてはこちら!
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危険物取扱者とは?
危険物取扱者とは、消防法で定められた燃えやすく消火が難しい「危険物」を定期点検、取り扱いするために必要な国家資格です。
危険物というと、私たちの生活にはあまり縁がないように思えますが、実はガソリンや灯油、油性塗料等といった身近なものも危険物に含まれます。これらの危険物を貯蔵・製造・取り扱いする施設や工場等には、必ず危険物取扱者が置かれています。
危険物取扱者の種類
危険物取扱者は、以下の3種に分かれています。
甲種 | すべての種類の危険物 |
乙種 | 第1類 酸化性固体 |
第2類 可燃性固体 | |
第3類 自然発火性物質及び禁水性物質 | |
第4類 引火性液体 | |
第5類 自己反応性物質 | |
第6類 酸化性液体 | |
丙種 | 引火性液体 |
甲種は全ての危険物の、乙種は取得した類の危険物の取り扱いと定期点検、保安の監督を行うことができます。丙種はガソリンや灯油などの指定の危険物の取り扱いと定期点検を行うことができます。
甲種資格者と乙種資格者の立会いの下では、資格のない一般の方も危険物を取り扱うことができます。
また、乙種資格を全て取得すると、全ての危険物を扱える甲種資格者とほとんど同じ仕事ができるようになります。
危険物取扱者乙種4類とは?
乙種には1〜6類までの消防法に基づいた区分があり、それぞれで扱える危険物が異なります。
危険物取扱者乙種4類は「乙4」とも呼ばれ、ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類等の引火性液体を扱います。危険物の中でも身近な石油類を主に扱うため、危険物取扱者を取得する上で最初の資格として選ぶ人も多いようです。
また、危険物乙4の受験者は年間約22万人と、非常に多いことで有名です。一般財団法人消防試験センターの公開している試験実施状況によると、乙種の受験者は危険物取扱者の受験者全体の約80%を占めており、危険物取扱者の受験者はほとんどが乙種の受験者なのですが、その乙種受験者の中でも4類の受験者が約80%を占めています。
危険物乙4は圧倒的な人気を誇っているようですね。
危険物乙4を取得するとどんな仕事ができるの?
危険物乙4を取得すると下記のような仕事に従事可能となります。
- ガソリンスタンド
- タンクローリーの運転手
- 石油会社
- 化学メーカー
- ビルメンテナンス会社
- 自動車整備工場 など
危険物乙4は上記以外の様々な職場でも需要が高く、就職・転職に有利です。
特にセルフサービスのガソリンスタンドでは、危険物乙4の資格保持者が常駐する必要があるため、求人情報に「要:乙4資格」という記載があるということもしばしば。また、ガソリンスタンドが年々減少しているにも関わらず、セルフサービスのガソリンスタンドは増加傾向にあり、今後もさらなる増加が期待できます。そのため、危険物乙4の需要は高いといえるでしょう。
危険物乙4のメリット
危険物乙4を取得するメリットは3つあります。
就職・転職に有利
先ほども説明した通り、危険物を扱う仕事では危険物乙4の資格の需要が高いです。取得しておくと就職や転職に有利になります。
収入アップにつながる
危険物乙4を持っていると、資格手当が支給されたり、責任ある仕事を任せられて給料が上がったりします。特に、ガソリンスタンドのアルバイトの場合は時給が50円~100円程度上がる場合が多いです。
他の乙類の資格も取得しやすくなる
危険物取扱者乙種の試験では、乙種を1つ取得していると、試験科目3科目のうち2科目が免除になります。そのため、上位資格である「危険物取扱者甲種」の受験資格取得を目指すのであれば、他の危険物乙種を取得する際には1科目のみの勉強で済むので、かなり有利になります。
危険物乙4の合格率と難易度
一般財団法人消防試験センターの公開している試験実施状況によると、危険物乙4の令和4(2022)年度の合格率は31.5%で、他の乙種の区分よりも合格率が低い傾向にあります。
危険物乙4の合格率の推移は下記の通りです。
年度 | 合格率 |
令和4年度 | 31.5% |
令和3年度 | 36.1% |
令和2年度 | 38.6% |
令和元年度 | 38.6% |
平成30年度 | 39.0% |
ちなみに、他の乙種の合格率は70%前後なので、だいぶ低いですね。
合格率だけ見ると、危険物乙4の難易度は高いように感じられるかもしれませんが、これは受験者が多いことが大きく関係しています。受験者が多くなると、個人の学習意欲や勉強量に差が生じ、不合格者が増えるのは当然です。
また、危険物乙4と他の乙種の合格率の違いは、試験科目の免除制度も関わってきます。乙種は1~6類までありますが、どれか1つの類でも取得していると「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学」の試験が免除になります。つまり、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の10問だけを解けば良いのです。
試験科目(略称) | 免除 | 問題数 | 合計 | 試験時間 |
危険物に関する法令(法令) | 全部免除 | 0問 | 10問 | 35分 |
基礎的な物理学及び基礎的な化学(物化) | 全部免除 | 0問 | ||
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(性消) | – | 10問 |
4類以外の受験者は免除を利用して1科目の勉強に注力していることが多く、ここに合格率の差が生まれているのでしょう。乙種4類は合格率に惑わされないことが大切です。
危険物乙4の試験の気になる合格ラインは各科目それぞれ60%以上(免除を受けた場合はその科目を除く)です。出題形式は五肢択一形式のマークシート方式で、年に最低2回は各都道府県で実施されているので、試験日に向けて計画的に勉強しましょう。
受験資格
甲種には大学等で化学の学科・単位を修めた者もしくは、4種類以上の乙種資格の取得者という受験資格がありますが、危険物乙4の受験資格は特にありません。年齢や学歴、実務経験に関わらず、誰でも受験することが可能です。
資格取得者には工業高校に通う高校生や小学生もいます!
https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/annai/qualified.html
まとめ
身近な石油類を扱う危険物取扱者乙種4類は、様々な業種で需要が高く、仕事に直結しやすい資格です。
合格率は高くないですが、しっかり勉強すれば独学などでも1ヶ月程度で取得できる国家資格のため、隙間時間でスキルアップを目指したい!仕事に活かせる資格が欲しい!という方は検討してみてはいかがでしょうか?