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私たちの生活に欠かせない電気。家庭から電車などのインフラまで様々な電気設備を管理するのが電気工事士の仕事です。また、災害が起きたときに現場へ駆けつけ復旧を行うのも電気工事士です。
この記事では、そんな現代社会を支える電気工事士の資格概要、取得方法、難易度等を紹介していきます。
電気工事士とは?
電気工事士とは、ビルや工場、住宅などの電気設備の工事をするために必要な国家資格です。
https://www.shiken.or.jp/index.html
有資格者以外は電気工事を行なってはならないと定められており、新築や増改築の時に行う配線の工事や、電気の配線をいじる必要のある場合のエアコンの設置など、電気工事士の活躍する現場は身近なところにあります。
資格には第一種と第二種があり、第一種は第二種の範囲と最大電力500キロワット未満の工場やビルの工事、第二種は住宅や小規模な店舗など600ボルト以下で受電する場所の工事と、それぞれの資格によって工事を行える現場の規模や電圧が異なります。
資格取得を迷っている方は、まずは電気系の資格の基礎とも言われる第二種の取得を目指すのがおすすめです。試験には実際に回路を作成する実技がありますが、電気系に触れてこなかった方や文系の方も多く合格されているため、「実技だ!」と必要以上に身構えなくても大丈夫です。
また、電気工事士の試験には受験資格がなく、年齢、学歴、国籍に関わらず誰でも受験することができます。中には小学生の合格者もいるようです!
電気主任技術者とは違うの?
電気工事士は電気工事士法に基づいて試験が実施されていますが、電気主任技術者の試験は電気事業法という電気工事士とは異なる法律に基づいています。そのため、従事できる仕事が異なります。
電気主任技術者は電気の保安・監督が主な仕事です。発電所や変電所、工場などの事業用電気工作物を設置する事業主は、保安監督者として必ず電気主任技術者を選任しなければならないと法律で定められています。
ちなみに、電気工事士よりも試験の難易度は高く、有資格者の需要も非常に高いです。
電気主任技術者についてはこちら↓
https://college.coeteco.jp/blog/archives/3732/
どんな仕事ができるの?
電気工事の仕事や現場経験が多ければ電気工事の監督、電気系の施工管理、工務店、電気関係・空調関係のメーカー、ビルメンテナンス業など、様々な場所で活躍することが可能です。
特にビルメンテナンス業では「危険物取扱者乙種4種」と一緒にビルメン4点セットと呼ばれ、必須の資格とされています。ビルメンテナンス業に転職を考えている方は、必ず取得しておいた方が良いでしょう。
危険物取扱者の記事はこちらから!
https://college.coeteco.jp/blog/archives/422/
基本的に電気工事士の資格取得者が限られているため需要が高く、転就職の際に強力なアピールポイントとなります。特に未経験から電気関係の業界に転職したい方は、取得すると選考に有利に働く可能性が高いです。
試験概要
第一種、第二種ともに筆記試験と技能試験が課されていて、筆記はどちらも四肢択一式のマークシート方式です。技能試験は毎年事前に公表されている13問(第二種)、10問(第一種)の候補問題の中から1問が出題されます。
技能試験は持参した工具で配線作業を行う実技で、完成した課題に欠陥がないことが合格基準になっています。欠陥の基準はこちらを参考にしてください。
https://www.shiken.or.jp/candidate/handankizyun.html
試験内容
第二種
筆記の試験時間は120分。電気の基礎知識と高校レベルの計算問題が出題されます。
筆記 |
(1)電気に関する基礎理論 (2)配電理論及び配線設計 (3)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 (4)電気工事の施工方法 (5)一般用電気工作物の検査方法 (6)配線図 (7)一般用電気工作物の保安に関する法 |
技能の試験時間は40分。
技能 |
(1)電線の接続 (2)配線工事 (3)電気機器及び配線器具の設置 (4)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法 (5)コード及びキャブタイヤケーブルの取付け (6)接地工事 (7)電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定 (8)一般用電気工作物の検査 (9)一般用電気工作物の故障箇所の修理 |
第一種
筆記の試験時間は140分。電気の応用知識と計算問題が出題されます。
筆記 |
(1)電気に関する基礎理論 (2)配電理論及び配線設計 (3)電気応用 (4)電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 (5)電気工事の施工方法 (6)自家用電気工作物の検査方法 (7)配線図 (8)発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性 (9)一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安に関する法令 |
技能の試験時間は60分。
技能 |
(1)電線の接続 (2)配線工事 (3)電気機器・蓄電池及び配線器具の設置 (4)電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法 (5)コード及びキャブタイヤケーブルの取付け (6)接地工事 (7)電流・電圧・電力及び電気抵抗の測定 (8)自家用電気工作物の検査 (9)自家用電気工作物の操作及び故障箇所の修理 |
日程・会場
電気工事士第二種の試験は年に2回、第一種は年に1回行われます。二種は例年5月下旬に筆記試験、7月中旬に技能試験を行う上期、10月上旬に筆記試験、12月中旬に技能試験を行う下期の2回。第一種は例年10月上旬に筆記試験、12月上旬に技能試験が行われています。
試験会場は各都道府県に設置されています。
申し込み方法・受験料
申し込み方法
申し込みはインターネットと書面の2パターン。書面の場合は書店などにある受験案内に綴じ込みされている受験申込書に必要事項を記入して、払込用紙を郵便局もしくはゆうちょ銀行へ提出します。
前年度筆記試験合格や高校以上の教育課程で電気工学の課程を修めた方など、筆記試験免除の対象者は、通常の申し込み期間ではなく、別に技能試験申し込み期間が設けられている場合もあるため、しっかり確認しましょう。
受験料
申し込み方法によって異なります。
第一種 | 第二種 | |
インターネット | 10,900円 | 9,300円 |
書面 | 11,300円 | 9,600円 |
合格率・難易度
一般社団法人電気技術試験センターによると、令和3(2021)年度の第二種筆記試験の合格率は59%、第一種筆記試験の合格率は53%です。また、第二種技能試験は72%、第一種技能試験は67%です。国家資格は難しいものでは合格率が10%前後のものも多いため、電気工事士は比較的易しめな部類に入ります。
気になる合格ラインは、年度によって多少変動しますが概ね60%です。筆記に出てくる計算が苦手でも、暗記でなんとかなる部分を頑張れば挽回は可能なので、十分合格が狙えそうですね!
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学習方法は?
独学
電気工事士は比較的人気の高い国家資格のため、テキストも多数出版されています。筆記試験は暗記中心の知識問題であることから、文系でも合格される方が多い電気工事士ですが、理系の前提知識の有無は勉強を進めていく上でかなり大切になってきます。自分がどこまでの知識を持っているか把握し、自分に合ったテキストを選びましょう。
勉強時間は元々の知識量によって多少左右されますが、3ヶ月~2週間と言われています。
全く電気の知識はないけれど、電気工事士にチャレンジしたい!という方には入門書としてこちらがおすすめ。
こちらもいかがでしょうか?
電気工事士は試験を行っている一般財団法人電気技術者試験センターのサイトでは、過去問が公開されています。テキストに加えて、こちらを利用して勉強を進めてみるというのも良いと思います。
https://www.shiken.or.jp/answer/index.html
また、実物の回路を作成する技能試験の対策には、YouTubeの動画がおすすめです! 事前に公表されている問題の解説や作業手順が視覚的に理解できるため、隙間時間を利用したい方にはうってつけの教材でしょう。
とはいえ、技能試験用にDVDが付いてくる市販のテキストもあるため、テキストだけ利用したとしても十分勉強はできます。ちなみに、筆記試験から技能試験まであまり日がないので、工具の購入は早めに済ませることがポイントです。
こちらのうさうささんは独学で一発合格されたそうです。すごいですね!
こちらのstar89さんは筆記から実技への勉強が少し大変だったと語っています。
通信教育
そうはいっても自分だけだと自信がない…という方は、通信教育やスクールがおすすめです。ユーキャンやたのまな、NHK学園、TAC等で講座が開講されています。
費用は講座によって3万円~6万円と幅があり、概ね4ヶ月程度で取得ができるようです。講座によっては、スマートフォンに対応したオンラインの講座もあるため、通勤時間等の時間を有効に使いながら勉強することができます。
通信教育はたくさんあるので、自分に合った講座を探すことが重要です。
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まとめ
電気工事士はニーズの高い資格です。一度取得したら更新もなく、一生電気工事士を名乗ることができます。合格率も国家資格の中では高く、受験チャンスも多いため、独学でも合格を狙いやすいといえるでしょう。ネットにも多くの体験談が掲載されていたり、勉強垢を作っている方がいたりと勉強仲間が多いため、モチベーションを保つのも難しくありません。
また、資格を持っていないとできない仕事も多いので、転職やキャリアアップを考えている方にはポイントの高い資格です。
電気関係の基礎を勉強してみたい!専門性の高い国家資格に挑戦してみたい!という方は一度検討してみてはいかがでしょうか?