(取材)産学連携で地域企業の活性化|名古屋大学のデータサイエンスにおけるリカレント教育プログラム

現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材として求められている職種は、技術革新とビジネスのデジタル化の進展を反映して多岐にわたります。

中でも、デジタル技術の進歩とビッグデータの増加により、企業は競争力を高めるためにビッグデータから有用な洞察を得る必要があり、データサイエンティストの育成によって業務改善や新たなビジネスチャンスの発見が期待されています。

そこでご紹介したいのが、名古屋大学の数理・データ科学・人工知能教育研究センターが大学院生や社会人に向けて開講している「実践データサイエンティスト育成プログラム」

今回は、名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センター 産学連携教育部門長 中岩 浩巳氏にご協力いただき、数理・データ科学・人工知能教育研究センターの概要や社会人向けに実施されているDX人材育成プログラムについてまとめてみました。

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターでは、「実践データサイエンティスト育成プログラム」の2024年度第2期プログラム履修生を募集しています。

社会人は2024年10月18日締切ですので、ご興味のある方はこちらをご確認ください。

実践データサイエンティスト育成プログラム 募集要項

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターの担う役割

全学的な数理・データサイエンスに関する教育

名古屋大学の数理・データ科学・人工知能教育研究センターは、数理・データ科学分野の教育コンテンツを開発・提供し、多様なレベルの人材育成を行うことを通じて、学術の発展と社会課題の解決に貢献することを目的とした機関です。

「名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターは、大きく3つの機能を持っています。

まず1つは、名古屋大学としての数理・データサイエンスに関する全学的な教育をすることです。名古屋大学の大学院生も含めた学生に対して、数理データ科学の基礎を教えています。

文部科学省がMDASHという全大学にデータサイエンス教育を普及させる取り組みとして、リテラシーレベルや応用レベルなどのプログラムの認定を行っていますが、名古屋大学も全ての学生にデータサイエンスやAI等に関する基礎レベルや応用レベルの教育コンテンツを提供しています」(中岩氏)

東海地区におけるDX教育の推進・DX人材の育成に寄与

東海地区には、数理・データサイエンス教育の推進のために設立された「東海デジタル人材育成プラットフォーム」があります。

このプラットフォームは名古屋大学が中心となり、東海ブロック(愛知、静岡、岐阜の3県)の主要7大学により、産学官で連携した数理・データサイエンス・AI人材育成の拠点を東海地域に構築するため、2022年に設立されました。

主な活動は、産学官でのデジタル人材育成のためのリカレント教育の検討・実践、セミナーやカリキュラム構築など教材共有と情報交換の場の提供、文部科学省が進める、数理・データサイエンス・AI教育体制の地域での構築・普及です。

東海デジタル人材育成プラットフォームHPより

「2つ目は数理・データサイエンス・AI教育の全国展開の推進です。

まず、産学官で連携した取り組みとして、プラットフォーム会員校がそれぞれ提供している社会人向け教育プログラムを集めたリカレントカタログをポータルとして提供しています。

また、東海地区の百校あまりの大学への教育の普及と、データサイエンスに関わる様々な教育コンテンツ・ノウハウを共有したり、PBLのような実践的な教育の事例を紹介したりしています。

文部科学省の認定を他の大学が受けられるようにサポートするなど、東海地区におけるデータサイエンス教育の普及啓蒙活動も行っています。

プラットフォームは2024年9月時点で、大学等23校、企業4社が会員として活動しています。」(中岩氏)

DX人材育成プログラムの実施

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターでは、2つのDX人材育成プログラムを実施しています。

「当センターの機能として、3つ目はDX人材育成プログラムの実施です。

1つは大学院生と社会人のリカレント教育を対象とした『実践データサイエンティスト育成プログラム』には、名古屋大学と岐阜大学の大学院生40名程度と社会人40名程度で合計80名ほどが参加しています。

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターより

データサイエンスの基礎と、企業や自治体からご提供いただいたデータに関する実際の課題を学んだ知識から解決するPBL(グループワーク)を行っています。このプログラムは5年前から始まり、現在6期目を迎えています。

また、東海地区には自動車関連の企業が多いため、2023年から名古屋大学を中心として岐阜大学とも連携し、『モビリティ分野のDX人材育成リカレント教育プログラム』を実施しています。

こちらも先程のプログラムと同様に、モビリティも含めたデータサイエンスに関する教育をした後、企業からいただいたモビリティに関連するデータ・課題をグループワークで解決するプログラムです」(中岩氏)

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターHPより

学ぶ内容は以下の通りです。データサイエンスに関する分野とモビリティならではの分野を学べるコースになっています。

2023年7月実施 モビリティ分野における実践DXリカレント教育プログラム履修説明会資料より

ご興味のある方はこちらをご確認ください。

2023年7月実施 モビリティ分野における実践DXリカレント教育プログラム履修説明会資料

時流に乗った「実践データサイエンティスト育成プログラム」

10年以上前からデータサイエンスの重要性を軸に教育プログラムを展開

データサイエンスは、2010年代頃に重要性が徐々に認識され、特に2012年以降に企業や教育機関、政府の取り組みが活発になってきました。

「我々は、『データを分析してそれを価値に変えるサイクル』が重要という認識を、10年以上前から持っておりました。 その当時から、これからはこのサイクルを理解し、推進できる人材として大学院生の教育が重要であると考えていました。

名古屋大学では2013年より文部科学省のリーディングプログラムに応募し採択された、「実世界データ循環学リーダー人材養成プログラム」を開講して、大学院生のM1からD3までの5年間一貫の教育プログラムを行ってきました。このプログラムには産業界からも大勢の方にご協力いただき、かなり実践的な教育プログラムとなりました。

そこで、産学連携によるデータサイエンスに関する様々な教育や連携の経験があったことを踏まえて、文部科学省の「超スマート社会実現に向けたデータサイエンティスト育成事業」の公募に対して、名古屋大学を主体として岐阜大学、三重大学、広島大学が連携し、『実世界データ演習』を用いる価値創造人材教育の大学連携として6年前に応募して採択されたことが、この実践データサイエンティスト育成プログラムの始まりです。

文部科学省からの支援は4年半で終了しましたが、時流に乗ったプログラムで、毎年受講生が増加しているため自走できています。昨年度も社会人と学生合わせて約80名、講義のみの受講も数十名のご参加いただきました。

その後、文部科学省「成長分野における即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業」で採択され、データサイエンスのプログラムをベースに2023年から開始したのが『モビリティ分野における実践DX人材育成リカレント教育プログラム』です」(中岩氏)

価値創造のデータサイエンティストの養成

実践データサイエンティスト養成プログラム(以下、本プログラム)では、価値創造できるデータサイエンティストの養成を行っています。

「本プログラムでは、様々なバックグラウンドを持つ方がデータサイエンスのスキルを身につけ、自分の研究や開発、業務改善に役立つ、データを分析・解析して価値を創り出せる実践的なデータサイエンティストを養成するコースになっています。

データサイエンティストとして持つべきスキルとしては、大きく以下の3つがあります。

2024年9月19日開催 第2期実践データサイエンティスト養成プログラム履修生・課題募集合同説明会資料より

1つは、実世界の幅広い分野におけるデータ処理に関する知識です。

2つ目は、ツールの活用スキルです。理論全般も重要ですが、世の中にどのようなツールがあるのか​​、どのような目的でどうツールを使えばいいのかを知ることが重要だと考えています。

3つ目は、バックグラウンドの違う方々が一緒になって議論し、課題を解決するという協業マインドも非常に重要です。

プログラムの特徴

本プログラムの特徴は、以下の通りです。

2024年9月19日開催 第2期実践データサイエンティスト養成プログラム履修生・課題募集合同説明会資料より

「本プログラムの特徴として、教育コンテンツは全てオンデマンドで提供しており、対面でなくても受講できます。プログラムの提供開始時はコロナ禍の前でしたが、その頃からリモートでの受講を意識していました。

ですので、本プログラムは名古屋近郊だけでなく関東や地方からの方にもご受講いただいています。120時間のビデオ教材には1つ1つに確認テストがついており、理解度を把握しながら学習を進めることができます。

また、機械学習が重要ですが、機械学習の知識を持っていただくために演習を行い、手厚い教育体制を準備しております。

こうした社会人と学生が混成した人の学びでは、教育レベル等の背景の違いがあり、グループワーク等で教員が細かくサポートすることが難しいこともあります。

そこで、名古屋大学の博士後期課程の学生が認定TA(TA:Teaching Assist)として、演習からグループワークまできめ細かいサポートを行っています。

また本プログラムの大きな特徴は、企業や一部の自治体が持っているリアルな課題と実際のデータで、社会人の学生がグループを組んで課題解決を行うグループワークです

この実データの課題では、機械系、物流系、ITサービス、自治体など、様々な分野のテーマで課題毎の専門分野の先生のサポートが必要です。そこで昨年から各課題毎に2〜3名の認定TAと2名のメンター教員をアサインして、講義内容のサポートを行っています。

このように、座学とグループワークで、専門家の先生にサポートを受けながら実践的な学びが得られるプログラムとなっています」(中岩氏)

プログラムの概要

2024年度から、履修スケジュールとして第2期(2024年12月〜2025年8月まで)が新設されました。具体的なスケジュールは以下の通りです。

2024年9月19日開催 第2期実践データサイエンティスト養成プログラム履修生・課題募集合同説明会資料より

2024年第2期は、10月に募集を開始し、書類審査、合格発表が行われます。

※社会人は2024年10月18日締切ですので、ご興味のある方はこちら↓↓↓

実践データサイエンティスト育成プログラム 募集要項

「本プログラムでは、8つの講義を提供しています。このうち2つは事前科目で、数理科学基礎と基礎データツールを学びます。講義はオンデマンドで学べますが、基礎データツールに関してはご自身のPCに演習環境を設定し、個人で演習していただきます。

2024年9月19日開催 第2期実践データサイエンティスト養成プログラム履修生・課題募集合同説明会資料より

機械学習に関しては、ビデオ講義で学びながらご自身でも演習で学び、不明点があればslackで質問対応しています。パターン認識も、オンデマンドと演習で学ぶ方式です。

テータツールは、データ解析ツールの先端的な利用スキルを学びますが、この講義は事前科目で開講する「基本データツール」の続編という位置付けであり、より高度な利用技術を習得するものです。

ドメイン数理知識では、医療、経済、工学、情報学など、様々な分野の事例を名古屋大学や他大学の教員が行う講義をオンデマンドで学びます。

プロジェクトマネジメント基礎では、社会で実践的に活躍するために、プロジェクト管理における基本的な事項、分析結果などの提示方法(可視化、文書化、プレゼンテーション)について学びます。

事前科目と講義科目を合わせて120時間ほどのビデオ教材になっています。

この他、修了要件としていませんが補助講義として、

  • データ科学基礎
  • ツールの整理学
  • 生成系AIとChatGPTの使い方
  • SAS上級編

上記の講義があり、自由に受講可能となっています。

このプログラムでは、データサイエンスを一から学びたいという方もご参加いただいております。そこで、データサイエンスの入門編として補助講義のデータ科学基礎を学んでいただき、リテラシーレベルのデータサイエンスを学んでから事前科目の講義に進めるようにしています。

ツールに関しては、データ管理、データ操作、データ分析、可視化のそれぞれの代表的なツールを紹介し、必要であれば個人で学んでいただきます。

講義科目の中のデータツールについては、補助科目としてSAS上級編を提供していますが、合わせて受講・合格した受講生にはSAS Japanよりデジタルバッジが発行されます。

ここで学んだ内容をベースに、実世界データ演習を行います。例を挙げると銀行、農業関連企業、製造業系、飲食系企業など、様々な企業や自治体からリアルな課題を提供いただき、それを学生と社会人の方が混成する5名前後のチームで課題解決のPBLをグループワークとして行うものです。

守秘義務等の契約を結び、受講生がリアルな課題に取り組むフレームワークで、学びながら実践し、必要に応じて学びに戻るというサイクルで進むのが、他のプログラムとの大きな違いです。

実世界データ演習は、GoogleMeetやMicrosoftTeams等を使ったリモートでミーティングを行い、slack等で分析結果を共有するような形式ですが、名古屋駅の駅前にあるゲートタワーに受講生が使える会議室も提供しています。

最後に実験内容をまとめ、1月または7月の課題をご提供いただいた組織に報告しますが、今年から課題の提供先企業に出向いて対面で発表する取り組みも徐々にはじめています。

その後最終評価、終了判定、終了式を行う全8か月のプログラムです。

また、本プログラムは文部科学省の履修証明プログラムに認定されており、社会人を対象とした産業データ科学履修プログラムのプログラム履修生の皆様には終了後、履修証明書が交付されることとなっております」(中岩氏)

受講費用

『実践データサイエンティスト育成プログラム』のうち、社会人向けプログラムが「産業データ科学履修プログラム」、大学院生向けが「先進データ科学履修プログラム」です。

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研修センターHPより

社会人向けの産業データ科学履修プログラムの受講費用は、以下の通りです。

  • プログラム履修生(E-learningと演習):50万円(税込)、定員40名程度
  • 講義履修生(E-learningのみ):20万円(税込)、定員20名程度

産業データ科学履修プログラムは文部科学大臣が認定する職業実践力育成プログラム(BP)に認定されており、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付金制度」の講座指定を受けています。

社会人の方は、以下のように受講費用の支給がありますので、詳細を厚生労働省のHP等で必ずご確認ください。

  • 受講費用の50%(年間上限40万円)がハローワークから支給
  • 資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給

大学院生向けの先進データ科学履修プログラムは、受講費用は無料です。

受講生から高い満足度を維持

どのような背景の方が本プログラムに参加しているのか、中岩氏に伺いました。

「社会人受講生の背景は、多様です。 最も多い層は30代前後で、企業での経験があり、データサイエンスのスキルを高めてデータサイエンス部門推進の中核を担う層です。

一方で、ある企業では経営判断やシステム導入の判断をする立場の方々にマネージャーの基本的な素養としてデータサイエンスを学ばせたり、新入社員教育として派遣される企業もございます。

多くは企業からの派遣で、社員教育の一貫としてプログラムを利用していますが、自己のキャリア開拓やスキルアップを目的に自費で受講する人もいらっしゃいます。

データサイエンスやDX人材の不足は指摘されており、新卒でのDX人材の採用は難しい状況です。情報系企業では、データサイエンスを学んだ学生からの応募もありますが、物流や製造業など、IT以外を主事業とする企業では、データサイエンスのスキルを持つ新卒者からの応募が少ない傾向にあります。

そのため、社内人材の育成でデータサイエンススキルを高め、業務に活かす取り組みが多くの企業で行われています。

また、私たちのプログラムの大きな特徴は実世界データ演習です。多くの企業から社員を派遣していただき受講生としてご参加いただいており、参加企業の業種も多様で、ものづくり系、マーケティング、医療、製薬系など様々です。

この実世界データ演習に関して、受講生へのアンケート調査では非常に高い満足度を維持しております」(中岩氏)

2024年9月に行われたプログラムの履修説明会アーカイブを、数理・データ科学教育研究センターのHPより視聴することが可能です。詳しい資料等も公開されていますので、ご興味ある方はご確認ください。

履修説明会の詳細はこちら

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターHPより

産学連携で企業課題に取り組むために

名古屋大学ではプログラムへの参加や課題提出に協力していただけるよう、地域企業団体や様々な機関と連携されているそうです。

「名古屋大学は東海地区にありますので、主には愛知、三重、岐阜、静岡の企業から課題を提供していただいております。

そこで地元企業との関わりを持つため、中部経済連合会、名古屋商工会議所など地域団体や、中部経済産業局、中部地域のIT・DXに関するサポート機関と連携し、会員企業にプログラムを紹介しています。目的は受講生の募集と課題提供の依頼で、履修説明会のご案内もさせていただいております。

現在行っている実世界データ演習の課題は、セキュリティの問題や課題の内容を考慮した上で選定して取り組みますが、課題提供や受講は完全にオープンなコースです。ご提供いただいた課題に対して、学生と様々な企業から参加している社会人が一緒に取り組みます。

また2024年からは、特定企業向けにカスタマイズしたコースを始めようとしています。これは完全にクローズドで、企業の課題に対してその企業の社員と必要に応じて大学院生が一緒に取り組んでいきます。他の企業の社員が関わることはなく、自社の課題に対して学びながら取り組むコースです。

本プログラムを要にして、名古屋大学と企業による実際の課題解決やDX人材育成を進めています。場合によっては共同研究などの連携につながることもあります」(中岩氏)

名古屋大学 HPより

地域を越えた産学連携教育も視野に

名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターのリカレント教育について、今後の展望を伺いました。

「データサイエンスの教育プログラムへのニーズは、今後ますます高まっていくことが予想されますので、今後も拡充を図っていきたいと考えています。

私たちは現在、名古屋大学や岐阜、三重、広島の大学と連携してプログラムを実施していますが、この実世界データ演習等の学びを他大学にも広げたいと考えています。そのためには、名古屋大学だけでなく、各大学の企業ネットワークも必要です。地域全体を底上げし、社会人の受講生を増やしながら、東海地区全体で学生や社会人が実践的なデータサイエンスを学ぶ機会を増やすことを目指しています。

またこれからは、データサイエンスに関しては一般的なものに加えて、例えば『モビリティ分野における実践DX人材育成リカレント教育プログラム』のような特定の分野に特化した教育も重要だと考えています。こうした取り組みから様々な分野における産学連携でDX人材育成ができるのではないかと考えています。

名古屋大学がモビリティ分野のプログラムをはじめたのは、東海地区の産業としてモビリティが強いためですが、今後はそれ以外の分野にも広げていくことを考えております。

産学連携による今後の展開としては、私どもが提供しているデータサイエンスのコースをベースにして、特定の企業向けのカスタマイズコースの強化も図っていきたいと思います。

さらに、データサイエンス教育は全国の大学で行われており、文部科学省の繋がりの中で他地域の拠点校同士が討議する場もあります。名古屋大学ならではの認定TAの制度や実世界データ演習のような独自のプログラムは他地域の大学からもご興味を持っていただき、成果を発表させていただく機会もありますので、東海地区に限らず全国に広まっていけばと思います。

東海地区の産業は、ものづくり企業が多いので産学連携しやすいですが、北海道や九州、四国などではそういった企業が少ないという声もあるため、地域を越えた産学連携教育を展開していくべきだと考えています」(中岩氏)

志高い人と一緒に学ぶことも良い経験に

最後に、これから学び直したい、スキルアップや転職などを目指したいと考えている読者の方にメッセージをいただきました。

「データサイエンス分野は日々進化しており、最新の知識を得て、それを戦力にキャリアアップするにはまさに今がチャンスですので、ぜひチャレンジしていただければと思います。

実際私どものプログラムには、個人でスキルアップのために学びたい方や、得た知識を戦力として転職やキャリアアップしたい方にもご参加いただいています。

本プログラムはオンライン受講可能ですので、どの地域の方にもご参加いただけますし、社会人と学生がチームを組んで行うグループワークは学びが実際の場で生きることを検証する良い機会になります。

キャリアアップするためにはネットワーキングが非常に重要だと思いますが、様々な業種の方とチームメンバーとして一緒に課題に取り組んでいるので、受講生の方々はコース終了後もオフライン等でも繋がり持つこともあるようです。

参加される企業の方は学ぶ意識が高く、今後のキャリアに繋がるような出会いもあるのではないでしょうか。

学生も、このプログラムは単位にはならないので、修了要件に関係なく将来のためにスキルアップしたい、内定が決まっている企業ですぐに活躍できるように事前に学びたいという意識の高い学生が参加しています。こうした志の高い人と一緒に学ぶ機会は、良い経験になると思いますので、ぜひチャレンジしていただければと思います」(中岩氏)

まとめ

現在、大学を中心として地域産業の活性化を目指したリカレント教育が増えています。IT・DX関連の一般的な知識を学ぶ座学の講座から、実践的なグループワーク等に参加できる講座まで、講座の種類は各大学によって様々です。

また受講スタイルも対面で行われる講座もあれば、今回ご協力いただいた名古屋大学のように専門性の高い講義をオンライン受講が可能な講座もあります。

今後進化が加速していくことが予測されるDX分野の学びは、早く始めるに越したことはありません。今回の記事を参考に、データサイエンスにご興味ある方は受講を検討してみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました