労務と社会保険のプロになろう|社会保険労務士の資格とは

社会保険労務士とは、会社に勤めている人ならおなじみの健康保険、厚生年金保険、雇用保険や労災保険などの手続きに関わる、労働・労務と社会保険の専門家であり、国家資格です。

新型コロナウィルス感染症への支援策として注目された雇用調整助成金をはじめ、複雑な各種助成金の申請やアドバイスも、社会保険労務士が行うことができる業務です。

近年、働き方改革が叫ばれ、超高齢化が進行して年金や健康保険への不安も高まる中で、ますます活躍が期待される社会保険労務士について紹介します。

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社会保険労務士とは

社会保険労務士は、労働保険(雇用保険、労災保険)と社会保険(健康保険、厚生年金保険)について、以下のような仕事をおこなっています。

① 帳簿や書類などの作成代行
② 手続きや申請などの代行
③ 個別労働関係紛争の解決をサポートするADR代理業務
④ 労働保険や労務管理や、社会保険に関するコンサルティング

①と②は、社会保険労務士しか報酬をとって請け負うことができない独占業務です。もちろん書類作成等は自社内で行うこともできますが、最終的な確認は専門知識や経験が必要なため、社内に資格取得者がいなければ、社会保険労務士に依頼されている企業がほとんどです。

③は特定社会保険労務士のみが行います。特定社会保険労務士とは、社会保険労務士が研修を受けたのちに紛争解決手続代理業務試験に合格するとなることができる資格です。

④は賃金、労働時間、雇用管理、労働トラブルや人材育成などの相談や指導を行います。依頼は企業からだけではなく、個人から年金の手続きや記録についての相談を受けることもあります。

社会保険労務士の働き方は、さまざまです。独立開業するだけでなく、社会保険労務士事務所に所属して働く方や、一般企業に勤務して活躍する方もいます。

社会保険労務士になるには

社会保険労務士になるには、まずは国家試験である社会保険労務士試験に合格しなくてはなりません。

試験日時・場所

試験日は、年1回例年8月第4日曜日です。

令和2年度の試験は8月23日(日)に行われます。受験申し込みの締め切りは5月31日(消印有効)で、合格発表は11月6日(金)の予定です。受験料は9,000円です。

試験は各地で行われており、令和元年は19都道府県32会場で実施されました。

受験資格

社会保険労務士試験には、受験資格が定められています。

下記の「学歴」「実務経験」「国家試験合格」の条件のうち、一つを満たしていることが必須です。受験を申し込む際に、受験資格を証明する書面を提出します。

  • 学歴

大学や短期大学、高等専門学校を卒業することが必要です。

大学に在学中の学生や、卒業せずに中退した方でも、62単位以上修得していれば受験資格が認められます。短期大学を卒業した人と同等以上の学力が認められる人や、修業年限が2年以上で、総授業時間数が1700時間以上の専修学校の専門課程を修了した人も、受験が可能です。

  • 実務資格

「公務員」「社会保険労務士や弁護士の補助」「労働組合」などに、3年以上従事した経験が必要です。

  • 国家資格

厚生労働大臣の認めた国家試験、行政書士や司法試験第1次試験に合格した方には、受験資格が認められます。

受験資格を満たしているか心配な方は、受験申し込み前に全国社会保険労務士会連合会 試験センターで確認することもできます。

https://www.sharosi-siken.or.jp/exam/shikaku.html

試験内容、合格基準、合格率

  • 試験内容

試験はマークシート形式で行われます。試験科目は8科目です。

  1. 労働基準法及び労働安全衛生法
  2. 労働者災害補償保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
  3. 雇用保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
  4. 労務管理その他の労働に関する一般常識
  5. 社会保険に関する一般常識
  6. 健康保険法
  7. 厚生年金保険法
  8. 国民年金法

回答方式は2種類で、択一式と選択式があります。択一式は7科目70問70点、選択式は8科目8問40点です。

択一式は、選択肢の文章の中から「正しいもの」あるいは「誤っているもの」を1つ選んで答えます。選択式はいわゆる穴埋め問題で、問題文の空欄に当てはまる語句を選択肢の中から選びます。

  • 合格基準

選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに合格基準点が定められます。合格基準点は、毎年の採点結果が出てから発表されます。

  • 合格率

合格率はここ数年は5%前後で推移しています。令和元年の試験は38,428名が受験して2,525名が合格、合格率は6.6%でした。

合格してからは?

社会保険労務士試験に合格して、全国社会保険労務士会連合会に登録した後に、社会保険労務士として活動ができるようになります。

登録を行うには、

  1. 2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験(試験の前後いずれでもよい)
  2. 全国社会保険労務士会連合会による「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」の修了

のどちらかが必要となります。

社会保険労務士試験に関する詳細は、公式サイトでご確認ください。

https://www.sharosi-siken.or.jp

社会保険労務士試験に合格するためには

計画的な準備が必須

合格するためには、選択式と択一式のそれぞれの総得点に加えて、それぞれの科目の合格基準をクリアしなくてはなりません。苦手科目をつくらず、どの科目もある程度得点することが必要です。

社会保険労務士試験の受験のチャンスは年に1回、合格するには、700~1000時間の勉強が必要といわれています。勉強時間を確保して、どの科目も偏りなくしっかりと勉強するために、試験日から逆算して計画を立てましょう。

勉強方法は?

社会保険労務士の資格取得を目指す方の多くの方が、スクールや通信講座を利用して勉強していますが、独学されている方もいます。

独学

社会保険労務士試験に関する参考書や問題集は多数販売されていますが、一人で受験勉強を行うにはかなりの精神力がいりそうです。スクールが主催する模擬試験は独学の方も受験できます。

社会保険労務士試験は労働と社会保険に関する法律が試験範囲の大半を占めるため、「法学部出身じゃないし、法律は難しそう」と尻込みする方もいるかもしれません。そんな方が勉強を始める際には、こちらがお勧めです。

アプリも、働きながら勉強することが多い受験生の味方になります。アプリで在宅時間や通勤のすきま時間を有効活用して効率よく勉強しましょう。

スクール・通信教育

社会保険労務士試験の合格をサポートしてくれる通信教育は、大原、ユーキャン、フォーサイト、スタディングなど。TAC、LECなどの通学型のスクールに通うのも一つの方法です。試験日が近くなると、直前対策講座や模擬試験等も開催されています。

通信教育は、添削課題を郵送するものから、スマホで完結するものまでいろいろなスタイルがあります。

スクールや通信教育の費用は約6万円~30万円程度までと幅がありますが、教育訓練給付制度の対象になっているかも、確認しましょう。

教育訓練給付制度は、支払った費用の40%に相当する額(上限あり、20万円まで)が支給されるおトクな制度です。教育訓練給付制度の概要や支給要件等は、こちらでご紹介しています。

https://college.coeteco.jp/blog/archives/792/

勉強のコツは?

受験勉強の王道といえば、過去問対策ですが、社会保険労務士試験でもやはり「過去問の繰り返し」が大切なようです。

一番大切なことは
やっぱり『過去問』の繰り返しです!
な~んだと思われたかもしれませんが、過去問ですよ

https://ameblo.jp/8sharosi/entry-12589577562.html

令和元年の試験で合格した「はっち」さんのブログです。模試の受け方から当日の心構えまで、社会保険労務士を目指す方向けの情報を発信されています。

社会保険労務士試験の過去問題集は、その年の試験問題を取り入れて、毎年秋から冬にかけて発売されています。出題分析と力試し用の模擬試験もあって、こちらがおすすめです。法律の改正が多いので、新しい情報で学習することもポイントです。

苦手科目の一つに多く挙げられているのが、「労務管理その他の労働に関する一般常識」、略して「労一・ろういち」です。労一は出題範囲が広くて、とらえどころがないと感じる方が多く、対策を立てるのが難しいとされています。

労一に苦戦しつつ、「労一への恋は、三度目にして成就」したローイチさんが、労一の攻略方法をブログで紹介しています。

選択式労一の勉強方法について、ご質問がありました。

これからの時期において大事なのは、下記の3つだと思います。

① 白書

② 択一式の過去問

③ テーマを決める

https://ameblo.jp/rouichi-shiken/entry-12606583441.html

労一など、各科目に特化した問題集も販売されています。

まとめ

各種帳票の自動作成など、労務関係書類作成の業務は減少する方法にあります。

しかし、パートタイマーでも社会保険への加入が進められたり、非正規雇用の正社員化など、企業における労働・労務における深い知識はますます必要とされていきます。時代の変化で需要が高まっていく社会保険労務士の資格を目指してみませんか。

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