臨床検査技師とは?メリットや試験対策などの勉強法を解説

病気の早期発見にも貢献している臨床検査技師は、予防医療の意識が高まっている現代に欠かせない職業の一つです。

臨床検査技師の資格取得を目指しているものの、具体的にどのような仕事をするのか知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、臨床検査技師の概要仕事内容を解説します。併せて、試験対策に有効な勉強法メリット3選なども紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

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臨床検査技師とは医療現場に必須の「検査のエキスパート」

まずは臨床検査技師の概要仕事内容を解説します。臨床検査技師に向いている人の特徴も紹介するので、参考にしてみてください。

国家資格が必要

臨床検査技師は、患者の細胞組織の検査を行ない、医師へと検査結果を報告する役割を担っています。身体の異変をいち早く判別することで、病気の早期発見や患者に対する早期治療が可能です。

患者と医師の架け橋のような存在であるため、検査のエキスパートとして医療現場で活躍しています。

なお、臨床検査技師として働くためには、国家資格を取得しなければなりません。

もとは1958年の衛生検査技師法の成立にともない、衛生検査技師が誕生しました。その後、1970年に行なわれた法改正により、生理検査採血を実施する臨床検査技師として、国家資格が制定されたのです。

高齢化社会を迎え、予防医療の意識も高まっている現代で、臨床検査技師はますます注目を集めています。

仕事内容は大きく2つに分かれる

臨床検査技師の仕事は、検体検査生体検査の2種類に大きく分かれます。それぞれの検査の特徴を見ていきましょう。

検体検査

検体検査では、患者の尿血液便髄液などを採取して検査を行ないます。その際、患者から採取したものを検体と呼び、顕微鏡や薬品反応の検査を通じて、身体に異常がないかを調べます。

検体検査には、尿や便を調べる「一般検査」や、血液中の赤血球量などを調べる「血液検査」、体内に入ったウイルスや細菌を特定する「免疫検査」など、複数の項目があります。

生体検査

生体検査では、患者の身体に直接触れながら検査を行ないます。頭皮に電極をつけて脳の電気信号を観察する「脳波検査」や、超音波で血管や臓器の状態を調査する「エコー検査」などが、生体検査に含まれます。

患者の身体へ直接触れる検査のため、場合によっては患者の緊張感をほぐさなければなりません。適度に会話したり、目線を合わせたりするなど、患者の状況に合わせたコミュニケーション能力が必要です。

臨床検査技師に向いている人とは

どのような職業にも、向き不向きの適性がありますが、臨床検査技師に向いているのは、的確な判断力集中力を持つ人です。その理由は、臨床検査技師が出した検査結果をもとに、医師が患者への治療方針を決めていくためです。

もしも検査中に集中力を欠き、誤った検査結果を報告してしまうと、患者の生命や病院の信用にも関わる大きな問題へと発展するおそれもあります。また、知識と経験に裏打ちされた、的確な判断力を備えていることも、正しい検査結果を導くためには不可欠でしょう。

そのため、臨床検査技師にとって、的確な判断力と集中力を備えていることは重要な適性といえます。

また、チーム医療に携わる一員として、医師や医療スタッフと積極的にコミュニケーションできる能力も必要です。事務的に検査結果を伝えるのではなく、検査を担う立場として報告することで、患者がより適切な治療を受けられる可能性が高まります。

臨床検査技師になるメリット3選

臨床検査技師になるメリットとして、おもに3つの項目が挙げられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

将来性が高い

人々の予防医学健康増進に対する意識は、以前と比べて変化しています。従来は、体調不良になって初めて病気が発覚するというケースも少なくありませんでした。しかし、現在は、生活習慣病健診の検診を定期的に受ける人が増えています。

また最近では、家庭で飼うペットを対象とした臨床検査も珍しくなくなりました。ペットの健康を守り、少しでも長く生きてもらうために、動物臨床検査サービスを利用する飼い主が増えつつあります。

このように、臨床検査技師の活躍の場は時代とともに拡大しており、求人に関して高い将来性が期待できるでしょう。基本的にスタミナを要求される仕事ではないため、年齢や体力に関係なく長く働けるというメリットもあります。

キャリアアップを目指せる

臨床検査技師の資格を取得したあとも、緊急臨床検査士細胞検査士など別の認定資格の取得を目指せます。

自身の知識やスキルの専門性を高めることで、活躍できるフィールド拡大するうえに、勤務先でのキャリアアップにもつながるでしょう。

臨床検査技師の平均年収は492.7万円*ですが、勤務先の専門性や需要に沿った資格を取得すれば給料に資格手当が上乗せされて収入アップが期待できるしょう(*令和2年賃金構造基本統計調査より)。

職場によっては求人情報に、「超音波検査士歓迎」「細胞診断士歓迎」などと歓迎する資格条件が記されているため、自身の志向にも合わせられるでしょう。

夜勤当直の頻度が少ない

他の医療系の職業と比べて、臨床検査技師は夜勤当直が少ないというメリットがあります。

夜間は、緊急検査の必要がある場合のみ検査を実施するため、夜勤当直に割り当てられる臨床検査技師の人数は多くありません。

勤務先の病院によっても変わってきますが、夜勤の頻度は毎月1、2回が一般的だといえます。基本は日勤であるため、プライベートの予定も立てやすく、ワークライフバランスのとれた働き方ができるでしょう。

臨床検査技師として働ける施設は豊富にある

臨床検査技師は幅広い医療機関で働くことが可能です。ここでは、臨床検査技師として働ける施設5つの項目に分けて紹介します。

病院

臨床検査技師が病院に勤務する場合は、1次救急から3次救急まで、病院が対応している救急レベルに応じて業務区分が変わります。例えば、小規模の病院や療養型の病院が該当する1次救急レベルの病院では、生体検査の割合が多くなります。

一方で、2次・3次救急レベルの病院は規模が大きいため、検体検査と生体検査が分業制になりやすいでしょう。

なお、2次救急レベルは500床規模の救急指定病院を指し、3次救急レベルは救命救急センターや1,000床規模の大きな病院を指します。

クリニック

クリニックに勤務した場合は、病院と比べて臨床検査技師1人あたりの業務幅が増える傾向にあります。理由としては、1つのクリニックで臨床検査技師は1~2人程度と、勤務人数が少ない傾向にある点が挙げられます。

業務内容は、心電図や超音波検査などの生体検査がメインです。勤務先によっては、受付や院内の清掃など庶務的な仕事をする場合もあるでしょう。

クリニックでは夜勤当直がないため、日勤で働けるという特徴もあります。

検査センター

検査センターとは、十分な検査設備が備わっていないクリニックなどから依頼された検体を集約し、検査を請け負っている施設のことです。

通常の病院では実施していない特殊な検査として、腫瘍マーカー検査アレルギー検査などがあります。扱う検査の幅が広い傾向にあるため、臨床検査技師としての知識とスキルを活かせるでしょう。

健診センター

健診センターに勤務する臨床検査技師は、各種の健康診断PET健診などを実施しています。心電図や超音波検査など、それぞれが受け持っている持ち場を、ある程度固定して業務を行なうケースが多いでしょう。

健康診断をはじめ、予防医療に関わる検査がおもな対象となるため、特に超音波検査に関するスキルが求められる傾向にあります。

その他の施設

臨床検査技師は、その他にもさまざまな医療系の勤務先があり、自分の志向に合わせて選択が可能です。勤務先の例としては、製薬会社大学研究室保健所などが挙げられます。

製薬会社に勤務した場合は、営業先の病院で製品を説明・実演するケースもあります。また、臨床検査技師の資格を取得後、公務員試験を合格することで保健所への勤務も可能です。

保健所では、食中毒が発生した際の施設検査や、施設の衛生検査などを行ないます。勤務する施設によって、それぞれ異なる仕事のやりがいを見出せるのも、臨床検査技師として働く魅力の一つでしょう。

【試験対策】臨床検査技師の受験資格&試験内容とは

ここでは、臨床検査技師の受験資格試験内容などについて解説します。試験対策としてぜひ参考にしてください。

受験資格

臨床検査技師になるには、国家試験に合格しなくてはなりません。国家試験の受験資格は大きく3つに分かれるので、それぞれ解説します。

まず1つ目のルートは、3年制の専門学校もしくは短期大学4年制大学臨床検査技師養成課程を修了して、受験資格を取得する方法です。臨床検査技師の養成課程がある大学には、偏差値が比較的高い学校が多く見られます。

例えば、山口大学の保健学科検査技術科学専攻は、2020年(第66回)の臨床検査技師の試験合格率100%という実績を出していますが、偏差値は50です。また、なかには専門学校の途中脱落者もいることを考慮すると、国家試験の難易度は高いといえるでしょう。

2つ目は、医学歯学の正規課程を修了、もしくは薬学・保健衛生学系・獣医学で所定の課程を修めて受験資格を取得するルートです。

最後の3つ目のルートは、医師、歯科医師など定められた国家資格所持していることで、受験資格を取得するルートです。

いずれのルートに関しても、通信講座や独学での受験資格の取得は不可能であるため、しっかりと計画を立てたうえで臨床検査技師を目指す必要があります。

試験内容

臨床検査技師の試験内容は、10科目で構成されています。10科目の内訳は、公衆衛生学(関係法規を含む)、臨床血液学、臨床生理学などです。例えば、臨床血液学では血液の機能や成分について学び、臨床生理学では人体の組織や器官の役割について学びます。

このように、臨床検査技師の試験科目の内容は幅広いため、事前の試験対策が重要になってくるでしょう。

試験問題は1問1点の点数配分で、200問出されることも特徴です。合格基準点120点以上と定められ、全体の60%以上正答率を出さなければなりません。

また、試験は毎年2月に実施されており、北海道から沖縄まで全国9都市で受験ができます。合格発表は毎年3月後半に行われています。

試験の合格率

臨床検査技師の例年の合格率70~80%台です。2019年から2021年までの合格率を見てみましょう。

2019年(第65回)
受験者数:4,816人
合格者数:3,620人
合格率:75.2%

2020年(第66回)
受験者数:4,854人
合格者数:3,472人
合格率:71.5%

2021年(第67回)
受験者数:5,115人
合格者数:4,101人
合格率:80.2%

前述したように、臨床検査技師は受験資格を取得するハードルも高いという特徴があります。試験は年に1回しか受けられないため、しっかりとした試験対策を行ない、一発合格を目指しましょう。

参考:臨床検査技師国家試験の施行|厚生労働省

臨床検査技師の試験対策に使える3つの勉強方法

ここでは、臨床検査技師の試験対策に使える3つの勉強方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。

市販のテキストで学習する

まずおすすめしたいのは、試験対策の要点がまとめられた市販テキストを使った勉強法です。

その際ポイントは、臨床検査技師の10科目で合計200点のうち、点数配分が20点以上の科目を優先して勉強することです。

例えば、近年の「臨床検査医学総論」の点数配分は10点ですが、「臨床化学」の点数配分は32点と違いがあります。点数の配分が大きい科目を優先的に学習することで、効率良く合格へと近づけるでしょう。

また、試験日から逆算して、余裕のある学習計画を立てることも大切です。試験対策の勉強を毎日の習慣にすることで、無理なく学習を継続できます。

過去問を解いて出題傾向をつかむ

試験範囲は10科目と広いものの、試験の内容には出題傾向があります。臨床検査技師の過去問を解くことで、より効率的に試験内容の出題傾向をつかめるでしょう。

また、過去問を使った学習を行なえば、自分の学習レベルを把握できるというメリットもあります。これまでの学習の到達度を可視化することで、今後取り組むべき課題が見えることにもつながるでしょう。

過去問が入った問題集は書店で購入でき、スマートフォンやタブレット端末で利用できるアプリもあるため、自分の学習スタイルに合ったものを選べます。

多くの方が役に立ったと紹介している問題集がこちらです。

アプリを使って問題を繰り返し解く

アプリを使うと電車や移動中に勉強できるので、スキマ時間を有効活用できます。

アプリには練習問題から過去問まで幅広く網羅しているものもあり、反復することで、自分が苦手とする問題を徐々に絞りやすくなります。

苦手な問題を繰り返し解いて克服すれば、臨床検査技師の試験対策が効率的にできるでしょう。

まとめ

臨床検査技師になるメリットや、試験対策の勉強法を以下にまとめます。

  • 臨床検査技師の将来性は高く、働ける医療施設も豊富にある
  • 試験は10科目から出題され、例年の合格率は70~80%である
  • 試験対策には、科目ごとの優先度を絞った学習や、過去問学習が有効

予防医療はもちろん、動物臨床に対する意識も高まりつつあるなかで、臨床検査技師は雇用の高い安定性が期待できる職業です。

これから臨床検査技師を目指すという方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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