造園施工管理技士とは|造園工事に欠かせない監督者

わたしたちに寛ぎを与えてくれる、オフィスの庭や公共のグリーンパーク。こういった緑地は「造園工事」によって造り出され、日本では至るところでこの造園工事が行われています。造園施工管理技士は、そんな造園工事で重要となる現場監督者。今回は、造園業界において高い評価を得る造園施工管理技士について、詳しい仕事内容や将来性、資格のとり方概要などを紹介します。

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緑を生み出す造園の仕事

住宅庭園やビルのエントランス、オフィスの屋上、公園など、日本では、たとえ都会にいても緑に触れられる場所が数多くあります。このような緑地では草木などの自然を楽しむことができますが、これらの緑地自体は人工的に造られたもの。人工的に庭や緑地を造り出すことを「造園」と言い、造園にともなう工事は「造園工事」と呼ばれます。

造園の仕事を行う代表的な職種として庭師や植木職人が知られています。普段の生活の中で、職人さんが住宅の庭の手入れをしているのを見たことがあるでしょう。こういった個人住宅の庭や、公共の土地・施設の緑地を造ることは庭師や植木職人の仕事です。

造園の資格

庭師や植木職人は資格がなくてもなることができますが、造園の技能を証明する技能検定というものがあり、造園業界でキャリアを積みたい人は技能検定に挑戦しています。

造園関連でよく知られる技能検定が「造園技能士検定」と「造園施工管理技術検定」。このふたつは混同されがちなのですが、造園技能士検定は造園に関する技術レベルを証明する検定であり、一方の造園施工管理技術検定は、造園工事の現場を仕切る、いわゆる監督者としての技能を証明する検定と、役割ではっきり分類されています。これらの検定に合格すれば、造園技能士資格、造園施工管理技士資格の所持者となり、資格名を名乗って仕事をすることができます。

造園業界で高いキャリアを目指せる造園施工管理技士

造園業界でも特に高いキャリアを目指すことができるのが造園施工管理技士資格。前述したとおり、造園施工管理技士は主に造園工事の現場での監督的役割を担います。

現場は主に、公園や学校など公共の場の緑化や道路緑化といった造園工事の現場で、造園に関する設計や施行計画、資材の調達、品質管理など、造園工事における監督業務が造園施工管理士の仕事です。実際に造園作業を行う機会は少ないですが、造園技能士など職人が安全かつスムーズに作業を行うために造園施工管理技士は欠かせない存在。また、造園施工管理技士になれば、造園工事の現場で配置が義務づけられている主任技術者になることもでき、造園業界でもその価値は高まります。企業で働いていれば、資格取得で年収アップや昇格も可能でしょう。

ただ、高く評価される資格であるだけに、造園技術だけでなく工事技術やスケジュール管理など幅ひろい知識・能力が必要で、造園工事の施工の実務経験がなければ造園施工管理技士を名乗ることはできません。造園施工管理技士は、造園業務に就いている人がキャリアアップを目指し取得する資格と言えるでしょう。

造園施工管理技術検定

造園施工管理技士になるには、一般財団法人全国建設研修センターにより行われている造園施工管理技術検定に合格する必要があります。施工管理技士の技術検定は造園以外に土木施工管理技士、管工事施工管理技士などがあり、こういった施工管理技士は建設業における特定の技術が認められた国家資格になります。

造園施工管理技術検定は2級、1級があり、1級が上位級。2級に合格することで、工事現場に配置が必須となる「主任技術者」になることができますが、1級に合格すれば、主任技術者に加え、大規模な工事に主任技術者とともに配置が必須となる「監理技術者」にもなることができます。

2024年度から受験資格が変更され、第一次検定の受験に実務経験数は問われなくなりました。受検年度末時点での年齢が1級は19歳以上、2級は17歳以上であればだれでも受験可能です。

しかし、いきなり1級からチャレンジするのは難易度が高く、技能も必要になるため、まずは2級から挑戦するのが一般的なようです。

以下で、造園施工管理技術検定2級の試験概要を解説します。

受験資格

造園施工管理技術検定の受験資格は、受ける試験の内容により異なります。

造園施工管理技術検定には「第一次検定・第二次検定(同日受験)」「第一次検定のみ」「第二次検定のみ」があり、最終的に第一次検定と第二次検定の両方に合格することで、造園施工管理技士を名乗ることができます。「第一次検定・第二次検定」と「第二次検定のみ」は実務経験がなければ受験できませんが、2級の「第一次検定のみ」に限り、17歳以上であれば実務経験がなくても受験可能。そのため、まず2級の第一次検定試験に合格し、実務を積んでから第二次検定に臨む人もいます。

第二次検定も受験する場合の受験資格は、学歴や資格の有無によりかなり細かく定められているので、一般財団法人全国建設研修センターの公式ページで確認しましょう。

http://www.jctc.jp/exam/zouen-2

試験日程・試験会場

2級の場合、第一次検定は年に2回、第二次検定は年に1回開催されます。

  • 第一次検定(前期)…例年6月の第1日曜日
  • 第一次検定(後期)…例年11月の第3日曜日
  • 第二次検定…例年11月の第3日曜日(第一次検定の後期試験と同日)
  • 第一次検定・第二次検定(同日受験)…例年11月の第3日曜日(第一次検定の後期試験と同日)

受験申し込み期間は、前期第一次検定が例年3月、後期第一次検定と第二次検定が例年7月です。

11月に同日で行われる試験は、「第一次検定(後期)」「第二次検定」と第一次検定・第二次検定を同日に受ける「第一次検定・第二次検定」試験になります。すでに第一次検定に合格している人は、一部条件に基づき第二次検定のみの受験でOK。そのため、申し込み用紙は、「第一次検定のみ(前期試験)」、「第一次検定のみ(後期試験)」、「第二次検定」、「第一次検定・第二次検定」の4種類があります。

注意したいのが試験会場。試験会場は前期試験と後期試験で開催地区が異なります

  • 前期試験開催地区…札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇の10地区
  • 後期試験開催地区…札幌、青森、仙台、東京、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇の13地区(第一次検定試験のみ、宇都宮も追加)

自身が受ける受験日の試験会場はしっかり確認しておきましょう。

試験内容

上記で解説したとおり、試験には第一次検定と第二次検定があります。ここでは、2級の試験内容について紹介します。

<第一次検定>

  • 土木工学
  • 園芸学
  • 電気工学
  • 電気通信工学
  • 機械工学
  • 建築学
  • 施工管理法
  • 法規
    ※4肢択一方式で50問

<第二次検定>

  • 施工管理法
    ※記述式問題2問、経験記述問題1問

第二次検定は実技試験と混同してしまうかもしれませんが、現場に行って試験を行うというわけではありません。自身が経験して得た知識について問われ、論文形式で回答します。

第一次検定、第二次検定ともに、100点満点中60点以上で合格となります。学歴や所持資格で免除となっていない限り、基本的には第一次検定・第二次検定ともに合格することが資格取得の条件となります。

試験の難易度・合格率

造園施工管理技術検定2級の近年の合格率は、第一次検定が50~60%、第二次検定が35~40%、平均で55~60%程度といわれています。数字だけ見るとそれほど難易度が高いと感じられないかもしれませんが、造園施工管理技術検定の受験者の多くは造園工事の実務を積んだ経験者たち。数年の実務経験を積んでも、4割近くが不合格と考えると、簡単な試験ではないことがわかるでしょう。実際に、最近の造園施工管理技術検定は、施工管理技士の検定全体の中でも合格率が低く、最難関と言われています。

造園施行管理技術検定に合格するには

資格試験の学習方法は、大きく「独学」と「学校・講座での学習」に分けられます。造園施工管理技術検定では、どのような学習が合格への近道となるのでしょうか。

独学

受験資格に実務経験を設けている造園施工管理技術検定は、基本的に経験者が受験するため、独学で合格する人もゼロではありません。独学のためのテキストや問題集も多く発売され、第二次検定試験対策用のテキストもあります。過去問題を活用し出題傾向をしっかり掴んでおけば、独学での合格も可能でしょう。

図解を多く取り入れた解説でわかりやすいと評判のテキストがこちら。問題を解きながら理解していくことで重要ポイントがしっかり頭に入ります。

難易度が高い第二次検定試験の対策にはこちらのテキストがおすすめ。第二次検定試験の形式である経験記述の回答例や対策、過去問題を紹介しています。

通信・通学講座・学校

キャリアアップを狙い造園施工管理技術検定に挑戦する人の場合、働きながら試験勉強をすることになるでしょう。限られた時間の中でより効率的に学習するには、通信講座やスクールを利用するのも手です。

たとえば、建築関連や建設関連の資格講座も多く取り扱う日建学院は、造園施工管理技術検定受験者に向け、Web講座と通学講座の両方を設けています。金額は、Web・通学ともに、短期集中講座コースが8万円(税別)、第二次検定試験対策コースが3万円(税別)。独学よりお金はかかりますが、学習ポイントを押さえたテキストや講義で学習効率はアップするでしょう。

また、各地の建設関連の協会などでは、造園施工管理技術検定受験者のための講習会や研修を開催しているところもあります。建設管理センターで行われる研修は、かかった費用の最大20%が支給される教育訓練給付金の対象にもなっています。ぜひチェックしてみてください。

https://www.ecc-jp.com/w/zouen02.html

造園施工管理技術検定の勉強法

実務を積んだ経験者でも不合格となってしまうことがある造園施工管理技術検定。合格者たちはどのような勉強法で合格を勝ち取ったのでしょうか。
造園施工管理技術検定では「試験に出やすい分野を把握すること」と「とにかく過去問をひたすら解く」ことが重要です。日々の生活の中で時間を見つけ、しっかり対策をしてから試験を受けましょう。

まとめ

自然を愛する日本人にとって、庭や緑地は寛ぎの空間。造園工事はどの時代でも、どの場所においても行われています。造園工事に欠かすことができない造園施工管理技士は、ニーズが高く、安定した将来が期待できるでしょう。造園業でさらなるキャリアを積みたい人はぜひ造園施工管理技術検定に挑戦してみてください。

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