医療事務は、1度学んで習得すれば全国どこでもスキルを活かすことができ、派遣やパートなどライフスタイルに合わせた働き方も可能です。
医療事務の資格は全て民間資格で、働きながらでも通信講座など比較的手軽に専門的知識を学ぶことができます。そして就職や転職に有利に働くことが期待できるため多くの女性が注目しており、芸能人でも医療事務の資格にチャレンジされる方がいらっしゃいます。イモトアヤコさんとAKB48の横山由依さんが「調剤事務管理士(調剤薬局事務)」を、畑野ひろ子さんが「医科 医療事務管理士®」を取得され、話題になっていました。
この記事では、医療事務の仕事内容、資格取得のメリット、資格の種類、どのように学ぶか、病院や診療所向けの資格など具体的に解説していきます。
医療事務の仕事内容
医療事務の主な仕事は、病院や診療所または調剤薬局で診療・調剤報酬を計算し保険者に請求する業務(レセプト業務)や、窓口として患者さんへの対応、医師や看護師などのサポートです。他に、一般事務のような備品の管理やパソコンでの表作成などを求められることもあります。
どのような場で働くかによって、同じ医療事務でも求められる知識が変わります。それは病院・診療所、調剤薬局、歯科診療所では、報酬の計算が全く異なるためです。どのような医療機関で働きたいかによって、学ぶ資格を選びましょう。
資格を取るメリット
実は、医療事務として働くために資格は必要ありません。それでもあえて資格を取る人が多いのは、一般的な事務に比べ医療事務は現場に出てから覚えることが非常に多いからです。
パソコンのスキルや接遇・コミュニケーションスキルはもちろん、複雑な保険の仕組みと診療報酬・調剤報酬の仕組み、法制度、医療の知識まで、非常に多くのことを理解して働くことが求められます。医療事務の資格取得で学んでいれば、少なくても保険の仕組みやレセプト業務についてある程度の知識を得られ、就職後実際に働き始めた時にスムーズに仕事を覚える大きな手助けとなるでしょう。
医療事務の求人は、資格の保有を求めないケースも多くあります。資格の有無よりも経験の有無の方が重要視されることがあるのも事実です。ですが就職活動において資格取得が有利になることは十分期待できます。
医療事務資格の種類
医療事務として働く場は、大きく分けると以下の3つです。
- 病院や診療所(医科)
- 歯科診療所(歯科)
- 調剤薬局(調剤)
それぞれ、保険の制度など共通の知識もありますが、保険者への請求内容が大きく変わるため、学ぶ内容も変わってきます。ですので資格も医科向け、歯科向け、調剤向けとわかれており、まずはどこで働きたいのか決めて、資格取得を目指しましょう。
調剤向けの資格を狙う人は、こちらの記事を参考にしてください。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/181/
病院・診療所で働きたい人向けの資格と合格率
以下、医科向けの医療事務資格の中で、代表的なものを5つご紹介します。これは全て受験資格は問わないので、独学、通信講座または通学で学べます。
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
http://www.jme.or.jp/exam/mc/index.html
45年の歴史があり、受験者数はのべ163万人と医療事務関連の資格試験としては最大規模を誇ります。合格率は約60%です。ニチイなど通信講座、通学でも学べます。
診療報酬請求事務能力認定試験
https://www.iryojimu.or.jp/exam/
医科向けと歯科向けの試験があります。難易度が高く、医科向けの合格率は約30%ほどです。難関だからこそ、この試験に対応している通信講座や通学の講座は多いです。フォーサイト、ヒューマンアカデミー「たのまな」などの通信講座、ヒューマンアカデミーなど通学で学べます。
医療事務管理士®技能認定試験
https://www.ginou.co.jp/qualifications/iryojimu.html
医療事務の資格としては日本で1番古く、インターネット試験が可能です。合格率は実施年月によりばらつきがあり、50〜70%ほどです。ソラスト教育サービスなど通信講座、資格スクール大栄など通学でも学べます。
医療事務認定実務者®試験
http://iryou-shikaku.jp/exam/certified_practitioners.php
比較的合格率が高く、実技試験の出題で入院症例がなく外来症例のみなので、どちらかというと初心者向けの資格です。合格率は60〜80%です。ユーキャンなど通信講座で学べます。
医療情報実務能力検定試験
https://www.medin.gr.jp/exam_sche/exam_med_info.html
2級と1級があり、1級は2級合格者のみ受験可能ですが、1級と2級の併願が可能です。合格率は2級が概ね55~60%、1級が37〜50%です。合格すると医療事務実務士®の称号を得られます。TERADA医療福祉カレッジなど通信講座で学べます。
病院や診療所で働くなら医療秘書も
病院や診療所で活かせる資格として、医療秘書があります。主に医師や看護師の業務軽減を目的として、事務的サポートが主な仕事です。
医療事務と違い医療秘書は、通常の医療事務の知識に加え秘書業務や情報管理業務を担うための幅広い知識が必要です。
以下、代表的な医療秘書の認定試験を2つ挙げます。医療秘書技能検定試験は誰でも受験が可能ですが、日本医師会認定医療秘書は認定養成機関の講座を受講する必要があります。
http://www.medical-secretary.jp/iryo/
http://www.med.or.jp/medi-sec/
資格取得の方法と費用、学習期間
医療事務の資格を取得する際に学ぶ方法は3つあり、独学で学ぶか、少しお金をかけて通信講座を利用するか、資格スクールなどに通って学ぶか(通学)です。方法と費用、学習期間をまとめました。
資格試験は、毎月実施している試験もあれば年に数回しかチャンスのない試験もあるので、いつまでに取りたいという目標がある方は試験の実施についても調べておきましょう。
独学で学ぶ
参考書などを買い独学で学ぶのが1番お金はかからず、好きな時に資格試験にチャレンジできます。テキスト代や問題集は概ね1,000円〜4,000円、資格試験の受験料は5,000〜9,000円ほどです。
医科向けの医療事務資格の場合は、保険の制度、レセプト業務のほか、入院、検査など幅広い知識が必要で、学ぶことが多いのも特徴です。独学でも可能ですが、強い意志を持って自制できる人向けでしょう。
独学で学びたい人は、診療報酬請求事務能力認定試験など対策テキストや問題集が多い資格もあるので探してみてください。無料または有料の問題集アプリは、隙間時間に利用できて便利です。
問題集の例をいくつか挙げてみます。
取りたい資格によって選ぶテキストは変わるので、まずはどれにチャレンジするか決めましょう。ただし、医療事務検定試験など指定の講座の受講が義務付けられている試験は受験できないので、受験資格も確認してください。
http://www.japanmc.jp/iryoujimukentei.html
通信講座で学ぶ
通信講座は試験対策もしっかりしていて、在宅で学びやすいので人気です。ヒューマンアカデミー「たのまな」は合格後に就職サポートを受けられるなど、それぞれ特色があるので比較してみると良いでしょう。
かかる費用は、だいたい30,000〜50,000円が一般的で、学習期間の目安は3ヶ月〜6ヶ月です。通信講座は教育訓練給付制度(一般教育訓練)対象の講座もあるので、受講を検討する際は必ず調べましょう。対象であれば講座を修了するとハローワークから受講料の20%が給付されます。
通学で学ぶ
通学の講座でも、ヒューマンアカデミーや日本医療事務協会など就職サポートを受けられるところがあるので合格後のサポート体制も比較してみましょう。
通学の講座は、50,000〜120,000万円前後です。また通学の講座は複数の医療事務資格を取得できるコースを設けているところもあり、複数になると約200,000〜350,000円と価格はさらに上がります。
通学の場合、講座代の他に20,000円〜30,000円程度の入学金がかかることもあるので、ここもチェックしてください。通学も通信講座と同じく教育訓練給付制度(一般教育訓練)対象の講座があるので、確認すると良いでしょう。
講座の学習期間の目安は、3ヶ月〜6ヶ月が一般的ですが、中には通信講座よりも通学の方が短期間で学べる講座もあります。ニチイの場合、通信講座が3ヶ月、通学なら最短で1.5ヶ月で学べます。
医療事務の平均的な年収
医療事務の平均的な年収は、勤務形態によって違いますが一般的な年収は、厚生労働省の「第21回医療経済実態調査」(平成29年)で、病院は平均で4,319,295円、一般診療所全体の平均で3,024,395円でした。
医療事務は、人材会社に登録して派遣で働くことも可能です。地域差が大きいですが、派遣の時給は一般的に1,100円〜1,400円ほどのようです。パートで働く際の時給は、900〜1,100円ほどと言われています。
医療事務のやりがい
医療事務の仕事は患者さんから感謝されることもあるので、モチベーションの維持に繋がります。また医療に関する知識も増え、仕事を通じて社会貢献している実感も生まれるでしょう。
はな(kruh)さんは、Twitterで医療事務のやりがいについてこのように語っています。
なっ死〜さんは病院の顔として、誇りを持って働いていらっしゃるようです。
まとめ
医療事務の知識と経験は全国どこでも活かすことができ、子育てなどでブランクがあっても比較的復職しやすいこともやりがいにつながるメリットではないでしょうか。
ただ2年に1度診療報酬改定があるなど覚えることが多く、常に新しい知識が必要です。さらに医療の現場はミスが起こると命に関わる緊張感があり、大変な仕事でもあります。
資格を取得して働く場を変えたい、就職のチャンスが欲しいという方は、医療事務を検討してみてはいかかでしょうか。