女の子がなりたい職業ランキングで、必ず上位になるのが保育士です。最近では、元TBSアナウンサーでフリーアナウンサーとして活躍している吉田明世さんが保育士の資格を取得して、話題となりました。
長年、保育士が足りないと問題視されていますが、保育士試験の回数を年2回に増やしたり、保育士の処遇改善や潜在保育士への再就職支援の強化が行われたりなど、国も地方自治体も保育士を確保しようとさまざまな対策を実施しています。
この記事では、社会からますます必要とされている保育士について、仕事の内容や保育士試験とその勉強方法などを紹介します。
保育士とは
保育士とは、児童福祉法第18条「保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」に基づいた国家資格です。
主な職場は保育所です。保育所とは労働や疾病などのさまざまな理由で保護者が保育することができない入学前の乳幼児のための児童福祉施設です。国の定めた設置基準を満たした認可保育所の他に、独自の方針で子どもや保護者のニーズにこたえている認可外保育所があります。
保育士は、保育所の他にも乳児院、児童養護施設、児童館などの児童厚生施設、心身に障害がある児童のための施設など、さまざまな児童福祉施設で働いています。
また、発達に障害のある未就学児のための児童発達支援施設や、障害のある子どもたちの学童施設ともいえる放課後等デイサービスでも保育士は活躍しています。
保育士の資格は、他の仕事をする際にも有利になります。例えば、ベビーシッターや3歳までの子どもを自宅で保育する保育ママ(家庭福祉員)は公的な資格が必要ではありませんが、保育士の資格を取得していれば大きなアピールポイントとなるでしょう。ベビーシッターは、厚生労働省による「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」も作成されるなど利便性と安全性の進化が期待され、保育士が活躍する機会も増えています。
保育士になるには
保育士として活躍するには、次の2つの方法を経て、保育士登録をすることが必要です。合格後に申請を行い、都道府県知事から保育士証が交付されれば、保育士として全国で働くことができます。
①大学、短大、専門学校などの保育士養成施設を卒業する
高校を卒業したら上記の保育士養成施設へ入学するほかにも、国がおこなっているハロートレーニングを利用する方法があります。ハロートレーニングの公共職業訓練を利用して保育士養成施設に通えば、学費が無料で保育士を目指すことができます(テキスト代など実費のみ自己負担)。期間は最短で2年間です。詳細は、最寄りのハローワークへお問い合わせください。
お近くにハローワークで対象となる保育士養成施設があるかは、こちらで調べることができます。
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010
② 保育士試験に合格する
保育士試験は各都道府県が主催して、全国保育士養成協議会が実施しています。日時や試験科目など内容は全国共通です。お住いの場所に関わらず、どの都道府県でも受験することができます。
合格率は、例年20%前後で推移しています。「厚生労働省 保育士試験の実施状況」によると、令和元年度の合格率は23.8%でした。
保育士不足を解消するために、2015年に地域限定保育士が誕生しました。試験に合格して登録後3年が経過すれば全国で働くことができるようになる制度です。通常の保育士試験との違いは、実技に代わって保育実技講習会を受講するなど、2次試験に関する点のみです。令和元年度は神奈川県と大阪府で実施されています。
保育士試験とは
受験資格
受験資格は最終学歴によって異なり、児童養護施設などでの実務経験が必要になる場合があります。
【大学、短期大学、専門学校等を卒業している】
在学中や中途退学でも、修得した単位数によって受験資格が認められます。
【高校を卒業している】
受験資格を得るには、児童等の保護または援護に2年以上かつ2,880時間以上従事が必要です。
ただし、平成3年3月31日以前に高校を卒業した方や、保育科を平成8年3月31日以前に卒業した方には、受験資格が認められます。
【中学を卒業している】
受験資格を得るには、児童等の保護または援護に5年以上かつ7,200時間以上従事が必要です。
ご自身に受験資格があるか、こちらで簡単にチェックすることができます。
http://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/index.html
日程
保育士試験は、前期・後期に分けて年に2回行われています。
令和3年度は、
前期試験が筆記試験:令和3年4月17日(土)、18日(日)、実技試験:令和3年7月4日(日)
後期試験は筆記試験:令和3年10月23日(土)、24日(日)、実技試験:令和3年12月12日(日)
に行われます。
内容
保育士試験は一次試験と二次試験に分かれています。
一次試験はマークシート形式の筆記試験です。
<試験科目>
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
一次試験に合格すると、二次試験を受験することができます。二次試験は実技試験で、以下の3つの科目から2つを選んで受験します。
- 音楽に関する技術
- 造形に関する技術
- 言語に関する技術
どちらも合格するためには6割以上の得点が必要です(教育原理と社会的養護は両科目とも6割以上の得点で合格となります)。科目ごとに合格点を超える必要があり、合格科目は3年間有効です。一度に全科目を合格できなくても、3年間で全ての科目の合格をそろえようと考える方も多いです。
令和二年より科目が一部改正されています。また、幼稚園教諭免許状所有者は実務経験の条件を満たすと一部科目が免除されます。
過去の試験科目がこちらで紹介されています。
https://www.hoyokyo.or.jp/exam/pasttest/index.html
保育士試験に合格するには
独学
参考書や問題集を買ってきて、独学で保育士試験に合格された方も多くいらっしゃいます。保育士試験の最新情報や対策問題を、無料でウェブサイトやメール、アプリで紹介してくれるサービスもありますので、是非活用してください。
働きながら、「スマホアプリの「Studyplus」で勉強した範囲や時間を記録し、仲間と励まし合いながら」勉強したすださんは、暗記や覚えることに苦労したそうです。
暗記モノではあるのですが、どういった文脈で出題されるかは数をこなしておいたほうがいいと、勉強するうちに感じるようになりました。
https://ameblo.jp/todaipapa/entry-12193923122.html
同じペスタロッチのことを言っていても、「どんな本を書いたか」「どういう経歴か」「何を唱え、実現したのか」などが形を変えて出題されます。
本番では、著書の内容を引用した形で出題され、「あれ…こんな文章読んだこと無いけど…、◯◯ってキーワードが入ってるからペスタロッチのことかな…」という感じで解けました。
独学にお勧めのテキストと問題集を紹介します。法改正が行われることもありますので、教材は最新のものをつかい、過去問を解く際にも注意しましょう。
こちらの2冊は豊富な情報量で、とても詳しく書かれています。
こちらは分かりやすくまとめられています。試験会場でも多くの人が持っていたそうです。
勉強の時間がなかなか取れない方には、こちらがお勧めです。
実技の二次試験は、一次試験が終了して約1か月半後に行われますので計画的に準備をしましょう。
言語と造形を選択されたニガムシカミコさんが、お勧めの直前の対策法をイラスト付きで紹介しています。
言語は暗記したお話をエア幼児に向けて語る試験です。
https://ameblo.jp/nigamusikamiko/entry-12569119384.htm
ただ上手に話すだけでなく、視線や手振りや表情が大事なので、客観視するために全身の録画がおすすめ。
造形はひたすら毎日練習画の制作。
モチベーションを上げるため&客観視するため、Twitterやインスタで公開
1回目はわずか1点に泣き、2回目の受験では点数が大幅アップして見事合格されたMihoさんが、音楽の合格のポイントを教えてくれています。
「音楽」合格のポイント
https://ehime-miho.com/hoikushi_test_ongaku/
⒈歌に集中できる簡単な楽譜を選ぶ
⒉ミスタッチをしても、弾き直さない
⒊「一発で弾いて、ノーミス」を徹底練習
⒋グランドピアノに慣れておく
スクール、通信講座
保育士試験の合格のためのスクール、通信講座、Web講座は、ユーキャン、たのまな、大原、四谷学院、三幸保育カレッジなどで行われています。期間は6カ月程度で、費用は5万円から10万円程度です。
保育士試験の合格を目指すためのスクールや講座は、教育訓練給付制度の対象になっている場合があります。教育訓練給付制度とは、支払った費用の一部が国から支給されるお得な制度です(金額に上限あり)。是非ご活用ください。
教育訓練給付制度の概要や支給要件等は、こちらでご紹介しています。
https://college.coeteco.jp/blog/archives/841/
まとめ
少子化で子どもの数こそ増えてはいませんが、女性の社会進出で保育所への待機児童ゼロはなかなか達成できません。児童福祉施設や障害や発達の問題を抱える子どものための施設のニーズは大きくなっており、保育士への期待はますます高まっています。
働くお母さんやお父さん、子どもの健やかな成長と発達を支える大切な仕事、保育士を目指してみませんか。