着付け教室講師・お教室集客コンサルタント 福田早苗氏
長年会社員をしていて「このまま会社勤めをしていて良いのだろうか」と、ふと不安がよぎる…このご時世ではそういう方も多いのではないでしょうか。お教室集客コンサルタントをされている福田早苗氏は、会社員経験を経て起業され着付け教室の先生になり、現在ではお教室の先生向けの集客コンサルタントもされています。
福田氏は、学びたい生徒と教えたい先生を繋ぐポータルサイトを利用して生徒を集め、講座を継続して開催し集客数と講座開催回数が一定数以上、また満足度が高い先生が得られる「プラチナバッジ」を取得された人気講師です。
どのようなきっかけで、会社を辞めて講師になり生徒を集めていったのか、集客のコツなども詳しく伺ってみました。
講師になったきっかけ
コエテコカレッジ編集部(以下、編集部) お教室の先生になられたきっかけについて教えてください。
福田早苗(敬称略 以下、福田) 私が起業したのは、2015年の冬です。その前までは会社員でダンス用品を扱うメーカーのお店の店長を長くやっていました。そこで店舗運営やスタッフ教育を中心にやっていて、その時からイベントを主催したりはしていたんです。なので集客に関してはその時からアンテナを張っていました。
ただ、その会社に21年勤めていたんですが、40代になって「この先どうしようかな」と思ったんです。でも40代って転職がなかなか厳しいという現実がありますよね。
そこで転職は試みたんですが、なかなか希望の仕事がありませんでした。キャリアアップはしたいなと思っていましたが、自分には何もないし何を素材にしてビジネスにしようかということを考えられなくて。しかもお金もないし、コネもないし、お客さんもいないし。
そのような状況から、最初に起業したのが47歳の時です。起業したい!という思いが強かったので、会社を退職して着物の雑貨を仕入れて販売するネットショップを始めました。
私は21歳の頃着付け教室に通って習っていたこともあり着物が好きだったので、わりと安易に始めてしまったんです。今までも店舗で店長をやって販売もしていたので、ネットショップもやれるかなとなんとなく思っていましたし。でもやってみたら全然うまくいかなくて。
Facebookで投稿したらちょっと売れたこともありましたが…。ネットショップに掲載したりイベント出店したりして、1年半くらいはいろいろやってみましたが、知恵もないし資金力がないので大きなイベントには出店できないし、全然利益になりませんでした。
当たり前に思われるかもしれませんが、着物の雑貨って自分で着物を着られる人が買ってくれるんです。でも実はそういう人って少なくて、そもそも着物を自分で着られない人が自分の周りには多いんだな、と。
それならその手前の「着物を着られる人を増やしたい」と思って、着物の着付けを教えてあげようと思ったんです。ちょうど「着付けを教えてほしい」という声があったので、着物の着付け教室を始めたきっかけになりました。
着付け教室から集客コンサルタントへ
編集部 着付け教室の先生から、どのような経緯で集客コンサルタントになられたのでしょうか?
福田 実際に着付け教室をやってみたら、利益率がとても高いということに気がつきました。今まで物販だったのでとても利益が薄かったんですが、着付け教室は自宅でできますし。
また、昔から店長の経験も長かったので、人に何かお教えるのが苦ではなく、自分には向いているなと。人に教えることの楽しさや一緒に成長できる喜びを感じて、こういう仕事が好きなんだなと思いました。
そこで教えることに特化していこうと思い、ストアカという生徒と先生を繋いでくれるサイトで講座を作ったんです。着物の着付けや浴衣の着付けなどの講座をストアカで登録したのをきっかけにポツポツお客さんが増え始めて、「お客さんってこういう感じで来てくれるんだな」ということを実感できました。
私はお教室を運営する傍ら、集客の方法をマーケティングの塾に入って学んでいたので…いろいろ試しながら集客していました。ストアカ以外にもいくつか似たようなところに登録して試しながら、ストアカ集客のやり方講座を始めたんです。
他にもLINE公式も使ってみて良いなと思ったので、LINE公式の使い方なども講座にしました。ストアカやLINE公式の講座をきっかけに徐々に生徒さんが増えていき、個別コンサルティングで集客の方法を教えるようになり、2018年から集客を学びたいお教室の先生向けのコンサルティングをやるようになりました。
オンラインで講座を始めた理由
編集部 着付け教室は対面でされていたと思いますが、オンラインで講座を始めた理由はなんだったのでしょうか?
福田 2020年からのコロナ禍でやむを得ず、という感じです。オンラインじゃないと、なかなか人が来れないような状況でしたので。
オンラインでの着付け教室をやってみて思ったのが、なかなか難しいなということです。細かい部分がオンラインでは伝わりづらかったんですよね。なので過去の受講生さんに対してオンラインレッスンをするようにしていました。
編集部 集客に関する講座やコンサルティングは、最初からオンラインでされていたんですか?
福田 集客に関する講座も、最初は対面でおこなって対面でコンサルティングをしていました。フォローをzoomでやることもありましたが。なので、私の場合はどの講座もオンライン化のきっかけはコロナです。
起業当時からYouTubeで着物の着付け動画を100本くらい上げていて、そういった動画は集客にもつながりますが生徒さんの復習にも使えてとても便利です。動画が復習用に良かったよ、というのを後で生徒さんに教えてもらいました。
今は着付け教室の方で有料の動画教材を制作し販売していますが、それも復習用に生徒さんが購入してくれることもあります。コロナになってから、そういう導線が作れたら良いなと思って、いろいろ工夫しました。
こういったことは、コロナ禍にならなかったらやっていなかったんじゃないかなと思います。このような状況だからこそ、どう伝えるか、どう届けるかを工夫してやってきたというか。それがビジネスチャンスにつながることもあるんです。
対面とオンラインの講座の違いと気をつけていること
編集部 対面の講座とオンラインの講座では、違いなど何かありますか?
福田 対面とオンラインでは、やはりいろいろ違うなと思います。対面の方が熱量もありますし、人柄も伝えやすいですし。思いも伝えやすいです。
オンラインだと画面越しなので雰囲気も伝わりづらいですし、特に初めて講座に来ていただいた方に対しては、伝わりづらくて最初はもどかしく感じました。
編集部 そこを解消するために何か気をつけていることはありますか?
福田 オンラインでは細かく説明するようにしています。また口頭での説明だけではなく、スライドも用いたりして、耳からの情報だけでなく視覚的にも学んでいただけるように。そういったことを意識してオンラインで講座をおこなっています。
ただオンラインの良さは動画を残しておけるので、復習しやすいのはオンラインです。また、良い意味で人目が気になりにくいのもオンラインの方かなと思います。
もともと私は人前で話すのが苦手なので、リアル開催だと何十人もの人前で話したりなんてと思いますが、オンラインだと何十人いても大丈夫なんですよね。カメラの前で話す方が緊張しないというか。スライドがあるから喋れるみたいな、これもオンラインの良さだなと思いました。
対面の講座の良さもオンライン講座の良さも、どちらもあるので両方の良さを取り入れていけると良いなと思っております。
Web集客のポイント
編集部 web集客をおこなっていく上で何か工夫されていること、集客に関してのポイントは何かありますか?
福田 お教室の先生や講師をされている方であれば、最初はいろんなところに登録してみると良いと思います。ストアカもそうですが、他にもいろんなポータルサイトがあるので。最初はそういうところに登録してやってみる、というのを私は頑張りました。
使い勝手やメリット・デメリットは、それぞれのサイトで違いがありますし。最初は生徒さんが来てくれると、それだけでとても嬉しいんです。なので、どうやったらもっと来てくれるようになるんだろう?と、たくさん研究しましたね。
見せ方というか、画像やタイトルなど…そういうところを工夫して、徐々に生徒さんが集まるようになりました。
他には、先ほどもお話ししましたがYouTubeで着物の着付け動画をたくさん上げていて、それを見るだけでもできる人は何となくできると思うんです。
オンラインレッスンだと1つのカメラで映すのでしっかり伝えるのが難しい部分もありますが、YouTube動画なら自分が動けば後ろ姿も映せますし一旦止めて見ることもできるので、動画を残しておくのは生徒さんのためになります。
動画だと人となりもわかりますし、それが集客につながることも。レッスンには動画を見て「もうちょっと知りたい」とか「やっぱりできない」という方が申し込んでくださるので。YouTubeから問い合わせの電話をくださる方もいらっしゃいますし、LINEに登録してくださる方もいます。
やり方としては、YouTubeで認知を拡大させるための動画を何本か撮って、そこから問い合わせが来るように仕組みを作るのもおすすめです。
さらにYouTube動画をたくさん撮ると、話す練習もなります。3分の動画だったら、3分でギュッと話をまとめないといけないので、まとめる練習にもなるんですよ。私もYouTubeで話す練習をして、それを講座にも活かしています。
講師がリピーターを獲得するには
編集部 生徒さんの中にはリピーターの方も大勢いらっしゃると思いますが、リピーターを増やすために何か工夫されていることはありますか?
福田 リピートしてもらうためのポイントは、講座が終わった後です。1回来ていただいだら、それで終わりにしないこと。
私の場合は生徒さんとの連絡などでLINE公式を使っていて、例えば一斉配信をしてそこに返信をもらうこともあれば、個別に連絡をすることもあるんですが、そういったツールを使って細く長く繋がっていると、思い出してもらえるんです。
こちらから何か発信をすると、「レッスン予約しなきゃ」とか「またこのセミナー行ってみようかな」とか、そんな風に思ってもらえるようになります。そうすると、リピーターになってもっと深く学びたいと思ってもらえるようになっていきます。
また、講座後に必ずその日のうちにお礼のメッセージを送っているんですが、講座後のアフターフォローはとても大切ですね。何日か経ってから「その後どうですか?」とメッセージを送ったり。「何かご質問ありますか?」とか。
編集部 そういったメッセージに対しては、生徒さんは皆さんリアクションしてくれるものなのでしょうか?
福田 一斉に送ると「私だけじゃないんだな」と思われてしまいますが、個別に送ると皆さん反応を返してくださいます。何人か受講されたとしても、そういった連絡は個別にしています。
講師として大切にしていること
編集部 講師として大切にしていることやポリシーはありますか?
福田 講師の仕事が好きかどうかが大切かなと思っています。やっぱり好きじゃないと続きません。
私は生徒さんが受講前と受講後で変わっていくのを感じられると、本当に嬉しいんです。女性が自信を持って何かやっていけるように、応援したいという気持ちがあるので。
着付け教室に関しても、集客のコンサルタントに関しても、私のところに来ていただいている方は40代や50代の女性が多いんです。その年代の方は子育てがひと段落して趣味を持ちたいという人が多いんですよね。そういった方が、やりたいことをやれて、できることが増えていくのは見ていて嬉しくなります。
教えることに対して喜びを感じられるかどうかや、生徒さんが成長していくことに喜びを感じられるかどうかがポイントなんじゃないかなと思います。
これから講師を始めたいと思っている方へ
編集部 福田さんが起業されたのが47歳の時とおっしゃっていましたが、21年勤めた会社を辞めて起業するのはとても勇気がいることだったのではと思います。今、これから自分で何かビジネスをしたい、講師として頑張っていきたいと思っている方へ何かメッセージがあればお願いします。
福田 年齢って、関係ないなと思います。自分のスキルって、意外と自分ではわからないことがあります。経験を聞くと、人に教えられる素材がある方もたくさんいらっしゃいます。そういった素材を見つけられれば何歳からでもできるんです。
年齢を重ねると知識が増えていきますが、それをお金に変えるという転換ができない方が多いように思います。どうしても自分の枠の中だけで考えてしまうので、ビジネスがうまくいっている人に相談してみるのがおすすめです。
また、形にしてみるって非常に大事なことです。まず講座を作ってみて、そうやって自分でも価値を提供できるということがわかってくると、それを欲しいと思っている人がいることがわかってきます。
見せ方を工夫して価値をしっかり伝えられれば、あなたの提供できるスキルを欲しいと望んでいる人と出会えるようになるので、徐々に自信がついていくと思いますよ。
福田 早苗(ふくだ さなえ)
1967年生まれ。
ダンス用品会社勤務時代、2坪の百貨店フロアから路面店を出店させるほど拡大させ、売上アップに貢献する。激務で体をこわし、職場の働き方を変えるため、起業を決意。
マーケティングを学びながら、着物雑貨のネットショップで起業したものの、生活苦に陥る。そこで物販を諦め、20代の頃から習っていた着付けを教える教室を開校。SNSやブログといった無料の媒体をフル活用し、一年間で150人の集客に成功。
現在は、お金をかけずに集客する方法で、教室の先生を対象に集客セミナーも合わせて開催中。