
デジタル技術は日進月歩で進化して、企業活動だけでなく私たちの日常生活もDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が迫られています。公立の小学校と中学校の全生徒にはタブレット端末が配布され、農業や漁業でもロボット技術やICTが活用されているなど、DXの影響はすでに私たちの身近に及んでいます。パソコンを使いこなすことは、今や社会人には必須スキルといえるでしょう。
これまでパソコンをあまり使っていなかった方も、これからは仕事でもプライベートでもパソコンを使いこなしたい、パソコンの知識とスキルを身につけたいと思っていませんか。
パソコンの知識やスキルの習得方法はさまざまありますが、独学も可能です。この記事では、パソコンの独学方法と、パソコンの知識を身につけられる関連資格を紹介します。パソコンを独学で使えるようになりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
パソコンは独学で十分できる!
パソコンは独学するための教材や情報は豊富にありますから、パソコンを独学で学ぶことは十分できます。教材は初心者向けの簡単なものから、上級者向けの専門性の高いものまで幅広くあるため、どのような熟練度の方でも独学できるでしょう。
ただし、独学するということは、自分で理解しながら進めなければならないということです。そのため、自分で疑問や課題を解決していく能力が求められるでしょう。
独学の前に「目的」を明確にすることが重要

パソコンを独学することは可能だと述べましたが、独学する場合には、パソコンで何ができるようになりたいか目的を定めることが重要です。
パソコンの使用方法は幅広く、目的を定めないと何を勉強して良いのかがわかりません。
例えば、パソコンで文章を作成するためのスキルと、プログラムを作成するためのスキルでは勉強する内容がまったく異なります。文章を作成するためであれば、文字を打ち込むタイピングや、文章の装飾などの勉強が必要です。
一方で、プログラムを作成するためであれば、プログラミング言語やプログラムの構成について学ぶ必要があります。
このように、パソコンの使用方法によって独学する内容が変わってくるため、独学を始める前にパソコンを使って何をしたいのか目的を決めましょう。
パソコンでできる5つの作業内容
パソコンは、目的によって独学の方向性が大きく異なりますが、そもそもパソコンで具体的にどのようなことができるのかわからない方もいるでしょう。
ここでは、一部の例としてパソコンでできることを紹介します。まだ、明確にどのようなことができるようになりたいか決まっていない方は、参考にしてみてください。
基本操作
パソコンでの文字の入力やマウスの操作方法、検索エンジンでの検索などが基本操作にあたります。パソコンを使用するうえで必要なスキルであるため、パソコンを使ったことがないという方は、まず基本操作について学ぶ必要があるでしょう。
文字の入力は、キーボードを見ながらやれば誰でもできると思うかもしれません。しかし、多くの文字を入力する際には、キーボードを見ずに入力する「タッチタイピング」ができると素早く入力でき、便利です。
また、インターネットで情報を検索したいという方は、GoogleやYahoo! JAPANなどの検索エンジンの使用方法を学んだほうがよいでしょう。
インターネットサーフィンやメール、文章の作成などができるようになりたい方は、基本操作から学ぶことを目指してみてください。
Microsoft® Office
Microsoft® Officeは、WordやExcel、PowerPointなど、書類作成やプレゼンテーションなどで活躍するソフトです。
これらのソフトはMicrosoft®社から提供されており、多くのビジネス現場で活用されています。それはWordやExcelなどのスキルの有無が、多くの求人情報などで募集や優遇の条件となっていることからもわかるでしょう。
Microsoft Officeは、ビジネス現場で広く浸透しているソフトのため、学ぶことで社会人としてのキャリアアップにつながります。また、新たに仕事を探している方にとっては、学ぶことで就職しやすくなる可能性があるでしょう。
プログラミング
プログラミングは、コンピューターに実行させるプログラムを作成することです。
あまり馴染みがないかもしれませんが、プログラミングは私たちの生活に深く関与しています。
具体的には、日常的に使用する家電やスマートフォンのアプリケーション、ゲームなどがプログラムによって動いているのです。
プログラミングができるようになると、コンピューターに対する理解が深まったり、IT業界で働くためのスキルが身についたりします。
また、プログラミングを学ぶことで論理的な思考が身につくともいわれており、現在注目が集まっているパソコンスキルです。自身でアプリケーションを作ってみたい方や、IT業界へ転職したいと考えている方は、プログラミングの独学をおすすめします。
動画編集
動画編集は動画編集ソフトを利用して、撮影した動画を見やすくしたり、おもしろくしたり編集する技術です。
近年、YouTubeやTikTokなどの動画を公開するプラットフォームが人気になるとともに、動画編集の需要も高まってきています。
映像業界で働きたい方はもちろん、個人で撮影したプライベートな動画を編集したいという方にも、おすすめのパソコンスキルです。
Webデザイン
Webデザインは、Web上に表示されるページのデザインに関する技術です。
見やすさや使いやすさなどに配慮した、Webページを作成する際に役立ちます。
Webサイトによっては見づらかったり、パソコンでは正しく見えていても、他の端末で見ると表示が崩れたりしているWebサイトを見たことがないでしょうか。
このような、Web上のデザインに関するスキルがWebデザインです。
Webデザイナーとして仕事をしたい方や、個人でブログやホームページを作成したいという方は独学してみてはいかがでしょうか。
パソコンの独学におすすめな3つの方法

パソコンを独学するときには、次に挙げる3つの方法がおすすめです。
それぞれの独学方法におけるメリットやデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
本
1つ目は、パソコンに関する本を読みながら勉強する方法です。本で独学するメリットは、教材を比較的安価で手に入れやすいことでしょう。
全国の書店や本を取り扱っている通販サイトを使用すれば、パソコンに関する教材は簡単に手に入ります。
また、独学するときに重要なポイントの一つに、教材の情報の正確性が挙げられますが、本であれば監修されていることが多く、情報の正確性が高いと考えられるでしょう。
購入すれば手放すまで手元に本を残しておけるため、何度でも復習できます。
対して、本で独学するデメリットは、自分で理解して勉強しなければならないことです。
教材用の本はわかりやすく書かれていますが、自分が知らない新たな情報は理解しにくいこともあるでしょう。
そういったときでも、本で独学する場合には自分で理解しなければなりません。また、知りたい情報があった場合には、本のなかからその情報が記載されているページを探す必要があります。
目次や索引で探す、あるいは本を一読しなければならないため、学ぶのに時間がかかってしまうでしょう。
Webサイト
2つ目は、Webサイトで調べながら勉強する方法です。Web上には、パソコンの独学に役立つ情報が掲載されたサイトが数多くあります。
具体的には、勉強方法ややり方を動画でアップしてあるYouTubeや、プログラミングのコードがまとめられたGitHubといったサイトなどです。
こういったサイトは、ほとんどが無料で公開されています。多くの教材を無料で利用できることは、Webサイトで独学する際のメリットだといえるでしょう。
パソコンで検索すればすぐに知りたい情報にアクセスできるため、手軽に素早く学べることもメリットの一つです。
一方でデメリットとしては、情報の正確性に不安があることが挙げられます。Webサイトは、個人が自由に作成して公開できるため、情報が間違っていることも少なくありません。
そのため、Webサイトを利用して学んだ知識が、実際には間違っている情報やスキルだという可能性もあります。また、掲載されている情報もサイトを運営している方の好みや傾向によって、偏りが生じていることも考えられるでしょう。
知識がないうちは難しいかもしれませんが、できれば複数のサイトなどを見て、情報が間違っていないか、知識に偏りが生じていないか、俯瞰しながら進めることがポイントです。
セミナー
3つ目は、セミナーに参加して勉強する方法です。パソコンに関するセミナーは、マンツーマンで指導するセミナーから、大人数を対象に行なうセミナーまであり、専門の講師がわかりやすく説明してくれます。
また、最近ではオンライン上で行なうセミナーもあるので、場所を選ばずセミナーに参加することも可能です。
オンラインのセミナーは、パソコン教室が提供しているものや、Udemyなどのオンラインの動画セミナーを公開しているサイトがあります。
セミナーで独学するメリットは、わかりやすい説明を聞けることです。教えなれている講師がセミナーを担当しているため、パソコンの専門的な知識やスキルをわかりやすく解説してくれるでしょう。
また、疑問やわからないことがあったとしても、その場ですぐに質問でき、解決できます。
ただし、本やインターネットサイトで学ぶときに比べて、高額な費用がかかる点がデメリットです。セミナーによって参加費は異なりますが、高額なセミナーになると数万円~数十万円かかるものもあります。参加したいというセミナーがあったとしても、場所や予定が合わない場合もあるでしょう。
無料で学べる公的職業訓練「ハロートレーニング」や費用の一部が支給される「教育訓練講座」でも、パソコンの知識やスキルをテーマにしたセミナー・講座を開講しています。
パソコンの知識を学べる資格
パソコンを独学するときには、パソコンの知識やスキルを学べる資格の取得を目指してみるのもよいでしょう。
資格の勉強をすれば、そのジャンルに関するパソコンの知識やスキルを学べます。さらに、資格取得により、就職やキャリアアップに有利になることもあるでしょう。
ここでは、パソコンの知識を学べる資格について紹介します。
MOS
MOSは、「Microsoft® Office Specialist」の頭文字を取った言葉で、WordやExcel、PowerPointなどMicrosoft® Officeの活用スキルを証明する資格です。
Microsoft®社が認定する公式の資格であり、ビジネス業界では広く知られています。取得していることで、Microsoft® Officeを使用できる証明になり、就職や転職時にアピールポイントとなるでしょう。また、Microsoft® Officeの機能を使いこなせるようになるため、仕事で使用している方は、作業効率の向上にもつながります。
試験は一般レベルと上級レベル(エキスパート)の2種類があります。受験資格はありませんので、最初から上級レベルを受験可能です。
合格した多くの方が参考になったとお勧めしているシリーズがこちらです。Excel、Word、PowerPointの3つのソフトについてレベル別に合計6冊販売されています。
各種プログラミング言語資格
各種プログラミング言語資格は、プログラミング言語に対応した知識やスキルを証明する資格です。
プログラミング言語には、C言語やRuby、PHP、Javaなどさまざまな種類があり、ほぼ全てのものに独自の資格があります。
具体的なプログラミング言語に関する資格は、以下のとおりです。
- Oracle 認定 Java資格
- PHP技術者認定試験
- C言語プログラミング能力検定試験 など
自分が使えるプログラミング言語に関する資格を取得すれば、能力を保証でき、他者からの評価につながるでしょう。
CGクリエイター検定
CGクリエイター検定は、CG制作や映像制作に関する知識やスキルを証明する民間資格です。
CG制作や映像制作、アニメーション、ゲームなどに関する知識やスキルが問われます。
難易度はベーシックとエキスパートに分かれており、エキスパートでは専門的な知識を応用する能力が測られます。CGや動画編集、映像制作などに関わるアニメーターやデザイナー、クリエイターなどにおすすめの資格です。
Adobe Certified Professional
Adobe Certified Professionalは、Adobe社が提供するIllustratorやPhotoshopなどの製品の利用スキルを証明するAdobe社公認の資格です。
Illustratorはデザインやロゴを作成するときに使用するグラフィックデザインツールで、Photoshopは写真や画像を加工できるツールです。
Adobe製品は、デザインや動画編集、画像編集などに幅広く活用されており、その知名度も非常に高く、利用されている方も多くいます。
Adobe製品の利用スキルを証明するAdobe Certified Professionalは、動画編集やWebデザインなどの知識を学びたい方にとっておすすめの資格といえるでしょう。
まとめ
パソコンは使用方法が多岐にわたるため、独学を始める前に使用目的を定めることが重要です。まだ独学する目的が明確でない方は、今回紹介した内容を参考にまずは目的を決めることをおすすめします。
あらゆる職種でパソコンの知識とスキルが必須となり、日常生活でもパソコンが欠かせなくなる日はもう間もなく訪れるでしょう。。今よりもパソコンを使えるようになりたいと考えている方は、この記事を参考に、スキルアップのための独学を始めてみてはいかがでしょうか。