メディア取材される講座情報とは | 共感されるストーリーとコンセプトを発信しよう

オンライン講座に多くの受講者を集めるためには、なにが必要でしょうか。数あるオンライン講座の中から選ばれるためには、講座内容の質の高さに加えて、受講者が共感するようなストーリーが大切です。

ストーリーとは、商品・サービスにおける開発・誕生の背景理由、関係者の体験談コメントコンセプト世界観などを指します。商品・サービスの事実や根拠に基づいた情報とは異なり、生活者の感情に訴えて、共感の獲得を目指します。ストーリーがある商品・サービスの共通点には、メディアから取材を受けやすいことが挙げられます。

この記事では、オンライン講座の内容やWebサイトのコンテンツが受講者からより魅力的に見えるために活用したいストーリーについて、その概要とメリット、ストーリーをつくりあげる・伝える際のポイントなどを紹介します。

ストーリーとは

共感の獲得を目指して、企業が発信するストーリー

情報があふれている現代社会では、商品が持つ性能や価格の優位性だけで競合との差別化を行うことがむずかしくなっています。

生活者から共感を得ることで購買活動につなげようと、多くの企業がストーリーを発信しています。ストーリーを用いた手法や活動は、ストーリーマーケティングストーリーテリングなどと呼ばれています。

ストーリーの具体例として、グローバル企業であるAmazon(アマゾン)と、Amazonと同じく世界中で販売されているエナジードリンクのRed Bull(レッドブル)の広告を紹介します。

Amazonの広告では、仕事が終わって会社を出る妻を夫が迎えにいき、川沿いを散歩するなど二人の時間を楽しむ動画がテレビでも多く放映されて話題を集めました。この動画では、時間を問わずに注文できること、即座に届くことの便利さを声高に主張するのではなく、Amazonの便利さがもたらす夫婦の豊かな時間を紹介しています。

Red Bullの広告も、効能を訴求するものではありません。「翼をさずける」というキャッチフレーズとコミカルなアニメーションで、やる気がみなぎって頑張れそうに思わせる広告です*。

*Red Bullは日本では清涼飲料水として販売されており、医薬品ではないので効能を訴えることはできません。

ストーリーとはこのように商品・サービスが持つ性能の優位性を訴えるのではなく、受け手がその商品・サービスを利用したら得られる快適な生活について実感させる効果があります。

テレビや新聞、Webサイトなどメディアでよく取材される商品・サービスには、ストーリーがあることが多いです。

「史上初」「最大・最高」など記録に残るようなものだけが、メディアで紹介されるわけではありません。商品・サービスがメディアで紹介されるときには、誕生したきっかけ、担当者に受け継がれた思い、目指す未来イメージなどのストーリーが一緒に伝えられることがよくあります。商品・サービスが報道されるときには、そのものが持つストーリーに注目してみましょう。

企業の人材採用でも活用されている

ストーリーは、商品・サービスを販売して売り上げを増やすためだけでなく、人材採用の分野でも注目を集めています。

従来の人材を採用では、求職者や学生が魅力的に感じるような好条件を記載した求人広告を求人媒体に掲載することが一般的でした。

現代、日本は少子高齢化により労働力人口が減少しています。より良い人材を確保するために、求人情報のwebメディアでは採用条件に加えて、企業のストーリーを紹介することが増えています。

人材採用情報の紹介サイトであるWantedly(ウォンテッドリー)やマイナビ転職では、ブログ形式で企業自らが雰囲気や思い、日常の姿を発信しています。

Wantedly - Discover and visit exciting companies.
With Wantedly, discover the perfect team or job for you and easily manage your connections with fellow workers.
「企業の日常」を飾らずに届ける。+Stories. -つぎにつながる物語-
'+Stories.(プラスストーリーズ)はマイナビ転職が運営する、求人だけでは見えない、企業で働く人々の日常や職場の雰囲気、社風など「企業の中」を企業自身が飾らずに発信するサービスです。

20年以上前のことであり、ストーリーを標榜したものではありませんが、人材採用で自社員の思いを伝えることの重要性の具体例を紹介します。

良い人材を確保するために大学生の新卒採用への応募を増やしたい製薬会社が情報を創出しようと考えます。大学生に伝えるべき自社の魅力を探るため、社員が感じる仕事のやりがいや会社の特徴をテーマに、入社10年以内の社員へインタビューを実施しました。

インタビューの結果、漢字だけで固い印象の社名からは想像しにくいのですが、海外企業と強固なネットワークがあって国際競争力のある商品を扱うことに社員が誇りを持っていることが分かります。社名の変更も検討しつつ、翌年の新卒採用から「グローバル企業」としてのイメージの訴求に努めた結果、目標人数以上の応募と採用を達成することができました。

ストーリーの後継として関心が集まる「ナラティブ」

近年、ストーリーに置き換わるのではと注目されているものが、ナラティブです。両者の最も異なる点は、ストーリーでは企業側が語り手ですが、ナラティブでは生活者も語り手となって発信します。ナラティブの事例に、ネスレ日本の「キットカット」受験生応援キャンペーンがあります。これは、消費者が作り出した「きっと勝つ」の語呂合わせの物語を、ネスレ日本が自社の物語として発信したものです。

*日本マーケティング学会 第1回物語マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り)レポートより

第1回物語マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り)レポート「物語マーケティングのフロンティア – ストーリー・マーケティングからナラティブ・マーケティングへ –」
第1回 物語マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り) > 研究会の詳細はこちらテーマ:物語マーケティングのフロンティア – ストーリー・マーケティングからナラティブ・マーケティングへ –発表者:岩...

今後はナラティブが主流になるかもしれませんが、ストーリーもいまだ有効です。まずはストーリーについて確認しましょう。

ストーリーが重視される背景

ストーリーが重視される背景には、生活者が商品・サービスを選ぶ基準が「モノ」から「コト」へ変化したことが挙げられます。

「コト消費」という言葉は、2000年代から登場しました。経済産業省は、2015年の「コト消費空間づくり研究会」の報告書の中で次のようにまとめています。

モノ消費

個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費すること

コト消費

製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受するのみでなく、個別の事象が連なった総体である「一連の体験」を対象とした消費活動のこと

平成27年度 地域経済産業活性化対策調査(地域の魅力的な空間と機能づくりに関する調査)報告書 https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/chiiki/koto_shouhi/pdf/report_01_02.pdf

生活者が商品・サービスを選ぶ際には、それが持つ機能だけでなく付随した体験を重視しています。そのため、商品・サービスによる体験に影響を与えることができるストーリーを企業が発信するようになりました。

ストーリーのメリット

ストーリーを発信することで、オンライン講座の受講者増加に期待できるメリットを紹介します。

共感を得ることで、購買活動につながりやすい

企業がストーリーで生活者の感情に訴えて共感を獲得すれば、生活者は「応援したい」「参加したい」など商品・サービスのファンになる効果があります。ストーリーを発信することで、受け手がオンライン講座や講師のファンになることで、受講申し込みが増えることが期待できます。

受け手に理解されやすく、記憶されやすい

難解な講座内容は論理的な説明とともに、ストーリーを用いれば理解しやすいように講座を伝えることができます。

オンライン講座情報を見た直後に、申し込みを行うとは限りません。見た時は興味がなかったが、後日必要に迫られて、または関心がわいて講座に参加したと思うこともあるでしょう。そのためには、受け手の記憶に残っていることが重要です。ストーリーは感情に訴えるので記憶されやすいメリットがあります。

競合と差別化することができる

生活者の目を引いて選ばれるためには、差別化が大切です。しかし、競合より画期的に優れた性能や品質を維持・更新し続けることはむずかしいことです。値下げや割引キャンペーンによる差別化は短期では有効ですが、長期間続けると経営や商品価値に大きなダメージを与える恐れがあります。

オンライン講座が持つストーリーを生活者に伝えることで、そのオンライン講座があなただけが提供できるものになり、競合との差別化を実現することができます。

ストーリーをつくりあげるには 

ストーリーに共感して受講したいと受け手に感じさせるために、注意すべきポイントを紹介します。

Whyを追求する

  • なぜオンライン講座を始めたのか
  • なぜオンライン講座で教える内容を習得したのか
  • なぜ現在の事業を始めたのか

このような「Why・なぜ」にあたる理由やきっかけを追求してみてください。「Why」には、受け手の感情にアプローチできるような、講師自身の思いが反映されたものが多くあるからです。

苦労や失敗談も取り入れる

受け手から共感を得るためには、成功経験や実績ばかりでなく、苦労・失敗談のようなネガティブ情報と、そこからいかに回復したのかを伝えることが大切です。

オンラインではありませんが、筆者が参加した子育て支援の講座・イベントで、人気と実績のある講師たちには共通点がありました。ベビーマッサージ、離乳食、コーチングなど子育て情報に精通した講師たちは口をそろえたかのように、自己紹介で「子育てに悩んで、深く落ち込み、立ち直ろうとして一発奮起して活動している」と話すのです。聞いている私は「まただよ」と思ってしまうほどでした。参加者の反応がよかったトピックが使われ続けた結果、この「子育てで落ち込んだ」ネタが子育て支援で鉄板ネタになったののではと思われます。

事実に基づいて、客観性がある

ストーリーは主体的で感情豊かなものでありますが、事実に基づいた要素で構成されていなくてはなりません。現代風に言うなら「話を盛る」ような、事実に反する事柄をストーリーに織り交ぜることはしないでください。ストーリーのつじつまが合わなくなると、共感を得ることがむずかしくなります。

捏造と受け取られれば信頼を失うことになるでしょう。コンプライアンスの面からも、真偽が確かめられない情報は利用しないでください。

ストーリーは感情に訴えるものではありますが、構成要素に客観性があれば説得力が増すでしょう。実績や経験を具体的な数字にして伝えてください。受け手がストーリーを実感できるように、ストーリーに関連した活動実績も一覧にして紹介します。

受講後のイメージを具体的に紹介する

オンライン講座を受講したらどのように生活が変わるのか、どんな未来が待っているのか紹介します。点数や時間を具体的に数字にして保証することはむずかしいので、数字に固執しなくてもかまいません。前述のAmazonやRed Bullの広告を参考に、受講後の理想イメージを提示しましょう。

料理教室なら「カロリーを20%オフ、調理時間は20分です」の説明文を、料理した後の時間の過ごし方まで言及してみませんか。

「たった20分の時短調理だから、時間に余裕ができて運動へのやる気もアップ。できあがった料理のカロリーは通常の20%オフだし、運動もしたくなるので、ダイエットを後押しできます」としたら、受け手の感情により強くアプローチできるでしょう。

ストーリーを反映させた講師プロフィール例

実際にオンライン講座の紹介文にあった講師プロフィール文に、ストーリーを加えて書き直した例を紹介します。

元のプロフィール

XXXX年
〇〇入学

XXXX年
〇〇卒業 ●●資格取得

XXXX年
〇〇 ・◇◇入学

XXXX年
首席で卒業 ◆◆資格取得

XXXX年~現在
都内を中心に3歳の子どもから大人までを指導

■■■■の楽しさを実感できるように
分かりやすくていねいに伝える講座です。

経歴が分かりやすくまとめられたプロフィール文ですね。これに講師の思いが強く伝わるようにストーリーを取り入れたプロフィール文がこちらです。

【英会話講師の場合】

子どものときから憧れていた英語の先生になるために
〇〇に入学して、中学・高校の英語科教員免許を取得。
英会話力をさらに高めるために、カナダの大学へ短期留学。
苦手なヒアリングの上達を目指し、
帰国後にTOEIC 860点と英検1級を取得

公立中学校の英語教師として、XX年間XXX名を指導。
現在、都内を中心に英会話スクールで3歳の子どもから大人までを指導。

学生時代にヒアリングに苦手に苦しんだ経験から
英語を聞き取って会話ができる喜びを実感して学習し続けられるように

英会話の楽しさを分かりやすくていねいに伝えることを心がけています。

【チアリーディング講師の場合】

大学入学後に未経験からチアリーディング部に入部。
たび重なる足のケガに苦しみながら、オリジナルの振り付けに没頭。
卒業はプロスポーツ〇〇のチアリーディングチームで活躍。
X年目からはリーダーの一人としてチーム全体のスキルアップも担当。
学生時代の経験からチームメンバー30名のケガの予防も念頭に置きつつ
華やかなチアリーディングを追求。

現在、都内を中心に3歳の子どもから大人までを指導。

ケガに苦しんだ経験から体のケア方法も重視しながら
チアリーディングの楽しさを実感しながら練習を継続できるように
チアリーディングの技を分かりやすくていねいに伝えることを心がけています。

オンライン講座の情報をより魅力的にするためにストーリーを発信しよう

ストーリーは受け手の感情に訴えて共感の獲得を目指すもので、多くの企業が採用している手法です。ストーリーを用いることで、売り上げの向上や競合との差別化を図り、受け手に理解されやすく記憶に残りやすい効果が期待できます。ストーリーの視点からオンライン講座の内容や、講座の紹介文、講師プロフィール文などのコンテンツがより魅力的なものになるように見直してみませんか。

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